楽園改訂版(6)







気がつけば朝だった。目が覚めると体中の関節と筋肉が悲鳴を上げていた。
動かす度に、みしみしと悲鳴を上げているような気がする。
 門脇と目が合う。門脇はバツのわるそうな顔をして、
「すまん……止まらんかった……」
と謝ってきた。一度だけでは終わらなかったのだ。
何度も入れられて、しまいにはゴムが先になくなってしまって、それでも門脇は止まらなかった。
ゆっくりと身体を起こすと、夕べの残滓がとろりと零れる。
髪はくしゃくしゃ。シーツも洗わないと汗まみれだ。しかし、瑞垣の身体は動きそうにない。
「……これだから体育会系は……恨むぞ、秀吾……!」
 恨み言を言う瑞垣の声はかすれている。何度も喘がされ、しまいにはねだる言葉さえ吐かされた。
けれども、女の子相手の時に、こんなに溺れる程のセックスをした事はなかったのだ。
自分の中に、門脇が刻み込まれてしまった。もう止められない。秀吾を……喰らい尽くしてしまう。
「俺……絶対また、こっちに戻ってくるから。お前に会いに」
 生真面目な口調で門脇が告げた。
「好きじゃ、俊」
 抱き締められて肌の温もりを感じる。けれども、このぬくもりはすぐに消えてしまうのだ。
遠い所へ、野球のある場所へ、門脇は帰らなければならないのだから。
 ……これが最後でも構わない。今はそう思う。身体に門脇の跡が残っているうちは。
 でもまた、門脇は行ってしまうのだ。
 流されなければよかった。
抱かれなければ、このぬくもりを、心が身体が満たされる感覚を、知らずに済んだのに。
 沸き上がる後悔の念と、貪欲な自分を押さえつけたくて、瑞垣は門脇にしがみついた。
今はただ、このぬくもりを身体に刻みつけておこう。
この体温を覚えているうちは、自らの欲望が暴走する事はないから。
「俊……好きじゃ」
 門脇の熱い吐息が、耳元に残った。