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五本の指がひとつになったように痺れている。
爪の間にまで舌を這わせた葵の愛撫は、ベネッサをぐずぐずに蕩かしてしまっていた。
「あぁ……っあ、は、ぁぁ……っ」
妖しく光る足先は、まだ葵に弄ばれていた。
指の間に唾液を落とされ、薄く、まんべんなく延ばされる。
神経にまで葵の体液が染みこんでくるような、途方もない快感は、
断続的なエクスタシーとなってベネッサを襲っていた。
身体はとうに理性のコントロールを離れ、だらしなく快楽を貪った挙句勝手に達している。
小便を垂れ流しているのではないかというほど股間は濡れ、尻の谷間にまでしっかりと伝っていた。
とめどなく蜜を吐き続けたヴァギナは、物欲しそうにとば口を開けている。
ベネッサの意識がかすむほどの長い時間足先を弄んでいた葵は、
ようやく愛撫を止めると、快楽の潮に呑まれて足を閉じることもできない彼女の、
淫熱漂う股間に顔を寄せた。
「……ぅ……」
爪の甲で洞を撫でると、質感にあふれた腰がひくりと跳ねる。
すでにどんな刺激でも快感に変わってしまうところまで追いやられたベネッサの身体は、
哀れなほどあさましく刺激を欲していた。
微弱な愛撫にも貪欲に応え、花弁から蜜をこぼす。
闘うために鍛えられた肉体は、すっかり性の悦びに打ち震えていた。
秘裂を両手で押し広げた葵は、鮮やかなピンク色に輝く媚肉を晒けださせると、
褐色の景色に浮かびあがった艶やかな色に、誘われるまま舌を伸ばした。
「くっ、ぅ……!」
ベネッサの腰が面白いように跳ねる。
快感に惑い、意のままに踊る肉体が愛おしくて、葵はより深く舌を埋めた。
「あっ、あ……! はぁ……葵……ぃ」
ベネッサの右手が頭を掴むが、その力はいかにも弱々しく、
続きを促しているようにしか感じられない。
葵は手櫛を入れさせたまま、ベネッサの身体の奥底までまさぐり、染み出す愛蜜を音を立てて啜った。
「ひんっ、あ、あっ……!! っぁ……ああっ……!!」
絶えず漏れる嗚咽の、トーンが上がっていく。
頃合いを見た葵は、人差し指と中指を束ね、ベネッサの淫洞に沈めていった。
「うぁっ……! あ、あぁ……っ、ぅ、あ……」
深々と沈んだ指を、深さを測るようにそっと動かす。
温かく、身震いしてしまうほど快い肉壁の感触を、葵は堪能した。
「ベネッサはん……ほんまやらしおすなぁ、こないにしはって」
「っあ、あおい……っ! あ、あ、んくっ……!!」
水音に急かされるように、葵は指の動きを早める。
それもただ早めるだけでなく、奥で指を広げたり、あるいは軽く曲げたり、
ベネッサの膣内の隅々まで探り、抉っていった。
「っっ……っは、あぁ……あっ、葵……!」
肉感に満ちた褐色の肢体を幾度もひくつかせ、ベネッサが悶える。
美しく咲き誇った淫花から立ちのぼる、肌を灼くような熱気に顔を埋めた葵は、
さらに指だけでなく舌も使ってベネッサを追い詰めていった。
「ふふ、ベネッサはんのここ、こんなにぷっくり膨れはって」
艶やかに露出しているクリトリスは、見る者を惹きつけずにおかない薄いピンクに輝いている。
狂乱の態を示している淫唇にあって不可侵であるかのようにたたずんでいた小さな肉珠に、
興奮も露に目を付けた葵は、ベネッサに最後の階を上らせるべく唇に挟みこんだ。
ベネッサの最も大切な部分を口の中に入れたという悦びに軽い酩酊を覚えつつ、
無防備に舌の上に乗っているクリトリスを転がした。
「っ……!! あ……!」
よほど強烈な快感に苛まれたのか、ベネッサの悲鳴は声になっていなかった。
足を限界まで開き、腰を浮かせて恥部を押しつけたかと思うと、快楽から逃れるように引く。
顔を離されてしまった葵がちらりと目を上げると、
引き締まった腹とその向こうにそびえる巨大な山麓が大きく波打っていた。
乱れるベネッサに満足して視線を戻した葵は、再び肉芽を含んだ。
ベネッサから離れないという意思を込め、今度は甘く、
一瞬足りとも舌を離さずにねっとりとねぶり、その想いを伝えるために吸いたてる。
媚肉のうねりを指先に感じながら、葵はさらに、口に含んだクリトリスの、
裏側に当たる部分を強めに刺激した。
「く、ぅ……っ、そ、こ……っっ」
「ここがええんどすか?」
指先が捉えたベネッサの快感の源を弱く撫でる。
「そ、あぅ……っ、ひぅ、あ、あっ……!!」
壊れたように幾度も頷くベネッサを視界の端に収め、
葵はいきなり強く、ざらざらとした感触がある肉壁をこすった。
「ひっ、あっ……! あ、んっ、ああ、んあぁっっ……!!」
ベネッサに、強烈な波が押し寄せていた。
下半身からの、意識全てを浚うほどの波涛。
身体を山なりにしならせ、手足を突っ張らせてベネッサは達した。
「あぁ、ああっ……!」
激しい痙攣が続き、幾度も愛液が噴き出す。
それを葵は避けもせず、顔に飛沫を浴びながらベネッサの秘唇が愉悦にわななくのを見届けていた。
わずかに意識が戻ってくる。
気怠い身体が命じるままに再び眠ろうとしたベネッサは、
その前にしなければならないことを思いだし、閉じていた目を強引に開いた。
葵は目の前にいた。
同じシーツを被り、多分ずっと見守っていてくれたのだろう、
ベネッサが目を合わせると、微笑んで前髪を梳いてくれた。
激しい快楽の波はすっかり引いていた。
今まで、引いた後には何もなかった。
その空になる感覚をこそ求めてきたベネッサは、こうした後、
波の残滓をかき集めてもう一度耽るか、あるいは眠るか、どちらかだった。
しかし、今、ベネッサの胸郭には満ちてきたものがある。
自分にもそんな感情があったことに驚きつつ、ベネッサは素直にそれを紡ぎだした。
「葵……ありがとう」
「お礼を言われるようなことは、してまへんよ」
まだ肌を桜色に染めている葵の返事は柔らかく、子守唄のようだった。
続けようとしたベネッサは思いなおし、葵の、艶やかな黒髪を梳くと、そのまま頭を抱き寄せた。
伝わってくるほのかな温もりが、胸郭の水位を上げていく。
もっと強く抱きしめようと思ったが、腕は水中であがくようにしか動かせなかった。
弱々しくしか触れられないことに苛立ちつつも、自分よりもはるかに細く、小さな身体にしがみついた。
「しばらく、こうしていて欲しいの」
父親以外の他人にすがるのは初めてだった。
それが異国の、それも年下の少女であったことは予想外ではあったが、
そもそも父親を喪った日から、誰かにすがりたくなる時が来るとは思っていなかったので、
ベネッサに大した驚きはなかった。
葵はもがきもせず、ベネッサがそうして欲しいと願ったように肌を密着させてくる。
ゆるやかな息遣いと、全身から伝わってくる想い、そして。
「ずぅっと……ベネッサはんが嫌や言うまで、うちはこうしてますえ」
ベネッサはまた泣いてしまうところを見られたくなくて、一度目を閉じる。
しかしすぐに思いなおし、至近から覗きこむ漆黒の瞳に全てを見せた。
滲む視界の向こうで、葵が微笑む。
泣いたまま応えたベネッサは、今度は目を閉じ、愛おしいキスに心を委ねた。
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