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部屋の中に立ちこめる匂いは、既に匂いとすら呼べないものだったかもしれない。
甘く、鼻の奥にいつまでも残るような香り、
男の身体から発せられる良いとは言えない汗臭、
そして女達の肌から醸し出される牝の性臭。
常人なら数秒と耐えられずに部屋から逃げ出すか、
あるいは気を失ってしまうだろうという濃密な、魔香とも言うべき臭気の空間が、
大きなベッドを中心として形作られていた。
「はぁ……ぁ……ッ……」
そしてその部屋の中には、四人の男女がいて、はばかることもなく嬌声を唄っている。
音程も大きさも異なるそれらの声は、時に重なり、時に離れ、絶えず響き、戯れていた。
四人が乗ってもまだ余裕のある巨大なベッドの中央には、唯一男がいる。
そしてその両脇と、下半身に、三人の女性が。
年齢も、タイプも異なる美女をかしづかせ、思いのままに肢体をまさぐる男の姿は、
男性なら一度は夢見るものであろう。
すっかり心酔した様子で肌を舐め、キスをせがむ両脇の女性に望むものを与えながら、
この部屋の唯一の男である龍麻は、右手で葵の乳房を、左手でマリアの尻を揉みしだいていた。
「緋勇……くん……」
「フフッ……龍麻……」
同級生と担任の教師は、鼻にかかった甘え声を出しながら、
いずれ劣らぬプロポーションの身体をこすりつけてくる。
葵の成熟寸前の身体、マリアの完熟した身体、
その双方をも、龍麻は惜しげもなく玩ぶことが出来る立場だった。
現に二人のはらには既に精が注ぎこまれており、
そして二人はそれだけではまだ飽き足らず続きをねだっているのだ。
若く、また龍氣によって、いわゆる絶倫的な龍麻も、
彼女達に屹立をねじ込む意欲はまだ十二分にあったが、今、
彼の屹立は勃起こそしているものの、もう一人の女性の玩具と化していた。
「ぅ……」
雁首の裏側を快い刺激が疾る。
舌の先でそこだけを舐められるとどうしても腰が浮いてしまう龍麻の習性を見逃さず、
舌は幾度も同じ場所を責めたててきた。
「絵莉……さ……っ」
昂ぶっていく射精感に、少しペースが早過ぎると思った龍麻が止めさせようとするが、
絵莉は全く聞き入れることなく口淫を続ける。
血管の浮き出る肉棒にねっとりと舌を這わせたかと思うと、
一転、硬く尖らせた舌先で龍麻の弱い部分を集中的に刺激してくる。
葵やマリアのフェラチオもたまらない快美感をもたらすものであったが、
絵莉のそれは、深い沼に引きずりこまれるような、そら恐ろしささえある快感を与えるものだった。
「う……ぁ」
温かな感覚が亀頭を包みこむ。
龍麻は自分の性欲に経験に裏打ちされた、
彼女達三人を相手にしてもそれぞれを満足させてやれるという自信を持っていたが、
この、絵莉という新しく加わった妙齢の女性は、
龍麻が初めての男であった葵や、美貌の割に経験の少なかったマリアと異なり、
始めから旺盛な淫欲を龍麻にぶつけてきて、ともすれば龍麻は追い詰められてしまうのだった。
今も絵莉は、日本人男性の平均を大きく上回るペニスを、一度に咥えこんだりはせず、
まずもっとも敏感な部分だけを口中に収める。
それでも口は大きく開けねばならず、端正な顔立ちが醜く崩れてしまっていたが、
彼女は自分の顔がふしだらに歪んでいることなど意に介さず、
愛しい男──より正確に言うなら、愛しいペニスに恍惚を与える悦びに浸っていた。
唇で輪を作り、肉茎をなぞりあげる。
「んっ……ふ」
口の中で大きさを増す猛りに、嬉しそうに喉を鳴らした絵莉は、
先端に刻まれた溝に唾液を落とした。
生ぬるい液体が流れ落ちる前に、舌で敏感な部分を包みこむ。
決して急がず、むしろ焦らすように。
肉を舐め、軟らかな器官どうしをねっとりと触れ合わせると、
よほど気持ち良いのか、龍麻の腰が浮き上がった。
「む、ぅ……ッ」
喉の奥に入ってくる屹立を、絵莉はたしなめるように一度口から出す。
快感を遠ざけられて不満げに震える逞しい逸物を、右手で抑えつけ、やわやわとしごきたてた。
手の内で爆ぜそうなほど脈打ち、熱くなっていく男根。
今日だけで二度射精しているのに、まだ衰える気配もないそれに、
絵莉は情感を込めてくちづけ、再び呑みこんだ。
それまでよりも深くへ含んだ肉柱の裏側に、べっとりと舌を張りつけて擦るように舐める。
血管を潮のように流れる熱を追いかけ、顔ごと動かして刺激を与えると、
大きくびくりと龍麻の腰が跳ねた。
「はふぅ……ッ、んッ」
龍麻の射精が近いことを知った絵莉は、ペニスを含んだまま顔を綻ばせる。
その笑顔のまま、最後の門を開かせるべく激しく責めたてた。
頬がへこむほど龍麻を吸い上げ、溜めた唾を彼の最も弱い部分に塗りたくる。
「っ……!」
弱い所を刺激され、先端から勢い良く精液が噴き出した。
絵莉はそれを避けるどころか、自分から浴びにさえ行った。
おびただしい量の精液は、彼女の知性を感じさせる目許や形良く膨らんだ唇をたちまち白く濁していく。
そして絵莉は、あろうことか自分の顔を汚した屹立に顔を近づけ、
自身も汚れているそれに頬を擦りつけた。
他人が見れば気が狂ったとしか思えない行為であったが、
彼女は紛れもなく自らの意思でそうしているのであり、この行為こそが彼女の求めていたものだった。
「ん……」
粘度の高い液体は滑らかな彼女の肌でさえ滑り落ちず、こびりつこうとしている。
それを絵莉は掬いとったが、拭き取るためにではなかった。
「あ……凄いわ……この臭い……」
子供のように掌についたものを舐める。
だが彼女が舐めているのは砂糖などではなく牡の体液であり、
浮かべている表情は性に蕩けきった牝のものだ。
絵莉は手についたものとペニスについている白濁を交互に舐め、
むせかえる臭いを肺の奥まで吸いこんだ。
だが顔に付着した精液は多く、なかなか掬いきれるものではない。
すると彼女の横から別人の手が伸び、日本人のものでは到底ありえない白い指に白濁を掬った。
赤いマニキュアを白く汚し、絵莉の友人は掬った粘液を口に含む。
「ちょっと汚れすぎよ」
そう言いながら顔を近づけたマリアは、友人を舌で直接舐め始めた。
「やだ、くすぐったいわよ」
愛撫と変わらぬ淫靡な舐め方で、絵莉の左の頬を綺麗にしたマリアは、
喉を鳴らして塊を嚥下する。
胃に落ちていく生命は、極上のウィスキーよりも気道を灼いた。
腹に辿り着いた精液を皮膚の上からさすり、その存在を確かめる。
腹と胎──己の中心に溜まった男の体液に妖艶に微笑んだマリアは、
物欲しそうな顔で自分を見ている葵に気付き、優しく手招きした。
「美里サン、アナタもいらっしゃい」
従順に顔を寄せる教え子に、マリアはもう一度絵莉の頬から精液を掬い、口移しで与える。
精液が舌に乗せられた瞬間こそ、葵は華奢な肩を強張らせたが、
すぐにマリアの技巧にほだされ、快楽に身を委ねていった。
「あ……んふぅ……」
射精の余韻に浸りながら、こちらを見ている龍麻を意識して、
マリアは葵の舌を外に誘い出し、唇を触れさせず、舌だけを絡めてやる。
既に龍麻と、そしてマリアの虜になっている葵は、細い眉根をわずかに寄せただけでマリアに応え、
舌を差し出し、マリアの長い舌が舌腹から裏側から、全てをねぶっていくのに委ねていた。
「そう……いい子よ」
従順な、そして淫らな教え子の、腰まで届く黒髪を、
触れるか触れないかの繊細な手付きで撫でてやったマリアは、
もう一方の腕を腰に回し、軽く抱き寄せる。
「あ……っ」
ほとんど球形をしながら、少しも形を崩していないマリアの豊かな乳房と、
それには劣るものの、こちらも大きく膨らみ、
形の美しさでは上回っているかもしれない葵のそれとがお互いを押し合った。
あれだけ大きな塊でありながら、四つの乳房は抵抗もなくひとつに溶け合う。
それぞれの頂にある淡い突起は一旦は埋もれたが、彼女達が動くと雪割草のように姿を覗かせた。



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