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「う、んぅ……っ」
下着を肌に貼りつかせ、うっすらと浮かんだ秘裂に沿って指を這わせる。
軽く擦ってやるだけで小蒔の肢体から力が抜け、
足が広がっていくさまに興奮して、執拗に往復を続けた。
「それ……やだ……っあ……」
もうほとんど一面が濡れてしまった下着を、お尻に手を入れてくるりと剥きあげる。
そのまま太腿の中ほどまで降ろすと、小蒔が立ちあがり、後は自分から脱いでしまう。
ぐっしょりと湿った下着に嫌そうな一瞥をくれて傍らに置き、
ベッドの上に膝立ちになった小蒔は、物欲しげに龍麻を見下ろした。
「ね、ひーちゃ……ん……もう……いい……?」
「ん」
本当はもう少し今の愛撫を続けたかったが、
本人も意識していない色っぽい声でおねだりする小蒔に勝てるはずもなく、
龍麻は財布から避妊具を取り出す。
手探りで着けると、小蒔が出来を確かめるように握り、そろそろと腰を落としていった。
熱い雫が屹立を濡らし、その感覚に酔いしれる間もなく、更に熱いうねりが龍麻を襲う。
もう両手の指では足りないくらいには経験していても、それでもなお新鮮な愉悦だった。
特に、こうして小蒔が自分から迎え入れるということはあまり無く、
じわじわと小蒔の体内に呑み込まれていく己の器官は早くも精を放とうと膨張する勢いだ。
龍麻はそれを全力で抑えこみながら、涼しい顔をして小蒔が口を開くのを待った。
「は……入った……よ……」
時間をかけて龍麻を腹の中に収め、言わずもがなのことを言った小蒔は、何かを求めて手をさまよわせる。
龍麻がその手を握ってやると、頬がはにかむように緩んだ。
その笑みを残したまま、小蒔はもう片方の手を腹について腰を浮かせ、
不安定な姿勢を愉しむようにしばらく留まって、また沈める。
奥の方を抉られる愉悦に酔いしれ、今度は繋がったまま前後に振り立てると、
小さな身体に収まりきらないくらいの気持ち良さにたまらなくなった。
合わさっている掌をより強く握りしめて支えにして、踊るように腰に円を描かせる。
「気持ち……いい……?」
「っ……あぁ」
「えへへッ、良かった……ボク、も……気持ちいい、よ……」
龍麻の返事は、あまりに控えめに過ぎるものだった。
音を立てて纏わりつく淫靡な肉壁から染み出した愛液と、
複雑に動きを変えながら肉茎を締めつける小蒔の身体そのものに、絞り取られる快美感に腰が震える。
余計な力が入らないからか、受ける快感はいつもよりも強く、
下半身は既にほとんど砕けてしまっていた。
不利を感じた龍麻は手をスカートの中に入れ、
すっかり充血している小さな膨らみを親指で撫でる。
「んっ……! っぁ……あ、い、いよ、それ……!」
敏感過ぎる場所を急に触られて、小蒔の口からたまらず歓喜の喘ぎがあふれた。
優しく擦られると、ぞくぞくする気持ち良さと共に、わずかな物足りなさが芯に残る。
そんな、口に出来ない心情を読み取ったかのように、
龍麻の指がやや強く、押し潰すように動いた。
「あぅうっ! ……はぁ……っ……ぁ」
求めていた快楽を受け取って、小さな身体が一杯にたわむ。
それはもちろん龍麻と繋がっている内側の部分にも及び、
急激に締め上げる淫肉に己を蕩かされるような錯覚に龍麻を誘った。
「ひー……ちゃん……」
小蒔は肩で息をしながら、腰を押し付けるようにして龍麻の肉茎を完全に呑みこむと、
その姿勢のままゆるゆると下半身を揺らめかす。
それが快感の源泉を探っている動きだと気付いた龍麻は、
指を陰核に押し当てたまま、いきなり腰を突きあげた。
快感の波を求めてはいても、
それにさらわれてしまわないよう慎重に動いていた小蒔は、たまらず小さな絶頂を迎えてしまう。
「やぁあっ! うぅ……っく……」
しゃっくりのような奇妙な声を残して、生気が抜けたようにがっくりとうなだれると、
望まないリズムで迎えさせられた絶頂に、奇妙な疲労と、
満たされない充足感を抱いて、恨めしそうに龍麻を見やった。
「い……じわる……」
普段の小蒔からはとても想像の出来ない、掠れた、色っぽい声。
最初からそのつもりではあったが、この声を聞いた途端、龍麻の屹立は限界まで膨れ上がった。
そう、龍麻のいじわるはまだ終わっていなかったのだ。
「や、待って、まだ……あぁっ、ん、んぁあっっ!」
敏感になりすぎている粘膜を強い力で突き上げられて、小蒔の上体が壊れた人形のように揺れる。
痛いほどの悦楽が頭の中に一斉に押し寄せ、抗う間もなく支配されてしまった。
「か、は……っ、うぁ、ひー、ちゃ……すご…………
ボク……また……すぐ……いっ、ちゃ……! はぁ、あぁぁあっ……!!」
龍麻がわずか数度突き上げただけで、既に限界ぎりぎりだった小蒔は
龍麻の腹に爪を立てながら、抑えきれなくなった淫悦を一気に解き放った。
「小蒔、俺……も……っ!」
狂おしく暴れる蜜壷に肉杭を四方から苛まれた龍麻は、
今度は同調し、そのまま射精を迎える。
避妊具による閉塞感はやむを得なかったものの、それでも精を放つ本能的な快楽に酔いしれながら、
力尽きて倒れこんでくる小蒔の身体を受け止め、想いを込めた口付けを交した。

「いいよ、もう一人で歩けるよ」
「ダメだって」
随分長い間保健室にいた二人が校門を出たのは、もう閉門ぎりぎりだった。
辺りは薄暗がりとはいえ、まだ人影がはっきり見える程度には明るかったが、
支えるという大義名分を得た小蒔はぴったりと龍麻に寄り添っていた。
しかも腕をわき腹に回し、ほとんど二人三脚といった趣だ。
身長差もあって歩きにくいし、だいいち周りの目が気になって余程疲れるのだが、
小蒔は全く気にしていない様子で斜め下から龍麻を覗き上げた。
「えへへッ……学校でするのって、凄いドキドキしたね」
「これからずっと学校でしようとか言うなよ」
「とか言ってさ、ボクの制服姿に興奮してたりするでしょ」
「んなもん毎日見てるだろうが。……おい、もうちょっと離れろよ。歩けねぇって」
龍麻がそう言ったのも無理はない。
小蒔は腰を擦りつけるようにして歩いていて、気をつけないとすぐに靴がぶつかってしまうのだ。
しかも歩みは異様なほど遅く、このままでは家に着くのに何時間かかるのか判らない。
しかし、小蒔はなお身体を離そうとせず、やや改まった調子で告げた。
「……あのさ」
「なんだよ」
「ボク、今……履いてないんだよね」
「何を」
「履くって言ったらひとつしかないでしょッ!
ひーちゃんがさっさと脱がさないから履けなくなっちゃったんだよッ!」
小声で、しかし激しく抗議する小蒔の顔を、龍麻はまじまじと見て、次いでスカートに目を向ける。
「……なんだよ」
龍麻の真剣そのものな表情に小蒔も思わずたじろぐ。
そのまま一呼吸見つめあっていると、いきなりお尻を直接掴まれた。
「ひッ!?」
「本当だ」
「……バッ、バカ!!」
出方次第では今からひーちゃん家行ってもいいかな? とさえ密かに思っていた小蒔だったが、
恥もデリカシーもない龍麻の触り方に一瞬で顔色を薔薇よりも鮮やかな赤に変えると、
何やらいろいろなものが混ざったパンチを龍麻の腰に叩きこんだ。
「……!!」
もうほとんど治っていたとはいえ、今日一晩くらいは安静が必要だった腰に強烈な一撃が与えられ、
龍麻の身体は砂の城のようにもろく崩れる。
「いてぇっ! ……なんだよ、ほんの冗談じゃねぇか……いてて、立てねぇや。
……おい小蒔、待て……小蒔さーん!」
道端でひとりくずおれる龍麻を小蒔は見向きもせず、肩をいからせて歩き去っていく。
それを見送る事しか出来ない龍麻は、この後、
数時間をかけて家まで一人で帰らねばならなかったばかりか、
次の日から小蒔が口を聞いてくれなかった期間の新記録を更新する羽目になったのだった。



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