<<話選択へ
<<前のページへ
(4/4ページ)
「や、ん……」
ゆっくりと奥まで埋め、葵がひと息つきかけたところで浅く突く。
「あっっ! ……もう……」
不意をつかれてたまらず喘いでしまった葵は、どこか恨めしげに龍麻を見上げた。
悪びれずに笑った龍麻は、抽送を止めて身体を倒す。
息が届く距離まで顔を近づけると、指先がたしなめるように頬に触れた。
「どうしたの? 今日は」
「ちょっと浴衣に興奮してる」
身もふたもないことを言ってのけて、龍麻は再び抽送を始めた。
「あ……ぅっ、龍、麻……っ」
葵はひとたびたがを外されたことで抑えるのをやめたようで、唇が艶かしく歪む。
龍麻ももう焦らしたりはせず、絡みつく媚肉を存分に堪能しようと腰を使い、
とろとろの隘路の中を何度もかき回した。
「あ、あんっ、あっ……」
腰のリズムに合わせて、紅の形よい唇がせわしなく開閉をくりかえす。
葵はピッチを少し早めるといかにも苦しそうにしながら、速度を落とすと切なげな視線をよこしてくる。
そのくせ決して口に出してねだろうとはしないのが、龍麻にはいじらしく、また嗜虐心をそそられもするのだ。
もう充分に葵が官能に溺れていると見てとった龍麻は、大胆に責めることにした。
抽送を一度止め、ぬかるみの中から肉茎を引きぬく。
「な……に……?」
快楽を中断された葵が、少しぼやけた目でねだるのを気づかないふりをして、葵の左足を担ぎ、肩に乗せた。
大きく開かれた足は今まで繋がっていた部分を隠すこともできず、
愛液が生々しく恥毛に絡みついているさまが丸見えだった。
「い、や……ぁ……」
葵は股間を隠そうとするが、足を開かされていてはどうしようもない。
加えて龍麻が抽送を始めることで、伸ばした手は中途半端に宙をさまよった。
足をしっかりと抱きかかえ、龍麻は屹立を奥まで突きいれる。
深く、あるいは弧を描くように、逃げまどう媚道を隅々まで抉った。
「あ、あ、あっ……!」
力強い抽送に葵はあえなく沈んだ。
美しい肢体をよじらせ、一突きごとにもたらされる快楽に指を噛んで抗うのが精一杯だ。
眉根を寄せ、龍麻すらも目に入っていない様子の葵に、龍麻は幾度も屹立を撃ちこんだ。
「うっ、く……あ、ぁ……」
枕に顔を押しつけて、葵は声を押し殺す。
恥辱的な格好をさせられているからせめて痴態はみせるまいと思っているのだろうが、
うなじを紅潮させ、悩ましくこらえる姿は龍麻を焚きつけるだけだった。
肉がぶつかる音がするほど、強く腰を入れる。
まとわりついていた媚肉をかき分け、葵の芯奥まで貫かんばかりに屹立を挿入した。
「あ、ぁう……あっ……ん……」
嗚咽が、苦しげな、けれどとろりとした喘ぎに変わっていく。
浴衣はすでに、帯のところだけがかろうじてまとわりついているだけにすぎない。
残りのはだけている部分全ては色に酔い、淫に溺れていた。
乱れる葵の乳房を龍麻は掴み、やや乱暴に捏ねる。
それでも葵が痛がることはなく、むしろ強い刺激に感じているようだった。
豊満な膨らみを押しつぶすように揉み、抱えていた足をおろした龍麻は強引に唇を奪う。
めくれあがった唇の勢いもそのままに舌を探り、叩きつけるように絡めた。
「ふっ、ん、んぐぅぅ……っ」
媚熱の呼気がぶつかりあう。
なんとか応えようとする葵を力づくで封じこめ、生温かな口腔を貪った。
そのまま腰を突いてやると、口の中に振動が伝わってきた。
「んんんぅ……っ」
葵が苦しげにうめく。
鼻腔が膨らみ、紅潮してもなお端正な顔に、浚いきれないほどの愛おしさを感じた龍麻は、
顔を離し、葵の全体を眺めた。
肩のところからはだけた浴衣は胸をくびりだし、大きな胸を一層強調している。
もうかなり緩んでしまった帯は、それでもなんとか浴衣を葵に繋ぎとめてはいたが、
帯のすぐ下からはもう、艶かしい女の肢体が露になってしまっていた。
縁日の灯りの下で見た、楚々とした姿と今の痴態とのあまりの差に、めまいさえ覚える龍麻だった。
苦しくなった呼吸を整えようと息をつくと、腰に何かが絡みつく。
信じがたいことに、葵が足を巻きつけてきたのだ。
龍麻は呆然と葵を見下ろした。
葵の瞳には羞恥はなく、続きを求める浮ついた輝きがあるだけだった。
心臓が爆ぜそうになるくらい興奮した龍麻は、
伸びてきた葵の手に顔をまさぐらせ、されるがままにくちづけを交わす。
「ふっ……ん、龍麻ぁ……」
しっとりと舌を絡めた後も顔を離そうとしない葵に、ゆるく腰を打ちつける。
それで意図が伝わったのか、葵は手を離し、代わりに背中に回した。
もどかしげに、けれども懸命に抱きしめようとする手に、龍麻の裡で急速にこみあげてくるものがある。
それに抗い、こらえながら、着実に近づいている限界に向けて龍麻は激しく突いた。
「あっ……あ、あぅっ、あぁっ……!」
葵の声がとぎれがちになる。
喘ぎが抽送に追いついておらず、ひきつった嗚咽もまじりはじめた葵を、龍麻は渾身の力をこめて貫いた。
「ひ……っ、あ……ぁっ……!!」
しがみつくのがやっとだった葵の肢体が一転、急に強張る。
引きこまれるような感覚の中で、龍麻も欲望を解き放った。
「あっ、あぅぅっ……!!」
か細い悲鳴をほとばしらせ、葵は絶頂を迎える。
乱れた裸身がぶるりと震え、まさに射精の最中の屹立をぐいと咥えこんできた。
「んぁっっ……!!」
大きな、龍麻がこれまで聞いたことのないような悲鳴と共に達した葵の膣奥で、龍麻は快感に痺れた。
甘く、激しく締めあげる洞の中を欲望で充足させ、意識が瞬間飛ぶような恍惚に浸る。
射精が終わっても腰が動いてしまうほどの快楽は、龍麻も初めてだった。
葵の傍らに寝転がった龍麻は、満ちたりた表情の笑みを浮かべる葵に、
同種の笑いで応えて少しの間幸せを噛みしめたのだった。
「痛て」
新しいシャツを着ようとすると、背中に鋭い痛みが走った。
首を回しても見えないので、葵に見てもらう。
「あ……」
ところが、なぜか葵はそう言ったきり黙ってしまった。
「ん?」
「あの……さっき、引っかいちゃったみたいで、私……ごめんなさい」
二瞬ほど遅れて事情を了解した龍麻は、うつむく葵を抱きよせた。
そういうことならば、この程度の痛みは屁でもない。
むしろ愛おしさがこみあげてきて、葵の髪を何度も撫でた龍麻だったが、
どうしても訊きたくなったことがあった。
「……そんなに良かった?」
「……知らない」
腕の中の熱量が急激に増していく。
身支度を整えた葵は、もう普段と変わらない姿に戻っているが、
それはやはり心地よい熱さで、龍麻はそのぬくもりを手放す気になかなかなれなかった。
「来年といわず、まだどっかに祭り残ってないかな」
「知らないったら」
葵がどんどん熱くなっていく。
我を忘れて快楽に没頭する葵も良かったが、可憐な少女のように恥ずかしがる葵の可愛らしさはただごとではない。
もがく葵をおさえつけ、龍麻はさらに薪をくべた。
「もし残ってたらさ、今度は外でヤッてみようぜ」
「知らない──!!」
熱がほとばしる。
いくらなんでも熱すぎるのではないか、と思った瞬間、龍麻は身体が浮くのを感じた。
何と思う間もなく吹きとばされ、頭をしたたかに壁に打ちつける。
「きゃっ……! 龍麻、龍麻……!?」
新たな『力』の顕現を目の当たりにした龍麻は、
以後度を越した羞恥責めは絶対にしないでおこうという決意を固くしたが、
全てはあとの祭りであり、遠ざかる意識の彼方に見える葵に微笑みかけて気を失ったのだった。
<<話選択へ
<<前のページへ