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雪乃が去ってから、三分ほどが過ぎた頃。
未だ下着も履かぬまま身じろぎもせず座っていた龍麻が、おもむろに口を開いた。
「入ってこいよ」
誰にともなく告げた龍麻の呼びかけは、雪乃に対してと同じ口から
発せられたとは思えぬほど圧があった。
武威すら感じさせるその呼びかけに相手が応じたのは、およそ一分が過ぎたあとだった。
雪乃が出ていった入口が音もなく開き、外から少女が入ってくる。
鮮やかな朱の袴に、純白の上衣。
清純な巫女装束を着た少女は、静かに龍麻に近づき、傍らに立った。
彼女もまたこの織部神社の娘であり、雪乃とは双子の妹という関係である、織部雛乃だ。
雪乃がその名前とは裏腹に、太陽を向いて咲く夏の花のような風情を見せるのに対し、
雛乃こそ雪の中にひっそりと地を向いて咲く花の如きたたずまいがあった。
雛乃の足袋から頭の頂まで、舐めるように見上げた龍麻が、薄く口の端を歪める。
「また覗いてたのか?」
「……」
「袴に染みができてるぞ」
雛乃は慌てて自分の下半身を見やった。
古来魔を祓う色と言われる朱に、龍麻が指摘したような染みはできていない。
だが、その指摘こそが龍麻の罠だったと気づいたのは、
顔を上げた雛乃を嗤う、彼の顔を見たときだった。
「襦袢だっけか、着てるんだろう? いくらなんでもそんなに染みやしないだろ」
片膝を立てて座り、姉との行為に汚れた下半身を隠そうともせずに見上げる龍麻に、
雛乃の頬は袴よりも鮮やかな朱に染まった。
咲く時間を間違えてしまった花のようにうつむく少女に、
龍麻は慰めるどころか手折らんばかりの言葉を投げつける。
「脱げよ。本当に染みになったら大変だろう?」
嘲りに亀のように首を縮めながらも、雛乃は命令に従って袴を解いた。
衣擦れの音とともに、朱が落ちる。
雛乃が着ている白衣はくるぶしまで丈があるため、袴を脱いでも肌や下着が見えるわけではない。
それでも、衣服を一枚脱いだという事実は女性にとって重大な意味を持ち、
まして慎ましやかな雛乃にとっては耐え難い恥辱であることは、
今にも泣き出しそうに震える彼女の睫毛を見れば一目瞭然だった。
「……本当に袴まで染みちまいそうだな、こりゃ」
「も、申し訳……ありま……せん……」
「そうだな。姉のまぐわいを見て興奮するような妹には、罰を与えないとな」
座ったまま雛乃の手を取った龍麻は、彼女を引き寄せて自身の前に横たえさせると、
結わえられた彼女の髪が床に触れるより早く、振り上げた右手を一気呵成に臀部めがけて振り下ろした。
「あぁッ……!」
くぐもった、けれども大きなスパンキングの音に、掠れた悲鳴が被さる。
『力』こそ用いていないとはいえ、ほとんど手加減なしの殴打は、
暴力などと無縁で生きてきた少女の心をただ一撃で砕くのに充分だった。
だが、ぐったりと脱力する雛乃の尻に、龍麻は容赦なく二発目を振り下ろす。
「ひっ……!」
悲鳴に被せるように、さらに三発目を見舞う。
手が離れた後、白い臀部に朱印のように残る手形が、あまりに哀れだった。
「うっ……く……」
雛乃の喉から嗚咽がこぼれだす。
それは地獄の鬼でさえ悔い改めるような悲痛に満ちていたが、
龍麻の股間は血を滾らせ、女を貫く肉槍に変じていた。
力なく横たわる雛乃の手を取った龍麻は彼女を引き寄せ、座らせる。
前にではなく直上、つまり膝の上に抱きかかえたのだが、
スパンキングの衝撃もまだ冷めやらない雛乃はされるがままだった。
襦袢をはだけさせて直接尻に触れた龍麻は、
おそらく猿のように赤くなっているだろう皮膚を丹念に撫でる。
「痛かったか?」
横暴な質問にも雛乃は健気に答えようとするが、声にならずしゃくりあげるばかりだ。
小さく口許を歪ませた龍麻は、優しく、赤ん坊に触れるように自らが痛めつけた珠肌を擦った。
数分が過ぎ、嗚咽が小さくなったのを見計らって龍麻は雛乃をうつぶせに寝かせる。
巫女装束は足袋だけを残して剥ぎ取られ、下着すらも脱がされた少女から、
淑やかさや厳かさといったものは無残に奪われていた。
黒く艷やかな髪は、それでも彼女の女らしさをかろうじて護っていたが、
赤く腫れた尻はそれすらも奪い取ろうとしていて、雛乃を知る者が見れば、
一人の例外もなく彼女にこのような仕打ちをした人間を許しはしないだろう。
そのように義憤に駆られた者をも怯ませる笑みを浮かべながら、龍麻は哀れな少女に迫った。
「あ、ああ……」
少女の喉が哀しく動き、打ちすえられたために唾液が滲む唇をわななかせる。
けれどもその声色は、変化を生じはじめていた。
海に水滴を落として薄めるよりも、もっと微量の変化。
もしかしたら雛乃自身でも気づいていないかもしれないひとひらの変化は、だが確実に生じていた。
朱く染まる双丘の間にひっそりと咲く薄桃の花がある。
この少女に限っては穢れなどというものは存在しないのではないかと思ってしまうような、
美しささえ感じさせるような排泄の孔に、龍麻は顔を近づけた。
唾を蓄え、舌先に乗せる。
「い、いけませんっ、そこは……!」
口に出すのも憚られる場所に異様な生温かさを感じて雛乃は身をよじる。
その腰をしっかり掴み、龍麻は尻孔を舐めあげた。
「あぁっ……」
嫌悪と絶望に咽ぶ雛乃は、どうにか逃れようとするが、男の力に敵うものではない。
尻が裂けそうなほどにくつろげられて、露出した秘孔を凌辱されてしまった。
「許してください、後生ですから」
「相変わらず美味いな、お前のケツ孔は」
正気とも思えぬ言葉に気を失いそうになる。
まだ残る尻の痛みも忘れ、少しでも刺激を和らげようと雛乃は全身を強張らせた。
そんな努力をあざ笑うように、龍麻の舌はぬらぬらと同じ場所を往復する。
敏感に反応する菊座を赤子をあやすように優しく舐め、
必死に耐える雛乃に、嫌悪だけではない感覚をじわじわと浸透させていくのだ。
強い刺激でも一瞬なら耐えられるかもしれない。
だが、延々と続けられれば微弱な刺激でもいずれは心が屈してしまう。
ましてその場所は、龍麻によって散々に躾けられている秘孔だ。
哀れな雛乃にできるのは、痴態を晒すその瞬間を一秒でも遅らせることだけだった。
「うぅ……あぁ、止めて……ください……」
腹の力を緩められずに話す雛乃は息も絶え絶えだ。
龍麻の方は余裕の態度で尻に顔を埋め、菊座から性器までの臭いを嗅ぎ、味を堪能する。
「い、嫌……はぁ、あぁぁ……っ……!」
不浄をいいようにされる嫌悪は計り知れない。
神社の娘として幼い頃から神に仕えてきた身として、
穢れを喜ぶような龍麻の振る舞いは受け容れられるものではないのだ。
他の部位ならどこでも良いのに、よりにもよって最も秘すべき一点を弄ぶ龍麻に、
憤りがないわけではない。
しかしそれ以上に、徹底的に拒めない自分の心と、その心をたわめてしまう、
わずかな刺激で容易に屈する肉体が恨めしかった。
「や、止めて……許してください……」
ぬらぬらと尻の間を這い回る粘った舌に、雛乃は哀願する。
覗いた姉のように愛してほしいのに、口づけをしてほしいのに、なぜ不浄の場所ばかりを穢すのか。
くつろげられた尻孔をすぼめようと必死になりながら、
悪鬼と見紛うような残酷なまでの振る舞いを続ける龍麻に、巫女は祈りにも似た願いを捧げた。
雛乃の苦悩など意に介した風もなく、龍麻は雛乃のアナルを責める。
排泄の孔といっても汚れもなく、美しさすら感じさせる薄褐色のすぼまりは、未だ閉じ合わさっている。
その下方にある秘裂のほうがよほど蜜を滴らせ、牡を欲して花弁を開かせつつあったが、
そちらには目もくれず、菊に例えられる由来ともなる襞をまさぐり、
ひくつく孔を舌先でつついて反応を愉しんでいた。
「あ……っう、あぁ……」
足袋に包まれた足指が忙しなく曲がる。
じりじりと、だが確実に上がり続けた快感の水位が、限界を越えようとしているのだ。
もはや息を吐くだけでも気が緩んでしまいそうで、雛乃は必死に唇を閉じた。
散々に舐め回された肛門の周りから、不意に刺激が途絶える。
ずっと我慢し続けていた雛乃も、ほんの一瞬、呼吸を整えようと溜めていた力を抜いた。
まさにその瞬間だった。
狙いを定めた指が、緩んだアナルに潜る。
「ひうっ……!」
「やっと気分が出てきたか。最初っから素直になってりゃいいのによ」
全身で堪えていた雛乃に、嗜虐的な龍麻の物言いに反論する気力は、もうない。
あっという間に腹の中に入ってきた指にかき回されるまま、
壊れた人形のように声を漏らすだけだった。
「はっ、ひ、はぁ、はぁ、うっ……あ……」
腹の中で蠢く指の異物感に息を呑まされ、異物感を少しでも抑えるため、少しづつ吐きだす。
だが懸命の努力も、龍麻に指を曲げられるだけであえなく潰え、
穴の開いたバケツで水を汲むのにも似た徒労を繰り返さなければならない。
「ゆ、許……許して、くだ、さい……」
呼吸の合間に絞りだした声も、
「許す? 何を許して欲しいんだ?」
不浄の孔の深くを頭を撫でるように擦られると、とたんに色のついた喘ぎに変じてしまう。
「ひっ……あ、うぁ……あ……」
涎が顎を伝い、床に落ちても気づかないほど焦燥しながら、
雛乃の精神は快楽に侵食されていく。
真っ当に生きていれば知るはずのない、肛門による快感を教えこまれた肉体が、
浅ましくも発情し、さらなる悦びを求めてそれ以外を考えられなくさせるのだ。
「あぅ……ふ、う、ん……っ、いけ……ません……」
自分でもそれと分かる、淫らな熱の篭った吐息が、板張りの床に落ちる。
雛乃はそれを拾い集めるかのように手を開閉させたが、何も掴むことはなかった。
少女の絶望、あるいは願いを聞き届けるかのように、龍麻は直腸をかき回す。
温かな肉の隧道を点検するかのように、手首を回転させ、指先を折り曲げて細部まで念入りに触れていく。
「うっ……あ、あぁ、んうぅっ……」
嫌悪するにはあまりに快美な刺激に雛乃は悶える。
白絹の肌に汗を滲ませ、全身を撓めて身体の内側から生じる、こらえようのない快楽に必死で耐え忍ぶ。
だが龍麻の指は、排泄の孔から潜りこんだ、男の節だった指は、雛乃の理性をこそぐように腸内をうごめき、
龍麻に出会わなければ決して知ることのなかった禁断の悦楽を教えこんでいくのだ。
「うぅ……ん、は、あぅ……ぅ……」
いつしか雛乃の嬌声は、長く尾を引く、途切れない喘ぎに変わっていた。
かろうじて浮かせていた頭も床に着き、ほとんど動かなくなっている。
そして雛乃自身は気づいていなかったが、彼女の臀部は龍麻に捧げるように彼を向いていた。
龍麻が変化を見逃すはずもなく、より奥に、より自在に操れるようになった指で、
少女巫女の不浄を淫辱する。
「あ、くっ……うふうぅっ……」
どれほど耐えても収まらず、押し寄せる快楽の波に、雛乃はほとんど屈していた。
溜めていた息を吐き出すたび、緊張が少し緩むたび、ぞわぞわと手足の先まで蔦のように絡みつく
気持ちよさは、到底抗えるものではなかった。
「はあっ、はあっ、た……つま……様……」
喉の奥から絞りだしたその呼びかけにどんな願いが続くのか、雛乃自身にも分からない。
拒絶か、それとも懇願か、考える余裕などすでになかった。。
「あぁ、あぁ……うぅ……んっ、んふうっ」
身体を丸めて肛門快楽に打ち震える少女に、楚々とした巫女の面影は失せている。
たった一本の男の指先に心身を支配され、赤く腫らした尻を小刻みに揺らしている姿は、
だらしなく男に縋り、世俗の淫楽に溺れる一人の牝でしかなかった。
頃合いと見た龍麻は、指の根本まで尻孔に埋める。
抉るように腸内をかき混ぜ、激しく指を抽送させた。
「あっ……う……あ……!!」
雛乃の頭の中で何かが弾ける。
それは緊張の糸だったかもしれず、理性のたがだったかもしれず、その両方だったかもしれない。
いずれにしてもそれが弾けたとき、雛乃は自分を保つことができないほどの快楽に見舞われ、
縮めていた身体を大きく反らせ、溜めきれない唾を宙空にこぼして絶頂した。
尻が大きく脈動し、同時に尻孔が収縮する。
たおやかな少女に似つかわしくない痙攣は、激しかったが時間としては短いもので、
それが終わると静かに弛緩していった。
全身の力が抜けて女性の優美な曲線が露わになった雛乃の肉体は、息を呑む美しさだ。
それだけに、薄れたとはいえまだいくらか無惨な赤みの残る双尻と、
その狭間で、やはり凌辱の跡を残すこじ開けられたアナルが、
息も絶え絶えにひくついている姿は、哀れを誘わずにおかなかった。
だが、責苦はこれで終わりではなかった。
一度は尻孔から指を引き抜いた龍麻は、少女の腸液に塗れる中指に、
人差し指を重ねると、哀れにもまだ閉じきっていない菊洞に再び戻したのだ。
「ひぁぁ……っ!」
放心していた雛乃は無慈悲な連続責めを受け、掠れた悲鳴を放つ。
もはや快感が強すぎて苦しく、釣り針にかかった魚のようになりふり構わずに身悶えする姿は、憐憫さえ感じさせた。
だが、上に下に、右に左に揺れ惑う尻を、龍麻は手放さない。
少女の排泄器官に埋めた指を、中で曲げ、抉り、無慈悲な快感地獄に堕とし続ける。
「うぁぁ……あぁ、は……」
あまりに痛烈な快感に、不浄の孔を弄られているという羞恥さえ、雛乃の頭から失せ始めていた。
尻を激しくひくつかせ、濁った叫びを放ちながら、龍麻のわずかな指の動きに狂喜する。
「お、う、あ……っ、龍麻様……っ!」
「尻孔が気持ちいいのか?」
もはや嘘をつく気力もなく、雛乃は何度も頷いた。
「は、い……龍麻様にして頂いて、わたくしは、お尻が……っ」
「お尻が?」
「お、お尻が……お尻が、気持ち良くて……!」
言い終えた直後、龍麻が指を曲げ、雛乃の腸を強く抉る。
「ひうっ……!!」
一気に身体が灼け、雛乃を追い詰める。
これまで織部雛乃を築いてきたものが崩れそうな悦びであり、
それが破滅をもたらすと知ってなお己を捧げたくなってしまう、魔性の淫楽だ。
さらに罪を告白し、枷の解かれた雛乃は、より感じる場所を抉ってもらおうと
自ら差しだすように尻を振った。
腹の中を二本の指がまさぐる。
無遠慮に弱い所を擦り、隘路を拡げ、雛乃に快感以外の何も考えられなくしてしまう。
「うっ……あ、うぅ……」
板が軋むような、およそ清純な巫女が発するとは思えない悲鳴を放ち、雛乃は苦悶する。
額に滲んだ脂汗が一滴、床を濡らした。
「あ……あ、龍麻様……っ……!」
「イクのか?」
絞りだした声は、あるいは無意識で救いを求めてのものだったかもしれない。
たが返ってきたのは雛乃を気遣うどころか肉体どころか心まで嬲ろうとする、
無慈悲なまでに短い問いかけだった。
「く……ぅ……あ……」
そして、訊いておきながら答えさせまいとするかのように龍麻の指遣いは激しさを増し、
雛乃はもはや堪える余裕も失くして尻孔絶頂へと追い詰められていくばかりだった。
「おっ……ふ、はぁ、はひっ……ぐっ……!」
背中を丸めて悶える雛乃の尻が忙しなく揺れる。
その中心では龍麻の指が埋めこまれた孔が、異物を排除しようと収縮を繰り返していた。
「くッ……!」
強烈な締めあげに思わず声を上げた龍麻が、お返しとばかりに強く、
臍を裏から貫くように腸壁を抉る。
「かっ、は……!!」
涎と呼気を吐き散らし、雛乃は達した。
弾け、浚われ、達し、それらのどれでもなくて全てでもある、馴染みとなった感覚。
心の穏やかな幸福など陰中の陽でしかないような、圧倒的な暗い悦びが雛乃を満たした。
「……ああッ……!」
切り揃えられた前髪を床に押し当てて絶頂する少女巫女の姿は、哀しいまでに艶やかだった。
散々に直腸を蹂躪した二本の指を、龍麻は引き抜く。
何度となく掘り抜かれた孔は、物足りないとばかりに閉じることなく雛乃の奥を晒していた。
「あ……あぁ……」
不浄の孔で連続絶頂を迎えさせられた雛乃は、床にその秀麗な頬を押しあてて放心している。
姉よりも色の濃い唇をだらしなく開け、その端には涎さえ垂らして、
罪深い肛門快楽の余韻に浸かっていた。
だが、龍麻の欲望は指で達しさせた程度ではまだ尽きない。
雛乃の尻を抱えおこすと、天を衝かんばかりに佇立する勃起を、
白い双丘の狭間に開く孔に充てがい、静かに体重をかけていった。
「ひっ……! かっ……は、ま、待ってください……!」
指での刺激には屈しても、男性器を尻孔に挿れるとなると怖気づくのも当然だ。
孔の径を上回る異物の侵入に、雛乃は蜥蜴のように手足を動かして逃げようした。
白い背中に舞い踊る艶やかな黒髪は見る者の哀れを誘わずにおかなかったが、
挿入を邪魔された龍麻はその尻めがけて容赦なく手を振り下ろした。
「ひぅッ……!!」
幼少から親にさえ触れられたことのない聖域に、裁きともいえるスパンキングを受けて、
巫女の口から悲痛な神託が漏れる。
荒神の怒りはさらに続き、計三発の平手打ちが無垢な白丘に放たれ、
輝いてすら見えた美しい臀部は赤い手形で無残に荒廃した。
「うっ……ううっ……」
理不尽な暴力に泣き伏すばかりの雛乃の尻を、龍麻が再び掴む。
哀れな少女は身を竦ませたが、もう逃れようとはしなかった。
だが、運命を受け入れた巫女に、荒神が慈悲を与えることはない。
両手に掴んだ捧げ物を割り、ごく薄い褐色があるだけの恥じらいの孔を露出させると、
凶悪に尖った肉槍で狙いを定め、先端を押しこんだ。
「いぎっ……!」
雛乃の口から軋んだ声が放たれる。
下手なバイオリンにも似た不快な声は、しかし彼女がこうむっている不快さの千分の一も表せていない。
身体を内側から拡げられていくような、恐怖を伴った不快感など、およそ口で伝えられるものではなかった。
声に出すことでかろうじて踏みとどまれていたものの、雛乃の意識は壊れる寸前だった。
のたうつ少女を力で押さえつけ、先程まで姉の腟に挿れていた肉柱を、今度は妹の尻に埋める。
「あはあぁ……っ……!」
全霊の篭った悲鳴が巫女の口を衝いた。
姉と良く似た、より官能に浸かった声色に、龍麻はほくそ笑む。
ここまでするのには苦労もあったが、生白い肢体をくねらせて悶える少女巫女を見下ろせば、
存分に報われるというものだった。
征服感に酔いしれながら、龍麻は雛乃のたおやかな腰を掴み、体重をかけて肉の槍を尻に埋めこむ。
「あ、か……っ……」
めりめりという音さえ聞こえそうなほどに尻孔をこじ開けられ、
排泄のための隘路を拡げられる雛乃は、悲鳴すら出せなくなり、唾液を惨めに垂れ流す。
段階は踏んだといえ、そもそも異物を挿れるようには作られていない器官に、
硬い逸物を深くねじ込まれて、顔には脂汗が滲み、全身もいちじるしく熱を帯び、少女の身体機能は破綻寸前だった。
一方で、異物の侵入を全力て拒もうとする雛乃の括約筋に、龍麻の額にも汗が浮かぶ。
負けのない戦いではあっても、雛乃の心身を服従させるには、やはり譲れぬところだった。
「……っは、はっ、はぁっ、ふうっ」
苦しさを和らげようと、雛乃は呼吸を小刻みにしている。
それに合わせて龍麻は腰を突き、引いた。
「ふぅぅ……っ、あぅぅ……っ……」
垂れる涎を拭う暇さえ与えられず、雛乃は肛虐に苛まれる。
排泄孔から逆流してくる肉の栓が、腹を、手足を、脳を痺れさせ、
わずかな息を吐き、吸うことしかできなかった。
ぐぽ、という間の抜けた音が板間に響く。
それは音単体でも年頃の女性ならあまり聞きたくはないものだが、
抽送によって閉じこめられ、圧縮された腸内の空気が、
ペニスが抜かれることで逃げ場を得て放つ音だと知らされたなら、
気を失ってしまいかねない羞恥に晒されるだろう。
今の雛乃がまさにそうで、自らの尻孔が奏でる惨めなリズムに絶望しながら、
耳を塞ぐこともできず聞き続けるしかない。
いっそ気絶してしまえた方が良かったのかもしれないが、それも叶わず、
この生き地獄を耐えねばならなかった。
だが、拷問に等しい抽送が十数回と繰り返されるうち、雛乃に変化が訪れていた。
「ひ……ぅ、あ……ぉぉ……」
悲鳴とも嗚咽とも違う、奇妙な音を伴った声。
抜き挿しに応じて紡がれる、およそ年頃の少女が出しているとは思えぬ声は、
しかし同時に身震いするような淫らがましさを持っていた。
喘ぎは抜き挿しされるたび艶を帯びていき、ついには花蜜の滴りのように濃密で、
虫を誘うような旋律を放つようになる。
「う、あ……はっ、ふぅぅ……っは、あぁ……んっ、はあぁ……」
白い丘を穢され、その奥にたたずむ秘境を蹂躪されながら、雛乃は悶え、悦ぶ。
馴染んできた尻孔が、龍麻の肉槍で突かれるたび、禁忌の快感をもたらすのだ。
「ううぅ……っ、あ、あぁ……あはあぁ……っ……!」
口に押し当てた手の甲に涎をつけ、焦点を結ばない眼に涙を浮かべ、
巫女の少女が紡ぐのは、爛れた祝詞だった。
何十度目か、屹立が突き挿れられた時。
雛乃は腹が膨らむのを感じた。
「ひッ――」
間髪置かずにもたらされる、異様な感覚。
欲望のままに達した龍麻が精を放ったのだ。
腹の奥深くに粘液を注がれて、その熱さで雛乃も果てる。
「んくぅッ……!!」
偽りの熱。
本来感じてはならない場所での熱で、それでもどうしようもない快感で、雛乃は頂に登りつめた。
全身の毛穴が開くような快楽に包まれ、何度も腰を震わせる。
「うぁ……ぁ……」
しかし無情にも龍麻は役目を終えた孔からすぐに肉杭を引き抜き、腹の熱は去ってしまう。
それを拗ねてみせることさえできないまま、雛乃はくずおれていった。
数分が過ぎ、のろのろと起きあがった雛乃は服装を整える。
ほんのわずかでもいたわっだり戯れたりしてくれれば、との願いは空しく消え、
欲望を満たした龍麻は冷めた口調で言った。
「来週は、俺の家に来いよ」
雛乃の都合など聞かない、一方的な命令。
行けば今日よりも激しい行為をされるのは明白であり、
戻った理性がこれ以上堕ちてはいけないと警告する。
それでも。
「……はい」
わずかな刻とはいえ龍麻を独占できるからなのか、それとも、
自分はもう肉欲の檻に囚われてしまっているのか。
わからないまま、雛乃は頷いた。
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