君に好かれていないこと。
君の気持ちがただの同情だということ。
これ以上思い知らされたくなくて、離れたほうが楽だと思った。
ずっとサイに嫉妬していた。
サイがうらやましかった。
君はサイが好きなのに、無理をして僕と寝たんだと思って、つらくて……。
コーディネイターであることの優越感なんて一瞬の間だけだ。
それはそのまま、『君の嫌いなコーディネイター』という事実となって返ってくるだけだったから。
本気を出せば、喧嘩は勝てる。
でも、
いくら肉体が優れていても、頭脳が優れていても、
内面はどうやったって僕はサイに勝てなかった。
サイはいいやつだから。
僕なんて足元にも及ばないくらいいいやつだった。
僕はまた罪悪感につぶされそうになった。
こんなの耐えられないと思った。
君の気持ちとサイの気持ちと、僕の気持ち。
その全部に責められているような気になった。
どこで間違ってしまったんだろうね?
ひょっとしたら最初から。


今、僕の前で銃を握り締めてる君。
フレイが一番責めていたのは、フレイ自身だったなんて。
ねえフレイ、一度間違ったことは、もう取り返しがつかないの?
そんなの嫌だよ。

 


あのとき、互いの本心がわからずに、傷つけあうしかなかった僕たち。
僕がとった行動は最低だった。
逃げたんだ、僕は。
君の目から逃げた。
“可哀想なキラ”
君の優しさが単なる同情だってことが決定的になって、
考えないようにしていたことを目の前に突きつけられて。
もうやめよう――――そうして終わりにした。
僕が出撃する前に、君は何か言いたそうだったね。
『帰ってから』
そのときは、そのつもりだった。
でも、トールが死んで、僕は吹っ飛んで……
ラクスに助けてもらって。
僕が帰ってきたとき君はもういなかった。
君と最後に交わした言葉、あの続きはなんだったんだろう。
それがずっと気になってた。
ラクスやアスランやカガリやAAのみんなのおかげで、今の僕は変われた、と、思う。
もう逃げない。そう決めた。
迎えに来たのに。
やっとまた会えたのに。
どうしてこんなことになってるんだろう。



僕は帰ってきたから。
ちゃんと話、聞くから。
僕は、今度こそ君を守りたい。
だから、ねえ、お願いだから、目を開けてくれ。

 

ススム

モドル