時代設定
物語りの始まりは十代将軍・家治の時代。田沼意次が老中格となる明和六年です。実在の人物で名前が多少出てきますが、基本的には完全なフィクションです。越後高山藩というのも、地理的には某藩をモデルにした架空の藩。山、川、宿場、湊など、本物の名前も出てきますが、虚構のものもありますので、その点お含みおきください。
本作で軸にはるのは(おそらく)溝口誠之進と櫻田右近です。ただしカップルという意味ではありません。誠之進・三郎ペア、殿(惣一郎)・右近ペアで一応できあがっておりますが、お邪魔虫は意外なところから出てくるかもです。ともあれ、ストーリーを引っ張っていくのは、このふたりの生き様になる予定。そこへ絡んでくるのが仇役の内藤家や田安の御前です。一癖ある新キャラも登場。
登場人物
溝口誠之進
筆頭家老・溝口主膳の嫡男。28歳。剣は直心影流。藩校時代から文武両道にすぐれ、近い将来の藩政を担う男と目される。20歳のときから前藩主・数年結城因幡守信輝の三男、三郎・信尭の守役、側用人を勤めて現在に至る。三郎が15歳のとき、誠之進と三郎は恋仲となり契りを交わした。前作では藩校時代、秘かに慕い続けた親友・櫻田右近に、はからずも過去の思いを打ち明ける仕儀となり、ふたりが相愛であったことを知ってしまう。誠之進の心は大きく揺れた。右近との『初恋』に幕をひき、三郎を慈しみ生涯身も心も捧げる覚悟の誠之進だが、新藩主・惣一郎との確執、政敵・内藤家の逆襲など、人生最大の試練が待ち受けている。
結城三郎信尭(のぶあき)
前藩主・結城因幡守信輝の三男。母親は関川の本陣「加賀屋」の娘、おひろ。17歳。素直で愛らしい、幼い頃の気性はそのままに、正義感が強く何ごとにも全力で取り組む三郎は、藩士領民の間で人気が高い。守役の誠之進を一途に慕ってきた三郎だが、多感な時期にさしかかり、誠之進への愛情もその形を徐々に変えていく。誠之進を父とも兄ともたのんできた三郎だが、主人は自分なのだという自覚が芽生える。いつの日か誠之進の上に君臨し、真の「下克上カップル」を目指してもらいたい。
櫻田右近
誠之進の親友、現藩主・惣一郎信元の寵臣。28歳。剣は一刀流。小鼓の名手。藩校「宗道館」設立以来の秀才、家中一の美男といわれる。現在、江戸で藩の外交官たる留守居役を勤める。前作では誠之進への積年の思いに、右近なりの決着をつけた。これからは殿の御ため、命がけの御奉公をと誓う。しかし異例の出世を遂げ、藩主の寵愛を一身に集める右近に、嫉妬と憎悪の眼差しを向ける人物が…。伏魔殿と化した江戸藩邸で右近の闘いは続く。
結城惣一郎信元
高山藩十二代藩主(おおっ、偉そうだ!)。三郎の異母兄。31歳。有能な側近に支えられ、当面はつつがなく藩主の務めを果たしている。右近を寵愛しまくりで一見わが世の春だが、お世継ぎ問題など、『奥』からのプレッシャーに頭の痛い日々である。大名でありながら絵師という、世間に隠れた別の顔も持つ。
…ここまでがメインキャラ4人…
…重要サブキャラ…
平岡仙之丞
14歳から惣一郎の小姓を勤め、20歳を過ぎた今は側用人として仕える。右近を先輩として敬いつつ恋い慕うが、右近は惣一郎のものと諦めふたりの幸せを願う。右近の信頼できる部下としても頭角を表す。
筆頭家老・溝口主膳(しゅぜん)
誠之進の父。一昨年藩金流用の罪で次席家老・内藤帯刀を閉門に追い込み、現在、名実ともに藩政の全権を握る。保守的で厳しい人物だが、その公明正大さで藩士・領民の信頼は篤い。新藩主・惣一郎を頂く体制が整い次第、家督を誠之進に譲って引退したいと願っているが…
堀田又左衛門
高山藩の元留守居役、右近の前任者。その昔、惣一郎の守役を勤め、今でも「爺」と慕われる。現在は隠居の身で一見、好々爺に見えるが、藩の外交官を長年勤めた切れ者。藩のご意見番であり、右近の良きメンターである。
内藤帯刀(たてわき)
失脚した元・次席家老。45歳。前作では三郎と誠之進の仲を暴きたて、溝口家を蹴落とそうとしたが失敗。息子・弥一郎にも背かれ隠居に追い込まれる。崖ッぷちの帯刀は、色・金・欲の三種の神器を駆使し、最後の賭けにでる?
内藤帯刀の忍び、玄海
帯刀の子飼いの忍び。これまでも帯刀の命で汚い仕事に手を染め、何人も殺めている。美しい獲物が好き。非情なブラックぶりは、本作でさらにパワーアップの予定。
内藤弥一郎
内藤帯刀の嫡男。三郎より二つ年上の19歳。父親に似ず、優し気な面ざしの書を好む青年。前作ではそんな彼が、小姓・彩之介の一件で父・帯刀に反旗を翻し意地を見せた。三郎への仄かな恋心は…ほんまに終わったん?
彩之介(藤若)
内藤弥一郎の小姓。15歳。元は武家の出。実家がお取り潰しとなった挙句、親戚に騙されて大坂の陰間茶屋に売られる。縁あって内藤家に身請けされたが、帯刀の野望の犠牲となり、あわやショタ趣味の大名の餌食となりかける。前作ではかろうじて難を逃れたが、弥一郎との恋の行方はまだまだ波乱万丈?
堀隼人丞(はやとのじょう)
最年少の中老。誠之進の五歳年上で藩校の先輩にあたる。昔から溝口家と懇意で、町人の母を持つ三郎にたいしても好意的。武芸よりは書を好む良識家。
…まあまあ重要なサブキャラ…
故信輝公正室・宝寿院(お牧の方)
現藩主・惣一郎の母。田安家から嫁いだ典型的な浪費妻。藩主・信輝公に顧みられなかったこともあり、御国御前の「おひろ」に激しい敵意を抱いた。信輝公亡き後も、ふたりの息子である三郎が目障りでしかたない。たのみの嫡男、惣一郎にも未だ子ができず、将来、万が一にも三郎に家督がいかぬよう、側近を抱き込みあらゆる手を尽そうとする。
徳川(田安)慶久(よしひさ)
宝寿院の兄、惣一郎の伯父、御三卿田安家当主。柳営で隠然たる力を持つ、反田沼派。
(このお方、無論架空の人物です。年齢的にも実在した田安宗武、松平定信親子の中間くらいにしてあります)
綾姫
ついに登場人物ページに載りました。惣一郎の正室。年齢不詳(二十歳前後でしょう)初めはこけしのように無表情な、影のうす〜〜い奥方でしたが、最近要所要所で針のごときコメントを残している。琴の腕が妙に上がったことも無気味。右近の小鼓に対抗するつもり、との噂もある。
内藤嶺次郎
内藤帯刀の弟。誠之進、右近より五歳年上。藩校時代の先輩。昔、右近に言い寄ってすげなく断られた過去がある。部屋住みで暇と金さえあれば『こども屋』に通いつめる男だが、内藤家に召し抱えられた彩之介の純真さに触れるうち、人としての良心に目覚める?
吉田小平太
誠之進、右近の友。徒組(かちぐみ)の吉田家次男。お気楽な次男坊だが、剣はなかなかの遣い手。三郎の馬廻り頭兼剣術指南。誠之進の妹・志保と恋仲で、そろそろ祝言か。
滝川(佐久間)彦四郎
誠之進、右近の友。腕はたつが、岩石のように静かで無口な男。ここ一番で頼りになる。数年前、江戸へ出てから縁あって町道場「滝川道場」の養子におさまっている。この春から右近の推挙で、江戸藩邸の剣術指南役となる。
竹之内源蔵
三郎の乳兄弟。誠之進に憧れ、彼とともに三郎を支えるのが喜びであり誇り。母・お福とともに献身的に仕える。
筧(かけい)松之助
三郎の一つ年下の友人。頭脳の明晰さでは「櫻田右近」の再来との呼び声が高い。美少年ではないが、栗鼠のような瞳の小柄で愛嬌のある松之助は、幼年組の者の勉強を見てやったり、面倒見のいいことで誰からも好かれている。武芸は苦手。
神原倫太郎
三郎の友人。三郎より一つ年上。宗道館の麒麟児とも呼ばれ、剣術の紅白試合では常に大将を努める。
現在は誠之進のはからいでお役をもらい、西の丸で三郎の警護を勤める。
三郎ぎみの乳母・お福
誠之進・三郎ペアのよき理解者。実は江戸時代の元祖やおい女。ふたりに最高の環境で睦みあってもらえるよう、例の茶室や、誠之進の部屋の夜具や備品を整えたり、細々とした気くばりが流石元祖である。(…冗談です)
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