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「や、だ、小蒔……」
「男の子がきょにゅーとか好きなの、なんだかわかる気がしてきたよ」
「そ、んな……ぁんっ」
喘ぎの合間にようやく喋っている、といった感じの葵に舌を出してみせ、
膨らみの中心で触れられる時を待っている蕾に触れる。
触れた時から少し硬かったそこは、刺激を受けてあっという間に大きくなり始め、その存在を誇示した。
指をくすぐる可憐な頂をゆっくりと転がすと、もどかしい動きに葵が人差し指を噛む。
上品さを感じさせるその仕種を見ていると、小蒔は、ひどく興奮してしまうのだ。
葵の腿に触れている自身から零れる熱い淫蜜を、足を絡め、葵の柔肌を伝わせる。
気付いた葵が微かに目を見開いたのが、小蒔の淫情をとめどなく加速させるのだった。
掌で乳房を捏ねまわし、足の裏で葵を感じる。
「ん……っあ、ぁ……」
高まっていく熱は、どちらのものか。
そんな問いなど、とうに意味をなさなくなっていた。
胸の先で、そこだけが別物のように硬くしこっている部分を指で引っ掻くたび、
上質の肢体が艶めかしくくねる。
そこに身体を蔦のように巻き付け、小蒔は親友を間近から見渡した。
心地よさそうに閉じられた眼に、全体が赤く色付いている顔。
黒く広がる沃野を通り、自らの重みでほんの少しだけ形を崩している丘で視線を止める。
ずっと取り残されていたそこは、寂しげにただ震えていた。
同性であっても、いや、同性だからこそ、その美しさに思わずため息をつく。
「……っ」
乳房全体に施された熱い吐息のコーティングに、葵が敏感に反応する。
その掠れた喘ぎに導かれるように、小蒔は乳房に口付けた。
「あっ……ん……」
さっきよりも少しだけはっきりとした声。
そして葵の手は、何かを求めるように背中をさすってくる。
だから、小蒔は情愛を込めて乳首を吸い、転がしてやった。
「はっ……ぁ、ん、んっ」
初めて受ける愛撫がもたらす快感の大きさに、戸惑ったように乳房が跳ねる。
小蒔は上目で葵の反応を見ながら、舌の真ん中を使って小さな果実をねぶりあげた。
「んくぅ……っ、こま……き……」
名を呼ばれた小蒔の背中を、ぞくりとしたものが下腹に向かって疾りぬける。
知り合ってから数え切れないくらい呼ばれた自分の名前が、
こんなにいやらしい発音で呼ばれる日が来るとは思ってもいなかった。
まだ鼓膜を震わせている親友の声に、どうしようもなく昂ぶってしまった小蒔は、
新たな蜜を葵の腿に塗りたくりながら、乳房に乗せていた手を下方へと滑らせた。
肋骨に沿って左胸から身体の中央へと進んだ掌は、臍で一度止まる。
体育の着替えの時に見たことのあるそこは、縦長で可愛らしかった。
記憶と指先の感覚とを重ね合わせながら周縁をなぞる。
「……ん……」
小指だけで隠せてしまいそうに小さな穴は、大きく沈み込み、そして元に戻る。
息を、してる──
その当たり前のことが、なぜかひどく新鮮だった。
腹全体を、母親が中の子を愛しむようにさする。
女性の──人の本能に近いその行為は、
それだけでも幸福と満足に浸れるものだったが、そこで留まる訳にはいかなかった。
幾度も円を描いていた掌が、最も下側に来た時、そこから飛び出す。
現れたなだらかな下り坂は、うっそうと茂る縮れ毛に覆われていた。
指にまとわりつく体毛は、そこが葵の身体とは思えないほど異質な感触を伝えてくる。
申し訳程度に生えているだけの雪乃、それよりはマシな自分、そして、
三人の中では一番普通に生えている雛乃。
双子なのに生え方が違うと知った時も驚いたが、葵の恥毛の具合は、その驚きをも上回っていた。
肌がどこかも判らないくらい濃い茂みは、そのまま身体の真下にまで続いている。
それどころか、もしかしたらその先の孔にまで届いているかも知れなかった。
その終着点を探ろうとする指の動きを、葵は足を寄り合わせて防ごうとする。
「いや……止めて、小蒔……」
悲痛な葵の懇願は、そこが彼女のコンプレックスであると雄弁に告げていた。
小蒔が顔を上げると、赤らんだ目元には涙が浮かんでいる。
その瞳に見つめられて、小蒔は指を止めた。
そしてその代わりに、より残酷な言葉を投げつける。
「葵……いっぱい濡れてるね……」
「いや……っ、そんな……こと……恥ずかしい……」
聞き間違えたりしないよう、一音ずつはっきりと言った小蒔に、葵の目が大きく見開かれた。
その直後、両手が羞恥に耐えきれなくなった顔を隠す。
その、葵でなければ似合わない仕種は、もはや小蒔の心に注がれる油でしかなかった。
成績優秀、スポーツだって得意で、百人に、いや、千人に聞いたって可愛いって言う女の子。
ボクの自慢の親友の葵が、こんなにエッチになってる──

指先を濡らす粘り気のある滴。
それを生み出すひそやかな溝は、軽く指を押し沈めただけでその扉を開いた。
「葵……指……入れても……いい? 入れるね」
返事を待つまでもなかった。
指先が扉のその奥、未だ穢れの無い神聖な通路へと進むと、そこは自ら侵入物を迎え入れたのだ。
「あッ……あ、こ、ま……っ」
ぬるりと入ってしまった指を、小蒔は慌てて三分の一ほどで止める。
恐らくこうしたことが初めての葵に、いきなり全部入れてしまっては大変だと思ったからだ。
しかし、葵の細い肉の通路は、初めてとは思えないほど小蒔の指に絡みつき、悦びを露にしていた。
驚く小蒔を見透かしているかのように、雛乃が尋ねる。
「美里様の……どのような感じですか?」
「あの……あのね、あんまりきつくはないんだけど、
ゆび……に……吸い……つっ、いて……凄い……よ……」
恥ずべき所の具合を詳細に説明する小蒔に、葵はいよいよ両手深く顔を埋めてしまう。
そんな葵を見た小蒔は、反応を試すように細い指を、時間をかけて抜き差しした。
「あッ、こ、小蒔……いや……いやぁッ……」
「葵……気持ち……いいの? ボクの指で……きもち……いい……の?」
「ええ……っ、いい、ッ、いいわ……小蒔……小蒔……ッ」
言葉とは裏腹に腰を浮かせ、更なる淫悦を求める葵は、小蒔の問いかけに、
数拍の荒い呼吸のあと、堰を切ったように答えた。
「そうなんだ……ボクも……葵のなか……凄く……気持ちいい……よ……」
「お願い小蒔、もっと……強く……お願い……」
「いいよ……ボクも……エッチな葵……もっと見たいから」
待ち望んでいた答えに、抑えていた心が弾ける。
深く指を埋めこんだ小蒔は、きつく締めてくる隘路をかき回し、葵の快感の源泉を探った。
「ひ……ッ、ぁ、ぁ……ッ、こ、小蒔……だめ、だめよッ、そんな……ッ」
「こんなところが気持ちいいんだね葵。いつもひとりで……こんなトコ触ってるの?」
「え、ええッ……そ、の……もう少し……あぁっ、そ、う……そこ……ッ」
伸びやかな足を突っ張らせ、腰を浮かせて快楽に浸る葵。
そして、その上に覆い被さって葵を追い詰めていく小蒔。
少女達が淫らに身体を重ねるのを、雪乃はただひたすらに見ていた。
その身体に、雛乃が後ろから抱きつく。
「っ、雛……」
「見てください、姉様。美里様が、小蒔様の指をあんなにいやらしく呑みこんで……」
囁きながら、下着の上から今姉が凝視している所を擦る。
姉の淫らな好奇心を妨げないよう、そしてそれを煽るように、繊細に。
葵の媚態をずっと見ていたことで興奮していたのだろう、
雪乃の淫裂はすぐに愛撫に反応し蜜を吐き出しはじめた。
「あッ、雛……ッ」
「姉様のお相手は、わたくしがさせて頂きます……ずっと」
最後の声は、吸いつかれた首筋に染みこんではっきりと聞き取れなかった。
縛るように巻きついた妹の手が、身体のあちこちをまさぐり始める。
その細やかな愛撫に心身を任せ、雪乃は目の前で繰り広げられている淫宴を瞳に焼き付けていた。
小蒔と葵は、もう雛乃と雪乃が自分達を見ていることなど意識していなかった。
ただ自分達の温もりだけを確かなものとして身体を重ねる。
しかしそれも、終わりに近づいていた。
「小蒔……小蒔ッ、好き……好きなの……ッ」
「葵……ボク、も……葵のコト……好きだよ……」
小蒔がそう答えた直後、指を包み込んでいる柔襞が急激に締まった。
「こ、ま……き……っっ!!」
心そのものを言葉にしたような嗚咽と共に、葵は身を痙攣させる。
特に腰から下などは壊れた人形でさえかくやというほどひくつき、
小蒔に与えられた絶頂を味わっている。
そのあさましく、そして美しい姿に満足して、小蒔もゆるやかな波を迎えたのだった。

すっかり暗くなった東京の街を、葵と小蒔は歩いていた。
あれから逃げるように雛乃達の許を辞去し、新宿までは戻ってきたものの、
家にまっすぐ帰る気も起こらなかったのだ。
駅に着いてからずっと、二人は一言も交わさず、葵は小蒔の半歩後ろを影のようについていっている。
足の向くままに歩いていた小蒔は、いつのまにか自分達の家の近くに来てしまっていたことに気付いた。
そのまま黙って別れるのも不自然で、とりあえず立ち止まる。
しかしなんと言葉をかけたら良いかは判らず、時折車のヘッドライトが照らし出す葵の顔を、
ただぼんやりと見ていた。
こういう時、葵なら何か言ってくれる──
らしくもなく他人任せにしようとした小蒔は、そこまで考えて、
自分がどれほど酷い仕打ちをしているか、改めて気付いた。
「ごめんね」
しかし、それを口にすることは出来なかった。
勇気が無かったからではない。
その前に、柔らかな感触に言葉を奪われてしまったからだ。
眩しい光が重なる影を映す。
幾人かが自分達に気付いたようだったが、もう構わなかった。
「小蒔が私を見てくれるのなら、私は何処にだって行けるわ」
葵がそう囁いたかどうか、本当は判らない。
耳元で囁いた葵の声は、周りの音にかき消されてしまっていたからだ。
それでも、小蒔は知っていた。
葵が言った事を。
自分が聞いた事を。
「うん……それじゃ、また明日ね、葵」
「ええ、さよなら、小蒔」
いつもと変わらない挨拶。
今までと異なる関係。
真っ直ぐみつめあった二人は、同時にわずかな笑みを浮かべ、帰路についた。



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