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すると一息つく暇もなく、
お預けを食らっていた葵が全身から欲情した牝の匂いを放ちながら擦りよってくる。
「緋勇くん……」
「ちょっと待てって」
それを無情にも突き放した龍麻は、ベッドから下り、絵莉を抱えあげた。
抵抗しない彼女を、絶頂の余韻に浸るマリアの横に寝かせる。
鮮やかな手つきで服を脱がせ、下着姿にさせた龍麻は、しかしまだ彼女に襲いかかろうとはしなかった。
「葵、絵莉さんの上に跨がれよ」
命令に葵は頬を染めはしたものの、唯々として従う。
濃縮された牝の匂いを全身から放ちながら、絵莉の上に四つんばいで跨った。
「葵……ちゃん……」
汗を薄く額に貼りつかせた葵の、絵莉は名を呼ぶ。
長い黒髪を火照った皮膚にまとわりつかせて呼びかけに応えた葵の表情は、
ただ女として後ろから貫かれるのを待ち焦がれる、蕩けきったものだった。
熱い吐息を吐き出し、小さくではあるが腰さえ振って龍麻を誘う。
下から見上げる絵莉にも気付いていないかのように振る舞っていた葵の表情が一変したのは、
絵莉が息を吸った瞬間だった。
「あぁ……っ」
か細い叫びが頭上から聞こえる。
彼女の身体から発散される熱が激しさを増し、絵莉はたまらず喘いだ。
その眼前で、葵の顔が上下に揺れる。
苦しそうに眉根を寄せる表情には朱が差し、決して苦痛によるものではないと絵莉に伝えていた。
女だけが感じることの出来る悦び。
マリアに続いて至近でその、甘く歪んだ顔を見せられて、絵莉はほとんど屈してしまっていた。
後ろから突かれ、勢いを受け止めきれなくなった葵がバランスを崩し、絵莉の上にのしかかってくる。
「あっ、うぁっ、は、ぁ……い、い……ひゆ……く、ん……」
龍麻は全く動きを緩めることはなく、絵莉の耳元にねっとりとした喘ぎが溜まりを作る。
更に彼女の肌が帯びている熱と、振動までもが伝わってきて、
絵莉は自分が犯されているような錯覚に陥っていた。
彼女の、自分よりは当然、マリアと較べても遜色ない乳房が胸にのしかかってくる。
柔らかな重みは下着越しにさえその先端が硬くしこっていることを伝え、
自分のそれも既にそうなっていると教えてきた。
「やっ、んぅっ、はっ、んあっ」
小刻みな嗚咽が鼓膜を叩き、飛び散る涎が耳朶を濡らす。
そして下腹では淫蜜が秘所に慈雨となって降り注ぎ、くさむらを肌になでつけた。
身動きもままならない状況下で、絵莉は葵の腰に手を添える。
そこには龍麻の手があり、触れたことで気付いた龍麻がもっと深く腕を回すよう促してきた。
同時に伝わる二人の温もりに、絵莉は理性を包んでいた最後の芯が溶かされていくのを感じていた。
「んっ、緋勇、く、ん……っ、あっ、うぅ……っ」
葵の声が高く、大きくなる。
それはすぐに腰の辺りから響いていた水音をかき消すほどの声量になり、
彼女が果てようとしているのだと絵莉は判った。
強くなる彼女の匂いを深く吸いこみながら、その時を待ち構える。
「っは、あ……ひ、ゆう……く……イ、く……っ……」
背中が震え、彼女の身体に溜まっていた熱が弾ける。
絵莉がそう感じた瞬間、葵は二度、大きく跳ねた。
「ひっ、あ……ああっ……!!」
小さな痙攣を幾度か繰り返しながら、葵の身体が弛緩する。
その震えが伝わってきただけで、絵莉は自分も達したような気になっていた。

二人を続けて果てさせた龍麻はまだ余裕を見せている。
そして絵莉は、例え性的な快楽を愉しむことに抵抗があったとしても、
これだけ焦らされて耐えられる訳がなかった。
「緋勇……君……わた……し……」
内側から噴き出す欲求は、身体を食いつくさんばかりに蝕んでいる。
しかしそれを口にすることは出来ず、唇をわななかせるだけの絵莉に、
龍麻は心得たように跨ってきた。
絵莉の眼前に、白く濁った薄膜に包まれた屹立が突き出される。
卑猥に震える赤黒い異物から醸し出されている、頭がおかしくなりそうな臭い。
「さっき……ずっと見てましたよね。二人がフェラチオしてる時」
龍麻は気付いていたのだ。
マリアと葵が一心にしゃぶっていた時、まばたきもせずに見ていたことを。
「……ぁ……」
屹立が近づいてくる。
強くなる臭い。そして、欲望。
「絵莉さん……臭いに弱いんですよね。それと、少し潔癖症なのかな。
だから、心の奥底では汚されることに興味があるみたいですね」
龍麻の言っていることは、多分本当なのだろう。
舌を唾液で湿らせた絵莉は、そう思って口を開けた。
「うッ、むッ……!」
屹立はあくまでもゆっくりと入ってきたが、それ自体の大きさと、
鼻の奥を突く臭いに気が遠くなりそうだった。
咳きこむのだけは堪えて、圧迫感に耐えていると、熱い器官が舌に触れる。
気持ち悪い。
それが、気持ち良い。
初めて含む男性の器官への抵抗が薄れると、絵莉は恐る恐る舌を伸ばした。
苦く、硬く、柔らかく、熱く、冷たい。
いくつもの情報が舌を通して一度に流れこんでくる。
「……っ、もう少し、優しくお願いします」
龍麻が苦しそうに告げる。
少年の言う通り速度を緩めて舐め上げると、口の中のものが気持ち良さそうに震えた。
「んッ……んふっ……」
形に沿い、舌を蠢かせる。
先端だけで探っていたのも次第に腹の方を使って巻きつかせるようにして、絵莉は夢中で頬張った。
鼻で息を吸うと流れこんでくる異臭が惹きつけて離さなかった。
これまで自分が特に臭いに敏感だと思ったことはなく、
嗅がされた香のせいで感覚がおかしくなってしまっているだけなのかも知れなかったが、
今の絵莉にはどうでも良いことだった。
それ自体と、二人分の愛液を吸って得も言われぬ香りを纏う屹立を味わいたい。
口腔いっぱいに含み、舌を絡めたい。
絵莉が上目でそれを伝えると、すぐに屹立が奥に入ってきた。
「うむぅッ、うう……」
顎が押し広げられ、舌の逃げ場がなくなる。
しかし、それは待ち望んだ感覚だった。
口を開いて空間を作り、懸命に舌を這わせる。
「うっ、そう……上手です、絵莉さん」
龍麻が褒める都度、その部分を再び舐める。
それだけでなく、より奥に塊を導きいれようと吸い上げると、龍麻の呻き声が聞こえた。
「そ、れ……凄い……です」
今度は吸い上げつつ円を描くように舌を動かしてみる。
それは絵莉にフェラチオのやり方を教えようとしていた龍麻でさえ予想していなかった責めで、
思わず前のめりになってしまうほどの悦楽だった。
「んッ……むぐっ」
深く突きこまれた絵莉は当然咽んだものの、屹立を吐き出そうとはしない。
その彼女の態度に、龍麻の欲望は急速に凝縮していった。
「このまま……出しちゃってもいいですか」
絵莉が答えられないことを知って龍麻はそう訊ねる。
まだ葵やマリアのように己を曝け出すことに抵抗があるらしい絵莉は、
彼女が望んでいることであっても、容易に頷いたりはしない。
ならば、答えられないのだから仕方がない、本当は嫌なのだという逃げ道を与えてやればいいのだ。
今もぎこちないながらも夢中で舌を巻きつかせてくる絵莉は、
本当は精液を口の中に出されたい、穢らわしいものに汚されたい、という欲望があるのは間違いない。
だから龍麻は、絵莉が嫌がるように首を振ろうとした瞬間に精を放った。
「……ッ!!」
マリアと葵には放たなかった濃い精液は、龍麻が意図した通り、口腔だけでなく顔中を汚した。
マリアや葵とはまた違う理知的な美貌が己の欲望に染まる様は、龍麻をこの上なく満足させる。
絵莉は衝撃が大きすぎるのか、視線もうつろにさ迷わせるだけだ。
その顔を、悪臭に惹きつけられるように寄ってきたマリアと葵が舐める。
白濁を拭きとろうとすれば必然的に顔全体を舐めることになり、
彼女の顔はたちまちべとべとになっていった。
生臭い臭いに新たな異臭も混じり、絵莉の嗅覚はほとんど麻痺している。
しかし、それらの臭いに嫌悪を抱くことはもはや無かった。
丁寧に粘液を掬い取ったマリアが、その残滓を舌に乗せ、絵莉の唇に運ぶ。
「ん……」
そのまま舌を弄んでも、絵莉はされるがままになっていた。
妙齢の女性二人が舌を交え、更に葵もそれに加わり、
付着した白濁を舐め掬っている倒錯の光景は、龍麻を興奮させずにはおかない。
たった今精を放ったばかりだというのに、屹立は萎える気配もなく新たな快感を求め脈打っている。
一気に下着を脱がせ、すらりと伸びた足を開かせた龍麻は、暴れる己を掴むと、彼女のなかへと収めていった。
「うっ……ンっ……」
絵莉の膣は、葵よりも遥かにきつく、処女のようであった。
奥まで屹立を沈めるのにさえ一苦労しながら、龍麻はその狭隘きょうあいさに歯を食いしばらねばならない。
彼女の過去の男性遍歴など興味はなかったが、
これが彼女にとって久方ぶりのセックスとなるのは間違いなく、
ならば可能な限り快楽を享受させてやらねばならないと思った。
「はっ……あ……」
インセンスと目の前で繰り広げられた性の宴が効を奏しているのか、
絵莉は痛くはないようだったが、男根を挿入されて気持ちよい訳でもないらしく、
その中間の表情をたゆたわせている。
痛がらせないように気をつけながら、龍麻は少しずつ動き始めた。
しっとりと吸いつくような具合ではなく、ただ狭いだけが男にとっての快楽となる絵莉の媚肉の路だったが、
龍麻は年上の女性を犯しているという興奮に満たされ、深く酔いしれていた。
身体を前傾させ、絵莉の顔を覗きこむ。
マリアと葵によって唾液を顔中に塗りたくられた顔は化粧も落ち、
見るも汚れていたが、代わって悦びに目覚めた女の顔が浮かび上がりつつあった。
「ひっ……緋勇……君……」
力なく名を呼ぶ声も、マリアに散々に舌をねぶられた後ではろれつが回っておらず、
普段の知性を感じさせるものではない。
その証拠に、龍麻が軽く突き上げてやると、一瞬ではあるが快楽に顔を歪ませるのだ。
彼女の態度はもはや拒んでいるのではなく、単にどう感じて良いのか判らないだけなのだと
悟った龍麻は絵莉の片足を持ち上げ、肩に乗せた。
「いやッ、こ、んな……格好……」
自分の足を見せられ、男のものを受け入れ、繋がっている自分の姿を想像させられる。
そしてそれまでよりも深くに攻め入ってくる屹立に、快感を植えつけられる。
絵莉には膣そのものの快感よりも、その他の部分から責めた方が良いのではという龍麻の考え通り、
体位を変えると絵莉は目覚ましい反応を見せた。
屹立を咥えこんでいる隘路が一段と狭くなり、ひくりと締まる。
ふくらはぎにキスしてやることで、その締めつけは更に強烈なものになった。
「ふッ、うンッ……やめ、て……いや……よ……」
絵莉が嫌がっていないのは明白で、
もしかしたら自分を昂ぶらせるためにわざと言っているのではとすら龍麻は思ってしまう。
それほど絵莉の肉壷は潤いを増し、突きこまれる屹立を温かくもてなすようになっていた。
刻々と高まりつつある射精感に、龍麻は絵莉のもう片方の足も抱え上げる。
しっかりと抱きかかえた足を支えにして、深く、大きく、渾身の力で腰を打ちつけた。
「あッ、駄目……ッ、こん、な……ッ、あ、あ……ッッ!」
押しこまれる快楽の波に耐えかねた絵莉の身体が痙攣を始める。
彼女が達したのを感じ取った龍麻は、遠慮なく堪えていた欲望を彼女の中に放った。
たまらない解放感と共に、己の液体が彼女の体内に注がれていくのが判る。
絵莉の両足を離さず、射精の余韻にまでじっくり浸ってから、
龍麻はようやく彼女を解放したのだった。

射精したのは二度とは言え、三人の女性を満足させた龍麻はさすがに疲れ、ベッドに寝転がる。
軽く目を閉じ、牡の征服感に浸ろうとすると、下腹に熱いものを感じた。
「絵莉……さん……」
頭を持ち上げて見ると、たった今達したばかりの絵莉が力を失っている屹立に舌を這わせていた。
快感どころか鈍い痛みさえ覚えて、龍麻は慌てて制する。
しかし、絵莉は淫靡な笑みを浮かべただけで離れようとはしなかった。
「ふふッ……この臭い、もう病みつきになっちゃったみたい」
後は会話も惜しいとばかりに異臭漂う屹立にためらいなく顔を近づけ、口に含む。
「この歳で目覚めさせられちゃったんだもの、覚悟しておきなさい」
為す術なくうろたえる龍麻の耳元で、マリアが囁く。
その口調はどこか突き放すようであり、龍麻は三人の女性を篭絡したという優越感も忘れて彼女を見た。
「それにワタシも……美里サンも、多分もうアナタから離れないわよ」
髪をかきあげたマリアは龍麻の頬に手を添え、自分の方を向かせる。
彼女の告げた事実の恐ろしさに龍麻が気付いたのは、魔性の唇に思考を塞がれた後だった。



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