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「ね……どっちからがいい? ご主人様」
「どっち……?」
まだ怒られるのではないか、と怯えていた龍麻は、小蒔の台詞もとっさにはピンと来ない。
むしろその鈍さに怒った小蒔は、
「もう……ッ。ボクか、葵か、どっちからがいいの?」
「あ、あぁ……。そ、それじゃ、えっと……葵から」
「ふーん……だってさ、葵」
怒っているような関心がないような、
そんな微妙な小蒔の物言いを聞き流して机に腰掛けた葵は、瞳を潤ませて龍麻の方を向いた。
その、息を呑むような色っぽい表情に誘われるまま、龍麻はふらふらと近づいていく。
「龍麻……」
「あお、い……」
目の前に立った龍麻に、葵は揃えていた膝を開き、より近くへ招き入れる。
今までで一番近い距離で葵を見ることとなった龍麻は、手を伸ばし、ついに欲望を叶えた。
葵の白く美しいおでこを撫で、口付けまでしたのだ。
「やだ、くすぐったい……わ」
むずかる葵の肩を掴み、しばらく動きを止める。
上半身だけを切り取れば非常に詩的な情景に、またものけ者気分を味あわされた小蒔は、
二人がすっかり目を閉じて浸っているうちに葵の後ろに回りこんだ。
「えへへッ、手伝ってあげる」
エプロンをほどき、スカートを持ち上げ、より合わさった秘唇を指で押し広げる。
「きゃっ! ……やだ、小蒔、恥ずかしいわ」
「ひーちゃんに解りやすいようにさ。ほら、ひーちゃん」
「あ、あぁ」
おでこに触れたことで実はもうかなり満足していた龍麻も、
さすがにこうまでされては無反応と言う訳にいかず、屹立を握って葵の足の間に押し当てた。
「それじゃ、あの……いくよ」
「……はい」
もちろんこんなことをするのは初めての龍麻は、実に恐る恐る挿入していく。
少しずつ広がりながら龍麻を迎え入れていく葵の肉襞と、そこが立てる音の卑猥さときたら、
肩越しに覗きこんでいた小蒔が赤面してしまうほどだった。
「ふっ……ぁ、っく…………ぅ」
あまりにじれったい感覚に耐え切れず背中を反らせていく葵を受け止めながら、
小蒔はついでにファスナーを下ろしてやる。
「葵のおっぱい、おっきいよね……何回触っても飽きないよ」
「や、小蒔……んっ、ぁ……ん……」
ブラの内側に手を潜り込ませ、掌に余る大きさの乳房を両側から揉みしだくと、
葵の手が何かを捜すように宙をさまよった。
もう弱い所を知り尽くしている指先は、ひとりでに動いて親友を弄ぶ。
「だめ……小蒔……お願い、もう……少し……」
「ひーちゃん、はいった?」
「な、なんとか」
「んじゃ、動いてあげなよ」
葵を無視する小蒔に命じられるまま、龍麻は腰を打ちつけはじめた。
柔らかく締めつける媚肉のただなかをかき分け、隘路を貫いていく。
「あぁっ……んっ、うっ……っあん」
手を口元に当て、切なげな喘ぎを立てる葵に自然と抽送は速まり、
腰を抱きかかえてより奥へと己を撃ちこんだ。
「た、つま……ふあぁ、ぁ……、……っん、くぅっ」
少し乱暴すぎる快感に身悶えする葵を後ろから抱きしめた小蒔は、
龍麻の律動に合わせて手の中で大きく弾む柔肉をぎゅっと握り潰した。
「んっっ! ん、ふぅ……む」
大きく息を吐き出した直後、唇が塞がれる。
その反動で勢い良く吸いこんだ空気に混じっていた親友の匂いに、頭が白くなってしまった葵は、
逆手を伸ばして小蒔の首根っこを掴み、掻きまわされる悦びを口内一杯に味わった。
べっとりと合わさった舌が、下からの突きあげで小刻みに揺れる。
息が出来ない苦しさがいつしか悦楽に置き換わり、
いつしか葵は全身を犯される無上の感覚に全てを委ねていた。
「あぁ……! んっ、あっ、はぁぁっ……っ」
太腿を抱きかかえた龍麻が、奥の奥、身体の内側から肉壁をこすりあげる。
胸を責め立てる小蒔が、汗ばんだ掌で繊細な尖りを転がし、つまみあげる。
好き勝手に嬲る二人に葵はいつもの余裕も無く、あっと言う間に追い詰められていった。
「龍麻……こまき……っ、私、あ、もう……や、やぁ……っ」
もう切れぎれな叫びをあげるのが精一杯で、頂点を迎える。
「やっ、だ、め…………っっ、ふぅぁぁ……!!」
快楽の波にさらわれた身体の中で、熱い何かが広がって行くのを感じたところで、
葵の意識はゆるやかに途切れていった。
激しい収縮を繰り返していた淫肉から己を引きぬいた龍麻が、
自分の下で力を失っている肢体をぼんやりと眺めていると、呼びかける声があった。
「ね、ボクも……ご主人様の、欲しい……」
見れば、さっきまで葵の背後にいたはずの小蒔が、隣の机で悪戯っぽく片膝を立てていた。
しかも手には脱ぎ捨てたばかりの下着をくるくると回して。
疲労は肩で息をするほどだったが、闘牛のように動くものにふらふらと誘われた龍麻は、
ほとんど息つく暇無く二回戦を開始した。
屹立を包み込むぬるりとした感覚に酔いしれ、
すぐに腰を動かそうとする龍麻を、小蒔が押し留める。
「ね……だっこ……して……」
「え、えっと……こうか?」
もちろん龍麻はそんな格好などした事が無かったが、
求めに応えようと葵に較べてずっと華奢な腰に腕を回すと、小蒔が足を絡みつかせてきた。
ずり落ちそうになる身体を抱え上げると、強張るのがはっきりと伝わってくる。
「ふぁあっ! い、いいよ……ひーちゃん……」
不安定な格好ながら、なんとか倒れるのを免れた龍麻に、小蒔は一層強くしがみついた。
あふれかえる体香と、葵のものよりもずっと激しい締めつけに、龍麻の背中をぞくぞくしたものが疾る。
「……ゆす……って……くぁぁ、す、ご……」
ドレス越しでは滑ってしまうために直接お尻を掴んだ龍麻は、
掌に伝わる暖かさにくらくらしていた。
始めは今ひとつ要領が解らなかったが、
ほんの少し抱きなおしてやるだけでも快感を露にする小蒔に、
次第に動きを大きなものにしていく。
「んうっ、それ、いい、気持ち……いいよ、ひーちゃ、ひーちゃん……っ!」
まだ挿入されたばかりだったが、想像よりもずっと深い所を抉ってくる屹立に、
小蒔はもう達してしまいそうになっていた。
全身に力を込めて自ら密着感を高め、奥を突かれる淫悦を一瞬たりとも逃すまいとする。
「あっ、んっ、んっ……うぅ……っ、ひー……ちゃ……」
それでなくても狭さを感じる小蒔の肉路が、更に狭まっては到底龍麻に耐えられるものではなかった。
脳裏から爆発的な快楽が迸り、脊髄を伝って腰の一点へと駆けおりて行く。
それはそのまま一気に噴き出すことで、己だけでなく小蒔をも導こうとしていた。
「あっ……っ、んんぁっっ…………!!」
龍麻の首筋にほとんど噛み付きながら、小蒔も少し遅れて絶頂を迎えることとなった。
これから始まる苦しいほどの愉悦を知ってか、
わずかでもそれを和らげるかのように龍麻にくぐもった喘ぎをぶつける。
その直後に、一瞬エネルギーの塊のようなものが全身を疾ったかと思うと、
ずるずると力が奪われていく。
代わりにやって来たのは、震えるような快感。
次々と大挙して押し寄せるそれをかわすことも出来ず、ただ受け入れるしかない。
少しでも身体を動かしたらバラバラになってしまいそうで、
小蒔はしばらく身動きすることができなかった。
龍麻の精が一滴残らず放たれた後で、小蒔はようやく龍麻を解放してやった。
「いいよ……寝ても」
その一言で糸の切れた人形のように龍麻は崩れ落ち、そのまま寝息を立て始める。
オレンジ色から紫へと変わる教室の中で、しばらく余韻に浸っていた葵と小蒔は、
けだるげに身を起こすとぐったりと眠っている龍麻にズボンを履かせてやった。
「……なんか気持ち良さそうに寝てるね」
「あれだけしたんですものね」
「しっかし、真面目だと思ってたひーちゃんがこんなスケベだったなんて、ちょっとがっかりだよ」
「そう? 私は結構楽しかったわよ。可愛いじゃない」
「ん〜……ま、そうなんだけどさ。……うぇ、なんか顔が気持ち悪い」
なんとなく突っ張ったような感じの頬を軽く叩いた小蒔は、気になっていたことを思い出して尋ねた。
「ね、ホントに起きたらぜんぶ忘れてるの?」
「ミサちゃんに作ってもらった薬だから、効き目は間違い無いはずよ。
でも、念の為にもう一度嗅いでもらいましょうか」
机の中に隠してあった小さな薬包を取りだした葵は、龍麻の顔の前にそれを置き、軽く手で扇ぐ。
昏神香と言う名のその薬は、それと気付かれないよう本人を操り、
しかも効果が切れたらその間のことは綺麗さっぱり忘れるという、実に都合の良い薬だった。
「えへへッ、ちょっともったいない気もするけどね。特に葵はそうじゃない?」
「うふふ、そうね。またミサちゃんに作ってもらいましょうか」
余裕がなせる業なのか、葵は口ほどには残念そうな表情を見せずに微笑んだ。
制服を着て、スカーフの角度まできちんと整えた二人は、何事も無かったように教室を後にする。
一人残された龍麻が目を覚ましたのは、この後、完全に夜が更けてからだった。
「……!? おっ、俺なんでこんな所で寝てんだ!? ……痛ぇっ!」
真っ暗な教室の中で無闇に動き回った龍麻は、その報いとして机の脚にすねをしたたかにぶつける。
ますます混乱して訳がわからなくなった龍麻は、
結局夜が明けるまで鍵のかかった学園内で狼狽するのだった。
後日、寝静まった夜の教室に学生服姿の幽霊が現れるという、
まことしやかな噂が流れた……かどうかは定かではない。
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