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小蒔の手が伸びて、龍麻の顎をつまむ。
「今度やったら怒るからねッ」
その仕種があまりに可愛くて、龍麻は次も絶対にやろうと心に決めつつ、腰を動かしはじめた。
あまり自分の話を聞いていないような龍麻の態度に小蒔は腹を立てたものの、
すぐに身体の中心を貫いている怒張に感覚を支配されてしまう。
「ふぅっ……ぅあ、っん……ひー、ちゃん……」
次第に速度を増しはじめた抽送に、リズミカルな喘ぎが重なる。
浅く、深く。
緩急をつけて小蒔の中に埋めた己を操る龍麻は、より深い挿入感を得ようと片足を抱え上げた。
微妙に角度を変えて、小蒔の膣壁が抉られる。
「やだ、それ……だめ…………いい……よ……」
背反する哀願を口にしながら、小蒔は首の少し下あたりに溜まっていく快楽を伝えようと
龍麻の手を固く握り締めた。
しかしその手は汗で滑り、そのせいで龍麻に予想もしなかった動きが生じてしまい、
あっけなく小蒔は達してしまう。
「ひゃぁぁぁっ! はぁぁあ……ぅぅ……」
あまりに急にイッてしまった小蒔に、龍麻も慌ててペニスを引きぬく。
ほとんど間を置かず、ゴムの中で欲望が爆ぜた。
最大の快感を味わう事が出来なかった龍麻は、一瞬、小蒔に不満気な視線を浮かべて慌てて頭を振る。
しかしほぼ同じ感想を小蒔も抱いていたらしく、
しばらく荒い息を吐いていた彼女はシーツを口元に手繰り寄せると、
顔の半分を隠しながらもごもごと口を動かした。
「あのね、ボク……もうちょっと、したいかな、なんて思ってるんだけど……ダメ?」
「……ダメじゃない」
例えその気が無かったとしても、今の小蒔を見たらあっという間になるだろう、そんな表情だった。
実際、精を放ったばかりなのに、もう力を取り戻し始めている。
酷使される事になった屹立が悲鳴をあげたが、龍麻はその不平を無理やり抑えこむと
今度は前戯も無く、始まりを告げるキスを交してすぐに挿入した。
潤みきっている秘壷はたやすく龍麻を迎え入れ、新たな交わりを歓迎して淫滴をしたたらせる。
「うぁあッ……すご、きもち……い……きゃッ!?」
龍麻は感極まったような声を上げ、痴態を振りまきはじめた小蒔の薄い背中に腕を回して、
繋がったまま身体を起こした。
「ぁう……ぁあ……」
より奥まで入ってきた屹立をなだめるように息を整えていた小蒔は、小さな笑みを浮かべる。
「……ひー……ちゃん……」
「なんだよ?」
「なんかね……うぁッ!? もう、ちょっと……んっ、待、待ってっ……たらッ」
何かを言おうとすると腰を打ちつけられ、その度に言葉が止まってしまい、
おかげでたったこれだけ言うのでもうくたくたになって、龍麻にしがみついてしまった。
熱い息が首筋にかかって、なんと表現したら良いかわからない気持ち良さが龍麻の胸に込み上げてくる。
子供をあやすように背筋を撫でてやると、小蒔は怒っている事を示すように耳朶を軽く噛んできた。
「もう……イジワルしないでよねッ。また息出来なかったじゃない」
「悪ぃ。で、なんだったんだ?」
「えッ!? あ……も、もういいや。大したコトじゃないし」
「ふーん……」
「なッ……何さ……え!? 何? …………ふぁぁっ!」
龍麻ははぐらかす小蒔に不気味な笑いを浮かべると、腰を掴んで持ち上げ、
ほとんど抜けそうになった所でいきなり手を放した。
普段では入ってこない場所まで突き上げられ、小蒔は涙を弾けさせながら強すぎる快楽に打ち震える。
「ゃ……ひどい……よ……ビックリ……した……じゃない……か……」
「言う気になった?」
龍麻が再び腰を浮かせると、小蒔は観念したように口を開いた。
「……言う、よ……ボクね、この格好……好き。
くっついてる感じがするし、ひーちゃんのコト見下ろせるし」
意外な告白に、龍麻はとっさに返事も出来ず、
身体を重ねる毎に新たな可愛さを見せる小蒔に、溺れていくのを自覚する。
その想いはもう少しで形になるところだったが、結局口にしたのはいつもの軽口だった。
「自分で動けるからじゃないのか?」
言ってから慌てて頭をかばったが、予想に反して拳骨は飛んでこなかった。
「……えへへ、そうかも……」
小蒔は艶笑を浮かべて頷くと、汗で濡れた掌を龍麻の身体に貼りつかせ、
小さく腰を前後に揺すり始める。
自分で快感の量が調節出来るのが良いのか、少しずつその動きは大きく、
大胆な物になり、やがて上下の動きも加わりはじめた。
龍麻も小蒔が腰を沈めた時に突き上げ、より深く感じさせようと動きを合わせる。
自分で求める快楽は引き出せないものの、
髪を振り乱して悶える小蒔の肢体は、充分に淫猥な視覚だった。
「はぁん、いいよ……すごい、気持ち……いい、の……」
龍麻が、身体の動きほどには揺れていない乳房に手をあてがうと、
小蒔はその上から自分の手を重ね、自ら揉みしだく。
握りつぶすような激しい動きが、絶頂が近い事を示していた。
「やっ……ボク……もう、だ、め……ぁぁあっっ!!」
小蒔の背中が倒れそうなくらい仰け反ったかと思うと、前にくずおれる。
痙攣にも似た媚肉の締めつけに、龍麻はまた中で放ちそうになってしまい、
慌てて小蒔の身体を引き離した。
今度は多少の余裕を持って、二度目の欲望が爆ぜる。
心地良い疲労を感じながら、小蒔を静かに寝かせてやると、自分も傍らに横たわった。
龍麻が目を覚ます。
少し眠ってしまったようだった。
数分か、それとも十分以上経っているのか、確かめる気もおきないまま横にいる恋人の寝顔を眺める。
「ひーちゃん……すき……」
「俺も…………好きだよ、小蒔」
幸せそうな顔で呟く小蒔に、龍麻は小さく笑って髪の毛を梳いてやりながら頷く。
しかし言い終わった直後、小蒔の口の端が微妙に緩んだように見えた。
「!! ……お前、もしかして……起きてる?」
「起きてない……よ……」
今やはっきりと笑みを浮かべながら、小蒔は手探りで龍麻の手を探り当て、掌を重ねる。
龍麻は額を小突いてやろうと思ったが、掌の温かさに免じて許してやる事にすると、
小さくあくびをして再び目を閉じた。
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