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「サラ」
ベネッサに呼ばれ、サラは顔を上げた。
何事かと目で訊ねると、葵を抱き起こしたベネッサは、サラにしがみつかせるように膝立ちにさせる。
意図を察したサラは、ベネッサと前後から葵を挟んだ。
「ふぁ……?」
続けて達しさせられてしまい、ぐったりしている葵はぼんやりと呟くだけだ。
そこにサラがまず、ベネッサにくつろげられた秘唇へと指を挿れた。
「っ……!!」
もう過敏なほどに感度が増している葵は、
ほんの指先を挿入されただけでもほとんど達しそうに感じてしまうようだ。
倒れないよう細い腰に腕を回し、サラが支えてやると、ベネッサが葵の背後に立った。
ベネッサの狙いが葵の、最後の孔であることを知っているサラは、
訪れる衝撃に葵が耐えられるよう腕に力を込めた。
胸と同じ、引き締まった小ぶりな尻を眺め下ろしたベネッサは、双丘の麓に中指を添える。
逸る心を抑え、合わさっている尻たぶを押し割って秘孔を目指す。
そして指先がすぼまりの感触を捉えると、一気に孔を塞いだ。
「ひっ……! ゃ、いや……っ!」
期待通り、葵は大きく身体をしならせて反応した。
まだ指は挿れず、孔を塞ぐように腹を当てて円を描くように刺激すると、
ぴたりと吸いついたアヌスが、貼りついた異物を拒もうと閉じる。
ベネッサは急ぐでもなく、指をこじ挿れようとはせずに、挟みこむ尻肉の弾力をまずは愉しんだ。
「葵のお尻の孔、ひくひくしてるわよ……早く挿れて欲しいんじゃない?」
「そっ、そんな……こと……ありまへん……」
葵が答えようとするつど、孔を押してやる。
喋れば指を迎えいれてしまうため、葵は必死に堪えるが、
身体には隠しようのない官能の滴が一気に噴き出していた。
赤らんだ肌に浮かんだ甘露を舐め、ベネッサは愛撫を続ける。
「ベネッサ…………は……っ、はっ、あぁ……いや……ぁ……」
下腹に力を入れ続けることなどいつまでもできはしない。
ましてやサラの執拗な愛撫と、ベネッサの強烈な責めを同時に受けては、
いかほども耐えられるはずがなかった。
「ほら、もう少し我慢しないと入っちゃうわよ?」
「くっ……ん……」
葵は唇を噛んで下から噴き上げる官能の波を堪えるのに精一杯で、
挿れたがっていたベネッサが、いつのまにか焦らしていることにも気づかない。
意識は全て腹の中と尻孔に行ってしまっていて、その意識も、少し動いただけで弾けてしまいそうなのだ。
孔の周りをやわやわとくすぐる指の動きが、鮮明に頭の中で軌跡を描く。
そしてその軌跡をかき消すのは、身体の中心を掻き回す強烈な快感だ。
サラは葵の憧れる、細く白い指を付け根まで埋め、ねっとりと肉路を掻きまわす。
ベネッサには及ばないが充分に葵の弱点を把握している指は、
強く、弱く、気が狂いそうな快感を続けざまに送りこんできた。
「ひぁ……っ、いやや、こんなん……おかし、なって……」
口を閉じることさえできなくなった葵は、口の端に涎をこぼしながら悶えた。
それでもまだ、ベネッサが指を押しこもうとすると抵抗を感じる。
この期に及んでまだ拒む葵に、サディスティックな気分を抱いたベネッサは、
もう片方の手でおもむろに葵の尻を掴んだ。
「ひっ……!!」
効果は劇的だった。
かつて初めて被虐の洗礼を受けた臀部は、受けた痛みと悦びのことを忘れていなかったのだ。
頑なに拒んでいた葵は、身体を一瞬硬直させたかと思うと、力尽きたようにサラにしがみついた。
締まり、また弛緩する尻肉を堪能したベネッサはそのまま尻を揉みはじめる。
掴んだ時とは一転、さするような優しい揉み方に、葵は嗚咽めいたものを漏らしていた。
「イッちゃったのね……可愛いわよ、葵」
しかしベネッサの口調には、言葉と裏腹の炎がゆらめいている。
葵の痴態はどれほど見ても飽きるということがなく、
むしろ葵が一度達するごとにベネッサの欲望は燃えさかっていくのだ。
「またお尻、叩いてあげましょうか?」
耳朶を噛みながら囁くと、葵は怯えたように首を振る。
安心させるために耳の中にキスを放ったベネッサは、
葵の緩んでいる孔に指を立てると、少しずつ呑みこませていった。
小刻みに上下に揺らしながら、狭い孔に押し込む。
痺れるほどの締めつけを過ぎた熱い隘路は、柔らかくベネッサの指を包みこんだ。
「ベ、ベネッサ……はん……か、かんにん、して……おく、れや……っ!」
「そんなこと言って、おいしそうに飲みこんでいくわよ?」
「そ、そんなこと、ありまへん、から……お願い、かんにん……ひんっ」
「葵のお尻……凄く素敵よ。キツくて、温かくて……葵も本当は好きなんでしょう?」
「そ、そないなこと……やっ、指……動……あぁ……」
半分ほど埋まった指を、ベネッサは好き勝手に動かす。
体の中を縦横に掻き回される感覚に、葵は足を限界まで突っ張らせて悶えた。
「お尻……お尻は、あかん、あかんから……」
腰を浮かせ、少しでも倒錯の快感を減らそうとするが、むろんそんなことで指が抜けるはずもない。
それどころか尻孔のベネッサの指と、膣に入れられているサラの指まで自分から掻き回すことになって、
葵は秘唇から新たな蜜をこぼす羽目になった。
「あぅぅ……いや、いやぁ……」
強すぎる快楽を、葵はほとんど本能的に拒む。
すでに身体は二人を完全に受け入れていたが、
朝からこんな痴態を晒してしまってという羞恥の念が最後の砦となって、ただれた快楽を否定させたのだ。
しかし、拒めば拒むほど、サラとベネッサの嗜虐心をそそってしまうことに、
幸か不幸か葵は気づいていない。
葵を前後から挟む、二人の女性は、一瞬、目で示し合わせたかと思うと、
猛然とそれぞれの愛をぶつけ始めた。
葵のヴァギナに中指を挿入したサラは、程よく締め上げる葵の隘路の中で指を曲げる。
外側では勃起したクリトリスを親指で擦り、葵の急所を同時に刺激してやった。
「あはぁ……っ! サラ……はん……っ、それ……それ、あかん、あかん……っ」
葵の腰がくいと持ちあがり、はしたない格好を晒す。
蜜を吐きこぼし、卑猥に腰をひくつかせる葵に髪を振り乱されて頼まれても、
サラもベネッサも聞くことはできなかった。
「あっ、はっっ……ほんま……に……かんにん……っ」
サラは泣き叫ぶ口すら塞ぎ、劣情に濁った唾液を流しこんだ。
「んっ、ぐっ……うむぅぅっ」
無理やりに嚥下させ、飲み下したと見るや新たな唾液を飲ませる。
葵は小鼻を一杯に膨らませてそれを受け入れるが、ようやくサラが口を離したかと思うと、
今度はベネッサに同じことをされる。
息をする暇も与えられない葵は、ただ快感のみを受け続け、一気に昇りつめていった。
「あかん、イク……っ! もう、イッてまう……!!」
小刻みに震えていた肢体が寸時、硬直する。
次の瞬間、堰を切ったように大きな痙攣が葵を襲った。
「あぁぁぁっっ……!!」
幾度経験しても慣れることのない強烈な波。
アメリカに来るまでは知りもしなかった、そら恐ろしいほどの快楽に翻弄され、
意識が白むほどの絶頂を迎えてしまった葵は、自分を支える力も失い、ぐったりと崩れおちた。
しかし、身体に巻きついた二本の腕が、倒れてしまわないように支えてくれる。
その腕の力強さ、あるいは温かさこそが、葵が安心して身も心も委ねられる安らぎだった。
いつも必ず支えてくれる腕が、今日も支えてくれたことに安堵と喜びを覚えつつ、
葵は訪れた倦怠にゆったりと横たわった。
葵の甘蜜に濡れた指を舐め終えたサラは、ボディーガード兼友人兼恋仇に親しく呼びかけた。
「さ、それじゃシャワー浴びて朝ご飯にしましょうか」
「はい」
あれほど激しく葵を責めたてたのが嘘のように平静を取り戻しているベネッサは、
雇い主兼友人兼お邪魔虫に礼儀正しく答えた。
そして二人に悲痛な声で訴えたのは、二人の友人兼妹兼恋人だった。
「ま……待っておくれやす」
「どうしたの?」
「あの、腰が……立てへんようになってしもうて……」
助けを求める葵を、なぜか冷たい瞳で見下ろしたサラは、
不自然なほどゆっくりと視線をベネッサに向けた。
「ベネッサ」
「はい」
ベネッサも直立不動の、命令を受ける兵士といった姿勢でサラに正対する。
葵に口を差し挟む隙を与えない、完璧な所作で、二人は事務的に話しあった。
「今日の予定は全部キャンセル。部屋には鼠一匹入れないように、電話も配線を引っこ抜いておいて。
食事は部屋の外に運ばせるように。大至急手配して」
「イエッサー」
敬礼をひとつ施すと、ベネッサは素早く駆け出していく。
何が起こっているのか理解できていない様子の葵を、サラは丁寧に抱き上げた。
「Are you ready for this?」
「へぇ!? い、いえ、まだ……ノー……たっ、助け……!!」
あがりかけた悲鳴は、勢い良く走り出した足音にかき消されていった。
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