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「雛乃……いい?」
「はい……お願い、いたします」
消え入りそうな声ながら艶然と微笑む雛乃は、確かに雪乃と時を同じくして生まれた姉妹だった。
龍麻が腰を沈めると、雪乃が充分に濡らしておいてくれた秘唇は、何の抵抗もなく屹立を収めていく。
熱く潤う媚肉は最奥へと肉茎を招き、早速うねり、締め上げてきた。
いつもよりも熱く、ねっとりと絡みつく彼女の膣に、
そのまま、ただ繋がっているだけで果てそうな気配を感じ、龍麻は性急に動き始める。
「あ……あっ」
床に寝かされた雛乃の髪があわただしく跳ね、得もいわれぬ香りを漂わせた。
快楽にふける龍麻と、恐らく耽っているであろう雛乃。
二人はいいとして、雪乃は一人取り残されている。
さっきの威勢はどこへやら、彼女は女の子らしく両手を膝の前について、
龍麻と雛乃が繋がっている部分を興味津々に覗いているが、
彼女にも同じ快楽を味あわせてやりたい、と龍麻は調子のいいことを考えていた。
と言っても身体は、更に言えば器官はひとつしかなく、
二人を同時に満足させることはいくら龍脈の力をもってしても出来ない。
こうなったらまず雛乃を、それから雪乃も、と、
雛乃を通して流れ込んでくる快楽の波に半ば溺れ、
ますます調子のいいことを龍麻が考えていると、妹が姉の手を取った。
「姉様……わたくしにも、姉様を……」
「お、おう」
龍麻が思いつきもしなかった名案を、雛乃は考えついていたのだ。
酔っていようと雪乃が妹の頼みを断れるはずもなく、どもりつつも頷く。
下からは妹の、上からは龍麻の視線を受け、引くに引けなくなった雪乃は、
下着を脱ぐと、おそるおそる雛乃の顔の上に跨った。
雪乃の、妹と同じくらいには潤んでいた秘唇からは滴が降り注いだが、
雛乃はそれを避けもせず顔に浴び、姉の細い腰を掴んで手繰りよせる。
「う、あッ、雛……ッ」
姉が弱いところは、妹も弱い……ならば、妹が弱いところは姉も弱い道理で、
しかも姉よりは経験が多い雛乃は、巧みに自分の弱い部分を使って姉を責めた。
「んッ、待て、待てった……ら……ッ」
雛乃の中指に、膣のごく浅いところの上壁を引っ掻かれ、
雪乃はたまらず手近にあるものにしがみついた。
しかしその支えは、黙って支えれば良いものを、上半身を引き寄せ、キスを迫ってくる。
「お、お前も止めろ……ッて……っ」
妹に腰を押さえられて身動きがままならないところに、
支えは支えるどころか指を絡めて動きを封じ、唇を奪う。
口の中を吹き抜ける熱風に、雪乃は抗いきれなかった。
「あ……むっ、んッ」
舌だけに狙いを定め、誘い出してくる龍麻に夢中で応える雪乃は、
身体の上下から快感を流しこまれ、呆けてしまう。
どこに力をかければいいのか全くわからなくなって、結果、
二人のしたいようにされてしまうのだった。
「ふっ……うぅ……ッ」
舌をもごうかという勢いのキスをする龍麻と、敏感な芽を、やはり強く吸いたてる雛乃。
二人は示し合わせたように翻弄し、もともと高くはない防波堤を簡単に乗り越える波を雪乃に送りこんだ。
「ん、ん……ッ」
酒を呑んで荒くなっていた雪乃の語調が、みるみるうちに柔らかくなっていく。
そして語調だけでない、身体が醸す雰囲気も、艶やかなものに変わっていた。
龍麻は首をしっかりと抱え、逃げ場のない快感を、
雛乃はくつろげた花唇に舌を埋め、ぬらりと広がっていく快感を、惜しみなく雪乃に注ぎこむ。
「んん……ッ、む、う……っ」
もとは自分が雛乃を責めていた立場だったということも忘れ、
雪乃は快楽を、身体が弾けてしまいそうなほど受けていた。
だらしなく開けてべとべとになるまで舐めまわされる口はもとより、
遠慮がちだった腰も、いつのまにか妹に押し付けるようにしている。
涌き出る蜜を啜られ、火照った媚肉を舐められると、気持ち良くてどうしようもなかった。
熱を感じ、身体が跳ねるたびに力が抜けていく心地良さは、やがて限界を迎える。
「あ、ぁ……ッ!!」
髪を束ねる赤いリボンを大きく揺らし、龍麻の肌に爪を立てて、
雪乃は訪れた激しい絶頂に暴れた。
雛乃の弱点だった白い喉を一杯に反らせ、全身から何かを搾り出すように硬直し、ぐったりとなる。
屹立を包む快美感と、目の前で恍惚の表情を浮かべる女性とがリンクしていないことに
不思議な感覚を抱きながら、龍麻は雪乃の背を撫でた。
「あれ、雪乃……先にイッちゃったのか」
「う……ぁ……だ……って……」
「ちょっと待っててな」
妹に較べてほんの少しだけ細い身体を抱き寄せて、龍麻はそのまま抽送を再開する。
その震動は雪乃にも伝わり、達したばかりの身体を苛む新たな刺激を、
雪乃は過負荷になりながらも受け入れるしかなかった。
「や、ぁ……なんだよ、これ……っ」
「気持ちいいだろ?」
自身が貪る禁断の快楽は伏せて、龍麻は姉と妹の体温を同時に感じる。
真っ直ぐに背中を伸ばした姿勢で、腰だけを動かし、屹立を雛乃に突き入れる。
もちろん激しくは動けないが、三人で同時に交わっているというだけで龍麻も雛乃も
常になく興奮しており、柔らかな肉の奥まで屹立を埋めると、雛乃の切なげな喘ぎが響いた。
それは雪乃を共鳴させるかのように響き、龍麻を追い詰める。
屹立に感じる熱と蠕動は今や最高潮であり、雛乃も終わりがほど近いと龍麻に教えていた。
雪乃をしっかりと抱き、彼女ごと貫くように雛乃に杭を撃ち込む。
数度その動きを繰り返すと、雛乃の膣が細やかな痙攣を始めた。
「龍麻様……! 姉……さ、ま……っ!!」
弱い叫びを残して、雛乃が達する。
汲々と締め上げる媚肉に、ぎりぎりまで堪えた龍麻は、もっとも昂ぶった瞬間に己を解き放った。
「ぅ、あっ……!!」
精を放たれて、雛乃は感極まった叫びと共に果てる。
彼女の上では雪乃が、まるで自分も達してしまったかのように小刻みに震えた。
ぐったりとなった雛乃の膣から、龍麻はまだ硬さを保ったままの屹立を引き抜いた。
雛乃との交わりで精気を全て消費してしまったかと思われたが、
潤んだ瞳で順番を待っている雪乃を見れば、たちまち回復するというものだった。
雪乃は直接快楽を与えられていないのに呆けてしまっており、
尻からそっと足の間に触れても抵抗はみせなかった。
雪乃の秘唇が、すでに充分過ぎるほど濡れそぼっているのを指先で確かめると、
龍麻は息つく暇もなく雪乃の膣へと屹立を沈める。
雛乃の蜜に塗れたそれは、ほどなく新たな熱気と快楽のただ中へとうずもれていった。
「あ……ッ、龍、麻……ッ」
あぐらを掻いた上に汗ばんだ降ろすと、雪乃は戸惑ったように声を上げる。
その隙に、龍麻は一気に奥まで貫いてしまった。
「ふ……あぅッッ」
辿り着いた、と思った瞬間、かくん、と雪乃の身体が落ちる。
強烈に揺さぶってくる快楽の波に耐えながら、龍麻は小さく腰を揺らし始めた。
雪乃の中は雛乃よりもきつく、まだわずかに硬質さを残している。
その中を意識してかき分けていくのはまた違った快感があり、痺れが止まらない。
夢中で背中に腕を回す雪乃の掠れた息遣いは、それを助長するだけだった。
「はっ……ふッ、あッ……んぁっ」
酒の熱だけではない、火傷するような呼気が浴びせられる。
欲情を焚きつける匂いを、龍麻は直接口から吸った。
「んふッ……ん、む……ッ」
呼吸を交換する。
ただれた気持ち良さが脳を灼き、力任せに乳房を掴んだ。
「んぐ……ッ」
呻き声。
力を弱める。
喘ぎ声。
雪乃の声を、龍麻は空気に触れさせることなく変えていく。
屹立が膨らむ。
雪乃の媚道が締まる。
先端で行き止まりを探るように腰を突き出し、密着させた。
「なぁ、龍、麻……っ」
キスをしたまま果てようとすらしていた龍麻に、不意に雪乃が話しかけてきた。
とろとろに掻き混ぜられて、舌がうまく回らないようだったが、懸命に口を動かす。
「お前……っ、これからもい、一緒……だからなっ、オレと、雛……とっ」
その時の雪乃の口調は、確かに姉のものだった。
何故か胸が熱くなった龍麻は、ほとんど快楽の中に霞んでいた意識を引き戻して答える。
「当たり前だろ。ずっと、三人で……だろ」
「ヘヘッ、わかってんじゃねぇか。そういうこと……なんだからなッ」
言い終えた直後、雪乃は絶頂を迎えた。
自分から龍麻にしがみつき、最後のひと波を招き入れる。
屹立が根元まで浸かる感覚に、搾り取ろうと収縮する肉の感覚が混じり、
龍麻をさらっていった。
「あッ、あぁ……っ!!」
雛乃の根元から奪い取ろうとするような蠕動ぜんどうとは異なる、優しくこそぎとるようなうごめき。
こんな部分に二人の意外な違いがあったのだと思いながら、龍麻は雪乃の中で果てた。

目が覚めた雪乃は、不自然すぎる状況がすぐには理解出来なかった。
裸で毛布を被っている自分と雛乃、
そしてこたつに下半身を突っ込んで寝転がっている龍麻。
何かとんでもないことが起きたのでは、と青くなったが、
ずきりと頭に走った痛みが大体のことを思い出させた。
「あいたたた……オレ……」
自分には全く記憶がないので、龍麻が毛布をかけてくれたのだろう。
雪乃は気だるさと感謝の念と気恥ずかしさが一体となった、むず痒い笑みを浮かべた。
しかしすぐに、自分も、気持ち良さそうな寝息を立てている妹も、
裸のままで寝かされたことに軽く不満を抱き、罪のない龍麻に向かって顔をしかめた。
とりあえず雛乃を起こして服だけは着させようとすると、
妹の手がいなくなった自分の上半身があった位置へと伸びる。
「姉……様……」
物心ついた時から変わらない、でも少しずつ変わっている声。
その手を握った雪乃は、妹を起こすのを止め、もう一度布団をかぶりなおした。
触れ合った身体は、とても暖かかった。
何か忘れているような気がしながら、その暖かさに抗う気もなく、
雪乃はふたたびまどろみに落ちていった。

その数分後、雪乃が忘れたものは、ひときわ大きなくしゃみをした。
寒さに身体を震わせたものの、起きようとはせずまた眠る。
家の中とはいえ、一月に裸で眠って無事ですむはずもなく、
龍麻はめでたく風邪を引き、仲良く二人に看病されることになるのだった。



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