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第三十二回 四国こんぴら歌舞伎大芝居(金丸座)
中村翫雀改め 四代目中村鴈治郎襲名披露

2016年4月9日(土)~2016年4月24日(日)

配役

第一部(11:00開演)

一、彦山権現誓助剱(ひこさんごんげんちかいのすけだち)毛谷村

毛谷村六助:六代目 片岡愛之助
一味斎娘お園:初代 中村壱太郎
微塵弾正実は京極内匠:二代目 中村亀鶴

二、四代目中村鴈治郎襲名披露 口上(こうじょう)

五代目 中村翫雀 改め 四代目 中村鴈治郎
四代目 坂田藤十郎
幹部俳優出演

三、幸助餅(こうすけもち)

大黒屋幸助:五代目 中村翫雀 改め 四代目 中村鴈治郎
関取雷五良吉:九代目 市川中車
妹お袖:初代 中村壱太郎
叔父五左衛門:初代 中村寿治郎
女房おきみ:二代目 中村亀鶴
三ツ扇屋女将お柳:三代目 中村扇雀

第二部(15:30開演)

一、あんまと泥棒(あんまとどろぼう)

あんま秀の市:九代目 市川中車
泥棒権太郎:六代目 片岡愛之助

二、鷺娘(さぎむすめ)

鷺の精:三代目 中村扇雀

三、恋飛脚大和往来
  玩辞楼十二曲の内 封印切(ふういんきり)

亀屋忠兵衛:五代目 中村翫雀 改め 四代目 中村鴈治郎
丹波屋八右衛門:六代目 片岡愛之助
傾城梅川:初代 中村壱太郎
阿波の大尽初代 中村寿治郎
槌屋治右衛門:九代目 市川中車
井筒屋おえん:三代目 中村扇雀

データ

料金

A席:14,000円
B席:10,000円

雑誌

『演劇界』2016年7月号

愛之助丈関連
62ページ:舞台写真「毛谷村」毛谷村六助(カラーグラビア)
78~79ページ:舞台写真「毛谷村」毛谷村六助(モノクロ 8枚)
81ページ:舞台写真「口上」(モノクロ 1枚)
82ページ:舞台写真「あんまと泥棒」泥棒権太郎(モノクロ 3枚)
84~85ページ:舞台写真「封印切」丹波屋八右衛門(モノクロ 3枚)
92~93ページ:「四国こんぴら歌舞伎大芝居」の劇評
演劇界 2016年 07 月号 [雑誌]

感想

第一部


23日に前方中央にて観劇。
10:00頃、愛之助丈と愛一郎丈が小屋の前に現れて、熊本地震の災害義援金の募金活動が始まった。
ほんの気持ちばかりだが、募金してきた。愛之助丈の方から手を差し出してくれて、握手していただいた。

毛谷村

舞台の上で鶯が鳴く。この日は、参道を歩いていても鶯が鳴いていた。
杉坂墓所の場はなく、六助(愛之助丈)と微塵弾正(亀鶴丈)の試合の場面から始まる。
愛之助丈は今回も額を割れられない型。
微塵弾正と斧右衛門は同じ役者さんがやるのかと思ったが、今回は違った。
浮かれてはりきるお園(壱太郎丈)を六助が呆れつつ眺めている様子が微笑ましい。
壱太郎丈は汗だくの熱演。子役さんが可愛かったな。
やっぱり、歌舞伎をやっている愛之助丈がいいなぁと再認識した。

口上

藤十郎丈のご挨拶から始まり、中車丈、愛之助丈、扇雀丈、亀鶴丈、壱太郎丈、鴈治郎丈の順。
藤十郎丈は紙を読みあげての紹介、中車丈は澤瀉屋と成駒屋との関係や自身の襲名披露口上で藤十郎丈に紹介してもらったことへの感謝など、愛之助丈はいつもの挨拶+「金毘羅の夜の街を教わりたいと思います」とかなんとか話していた。
扇雀丈は「兄が鴈治郎の名を襲名して嬉しい」と言った後でぼそりと「私は扇雀のままですが」と笑いを取っていた。(このぼそりと言う間が絶妙。)
亀鶴丈は成駒屋との関わりや親類として列座できる喜びなど、壱太郎丈は琴平の小学校でワークショップをしたことなどを話していた。
最後に、鴈治郎丈からのご挨拶+終演後に義援金の募金をするとのお知らせがあった。
地震の襲名披露の場で募金のお願いなんて、なかなかないことだと思う。

幸助餅

関取雷(中車丈)に入れあげて落ちぶれた幸助(鴈治郎丈)は、妹のお袖(壱太郎丈)を廓に売った金(30両)で商売をやり直そうとする。廓の女将・お柳(扇雀丈)が2年は店に出さないと約束してくれる。
ところが、江戸から戻ってきた雷にばったりと出会い、再会の嬉しさのあまりにその金を全てあげてしまう。
幸助の境遇を知った雷はわざと愛想尽かし(っていうのか?)をする。(この時、本心じゃないっていうのは客席には伝わる。)
その悔しさをばねに、幸助は女房のおきみ(亀鶴丈)と商売に精を出し、餅屋として成功する。実は雷が金を用立て、贔屓筋に「幸助餅をよろしく」と口を聞いてくれていた。
最後は誤解もとけてハッピーエンド…と、いうようなあらすじ。

ベタな話なんだけど、笑いあり涙あり、劇の途中で紅白餅を撒き、おめでたい感じがいい。
幸助は人が好さそうでおおらかで少し情けなくて、鴈治郎丈にぴったりだった。鴈治郎丈だけでなく、出てくる役者さんはそれぞれ役にあっていた。中車丈、歌舞伎うまくなったよね。(←エラソウ)
力士に入れあげるぼんぼんって、「角力場」にも出てきたけど、当時一般的だったんだろうか?(これが花魁相手なら、愛想尽かしの後に殺人事件に発展したと思われる。)

終演後、拵え姿のまま、鴈治郎丈と扇雀丈が募金をしていた。
ささやかな額ではあるが、もう一度募金して握手していただいた。
お芝居を楽しめるって幸せなことなんだなぁ…

第二部

22日に前方上手側にて観劇。
まず最初に思ったのが、「金丸座の席ってこんなに狭かったっけ!?」ということ。
座椅子が置かれたから狭く感じたんだろうか?

あんまと泥棒

以前見たときは、泥棒が猿之助丈でいかにも粋な江戸っ子だったが、愛之助丈の泥棒は関西弁。
あんま(中車丈)からも「西の言葉で話すから…」みたいな突っ込みを入れられる。
泥棒の出身地が違うだけで、あらすじは同じ。客席は大笑いだった。
金丸座みたいにこじんまりとした芝居小屋によく合うお芝居だなぁと思った。

鷺娘

暗い中、すっぽんから鷺の精(扇雀丈)が登場。
ちょうどそこにだけ雪が降っていて幻想的だった。
扇雀丈は綺麗で、衣装を引き抜くたびに客席が沸く。
最後にもがき苦しむところでは、せまい仮花道でのけぞったりしてすごかった。
客席にも大量の雪が降り、宿に戻っても体から雪が落ちてくるくらいだった。

封印切

もしかしたら、私が最もたくさん見ているお芝居は「封印切」かもしれない。
今回は、忠兵衛(鴈治郎丈)、八右衛門(愛之助丈)、梅川(壱太郎丈)、おえん(扇雀丈)の上方勢に治右衛門(中車丈)という配役。前にも書いた気がするが、中車丈の声って猿之助丈によく似ている。
おえんさんが八っつあんに「男前だけど品がない」って言ってたけど、八っつあんは「男前」って認識でいいんだろうか?(最近、品のない記事を連発されているのを見てため息ついてる身としては、グサッとくる言葉だけどな。)
そして、燗冷ましの八っつあん、げじげじの八っつあん、総スカンの八っつあんにタコの八っつあんが加わっていたw
全体的にアドリブが増えていたような気がする。

最後、忠兵衛がおえんさんに見送られて引っ込むところで携帯を鳴らしたバカがいて残念。
お茶子さんがあれだけ「電源を切ってください」とお願いして回ってるんだから、素直に従え。(せめてマナーモードにしておけ。)
お芝居自体は普通に(というか当たり前に)よかったので、あまり書くことがない。

おまけ


↑ぶっかけ(冷たい)うどん+天ぷら。


↑甘味いろいろ。


↑お土産のえびせんべいと「釣女」と「灸まん」とこんぴーくんストラップ。


↑「神椿」でパフェを食べた。


↑営業中のこんぴーくん。ポーズが可愛い。
「ゆるキャラグランプリ2016」(7月22日投票開始)に参戦するらしいので、ぜひ応援してあげてください。