<<話選択へ
<<前のページへ
(2/2ページ)
「ルイ先生……凄い、です……」
亜柚子が初めての快感に打ち震える少女にしか見えず、瑞麗は戸惑う。
あまり本気になられても後が面倒なのだが、同時にこの女とも少女ともつかぬ、
アンバランスな女性をもう少し弄びたいという欲望も芽生えるのだ。
選択に迷ったときには煙管を吸って冷静になることにしている。
だがこんなときに煙管を取りだすわけにもいかず、結局瑞麗は、自らが欲するままに行動することにした。
「雛川先生だって、ここはもうこんなに凄くなっている」
「あッ……!」
音が立つように指を操ると亜柚子は目を閉じてしまう。
それは自ら窮地に追いこまれてしまう下策なのだと教えてやるために、
瑞麗は半身を彼女の両足の間に割って入れ、本格的に亜柚子を弄ぶ準備を整えた。
「わ、私……あんなキス、初めてで……」
「そういうことにしておこう」
「ほ、本当です……きゃッ……!」
瑞麗は一気にスカートを剥ぎ取ろうとする。
だが亜柚子が布を抑えたので、戦法を変えることにした。
「あっ……ン……!」
スカートの中に手を入れ、内腿を撫でまわす。
柔らかく、熱を帯びた肉は快美な質感を掌に伝えた。
亜柚子も敏感になっているのか、手は相変わらずスカートを抑えているものの、
抵抗は目に見えて弱くなっている。
けれども瑞麗は二度目の実力行使に及ぼうとせず、内腿から亜柚子の女の部分に手を這わせても、
直前で別の所へと手を移した。
「ん……」
亜柚子が下半身をわずかによじる。
暗黙の催促に気づかないふりをして、瑞麗は繊細なタッチで亜柚子の欲望を高めていった。
時に指の腹で、時に爪の甲で、微弱な快感と焦れったさのみを与えていく。
酔ってはいても直接欲望を口にするのはさすがに恥ずかしいのか、
亜柚子は何度も口を開いては、思いとどまって目を閉じた。
そのたびに潤みを増していく瞳に意地の悪さが顔を出し、つい焦らしてしまう。
「あ……」
顎を宙に向け、背を軽く反らせて快感に身構える亜柚子を、その寸前の所で止める。
二度、三度と繰りかえすと、求めて与えられない刺激に肉体がわななきはじめた。
女として過不足ない脂肪が震え、触れる手に快い微動を伝えるのが愉しくて、さらに数度焦らす。
するとついに亜柚子は屈服し、両手で瑞麗の腕を握った。
「先、生……いじわる、です……」
童顔の亜柚子が恨めしげにすがる表情に、思わず瑞麗は唾を飲みくだす。
熱い滴りとなった欲望が、腹の中で音を立てて跳ねた。
「それなら……雛川先生にも素直になってもらわないとな」
まだスカートを抑えている拳に指を這わせ、包む。
数瞬ののちに力が抜けた亜柚子から、瑞麗は一気にスカートを剥ぎ取った。
「あ……!」
亜柚子は膝下丈のスカートを履いていることが多く、彼女の足を見たことがある人間は、
この學園内にはほとんどいないはずだ。
その数少ない人間の一人となった瑞麗は、同僚の肢体を目を細めて眺めた。
「せ……んせ、い……」
しきりに足をくねらせる亜柚子の、膝に手を置いて動くのを止めさせる。
亜柚子の身体は絶世の美女というわけではないが、目を奪うだけの肉感を有していた。
細くも太くもない絶妙な加減の肉づきに、最高の緊張をほんの少し通り過ぎた肌は、
むしろ女性がもっとも熟する時期にさしかかっており、肉果の旨さを誰しも想像せずにいられない。
こんな足を見せられたら思春期の男はひとたまりもないはずで、
亜柚子の判断は全く正しいと瑞麗は心に頷いた。
そして外見ばかりではなく、亜柚子は内側も美しい点に瑞麗は賞賛を惜しまない。
万物に流れる氣を読むことができる気功師でもある瑞麗は、
表面的な言動に惑わされずに人の本質を視る術に長けていた。
亜柚子の体内に流れる氣は理想的な質量を保っており、それが彼女を内面から輝かせているのだ。
今はやや陰氣が強くなっているが、増大しない限り心配はないだろう。
触り心地のよい亜柚子の足をしばらく撫でまわしていた瑞麗は、いよいよ下着に手をかけた。
「あッ、だめ……」
さすがに抵抗は激しく、亜柚子は股間を手で隠す。
妨害を排除するのに、瑞麗は同じ手を使わなかった。
亜柚子の両手が塞がっていると見るや、防ぎきれない乳房に顔を寄せ、
柔らかな曲面の、あえて頂から外れた場所に舌を這わせる。
「ッ……ん……」
軽やかに、舌の先端だけを肌に触れさせ、ゆるやかに舐めていく。
熱い息を吹きかけ、亜柚子の反応を見ながら、乳首に一度だけくちづけた。
「んッ……!」
亜柚子は顎を跳ねあげつつも、口は閉じて容易には屈しない。
それこそが望むところで、瑞麗は彼女の手に自分のそれを重ねつつ、執拗に乳首を責めた。
「ん……ぅ、う……っ……」
足を絡め、手を取り、たっぷりの唾液を乗せて乳房を舐める。
責め苦に近い少なすぎる快感は、よほどの禁欲者でもなければそうそう耐えられるものではない。
鼻息を漏らしつつも亜柚子はよく耐えていたが、それまで右のほうばかりを責めていた瑞麗が、
不意を衝いて左の乳首を音を立てて吸い、歯を立てたとき、ついに手の力が緩んだ。
その機を逃さずに瑞麗は一気にショーツを脱がせてしまった。
脱がす過程自体は愉しんでいた瑞麗だが、そこそこに亜柚子が抵抗したのもあって、
勝者の証として占領した場所をまさぐりつつ、意地の悪い笑顔を向ける。
長い睫毛と理知的な目には、その種の表情が実にさまになっていて、
敗者に深い敗北感を植えつけずにおかない。
亜柚子もそれは例外でなく、支配的とさえ言える怜悧な笑顔を至近で浴びせられた彼女は、
幾種類かが複雑に交ざった感情を整理できずにほとんど泣きそうな顔をしていた。
「そんなに恥ずかしかったのか?」
「それは……だって……ルイ先生みたいな美人に見られるのは……」
美人かどうかは関係ないはずだと思ったが、瑞麗は口には出さない。
その代わりに冷めた微笑――今度はさっきほど意地の悪くない――で応じ、
「ルイ先生みたいな美人」に見られると亜柚子がどうなるのか、実地で確かめることにした。
「きゃッ、待ってっ……!」
慌てると少女らしさが増す亜柚子の悲鳴を聞き流しながら膝に手を添え、
箸を割るように開いていく。
亜柚子の恥部は、それを隠していた下着と較べると、やはりアンバランスな趣があった。
下腹に揃う恥毛はそれほど密生しておらず、まだ生え揃っていないのではと錯覚してしまうほどだ。
一方で陰唇はしっかり成熟しており、さきほどからの愛撫のたまものか、
一目で判るほど淫らな雫を湧きださせている。
これは確かに見られたくなかったかもしれないな、という感想を抱いたところで亜柚子に隠されてしまった。
寮のベッドはシングルなので、自由にポジションを選べる広さはない。
考えた瑞麗は亜柚子の上に反対向きに跨った。
「あ……っ……」
「他人のを見るのは初めてか?」
「はっ……はい……」
論点がそこにないのを承知の上で瑞麗はからかった。
自分の性器を見て彼女がどんな顔をしているかと思うと、腹の中が熱くなる。
もう蜜壺は蓄えきれないほどの淫蜜を分泌しているはずで、
今にも亜柚子の滑らかな頬に垂らしてしまうかもしれなかった。
亜柚子が驚いているうちに、瑞麗は彼女の足を開かせ、顔を埋めるだけの空間を確保してしまう。
どこをとっても柔らかく温かな彼女の肉体は当然のこととして、
頭髪とは違う色をした、自分にはない叢に触れるのは愉しかった。
「これ、ご自分で……剃られるんですか……?」
さりげなく腰を低くしておいたので、彼女の吐息が性器に直接かかる。
思いきり押しつけて小便すら飲ませたいという衝動の泡が、ちゃんと弾けたのを確かめてから瑞麗は答えた。
「ああ、チャイナドレスは下着も履かないのが本式だからな。学校ではそういうわけにもいかないが、
私はあまり薄い方ではないからな、雛川先生と違って」
言いながら恥毛を引っ張ると亜柚子が足を閉じようとしたが、
それより早く敏感な部分を軽く弾いて瑞麗は遮る。
「んっ……! わ、私、そんな……」
「どうかな、これならいっそ剃ってしまったほうがいいかもしれないぞ? なんなら私が剃ってやろうか?」
「……い、いえ、いい……です……」
こういった品のない話は苦手だと判っていて、ついまた意地の悪いことを言ってしまう。
そして期待通りの反応を示す亜柚子に声を立てずに笑いながら、彼女の秘裂をなぞりあげた。
「あ……ん……」
下着に糸を引くくらい愛液をしたたらせるくらい感度がよいのに、
形の崩れも色素の沈着も激しくは見られない陰唇は、しかし瑞麗の指先に如実に襞を震わせ、牝の匂いを分泌させる。
舌先に唾を溜めた瑞麗は亜柚子の淫らな部分を狙って落とし、二人の体液を混ぜるように塗りこめた。
「うぅ……っん……っ」
さらに瑞麗は中指で愛蜜を掬い、口に含む。
度数の高いアルコールにも匹敵するほど腹が灼け、たまらず腰が揺れた。
「ルイ先生も……感じているんですね……」
亜柚子の何気ない指摘は、ひどく瑞麗を狼狽させた。
こうした行為をしているのだから感じないはずがなく、その点を瑞麗は気にしてはいない。
ただ、自分が常になく興奮しているという自覚があり、それが彼女をらしからぬ精神状態に導いたのだ。
「ふふッ、そうだな……でも」
亜柚子の水源に浅く指を沈めて瑞麗は答えた。
「雛川先生ほどではないと思うよ」
「い、意地悪……です……」
意図的ではないにせよ、亜柚子はからかいたくなるような反応ばかりしてくれる。
磯の香りを漂わせる女唇が充分にほぐれているのを確かめ、瑞麗は彼女の奥へと指を挿れた。
潤滑液のおかげで何の抵抗もなく入っていく指に、亜柚子の下腹が淫靡に震える。
「あ、あっ、ルイ……せんせ……い……」
沼と化した秘裂に指を挿れていく。
潤みきった沼沢は細長い異物を易々と受けいれ、溶かそうとするかのような快い熱で瑞麗をもてなした。
指にまとわりつく媚肉の質感を愉しみつつ瑞麗は、男にはできない繊細な動きで亜柚子を高めていく。
「あ……ぅ、んっ……ん……あ、あ……」
抉るのではなく、皮膚一枚で表面を撫でるような愛撫をされるのだからたまらない。
じわり、じわりと官能を炙られながら、決して届かない焦燥に、亜柚子の腰は切なげに揺れ、目には涙が溜まる。
だからといって自分からねだるようなはしたなさは持ちあわせていない亜柚子は、
口を大きく開けたまま加害者を見やることしかできず、それが加害者に余計な嗜虐意識を与えてしまうのだった。
亜柚子の膣内をほとんどミリ単位で進んだ指が、ようやく奥に辿りつく。
そこに至るまでですでに限界にまで近づいている亜柚子に、最後の焦らしをした瑞麗は指の動きを一転させた。
「ひぁッ――!?」
とろとろに蜜で濡れた指先の腹で、膣内の上側を刺激する。
突然訪れた強烈な快感に亜柚子は戸惑いを見せたがそれも寸時のことで、すぐに虜になった。
「あぁッ、あ、クぅッ――う、あァ――!」
続けざまに放たれる喘ぎも、もはや意味のない音の羅列でしかない。
加えて瑞麗がクリトリスの方も責めたてたため、理性が弾けとぶほどの快楽に亜柚子は見舞われていた。
小さな絶頂を迎えているのか、腰が幾度か震え、愛液が飛沫をあげる。
中指のみならず、手首の辺りまで濡らしながら、瑞麗はなお手を休めなかった。
「ひ……ッん、ま、待ってっ……ん、っはッ……!」
亜柚子の悲鳴が緊迫の度合いを増していく。
下腹に当たるそれらの振動を瑞麗は残さず受けとめ、自らの快感をも高めていった。
それでも当然と言うべきか、じかには触れていないのだから、最後の一押しを得ることはできない。
はじめはそのつもりはなかった瑞麗だが、期待以上に悶える亜柚子を見ているうち、
やはり物足りなくなって、最後は一緒にすることにした。
愛撫を止めると亜柚子は弛緩したまま動かない。
もう何をしても抵抗できない様子で、事実、瑞麗が大胆に足の間に身体を入れても、
大きく喘いだだけで声さえ出なかった。
瑞麗は亜柚子の左足を脇に抱え、腰を前に出す。
敏感な部分がじかに触れあうと、思わず呻いてしまうほどの快美感が襲った。
「きゃ、う……!」
それは亜柚子も同じようで、呆けていた顔が瞬時に歪み、腰が淫らに跳ねる。
久々の情動に酔いしれながら、瑞麗は声を立てずに笑った。
「ふふッ、こういうのは初めてみたいだな、雛川先生」
「ひうッ……! ル、ルイせんせ……は、ッ、あるん、ですか……ッ!」
声を不規則に弾ませる亜柚子に答えず、腰を操りはじめた。
強すぎる刺激は与えぬよう、けれども絶え間なく快感が襲うように、
巧みな腰使いで女同士の淫楽に亜柚子を溺れさせていく。
「あッ……ン、ッはぁ……あっ、ん、んっ……」
粘り気のある液体がたてる淫猥な音に、亜柚子が快楽に翻弄される声が混じる。
控えめな、上品さを感じさせる亜柚子の喘ぎは瑞麗の聴覚を快く刺激し、
どんな動きにもわずかづつ音色を変える淫声に、コレクターじみた欲望を芽生えさせた。
「あうぅ……ん、あッ、あ、あんっ!」
「雛川先生は」
長い発音が面倒くさくなり、瑞麗は息を弾ませつつ言い直す。
「亜柚子は、ここが弱いんだな」
「そっ、そんな……こと……あぁッ……!」
性器を密着させて円を描くように腰を回すと、面白いように亜柚子の腰が震えた。
「だめぇっ……ぁ、はぁんっ、あ、あっ……!」
女の悦びに支配されつつある亜柚子は、その奔流の凄まじさに怯えるように手を口元に添えている。
上半身と下半身のちぐはぐな態度も、亜柚子がまだ本当の快楽を知らないのであれば納得のいくことで、
彼女の一挙手一投足に至るまで支配したような酩酊感に囚われた瑞麗は、足を深く抱えこみ、
より一層の淫靡な動きで亜柚子を追いつめていった。
「フフ……気持ちいいのか?」
「は……うんッ、あ、あぁっ……」
誠実な彼女であっても、さすがに面と向かっては答えられないのか、
亜柚子はちらりと瑞麗を見やると、ごく小さく頷いた。
それは年相応には経験を重ねている瑞麗でさえ思わず生唾を飲んでしまうほど可憐な仕種で、
たまらずに強く腰を押しつけてしまう。
「んあぅッ……!」
亜柚子の嗚咽が消えさらないうちに、もう一度。
さらにもう一度、肉芽同士を触れさせたまま、擦るように腰を振ったとき、亜柚子の肢体が跳ねた。
「うッ……あァ――!!」
腹部が生々しく脈打ち、激しい絶頂だと一目で判る。
なめらかなピンクに色づいた肌は、もたらされた快感をひとしずく残らず吸い尽くすかのように震え、のたうった。
ほとんど同時に瑞麗にも快楽の波が訪れている。
亜柚子が感じているものに較べれば小さかったが、こらえていたものを解放し、訪れたものに身を任せた。
塊めいたある種の氣が、下腹から胸を経て頭へと達し、背中側から腰のあたりへと落ちていく。
それは瑞麗にとっても久方ぶりの心地よい感覚で、瑞麗はしばらくの間、
亜柚子と交差したままで余韻を味わっていた。
瑞麗がもう一度シャワーを浴びて戻ってきても、亜柚子は横たわったままだった。
気絶こそしていないものの放心状態に陥っている亜柚子に、ベッドの端に腰かけて一瞥をくれる。
つい調子に乗ってしまったが、明らかにやり過ぎてしまった。
これではよほど上手くフォローしないと彼女に嫌われるか、良くても敬遠はされてしまいそうだ。
本来の目的である潜入調査に支障をきたさねば良いが、と珍しく自己嫌悪に陥る。
こんな気分の時は老酒でも呑みながら紫煙をくゆらすのが良いのだが、あのバーにはあっただろうか。
……いや、あったとしても今日はもう閉店しているはずだ。
仕方なく片方だけでも、と煙管を手にし、火を点けようとすると、尻に何かが触れた。
いまさら驚きもせず振り返った瑞麗に、亜柚子が微笑んでいた。
「私にも、ください」
「……これをか?」
今度はいささか驚いて、瑞麗は煙管を注視する。
すると亜柚子は身体を起こすが早いか、先端を咥えこんだ。
明らかに初めてと判る、唇を少し突きだした、いかにも危なげな咥え方で、目だけで点火を促す。
他人に触らせたことさえなかった煙管を、いきなり咥えられてしまった瑞麗だが、怒りは湧いてこなかった。
それはきっと、ひょっとこのようなこの顔のせいに違いない。
そう瑞麗は思い、それにしても全く似合わないな、と内心で笑いながら火を点けてやった。
<<話選択へ
<<前のページへ