ねえ、どうして君がここにいないんだろう。
どうして僕のそばにいないんだろう。
どうして、僕と一緒に笑っていないんだろう。


うんと手を伸ばせば届いただろうか。
頑張れば、間に合っただろうか。
僕がもっと強ければ、守れただろうか。


和平交渉は成功して、もう戦争は終わるよ。
これからは誰も死ななくていいんだよ。
平和な世界でまた暮らせるようになるんだよ。

なのに、なんで。

「なんで――――君はここにいないんだ!」

誰よりも君を守りたかった。
守りたかったのに。

―――― 私の思いがあなたを守るから ――――


「ねえ、フレイ……」

泣かないでと君は言ったけれど。

「ここに……いてよ……」




僕 は 君 が い な い と う ま く 笑 う こ と も 出 来 な い ん だ





One more time,One more chance          





そ の せ か い に は ひ か り が な か っ た




のどがやけるようにあつい。ひりひりいたむ。

いたむ? これはいたいということ?

どうだろう。ほんとうにいたいのかもわからない。

これは、ワタシのかんかく?

ワタシはひとりぼっち。かわいそう、かわいそうね、とコエがする。

かわいそう、かわいそうなの? ワタシ。そうなの。

ワタシは、ワタシというソンザイがつかめなくてふわふわする。

ワタシはここにいるの? ここにいるのはほんとうにわたし?

ねえ、どこにいるの?

さがしにいくから、きっとみつけてあげるから、もうなかなくていいのよ。

だれかがないていて、私はそのこをなんとかしてなぐさめてあげたいとおもう。

でも、ひょっとしたら、彼は私がいないほうが泣くことが無いのかもと思う。

ならば私はこのまま存在しない存在として、彼に触れないでおいたほうがよいのだろう。




だんだんと鮮明になる意識に、私は戦慄した。
これは、この世界は、果たして現実のものなのか。
身体の感覚が戻ってくる。
確かにこの心臓は脈打っていて、私は呼吸していた。
酸素を摂取するたび、喉と肺がひきつって熱く焼けるような痛みが走る。
それでも私は生命活動をやめようとはせず本能に従うばかりだ。
そこで私は、どうやら自分が布の上に寝かせられているらしいことを知る。
おそらくはベッド、私は横たわりまぶたを閉じている。
目を開けるのが怖かった。
そう、それは紛れも無い恐怖。
そのとき私は、初めて世界と出会う赤ん坊の心を知った気でいた。

未知の光の中に、さあいま、身体を投げ出すのだ!

私はゆっくりと目を開けた。
ひかりは未だ、私を照らしてはくれなかった。




おそらく私は、悲鳴を上げた。










モドル



ススム