茜、今日は暁の幼稚園のお花見遠足だったよ
みんなは母親と来ていたから暁が嫌がるかと思ったけれどむしろ喜んでいてくれたみたいでほっとしたよ。
蒼がお弁当を作ってくれて、右京は昨日暁とおやつを買いに出かけれくれたらしい。
ふたりには、すっかり暁の世話をまかせきりで、本当に申し訳ないね。
早く一人前の医者になって、おやじの病院で働きたいよ。
そしたら、今よりも、暁の傍にいてやれるのにね。
暁は遠足を本当に楽しみにしていたみたいで、凄くはしゃいでいたよ。
でも、急に「あきらくん、ぼくね お母さんと一緒に 遠足に行ってみたかった。
あきらくんとお母さんと3人で 手を繋いで 遠足に行ってみたかったよ」
って言い出したんだ。胸が熱くなって、言葉が出なかったよ。
茜も桜が大好きだったよね。
春になったらまた、一緒にお花見をしようねって約束をしたことを思い出して、君の写真を連れてきてあげたらよかったと思ったんだ。
そしたら暁が「あきらくん、今度はお母さんも一緒に連れてきてあげようね」って言い出したんだ。
同じことを考えていたんだね、僕たちは。
僕は嬉しくなって、暁を抱き上げたんだ。
もっと高い位置から君の好きな花を見ることが出来たらいいと思って。
そして、お母さんは、いつだって僕たち見ているんだよって教えてあげたんだ。
その時、突風が吹いて、桜の花びらが、僕たちに花吹雪になって降ってきた。
君の声が聞こえたよ。
『ふたりとも、だいすきだよ』ってね・・・・。
君はあの時、一緒にいたんだろう?
いたずら好きの君の事だ、きっと僕たちを驚かせたかったんだね。
君に抱きしめられた気がして、とても幸せだったよ。
夕食の後、「遠足の思い出を書く」って、たくさんのクレヨンを使って描いてくれた暁の絵には、三人で桜の木の下お弁当を食べている君の笑顔が描かれていたよ。
暁も君を感じてくれたのかな?
また、逢いに来てくれるかい?・・・・茜
来年も一緒に桜を見ようね
さくらの きの したで 暁視点