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探り当て、握り締め、安心すると、それを待っていたかのように龍麻が身体を動かした。
「いくよ」
「う、うん」
短く告げた龍麻は、雪乃が警戒心を抱いてしまう前に一気に貫いた。
「い、た……!!」
雪乃の腹の中に灼熱の痛みがほとばしる。
あまりに痛すぎてそれ以上は声を上げる事も出来ず、
血と愛液の混じった物と一緒に染み出してくる破瓜の痛みに身を震わせる事しか出来ない。
固く握ってくれている龍麻と雛乃の両の手だけを支えにして、
雪乃は懸命に身体の中を暴れまわる痛みに耐えていた。
息を吐くだけでも痛みが走り、しばらくは小刻みに吐き出すのがやっとだったが、
それも少しずつ元に戻り、弱々しくながら笑みを浮かべた。
「姉様……大丈夫ですか?」
「ひ、な……雛も、こんな……痛かった……の?」
「ええ……初めてした時、二、三日は痛かったです」
「そっ、……か……それじゃ、私も……我慢、しないと、駄目、だよね……」
こんな時まで姉という意識が働くのか、雪乃は心配する雛乃に健気に強がって見せる。
いつも快活な姉が苦痛に顔を歪めているのが痛ましくて、雛乃は落ちつかせるように唇を重ねた。
妹の唇はどこか母親の乳房を思い出させ、雪乃は夢中になって吸い上げる。
雛乃はそれに応えながら優しく姉の髪を撫でてやり、頃合いを見て龍麻に合図を送った。
「雪乃……もう少しだけ我慢して。……動くよ」
ようやく収まってきたのも束の間、龍麻が腰を引いた途端、再び引き裂くような痛みが身体を走る。
けれども今度は耐えられないほどでは無く、それから数度身体の中の龍麻が動くうち、
いくらか痛みも紛れ、その向こう側から少しずつ、不思議な気持ち良さを感じ始めていた。
「くっ……ぁ……ぁぁ……っ、ふ……」
奥深くまでかき分けて入ってくる龍麻の熱い滾りに満たされる喜びが弾け、
戻っていく硬い肉の柱に次の挿入を期待する。
悲鳴に近かった声に柔らかいものが混じり、甘く、情感に溢れた喘ぎに変わっていく。
「たつ、ま……くん……うぁ、ぁ……んっ、んぁっ、ぁぁ………ん」
突き上げられる度に目の前が白くなって何も考えられなくなり、
ただ下腹を蠢く塊を少しでも感じ取ろうと感覚を委ねる。
龍麻も雪乃が性の悦びに目覚めたのを知って、徐々に抽送を早め、
わずかずつ、しかし確実にうねりはじめた雪乃の媚肉に己を叩きつける。
「たつまくん…………ゃ、なに、これ…………ふぁ、なんか……く、る……よ……っ」
せりあがってくる未知の感覚をそのまま口にする雪乃に、
龍麻は容赦なく最後の楔を打ち込んだ。
「だめぇ……っ、ぁぁ、ぁぁああっっ…………!!」
最奥まで入ってきた塊に、身体が歓喜に跳ね、薄く残っていた意識も消し飛んでしまう。
体内に感じた生ぬるい何かを最後の記憶にして、雪乃は心地良く失神した。

目が覚めると、ベッドの上だった。
しかし今度はさっきと違い、何故自分がここに居るのかもう判っている。
気配を感じて顔だけを傾けると、両隣に龍麻と雛乃が添い寝してくれていた。
数分前までとはまるで違って見える二人に、気恥ずかしくなって身じろぎする。
「どうだった?」
「いかがでした?」
同時に尋ねられて、今したばかりの事を思いだし、両手で顔を塞いだ。
両側から笑い声が聞こえ、照れくささが募り、爆発する。
「そんなに笑わなくたっていいでしょッ」
「だって、ねぇ」
「ええ」
「何よッ」
「何でもないよ、ね、雛乃」
「ええ」
女の子同士のようなやり取りをする龍麻と雛乃の肩を、半ば本気で押す。
押された側は怒るでもなく笑みを絶やさず、
雪乃はこの二人に──少なくとも雛乃がいるときは──勝てない事を悟らざるを得ない。
もっともこれは武道とは違い、負けた方が楽しいくらいだった。
「今日はもう帰るね」
笑いを収めた龍麻が立ちあがった時、その手を反射的に握っていた。
不思議そうに振り向いた龍麻はまだ服を着ていなかったから、
当然見たくは無い──まだ、今の所は──物がちょうど目の位置に来てしまい、
目を逸らしながら尋ねた。
「つ、次はさ、いつ来てくれる?」
「いいよ。雪乃が来て欲しいなら明日でも」
「明日……は、ちょっと……まだ痛そうだし……」
下腹部にはまだ股関節が外れてしまったかと思えるくらいの痛みがあって、
到底今日のような事は出来そうになかった。
ところが、龍麻は驚いたように目をしばたかせると、いきなり笑い出した。
「別にしなくてもいいんじゃない? ただ遊びに来るだけなら」
「あ……そ、そうだね」
早合点してしまった事に気付き、赤面してしまう。
今日一日ですっかり主導権を握った雛乃が、それに意地悪く追い討ちをかけた。
「姉様ったら。……明日は、わたくし達がする所を見学なさってはいかがですか?」
「う、うん……。! ち、違う、今のナシ!」
雪乃は頷いてから、自分が何に頷いたのか気付いて急いで首を振ったが、
もちろん二人が聞き逃すはずもなく、我が意を得たりとハイタッチして喜ぶ。
「決まりだね。じゃ、明日も来るからよろしく」
「ええ、お待ちしています」
またからかわれた雪乃はひとりむくれた後、一緒になって笑い出す。
それは、これから始まる三人の生活を喜ぶ笑いだった。



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