目を開けると、目の前にクリスの顔があった。
ごしごしと目を擦ると、クリスが微笑んで頭を撫でてくれる。
「起きたか?」
「はい……」
なんだか、いい夢を見た気がする。
夢の中で、ずっとクリスが撫でていてくれて、よく覚えてはいないが、嬉しいことを言われた。
半覚醒のままベッドから起き上がろうとすると、いきなり腰に鈍い痛みが走った。
崩れ落ちそうになったところを、クリスの力強い腕に抱きとめられる。
「大丈夫か?」
「あ……」
「少し、昨日頑張りすぎたな。最後は失神させてしまったし」
「!!」
言われて昨夜のことを思い出し、一気に顔が熱くなった。
「痛むか?」
「いえ、平気っす。急に動いたからってだけですから」
「それならいいが……喉が渇いているだろう、何か飲み物を持ってこよう」
「あ、ありがとうございます」
沢村をゆっくりと枕に寄りかかるように座らせたあと、クリスはベッドを離れていった。
その背に爪あとが残っているのを見て少し赤面しつつ、なんとなく周囲を見回す。
ふとベッドサイドに並んで置かれている携帯電話に視線を止め、沢村はクリスを呼んだ。
「クリス先輩」
「何だ?」
スポーツドリンクのペットボトルを持ってきたクリスが、ベッドに座る。
「そう言えば昨日、携帯にメアドの登録はしましたけど、テストメールは送ってなかったんですよ」
「何だ、そうなのか?」
「だから、何か俺に送ってみてもらえませんか?」
「分かった」
クリスはペットボトルを沢村に渡し、自分の携帯を手に取った。
それを横目で見ながら、沢村はペットボトルの蓋を開ける。
一口口に含んだところで、沢村の携帯が鳴った。
携帯電話を開き、件名無しのメールを開く。そこに書かれたメッセージを見て沢村は思い切りむせた。
『愛している』
「むせることは無いだろう」
「ゲホッ、……ケホッ……お、驚きますよ!!」
「返事を送ってくれないのか?」
「あ……う……」
少し喉に引っかかりを覚えながらも、沢村も携帯を操作する。
『俺もです』
自分の携帯に届いたメッセージを見たクリスが、眉を上げた。
そして再び携帯を操作し始める。
『「俺も」では無くてちゃんとはっきり言葉で言え。俺の目を見てな』
「う……」
困って眉を寄せたところで抱きすくめられた。
「沢村」
肩をつかまれて、じっと正面から見つめられる。
どくんと胸が高鳴って、沢村は唾を飲み込んだ。
「俺も、……愛してます」
途端に唇がキスで塞がれ、ベッドに押し倒される。
スプリングが軋む音を聞きながら、沢村はクリスの背に腕をまわした。
力尽きて本編に入れ忘れたんでおまけに。
折角メールの伏線張ったのに回収し忘れたんです(アホ)。
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