痛いよ。
血、いっぱい出てる。
そこから寒くなってく。
腕、つたって、生あたたかいのが流れてる、気持ち悪い。
ぬるぬるする。
身体、重い。けど、誰かが支えてる。
私を抱きしめてるの、キラ?
キラの腕に抱きしめられてるとこ、そこだけあったかい。
あったかい、なんで?
キラは死んだのに。あったかいはずないのに。
でもこれはキラの腕だわ。
覚えてる、あの夜の力強さとか。
「フレイ……フレイっ」
どうしちゃったの。私、わたしちゃんと撃てなかった?
胸じゃない、肩が痛い。気、遠くなりそう。
ぱたっ、て。液体が顔に降ってくる。
キラ?
泣いてるの?
キラ。
泣き虫ね。
ねえ、もう泣く必要なんかないのよ。
ひとりぼっちの、さびしがりやのキラ。
これからは私がそばにいるから。
一緒にいるから、さびしくなんかないわ。

そうでしょ? キラ。

 


ほんとに泣き虫なんだから。
いつまで泣いてるのよ。
「……っフレイ」
腕、しびれちゃって伸ばせないの。
だから、涙を拭ってあげられない。
頭をなでて、抱きしめて、慰めてあげることもできないの。
ああ……ほら、泣かないで、キラ。
もう泣いたりしないでいいの。何回言わせるの?
まったく、仕方のない子ね。
「なっ……泣いてるのは、君のほうじゃないか……!」
そう、私も泣いてる。
これからは、私があなたのかわりに泣くから。
あなたを想って泣くから。
優しいキラ。優しすぎたね。
コーディネイターなんて、大嫌いだったのに。
なんでかな。いつから、どうして?
こうなっちゃったんだろう。
いっぱいいっぱい傷つけた。
ひどいこといっぱいした。それなのに。
それでも、
好きだったわ。

「好きよ、キラ」

大好きよ。

 

ススム

モドル