時代 設定・登場人物




時代設定

 物語りの始まりは、九代将軍・家重から十代将軍、家治の時代。田沼意次が側用取次になり、政治の中枢に登場した宝暦年間。実在の人物で名前が上がるのはこの二人くらいで、後は完全なフィクションです。越後高山藩というのも、地理的には某藩をモデルにした架空の藩。実在の藩にしなかった理由は、歴史の調べものをしたい一般の人が「高○藩」と検索して、うちの小説がひっかかってしまったら一大事だから(笑)。上越市周辺の本物の地名も出ますか、一部わざと漢字を変えてあったりします。とにかく話としては虚構なので、その点どうぞ含みおきください。

 メインのカップルは藩主・三男、三郎信尭と、守役の溝口誠之進ですが、藩校時代から誠之進を想い続ける櫻田右近、そんな右近に惹かれていく、藩主・嫡男の惣一郎の四人を中心に話は展開していきます。

 『下弦の月』では、江戸中期の時代背景の中で、主人公たちがそれぞれの立場で、何を思い、どんな選択をしていくのかを、描いていけたらと思っています。(時代考証は…中途半端です。虚構と真実が混在していますので、くれぐれも小説本文を歴史の資料として見ないでくださいね。『用語解説』のところは、一応大丈夫かと。)

 しかし…何のかんのいっても、基本的には妄想時代小説です(^0^)
拙いですが、お楽しみいただければ幸いです…。


登場人物

溝口誠之進
 上席家老、溝口主膳の嫡男。家族は、父母に弟、妹がひとりずつ。大物の父親が重圧になるどころか、周囲の期待を裏切らない逸材。学業は櫻田右近がいるので常に主席とはいかないが、剣は十六才で直心影流の目録を得る。育ちのよさから、普段はおおらかで感情的に抑制のきいたタイプだが、立ち会いになると攻撃的な激しい一面も見せる。軽輩の子弟ともこだわりなく付き合い、そういうところからも藩士の信望は篤い。真面目だが多少軽い一面もあって、誘われるとつい遊里へ足を向けたりしてしまう。


櫻田右近
 誠之進の親友。藩校「宗道館」設立以来の秀才といわれる。父親は中級藩士(勘定方)だったが、右近が幼い時に亡くなり、以後、彼が当主となり一家を支える。姉が二人。末子長男、爺やがいる。爽やかで男らしい誠之進に秘かに思いを寄せる。顔かたちが美しいこともあり、幼い頃から女子と間違えられた反動で剣の稽古にはげむ。気も強い。が、実は父親を早くなくしたせいか、依存心が強い一面も。
 時代の先を読む知性を持ちながらも、誠之進への報われぬ恋、三郎への嫉妬から、情念に翻弄され悲劇的な結末を迎える?


結城三郎信尭
 藩主結城因幡守信輝の三男。母親は関川の本陣「加賀屋」の娘、おひろ。
ゆえあって、母親の実家で育った三郎は、裕福な町家育ちで屈託なく明るい。
基本的に人を信じるタイプ。逆に悪意の存在にはとても疎い。
お城は引き取られてからは、次第に自分の微妙な立場を理解し、内省的な一面も出てくる。
十一歳年上の、守役の誠之進を父とも兄ともたのむ。文武両道、完璧なまでの男が、自分の守役だというのが嬉しく誇らしい。全幅の信頼を寄せている。


結城惣一郎信元
 藩主結城因幡守信輝の嫡男、三郎の異母兄。
遊び人の若殿を装いながら、実は意外に繊細で情が深い。
右近の美しさと潔癖な魂に惹かれるが…。


結城(松平)因幡守信輝
 高山藩主。人柄は温厚で、画才があり文化的素養はかなりのものだが、政治にはうとい。有能な家老である、溝口主膳に藩政は任せきり。本陣の娘、おひろを見初め、側室に迎える。二人の間に生まれた子が三郎である。

おひろ
 関川宿の本陣「加賀屋」の娘。三郎の母。

加賀屋久右衛門
 関川宿の本陣「加賀屋」の主人。三郎の祖父。

上席家老・溝口主膳
 誠之進の父。藩主の信任篤く有能な家老。『お家第一』という考え方は一見保守的だが、藩政の実務に関しては、新田開発に力を入れるなど進歩的な一面も。家中の者を労り、子供の教育も以外にリベラルで、武芸にせいを出した後、余力で遊芸をすることは勝手次第、と太っ腹なところも。

次席家老・内藤帯刀
 誠之進と主膳、溝口家が二代続いて人を得たため、内藤家は次席家老の地位に甘んじている。不満がつのる帯刀は、三郎と誠之進を利用して巻き返しを謀ろうとする。ちょっと濃いめの野心家。

内藤弥一郎
 内藤帯刀の嫡男。三郎より二つ年上、藩校で机を並べる。

内藤嶺次郎
 内藤帯刀の弟。誠之進、右近より五歳年上。藩校時代の先輩。昔、右近に言い寄ってすげなく断られた過去がある…。

吉田小平太
 誠之進の剣友。徒士組の吉田家次男。お気楽な次男坊だが、剣はなかなかの遣い手。藩校でも師範代として剣術の稽古をつけている。友情に篤い。

佐久間彦四朗
 誠之進の剣友。腕はたつが、岩石のように静かで無口な男。ここ一番で頼りになる。

竹之内源蔵
 三郎の乳兄弟。誠之進に憧れ、彼とともに三郎を支えるのが喜びであり誇り。献身的に仕える。

筧松之助
 三郎の一つ年下の友人。頭脳の明晰さでは「櫻田右近」の再来との呼び声が高い。美少年ではないが、栗鼠のような瞳の小柄で愛嬌のある松乃助は、幼年組の者の勉強を見てやったり、面倒見のいいことで誰からも好かれている。武芸は苦手。

神原倫太郎
 三郎の友人。三郎より一つ年上。宗道館の麒麟児とも呼ばれ、剣術の紅白試合では常に大将を努める。 膚の色も浅黒く、多少無骨な風貌ではあるが、上背も高く、なかなかの男前だ。学業のほうは今ひとつで、未だ素読吟味には合格していないのが悩みの種。

徳川(田安)慶久
 惣一郎の伯父、御三卿。柳営で隠然たる力を持つ、反田沼派。



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