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それで胸が大きくなるのなら、目の前の大きな胸は出会った頃より成長しているのだろうか。
もし成長していないとしたら、その責任は誰にあるのか。
半年ほど前の恋人の優しさを、いまわの際に懐かしむような記憶の果てで龍麻は思いだしていた。
天から堕ちてしまった天使は、今では手にした鞭で罪なき衆生を打ちのめすくらいに凶暴化してしまった。
せめてこの小さな天使には、同じ轍を踏ませてはならない。
自分が天から引きずり落とした可能性については一切考えず、龍麻は穢れなき白い肌を抱き、
渾身の愛情をこめて頬擦りした。
「くすぐったいよ、タツマ……っ」
むずかりながらも離れようとはしないマリィは、まさしく無垢だった。
それに引きかえ禁断の林檎を二房、恥ずかしげもなく揺らして誘惑する葵の、なんと狡猾なことか。
姫を守る聖騎士をたぶらかそうとするとはまさに邪悪、けしからん、と憤った龍麻は、
成敗してくれるとばかりに右手を伸ばした。
「うふふ、龍麻、私の胸はもう大きくしなくてもいいのよ」
死の足音を確かに龍麻は聞いた。
右から左へ、左から右へ、音源が移動しているのはどこをぶった切るか選定しているのだろうか。
手にした乳房の温かさもどこへやら、背筋を冷たい汗が幾筋も伝う。
だが、こっちには無敵の盾もあるのだから、ここで退がるわけにはいかない。
姫を人質に取るという暴挙に出た騎士は、姫を抱きかかえたまま尻で距離を詰めた。
魔女か邪龍かはたまた死神か、その実体はたぶん敵に対して厳しいだけの天使長は、
龍麻と顔が触れそうなところまで近づいても麗しい笑顔を絶やさなかった。
「もう、龍麻ったら」
果実をもぎ取る者には死を。
マリィの目の届かないところで、葵はそう告げていた。
もぎ取るのではなくてちょっと触らせてもらいたいだけなのだが、
葵が言い分を聞くのは、多分天罰を下したあとでだろう。
全裸の少女と半裸の少女を眼前にして、焔に水をかけられたような無念はいかんともしがたく、
龍麻はまだ葵の乳房から手を離さない。
すると間に挟まれていたマリィが、暑くなってきたのか、大きく身じろぎした。
「きゃっ……!」
「おっと」
バランスを崩す葵を支えようとして失敗し、龍麻も倒れる。
龍麻はとっさに手をついて、葵の上にのしかかってしまうのは避けたが、
マリィを抱いたまま背中から倒れた葵は小さく顔をしかめていた。
これはまったく意図的なものでなく、可能な限りの速さで葵を抱きとめようとしたものの、
それでも間に合わなかったがゆえの結果だ。
だが、しばらくの混乱のあとに龍麻の眼前に広がっていたのは、
百の邪心で為しえなかった、想像をはるかに越える地平だった。
これも聖女の為せる奇跡なのか、もうかなりの回数親しんできたというのに、
未だ乙女のような楚々としたたたずまいを見せる葵の秘唇。
形も、どこを触れれば葵が感じるのかも知りつくしているが、
いまだ目にするとまったく理性の抑えが効かなくなってしまう龍麻だ。
普段は凝視すると怒られる、というかめったに凝視させてくれない淫靡な渓谷も、
今はマリィが壁となっているので安心して眺めることができた。
「ちょっと、龍麻……っ!」
恥ずかしい部分を思いきり観察されていると気づいた葵が、
いつものオブラートに包んではいない、とげとげしさをむき出しにした悲鳴を放つ。
足を閉じようともしているようだが、マリィが居るので思うに任せないようだ。
千載一遇の機会に龍麻は迷わず身を投じ、自分の足を使って葵の下半身を固定してしまった。
「……!」
空気が瞬間、震える。
それは葵の持つ『力』のなかでも、最も凶悪な『聖戦』が発動する前触れに他ならなかった。
かつて一身にその荒ぶる力の全てを受けたことがある龍麻は、肝を絶対零度の領域まで冷やした。
金曜日の夕方にほんの出来心で葵の尻の間に指を落としてみたら、
次に目ざめたのは月曜日の朝だったという恐怖は、二度と味わいたくはない。
全面撤退の時か、とさえ考えた弱気も、あの時間旅行を経験したならば仕方のないことだ。
月曜、遅刻寸前で登校した龍麻は、葵のおはよう、という昨日までと変わらぬ挨拶と笑顔に、
原罪めいた恐怖を抱いてしまったからだ。
数日前の睦事について、葵は何も語らない。
しかし龍麻はその週末、自分のためにすら使ったことのないような大金を、
葵へのプレゼントに費やしたのだった。
どれほど親しく見えても厳然と引かれている線、それも有刺鉄線に高圧電流を流したような線が、
一方的に引かれているのを改めて思いだした龍麻だが、悪魔にまだ見捨てられてはいないようだった。
葵と龍麻の間には、聖戦に絶対に巻きこんではいけない存在がその身を横たえていたのだ。
しかもその存在は境界線のこちら側にいる。
葵が愛してやまない少女は葵から離れようともせず、また、
不自然すぎる姿勢もなおそうとはせずに義姉と抱きあっていたのだ。
今まで斃してきたどの敵からも感じられなかった殺気が、潮が引くように失せていく。
どうやら月曜日を迎えられそうだと安堵した龍麻は、懲りずに魔手を伸ばした。
いまやほとんどくっつかんばかりに近づいている二つの淫口の、
どちらから触れようかという迷いは、男なら一度は経験してみたい選択肢だ。
どちらに触れてもパラダイスなのは、数学のテストで京一が赤点を取るのと同じくらい確実だったが、
龍麻はさらに、提示されていない三つめの選択肢を強引に選んだ。
「きゃうっ!」
「あ……ッ……!」
右手で上を、左手で下を。
別の言い方をすれば、義理とはいえ姉妹を同時に。
両手に伝わるぬるりとした感触は、まさに極楽天国天上ヘヴンだった。
それほど複雑な動きはできないので、弱そうな部分に的を絞って指を這わせる。
葵はもちろんのこと、マリィの反応も初々しいながらも確かなもので、
まだ肉付きも薄い肢体が、愛撫にひくひくと応じるさまは、
道徳やモラルなど蹴飛ばしてしまえといわんばかりだ。
「う……ン……ぅぁ……」
白い肌を薄く桃に染めて、義姉と一緒に性の悦びを享受する少女に、
龍麻の右手はいかんなく情熱を発揮した。
だからといって左手をおろそかにするようなことはむろんなく、
マリィとの差を見せつけるように、けれど決して下品な生え方ではない恥毛に手を置き、
そこから親指を伸ばしてすでに一層の快感を求めて露わになっているクリトリスを撫でる。
「ん、くッ……ぅ……ッ」
いつもより葵の反応が控えめなのは、やはりマリィが居るからだろう。
押し殺した喘ぎは、しかし不幸なことに、龍麻の欲望に油を注いでしまうだけなのだ。
龍麻は両手の加減を変え、ほんの少しだけ葵の方を強めた。
「あっ……! だ、めっ、龍麻っ……!」
まだ指を挿れるのにはためらいのあるマリィと異なり、葵の膣内ならば感じるところも把握している。
止めようとする葵の隙を縫って指を挿入し、容赦なく肉壁を掻いた。
「んッ、んぅッ――」
その一撃は弱点を見事に捉えたようで、葵の腰があられもなく跳ねる。
当然、上にいるマリィもその影響を受け、二つの淫果は揺さぶられ、さらなる快感に打ち震えた。
「マリィ……」
「オネエチャン……」
それで何かのスイッチが入ってしまったのか、葵はマリィをしっかりと抱いたかと思うと、
深く、長いキスを始める。
それはこれまで与えてきたのとは違う、どちらかというと龍麻に対してするようなキスで、
毎日薫陶を受けているといってもマリィに抗えるものではなく、
たちまち葵の技巧に頭の先まで溺れてしまった。
「んっ……ふ……ふぁ……あぅ、ん……」
マリィの、砂糖菓子のような声が響き渡る。
これはつまり、間接的ながらもっとやれという意思表示なのだと龍麻は解釈し、
ただちに解釈に従って指による愛撫を激しくした。
「んッ、ふ……んふぅっ……んん……」
くぐもった喘ぎがときおり調子を崩しているのが、なんともいえずいやらしく聞こえる。
二人に与える快感のバランスに注意しながら、龍麻は姉妹が奏でる淫靡な合唱を堪能した。
「んっ、ぅぁ……オネエ、チャン……」
マリィの滑らかな陰唇を撫で、
「あぁ、マリィ――!」
葵の熟しつつある淫肉を擦りあげる。
そして葵からしたたる蜜を掬い、彼女の義妹の同じ場所にたっぷりと塗りつけ、
さらにマリィからも、彼女自身もまだ知らないようなとろりと粘る蜜を取り、今度は義姉にまぶしてやった。
「ふッ……ン、んあぁっ……!」
「あ、ぁ……! や、ぁ、あンッ……!」
どこまでも淫らになっていく淫声に、興奮もいよいよピークに達した龍麻は、
とろとろに濡れた二人の秘唇から手を離し、手早く服を脱ぐ。
そして滾る男根を握りしめると、二人の肌が触れあっている中心に、逸りを抑えて挿入していった。
「きゃッ……! アオイ……オネエチャンッ、熱いよ……!」
「あ……ぅっ、大丈夫……よ、マリィ……!」
意図を汲んでくれたのか、葵がマリィの腰に手を添え、少しでも密着度が高まるようにしてくれる。
もちろん直接的な快感においては葵の膣内に挿れるときとは較べるべくもないが、
二人を同時に味わうという精神的な興奮はともすれば上回るほどだ。
上下を異なる温度に挟みこまれた屹立は、早くも手綱を離れてしまいそうで、
この至福の時を短時間で終わらせてしまうわけにはいかないと、龍麻は奥歯を強く噛みしめた。
初めての熱に戸惑うマリィを、葵は強く抱きしめてやる。
美味しいところを持っていかれたという怒りめいた感情がないでもなかったが、
怯えと快楽に苛まれて混乱するマリィを落ちつかせるのが先だったし、
一心にしがみついてくる義妹に、理性の方が限界を告げていた。
陽だまりの温かさとビロードのような肌触りの少女から、あふれんばかりの幸福を受けとる。
それはたとえ最も格好良い時の龍麻でさえからも受けとれないもので、
葵は乳房の間に押しこむようにマリィを抱擁した。
「んうっ……!」
少女の熱い吐息が胸を灼く。
溶かされそうな快さに葵も恍惚を抑えることができず、一緒になって蕩けるほどの快楽に身を任せた。
「あぁ……マリィも感じているのね。こんなに顔を紅くして」
そばかすの残る頬はゆっくりと揺れている。
それは葵が下腹に感じる快感と同じリズムで、葵は自分がマリィを犯しているような妄念を抱かずにいられない。
至福に酔った葵は、よりマリィと快感を共有しようと腰を浮かせた。
「ア……ンッ、ナ、ニ……? 身体が、ふわふわする……!」
微妙に英語めいた発音になっているのがなんとも愛おしく、
やみくもに身体を撫でまわし、額に、頬に、唇にキスを浴びせる。
あとで行為の意味を説明するのが大変そうだが、それよりも目の前で
グレイの瞳を女の悦びに染めつつある義妹に一足飛びの快感を与えてやる方が重要だった。
マリィの小さな尻の方から手を回して、谷間の底に触れる。
「ひゃぅっ、アオイオネエチャン、どこ触ってるの……?」
以前龍麻に突然触られたときは我を忘れるほど怒ってしまったが、
なるほどする側に回ると確かに触ってみたくなる場所だ。
再び龍麻に触らせるのは熟考を要するとしても、まずは少女の、
ここは正真正銘初めて触れる神秘の孔を確かめてみる必要があるだろう。
「ア、アオイオネエチャン……? そこ、違う……汚い、よ……っ」
中指で探りあてたマリィの小さなすぼまりを、優しく撫でる。
腕の中できゅっと身を竦ませる少女に息を荒げた葵は、指腹に渦を描かせ、
無垢な天使に背徳の官能を教えていった。
「あ、ぅ……いや……いやっ、アオイオネエチャン、いやだよ……!」
気持ちよさから快感へと変わりつつあるのだろう、マリィの瞳に怯えが浮かぶ。
とっておきの、龍麻にさえ数度しか見せたことのない、魔王も改心するに違いない笑顔を義妹に向けつつ、
葵は龍麻と協力して幼い肢体を逃さない。
擬似的な抽送で揺れるマリィの腰を抱き、せわしなく収縮を繰りかえすアナルに愛撫を続けた。
「やっ、あ……ん、んっ、くんっ」
押しよせる波が防波堤を越えはじめたのか、再びマリィの声が甘く、熱を帯びてくる。
葵はまだマリィに絶頂を与えたことがなく、それがこんな爛れた形で行われることに興奮を禁じえない。
クリトリスとアナルを同時に刺激された少女はどのような花を咲かせるのか、欲望は最高潮に達していた。
同じ頃、龍麻にも限界が近づいていた。
挿入していないのに情けないと思いながらも、二人の柔肌に挟まれてその極上の質感を浴び、
また、葵が美しい指でマリィの可愛いアナルを弄びはじめると、その圧倒的ないやらしさに見惚れて、
もうこれはどうしようもないことなのだと諦めるほかなかった。
龍麻はあまり激しくは動かないようにしていたが、二人がそれぞれ動くこともあり、
なじみの感覚が下半身の一点に集まりはじめる。
それでも、せめてマリィよりは後に、との意地で、龍麻は腰を操った。
抜き差しではなく、挿れたまま動かした方が二人の感じ方が大きいと判ってからは、
マリィの腰を掴み、そちらを重点的に狙って責めた。
「あッ……あぁッ……! んぁァ……ッ……!」
掴んでいる華奢な腰は葵に劣らず淫らに跳ね、未成熟な性器を懸命に押しつけてくる。
舌足らずではあっても、少女は確実に快楽に目ざめている、そう確信させる喘ぎだった。
罪深い義姉だ、と責任をなすりつけ、龍麻はマリィを気持ち良くさせるのにいそしんだ。
屹立で肉芽を上から刺激し、身体を倒して乳首をも弄ぶ。
こんなふうに何箇所も同時に責められてはひとたまりもないらしく、
マリィはもう意味のある言葉を発する余裕もなくしていた。
「あぅ、あ、んんッ、あ、あァ――!」
声帯が枯れてしまったかのような叫びに龍麻はためらうが、もう止めるには遅すぎる。
それに真っ白なアナルを責める葵の指に止めようとする気配は微塵もなく、
ならば龍麻にも退く理由はなかった。
ぺたりと葵に貼りつくマリィの身体は、小さな痙攣を繰りかえしている。
そのままでもほどなく大きな絶頂を迎えるのは確実だったが、
それよりも早く葵が、尻孔の周縁をほぐしていた指先を浅く沈めた。
充分すぎるくらいに柔らかくなっていた禁断の孔は、いとも簡単に爪の辺りまでを受けいれてしまう。
そして葵が意図したとおり、その刺激によってマリィは初めての性的な絶頂へと導かれていた。
「あ……ッ、あ――!!」
少女らしからぬ激しい痙攣で、マリィは未踏の頂へと押しあげられる。
それは暴力的なまでの快感が、ただ暴れ回っているようでもあるが、
華奢というよりもまだ薄いだけでしかない腰がひくつくさまは大人顔負けで、
将来どんな女性になるのか、一抹の不安を抱かせずにおかない。
悪魔の長も、元は天使だったのだから。
だが、痙攣が収まって葵の胸に顔を埋め、そのまま安らかな寝息を立てる少女の顔は、
やはり皆に可愛がられる新入りの天使のものでしかなく、
このまま成長したらどれほどの美女になるのか、微笑ましく見守りたくなるというものだった。
波打つマリィに合わせるように、龍麻もこらえていた精を解きはなつ。
二人の下腹に挟まれたペニスが、猛々しく白濁液を撒き散らした。
葵と一緒に達したときのようなめくるめく恍惚感はなく、物足りなさはぬぐえない。
しかし葵とマリィの腹に同時に精液をかけたと思えば満足度は高く、
龍麻は晴れやかな顔で二人から身体を離した。
葵に促され、龍麻は再びマリィをベッドに寝かせる。
葵は義妹の下腹部を、かいがいしく拭いてやっていた。
その横で龍麻は、これからどんな楽園が待っているのだろう、と空想せずにいられない。
女二人をはべらせるだけでも大抵の男には不可能な願いだというのに、
二人がタイプの異なる抜群の美女とくれば、自分の置かれた境遇を手放しで喜びたくなるというものだった。
しかもマリィはべた惚れのようだし、葵もこれで尽くす女だったりする。
これからの人生は薔薇かはたまたレインボーか、どっちにしても大歓迎だった。
だが、脳天気な幻想は、巨大な鉄槌で一撃の下に打ち砕かれた。
「ねえ、龍麻」
「ん?」
「責任は取ってもらうわよ」
「責任って」
これからは平等に愛して欲しいということか、なんて可愛い女なんだ、と龍麻は鼻の穴を膨らませる。
それを目だけ動かして見やった葵が、静かに宣告した。
「恋人の義妹に手を出した精神的な苦痛に対して、年端も行かない少女を手籠めにした道義的なものに対して、
二人の女性に股をかける不誠実な態度に対して……とりあえずそんなところかしら」
「……それはお前にだって責任があるだろう」
割合にすれば五割以上は確実に。
だが天国、あるいは地獄の裁判長でも無難にこなしそうな葵は、龍麻の反論など歯牙にもかけなかった。
「覚悟しておいた方がいいわよ、マリィはいい物しか欲しがらないから」
「それは……まあ、たまになら」
脅した割に安上がりな要求に、龍麻は安堵しかける。
マリィになら多少の出費はしょうがない、なんたって可愛いのだから。
だがプロの交渉人は相手が油断した一瞬を逃さない。
もう骨身に染みて判っているはずなのに、龍麻はまた油断してしまった。
「うふふ、良かった、これからはなんでもお揃いにできるのね」
「……お前の分も?」
「姉妹ですもの」
それは答えになっていないのでは、と思う龍麻だったが、やがて大きく息を吐きだした。
どうせこんな展開になるだろうというのが、まるっきり予想できなかったわけでもないし、
葵に口答えできるはずもなく、それならぐずぐず渋るのは男を下げるだけだろう。
こうなったらマリィを葵の強力なライバルに育てあげ、その増上慢を叩きつぶしてやる以外にない。
新たな野心を芽生えさせた龍麻は、思いきりよく笑ってみせた。
「わかった、俺も腹をくくるよ」
「さすが龍麻ね」
なぜか流し目をくれた葵は、静かに龍麻に寄りそう。
彼女が一糸まとわぬ姿であることを思いだし、龍麻は視線を泳がせた。
だが、顎をつままれると、艶めかしく濡れる唇を強く押しつけられてしまう。
そのまま主導権を握られて、半ば意識を失うような甘美なキスの締めくくりは、
唇が触れたままでの葵の囁きだった。
「今日はこれでおしまいではないわよね?」
龍麻はうかつにも、葵が満足していないことにようやく気づく。
そして囁きが疑問の形を取ってはいても、実は断定であることにも。
細いけれども華奢ではない、成熟しつつある女の腰を引きよせ、龍麻は頷く。
マリィが目ざめるまで、まだ時間はあるだろう。
それに、目ざめてしまったならしまったで新たな愉しみもある。
自分から跨ぎ、腰を落とす葵の乳房を掴みながら龍麻は思った。
――葵もそのつもりなのかもしれない。
かなり早い性教育を施すつもりであるらしい悪い義姉を見ると、
魂の契約を勝ち取った下級悪魔のようなしたり顔がそこにあった。
もうあえて何も言わず、本物の、そして極上の媚肉が
猛り立つペニスにまとわりついてくる感覚に背筋を軽く反らせた龍麻は、
おかえしとばかりに葵の腰を捉え、ことさら音がするように激しく、
彼女の深くに熱杭を撃ちこみはじめるのだった。
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