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「い、い……」
細い顎を上向けて漏らした女神の声を、サキュバスは聞き逃さなかった。
快楽に浸ったイシターの耳を甘噛みして囁く。
「ね? イイでしょう?」
一瞬、イシターの横顔に正気が戻る。
淫魔を前にして、醜態を見せてしまったことを悔やむような表情だった。
しかしそれも、サキュバスが爪の甲で乳首を撫でるとすぐに押し流される。
「んっ、ふぅ……っ」
右手を口に押し当てるイシターの声は、すっかり甘くなっていた。
背中もすっかりサキュバスに預け、快楽のみを享受することに夢中になっている。
それでもなお美しい女神の顔に刺激され、サキュバスは彼女を寝かせた。
全身の力が抜けているようで、全く抵抗する気配もなく横たわったイシターの顔が、
ギルに腰を突かれるたびに小さく上下する。
彼女の顔の上に跨ったサキュバスは、恥ずかしげもなく腰を落とした。
すでに薄く開いている秘唇から透明な滴が垂れ、女神の顔を汚す。
だがそれは、既にカイの唾液と自身の涎に塗れている顔に、新たな淫色が加わっただけのことだった。
「あたしのも……舐めて」
「んっ……んむうッ」
同性の恥部を押しつけられたイシターの鼻腔に、強い臭いが入ってくる。
決して良いとは言えないその芳香は、しかし、イシターが司るものの香りだ。
頭の奥にまで染みてくる性臭に誘われたのか、イシターは命じられるまま舌を伸ばした。
「あ……ッん」
サキュバスはカイの腰を揺すり、女神に秘唇を舐めさせる。
健康な少女の身体は激しい交わりを見てすでに反応しており、
女神の舌が触れた途端、淫蜜がとろりとこぼれだした。
「そうよ、そう……もっと奥まで、ほら」
高貴な女神に奉仕させて興奮がいや増したサキュバスは、身体を倒し、ギルの顎を掬う。
「カ……イ……」
イシターを犯していたギルが、我に返ったようにつぶやいた。
恋人を前にして、不貞を働いていると気付いたのだ。
しかし目の前のカイはそれを咎めることもなく、艶美な微笑みで顔を近づける。
触れ、貪る唇に、ギルが抗うことなどできなかった。
「そう……もっと犯して。あたしを助けたければ、もっと犯しなさい」
舌先に伝わってくるカイの声に、ギルは従う。
それが異常な、本当のカイならば決して言わない命令であると気付く理性は、ギルにはもうなかった。
「んっ、んぐっ、うぅ、うっ」
悪魔に命じられ、抽送を早めるギルに、イシターの喘ぎも高まる。
人間と悪魔に犯されているという意識も薄れ、
突き入れられる肉棒の熱さだけが全てとなっていた女神に、絶頂は望み通り与えられた。
「んっ、あ……ッ! あぁぁ……ァッ!!」
カイの股の下で達したイシターは、美しい肢体をいっぱいに仰け反らせる。
絶頂の恍惚は、ギルの精液が注がれることで一層性愛の女神を押し上げた。
「うはぁ……っっ」
体内を満たす熱い感覚にイシターは酔いしれ、意識を失う。
長い淫声が、いつまでも神殿の壁に反響していた。
イシターがまどろみから目を覚ますと、ギルとカイはまだいた。
二人とも衣服を着てはおらず、イシターは気を失っていたのがごく短い時間だと知った。
身体を隠そうともせず棒立ちのギルと、彼にしなだれかかっているカイに、
自分一人横たわっていたイシターは急に羞恥を覚え、身を起こした。
乳房だけを隠したイシターは、カイがブルークリスタルロッドを手にしているのに気付く。
イシターが反射的に手を伸ばそうとすると、その寸前にサキュバスはロッドを巧みに遠ざけた。
「ふふっ……きれいな青色よね。神の祝福を受けたロッドには、どれだけの力が詰まっているのかしら」
「いや……止め、て……」
「でもこのままではこれはあたし達には扱えない。だからあなたのいやらしい蜜で穢れさせる」
悪魔の宣告に、女神は怯えた。
愛液と精液に汚れた股をだらしなく開いたまま、恐怖に後ずさりする。
その片足を無造作に掴んだサキュバスは、まだ淫猥な熱気漂うイシターの裂目にロッドを押し当てた。
「い……いやぁ……」
片足を掲げられ、限界まで足を開かされたイシターに、抗う力は既にない。
子供の握りこぶし大ほどもある青い宝石の埋めこまれたロッドが、
入ってはならない場所に入っていくのを、悲鳴をあげて受け入れるしかなかった。
「ひッ……んはぁァッ……!!」
火照る淫唇に触れる、冷たい宝石。
それは過度な刺激となって、イシターを狂わせる。
「はっ……入らな、い……やめて……やめ……ッ、ひッ」
サキュバスは無造作に、その実計算された強引さでロッドを挿入していく。
人間の娼婦でもとらされないであろう屈辱的な格好のまま、
聖娼は男のものではない異物を膣に呑みこまされていった。
「あッ……は……」
宝石部分が全て女神の体内に入ったところで、サキュバスは挿入を止める。
顔に恍惚をたゆたわせ、両の乳首はしこり立たせ、威厳もなく大股を開かされ、
その上股間からは己の持ち物であるロッドがだらしなく突き出ているのが、
たとえようもなく哀れだった。
もはや彼女がその美貌以外に神であることを示すものはない。
最も信仰深きものでさえ、人間と悪魔に犯された彼女をみて女神だなどと信じないだろう。
自分の宝物を挿入されただけでもイシターは息も絶え絶えになっていたが、
むろんサキュバスはそこで手を止めはしなかった。
苦悶と恐怖に顔を青ざめさせる女神に、嗜虐的な笑みを与えたサキュバスはロッドの柄を回す。
宝石が肉壁を抉り、イシターは新たな苦痛と快楽の海へと沈んだ。
「うぅ……んッ……」
「あら、女神様ったらこんなのでも感じちゃうの? 本当にだらしないのね」
女神の表情が堕ちていくのを微細に眺め、サキュバスはもう奥まで入りきっている先端を更に奥に押しこむ。
「ひぅぅッ……!」
悪魔の玩具と化した女神は、端整な唇をめくりあげ、涎を吐き散らして悶える。
腰を浮かせ、少しでも狂気じみた悦楽から逃れようとするが、足首を掴まれていてはどうしようもない。
「だめ、やめて、やめて……ッ、かはっ、あッ」
女神は哀願する。
襲い来る魔淫に対しての必死の頼みは、最も残酷な形で聞き入れられた。
「ギル」
サキュバスは命じ、イシターを持ち上げさせる。
「何……を……」
小柄な身体に似合わぬ膂力で、大きく足を開かせたままイシターを抱えたサキュバスは、
ギルに最後の陵辱を命じた。
「いいわよ、ずぼっとやっちゃって」
女神の尻を押し割り、狭間に息づく薄褐色のすぼまりを露にさせる。
性を知り尽くしている淫魔は、性愛の女神でさえ知らぬ快楽を宴の最後に与えようとしたのだ。
「止めて、お願い、お願いです、そこは……」
ロッドがもたらす痛みも忘れ、サキュバスの意図を察したイシターは必死に頼む。
しかしサキュバスも、背後に回って彼女の命令に従おうとするギルも、女神の言葉に耳を貸す気配はなかった。
「ひッ、い、いや、いやぁァッ!!」
最後の抵抗とばかり、イシターは尻に力を込め、不浄の孔を閉じようとする。
それは人々の信仰を集めた大女神としてはあまりに醜く、みすぼらしい仕種だった。
しかも一層悲惨なのは、それがわずかに肛門への挿入を妨げることさえできなかったことだった。
全身に力をたわめて尻孔をすぼめるイシターに、サキュバスはギルに手伝わせ、ロッドを勢い良く回す。
ただそれだけで、皮肉にも力を込めたことで狭まっていた膣壁が、
気が狂うほどの感覚をイシターに与えた。
「い、ひ……っ!!」
白目を剥いたイシターは、蛙のような悲鳴を発してぐったりとなる。
そこに、ギルの男根が突きこまれた。
「……ッ!!」
男根が後ろの孔から、イシターの身体を貫くほど侵入すると、
押し出されるように前の穴から愛液が噴きだした。
蒼い宝石を染めあげ、柄にまで滴った白い濁り液が、
イシターの身体を前から抱えているカイの肢体を汚す。
ギルとカイに挟まれ、ほとんど畳まれた女神の腹は、二本の異物に満たされて異様に膨らんでいた。
ほとんど気を失っているイシターは、呆けきった女神に欲情したサキュバスに舌を貪られても、
口を開いたままいいようにされている。
「うふふ……お腹がはちきれそうになってるわよ」
愉しそうなサキュバスの声も、イシターには聞こえていない。
少しでも痛みを減らそうと、呼吸を浅くするのに必死だからだ。
息を止めることが可能ならばそうしてしまいたいとさえ思う女神に、サキュバスは微笑む。
だがそれは、まさしく悪魔の微笑みだった。
腹の異物が、動く。
背後から突き上がってくる、恐ろしい感覚。
自分の身体が腹だけになってしまったような、
何が起こっているのか考えることさえ許されない凄まじい感覚に、イシターの心はもう耐えられなかった。
男根が腹の中で爆ぜる。
だがそれは、本来行われるべき生命の道の中ではなく、汚れた不浄の孔の中でだ。
そして性愛の女神は、尻孔を灼く精液に、これ以上ない悦楽を感じ、狂おしいほど果てた。
「あ、ぉぉ……ッ!!」
脳髄にまで快楽を染みこまされたイシターは、足の指先まで突っ張らせ、痙攣を繰り返す。
涎と愛液をぼとぼとと垂らす彼女の、足の間から生えているロッドが、
堕ちた持ち主を嘆くように幾度か震え、そして落ちた。
ロッドはイシターの濁った絶叫をかき消すように、澄んだ音を立てる。
イシターをギルに預けたサキュバスは、口許にカイは作らない笑窪(をたたえると、小さく何事か呟いた。
最後まで言い終えるか終えないかのうちに、糸が切れたようにカイの身体が崩れ落ちる。
彼女が倒れた後に、一人の女が立っていた。
蝶がさなぎを捨てるように現れた、カイとイシターのちょうど中間の年頃の女は、
やはり彼女達の中間に位置する肉感的な肢体を有していた。
カイが庇護を、イシターが敬愛をそれぞれ見る者に抱かせるように、この女は劣情を与える。
未だ性すら知らぬ子供から既に老境に達した老人まで、時には同じ女にすら興奮を与えるこの女こそが、
ギルをそそのかしてイシターを陵辱させたサキュバスだった。
務めを終えたサキュバスは、足下に転がる神の道具を拾い上げる。
神の加護が残っていれば、決して悪魔などには持つことができないロッドは、
何も反応を示すことなく手に収まった。
既に聖なる力は、女神自身の手によって喪われていたのだ。
女神の愛液に浸かった聖なるロッドを、サキュバスは長い舌で舐めまわした。
「美味しい……これでドルアーガ(も天上(に行けるようになるわ」
悪魔軍の、天界への侵攻。
それがどのような結果になるにせよ、巻きこまれる人間界は大いなる混乱に陥るだろう。
わずかに輝きを変質させた聖なるロッドを携えたサキュバスは、なぜか不思議な口調で告げた。
「だからギル、あんたはもう少しここに居た方がいいわ。
約束通りカイはあんたの魂を分けて復活させてあげるし、それにここにはいい遊び相手もいるし、ね」
しかしサキュバスの声は、もうギルの耳には届いていなかった。
カイの恋人であった王子は、傍らに倒れる彼女に目もくれず、
肛口に突きたてた肉茎を、半ば気を失い、弛緩している女神に構わず振りたてている。
這いつくばらされたまま豊かな尻肉を無惨に割られ、
その中心を欲望で貫かれたイシターは、犬のように舌を垂らし、
悲鳴とも嗚咽ともつかぬ声を発し続けていた。
交わる二人を見ていたサキュバスは、茶色の髪をわずかに揺らす。
髪と同じ色の瞳は、一瞬だけ憐憫の輝きを発したようにも見えたが、それを確かめる者は誰もいない。
ロッドを携えたサキュバスは、ドルアーガに報告に向かうために姿を消す。
その直後、ひときわ甲高い喘ぎ声が、神殿のあらゆる壁に残響となって染みた。
神は死に、悪魔は去った。
だがそれを嘆くものも、祝福するものも、もうここにはいなかった。
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