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「え、飲んじゃった……の……?」
「ええ……良くなかったかしら?」
「そうじゃなくって……」
「?」
それ以上説明する事が出来なくなった龍麻は、替わりに葵の身体を思いきり抱きしめた。
「きゃっ……何?」
「葵……我慢出来なくなっちゃった」
「え? だって、今……出したばっかり……」
「でもさ、ほら」
龍麻は葵の手を取って、屹立を握らせる。
それはたった今精を出したばかりなのに、萎えるどころか更に大きさを増していた。
「あっ……凄い……」
「でしょ?」
少し誇らしげに言い、再び葵を寝かせる。
切っ先をあてがい、それでもなおすぐに挿入はせずに縦にクレヴァスをなぞると、
肉唇が龍麻を捕まえようとひくつき、失敗して涙を流した。
「だ、め……も、だめ……お願い…」
「お願いって、何が?」
「龍麻の……龍麻のこれ、私の……わたしに、ください……」
ここまで来てお預けを食らってしまった葵は、何かが壊れてしまったのか、
逆手に龍麻の屹立を掴み、入れようとする。
龍麻はあまりに切羽詰った様子の葵に苦笑を浮かべながら、かさになっている部分までを埋めた。
「はぁぁ、ん……っ!!」
ゆっくりと、更に半分ほど沈めたところで、いきなり葵の身体が跳ねた。
「まだ……全部入ってないよ?」
「だ……って……」
あれだけ焦らされたら仕方ないじゃない。
葵はそう続けようとしたが、声にならなかった。
その前に龍麻が再び分け入って来たからだ。
「ひっ……! ぁぁ……」
深々と、身体の奥の奥まで龍麻が入ってくると、それだけでまた達してしまう。
精神のコントロールが効かなくなってしまったようだった。
ふくらはぎが引きつり、小刻みな震えを繰り返す。
「ひっ、あ、うぅ………んはぁぁ……」
龍麻は具合を確かめるように軽く力を込めて葵の中で動かすと、少しずつ腰を引いていった。
「ゆ、ゆっくり、だめ……ぃやぁぁ……」
「なんで?」
「……快感が……続いて……おかしく、なっちゃ、う……」
「じゃ、もう少し早く?」
今度はひと息に撃ち込まれ、たまらず息が止まってしまう。
「いやぁ……お願い、普通に……普通に、して……」
涙声でそう哀願する葵に、龍麻はぴったりと手を重ね合わせた。
「……うん。動くよ」
今度こそ葵の願い通り、龍麻が動きはじめる。
ようやくいつものリズムを感じ取り、少し落ちつきを取り戻した葵は、
自分の身体を分とうとする怒張に肉を委ねた。
身体が引きずりだされそうな苦悦に、内襞を押し広げられる愉悦が重なり、
交互に繰り返すそれは、やがて間隔が短くなり、大きなひとつの快楽となっていく。
「はぁ、はっ、んっ、んっ、くぅ……っ、ふぁ、ぁ……」
龍麻の動きに合わせ、ねとついた声を奏でながら、なお淫精を搾りとろうと微妙に腰を蠢かせる。
龍麻はそれから逃れるように腰を引くと、勢いをつけて撃ち込んだ。
「んあぁっ! ……あぁ、はぁん、いい、いいの、龍麻ぁ」
欲情にまみれた葵の足が腰に絡みつき、龍の精を胎内に吐き出させようとする。
腰が溶けそうな快感に、龍麻もそのまま中で放ちたかったが、それだけは避けねばならなかった。
自分達には万が一の事態さえ許されないのだ。
無論行為をする以上可能性はゼロではないが、行為自体を止める事など到底出来ない以上、
これは受け入れなければいけない、忌まわしい宿命だった。
「いやっ、私、も、う…………だめ、イク、イク、のっ……いやぁぁっっ……!」
葵も当然それは知っているはずだが、焦らされすぎて忘れてしまったのか、
龍麻の事など構わず一人で達してしまった。
龍麻は葵の絶頂が収まるまで、背筋を暴れ回る、
暴力的なまでの快楽に歯を食いしばって耐え、足が弛緩した瞬間腰を引き抜く。
ぎりぎりの所で持ちこたえた屹立が限界を超え、精を解き放った。
一度出したばかりなのに量も濃さも変わらない体液が飛び散り、
繊毛からへそにかけてが、乳白に濁る。
「あぁ……龍、麻…………」
意識してか否か、腹部に撒かれた粘液を指で拾いながら、
葵は精魂尽き果てた様子でそのまま目を閉じ、龍麻も、少し遅れてそれにならった。

「葵……お茶飲みたいな」
「あ……ええ、ちょっと待ってて」
ただれた眠りから目覚めた葵は、龍麻の為に身体を起こし、
傍らに脱ぎ捨てた制服を適当に着込んだ。
焦らされていた時間が長すぎたからか、未だ五感がぼやけていて、ふらふらとしか立ちあがれなかった。
龍麻にお茶を出したら、家に電話をしないと。
でもその前にシャワーを借りて、それから……
ぼんやりと、そんなとりとめの無い事を考えながら冷蔵庫の扉を掴んだ所で、
いきなり後ろから抱きすくめられた。
「ごめん……葵の生足見たら、我慢出来なくなっちゃった」
「やっ、待って龍麻……本当に……っん、ちょっと、休ませ……ふぁあぁぁっ!」
葵に腕を掴まれたものの、そこにまるで力の入っていないのをいい事に、
龍麻は言いながらスカートをまくりあげ、そのまま挿入してしまう。
「こん、な……後ろからなんて、だめ……だめよ……やぁぁ……っん……」
しかし息が詰まるような牡の体臭に、身体は言葉を裏切り、あっという間に龍麻を呑み込んでしまう。
はしたない……でも、すごく……気持ち、いい……
ずるずるとドアにしがみつきながら、
葵はようやく戻ってきた理性の灯火がまた消えようとするのを感じていた。
そして反対側から膨大な火力で新たな炎が燃え盛るのも。
「はぁぁっ、ん………いい……龍麻ぁ、そ、れ……いいのぉ……」
「後ろから……本当は好きなんじゃない?」
「ええ…………好きぃ……好きなの……」
枷が外れたように喘ぎ、自ら尻を擦りつけてくる葵に、龍麻もすぐに腰を大きく打ちつけて応える。
葵の膝が震え、冷蔵庫にしがみつく事も出来なくなってずるずると白い扉を滑り落ち、
龍麻に支えられた腰だけを残して床にへたりこんでしまった。
「葵さ、今日は泊まっていけば?」
「でっ、でもっ、あんっ、それ、は……」
「そうしたらさ、一晩中出来るよ」
「あぁっ……ふぁぁっ、わた、し……」
「葵はさ、もっとしたくない?」
「……したい、わ……もっと、ずっと……あなたと、龍麻と、ずっと……していたい……」
蕩けきった声で叫ぶ葵に折り重なるようにしながら、龍麻は抽送を再開させる。
二人の夜は、まだ始まってもいなかった。



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