<<話選択へ
<<前のページへ

(4/4ページ)

「あぁ……龍麻、が…………入って……」
普段より奥まで入ってきた感じがして、葵はしばらく声も出せなかった。
焼きごてを縛り付けられたように熱い背筋をぴんと伸ばし、押し寄せる愉悦の波をひたすら耐える。
そのまま微動だにしない葵に、少しだけ心配になった龍麻が声をかけた。
「大丈夫か?」
「え……ええ……平気………」
うっすらと甘い響きが混じるその声に安心して、下から手を伸ばし、双乳を支える。
小刻みに腰を動かすと、やや遅れて動きが掌に伝わってきた。
それが面白くて、何度か繰り返す。
「ぁん……もう……駄目……待って……」
落ちつく暇もなく送り込まれる快楽に葵はとうとう音をあげたが、
龍麻は容赦なく腰を支え、繋がったまま身体を起こした。
「ふっ! ……ん、たつ……ま……」
膣内がうねり、屹立に重みが加わる。
ほとんど動くことは出来なくなってしまったが、
この姿勢でいるだけで葵は感じてしまうようだった。
「この、角度……好き……」
「角度って……凄い事言うね」
「だって……他に言いようが無いでしょ?」
龍麻の首にしがみついた葵は、前に投げ出した足を、腰にぴったりと回す。
尻の少し上あたりに触れる踵が、龍麻にはひどくいやらしく感じた。
下腹を覆う蔭りまでもが、ひとつになろうと絡みあう。
「お、おい……」
「お願い……龍麻も」
龍麻が応じると、葵は足をいっそう固く閉じ合わせた。
それに合わせて収縮する媚肉が屹立を苛み、龍麻は葵の肩に口を押し当てて喘ぎをこらえる。
「龍麻……好きよ、大好き……」
「葵……」
そのまましばらく、深く抱きあっていると、急に葵が小さく、気持ち良さそうに身を震わせた。
期せずして目が合うと、目の端が恥ずかしそうに染まる。
「俺、まだ何にもしてないよ」
「……だって……」
「だってじゃないよ。もう一回、するよ」
「もう少しだけ待って……きゃっ」
さっきは待ってもらったくせに、自分勝手に頼みを無視した龍麻は、もう一度葵の身体を横たえ、
一度腰を引くと、奥まで深さを確かめるようにゆっくりと突き入れた。
「くぅっ……、はぁあぁっ……」
語尾に重なるように、蜜が掻きまわされる淫らな音が耳を撫で、
一度、二度、反応を試すように腰を打ちつけると、本格的に動きはじめた。
「う、くっ……いい、の……っは、あぁ……」
潤みきった膣の中を剛直が進むと、怯えたように道を開きながらも、
次の瞬間には一斉にまとわりついて搾りたてる。
もたもたしていると押しつぶされてしまいそうな気がして、抽送を速めた。
「あっ、ぁっ……やぁ……気持ち……いい……」
眉を寄せ、泣きそうな顔で快感を口にする葵に応えようと、
前後だけでなく、円の動きも加えて膣壁を抉る。
「ひっ! それ………いい、の……」
下から押し上げるように突き入れた時、葵の反応が変わった。
もう一度、今度は確かめるようにゆっくりと屹立を押しこむ。
「いやぁ………お願い、もっと……強く……」
我慢出来ない、と言った風に腰が蠢き、少しでも悦楽を貪ろうとする。
龍麻は意識して上壁を擦りつけるように腰を引くと、一転して勢い良く撃ち込んだ。
「は、ひゃあぁっっ……!」
びくっ、という締めつけと共に、今まで聞いたことのない淫らな叫びが龍麻の鼓膜を叩いた。
「ここ……いいの?」
「ええ、いいの……凄い、んっ、おかしく……おかしく、ぅあ、なって……あぁん……っ!」
髪を振り乱し、壊れてしまったように喘ぐ葵に、龍麻の頭の中で何かが焼き切れた。
何も考えられなくなって、ただひたすら淫楽を貪る獣と化して葵と交わる。
「ふっ、ぁぁん、やぁ……っ、そう、もっと、強く……あふぅっ」
「葵、も、う……俺……」
「私……私、も……くぅ……っ、い、一緒……に……ああ、だめ……だめぇっ……!」
葵の快楽に染まりきった嬌声が室内に響き、絶頂を迎える。
最後の締めつけを存分に味わった後、龍麻も限界を超えた怒張を引き抜いた。
一瞬、空白の時が流れ、次の瞬間、葵の腹に向かって白濁が勢い良く放たれる。
「はぁ、はぁ……龍麻の……熱い……」
葵がへその辺りに飛び散った粘液を無意識に撫でながら、放心したように呟く。
龍麻はその傍らに倒れ込みながら、つい今しがたの痴態を思い出していた。
「なんか……凄かったね」
「いやだ……言わないで」
乱れた髪を整えてやっても、葵は感じすぎたのが恥ずかしいのか、顔をそむけてしまう。
顎に手をやり、優しく振り向かせると、頬も、耳も、顔中が熟れた林檎のように紅くなっていた。
呼吸の邪魔をしないよう、軽く唇を合わせると、葵の方から激しく求めてくる。
それでも長続きがするはずもなくすぐに力尽きてしまい、龍麻は慌てて腕枕で支えてやった。
「だって初めて見たよ。あんなになるの」
「やめてってば」
「でも、可愛かった」
「……知らない」
しつこくからかわれて、もう限界、とばかりに胸板に顔を埋めてしまった葵を、
龍麻は飽きもせずずっと抱き締めていた。

「どうするの? どこか出かける?」
二人は、あれだけ激しく身体を重ねたのに、まだタオルケットの中にいた。
しかも、ほとんど密着したままで。
いいかげん起きないと、という思いはあるものの、それを上回る、
居心地の良さとけだるさがミックスされた幸福が、二人に楽園から出ることを渋らせていた。
現にそう尋ねた葵自身が、自分にその気がないことを示すように、再び龍麻の身体を撫でている。
「もうちょっとだけこのままくるまってようか」
「私はいいわよ、一日中だって」
「うーん……とりあえず昼までにしよう」
妙に弱気な龍麻を咎めるように頭を引き寄せた葵は、唇が触れる寸前の位置で囁いた。
「お昼までなんて……キスだけで終わっちゃうわよ」
「キスだけって、今まだ9時過ぎたばっかり……んっ」
ばさばさと暴れていたタオルケットが落ちつきを取り戻し、
部屋に偽りの静寂が訪れる。

……結局この日、二人は一歩もタオルケットから出ることはなかった。



<<話選択へ
<<前のページへ