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第十回 永楽館歌舞伎

2017年11月4日(土)~11月12日(日)
※9日・12日は第一部のみ
※11月3日(金・祝)14:30~「出石お城まつり」にてお練り(予定)

配役

配役

一、千石船帆影白濱(せんごくぶねほかげのしらはま)
仙石騒動(せんごくそうどう)

竹柴其水 原作より
水口一夫 作・演出

神谷転、仙石左京:六代目 片岡愛之助
傾城初花太夫、仙石三木守:初代 中村壱太郎
酒匂清兵衛:初代 中村寿治郎
誉田作十郎:初代 中村種之助
秋坂中務大輔:四代目 中村鴈治郎

二、永楽館歌舞伎第十回公演記念
弥栄出石賑(いやさかえいずしのにぎわい)

水口一夫 構成

永楽館芝居前
大手連中:六代目 片岡愛之助
大手連中:初代 中村種之助
笹瀬連中:初代 中村壱太郎
笹瀬連中:初代 中村寿治郎
永楽館の座本:四代目 中村鴈治郎

所作事「元禄花見踊」
元禄の男:六代目 片岡愛之助
奴:初代 中村種之助
元禄の女:初代 中村壱太郎

データ

筋書

愛之助丈関連
20ページ:「コウノトリ育むお米」のチラシ(カラー)
20ページと21ページの間の折込(すべてカラー)  舞台写真「実盛物語」斎藤別当実盛、「車引」松王丸
 裏はポスター:舞台写真「連獅子」親獅子の精(カラー)
21ページ:舞台写真「春重四海波」高砂頼母、「輝虎配膳」長尾輝虎(全てカラー)
32~34ページ:「永楽館対談 片岡愛之助×中村壱太郎」(素顔写真×4、カラー)

料金

11,000円(全席指定席)
筋書:1,000円

雑誌

『演劇界』2018年1月号

愛之助丈関連
80ページ:舞台写真「仙石騒動」神谷転(カラーグラビア)
102~103ページ:舞台写真「仙石騒動」神谷転(モノクロ 2枚)
102~103ページ:舞台写真「仙石騒動」仙石左京(モノクロ 5枚)
104ページ:舞台写真「弥栄出石賑」大手連中(モノクロ 2枚)
104ページ:舞台写真「弥栄出石賑」元禄の男(モノクロ 2枚)
106ページ:舞台写真「釣女」太郎冠者(モノクロ 1枚)←大阪文化芸術フェス2017
114ページ:「第十回 永楽館歌舞伎」の劇評
129ページ:十二月大歌舞伎(歌舞伎座)の紹介(1/3ページ)
演劇界 2018年 01 月号 [雑誌]

感想

感想


10日に第2部を前方花道寄りで観劇。


到着してまず目に入ったのは、外で干されていた雨合羽。
小屋に入ると、1列目、2列目は畳にビニールコーティングがされていた。
どんだけ水飛ばす気やねん!

千石船帆影白濱 仙石騒動

開演前に場内が暗くなり、パッと明るくなると舞台は初花太夫(壱太郎丈)の花魁道中だった。
初花太夫が花道を引っ込み、禿や遣り手がそれに続いて退場。
舞台には編笠を被ったお侍が現れて、初花太夫に見惚れている。
編笠を取ったら、仙石三木守(壱太郎丈)だった。
これは正直驚いた。てっきり種之助丈かと思ったら、まさか壱太郎丈の早替わりとは…

場面は変わり、仙石左京(愛之助丈)と赤木勘右衛門(蝶十郎丈)が座敷で三木守を亡き者にしようと密談をしている。
三木守が見染めた初花太夫は左京のなじみの花魁だった。左京は初花を「三木守に身請けされて国許に行けば、今よりもっと会えるから」と説き伏せる。悪いやっちゃ。

またも場面は変わる。(今回、場面転換が多い。小さな小屋で頑張るなぁ。)
左京の屋敷で勘右衛門が医者(當十郎丈)から毒を受け取っていると、左京の妻おなみ(千次郎丈)と耳の聞こえない(振りをしている)中間の半助(國矢丈)が陰から様子を伺っている。
立役(それも赤っ面みたいなの)が多い千次郎丈が女形をやってるので、てっきり八汐みたいな悪者かと思ったら(←偏見)、忠義の奥方だった。
おなみの機転で三木守の毒殺は阻止されたが、左京はおなみに「毒殺を指示したのは自分だ」と告げ、それを諫めようとするおなみを斬り殺す。つくづく悪いやっちゃ。

場面は変わり、神谷転(愛之助丈)が屋敷。
転(うたた、と読む)は誉田作十郎(種之助丈)と酒匂清兵衛(寿治郎丈)に左京のお家乗っ取りを阻止するために行動すると語り、類が及ばないように妻を離縁する。

出石城下の盆踊りの場面では、出石民謡保存会の皆さまが花道と反対側の通路で盆踊りを披露する。
盆踊りの中、左京と初花がいちゃいちゃデートしているところ、転は左京を討とうとつけ狙う。
ここは左京と転の2役早替わりが続く。(顔を前に向けなくなったら、吹き替えの役者さんと思って間違いないはず。)
客席は喜んでいた。
転は、左京をかばう初花を間違って斬ってしまい、「主人の想い人を手にかけたからには…」と自害しようとするが、作十郎に「後は任せてください」と止められて、出奔する。

ここで15分の休憩。
前方の席はビニール袋に座布団ごと入って、雨合羽を着用して、大変なことになっていた。

幕が開いたら雨降る街道。舞台に本水の雨が降る。
作十郎が、囚われて引っ立てられている転の縄を切り、勘右衛門らと立ち回り。
転と追っ手は池に入ってばっしゃばっしゃと水をまき散らす。上手側に座っていた人にはかなり水がかかったのではなかろうか。
転は花道から逃げ去り、作十郎は転を逃がすために大奮闘。種之助丈は若さあふれるはつらつとした立ち回りで、見ていて気持ちいい。

作十郎は銃で撃たれ、竹やりで突かれ、満身創痍。勘右衛門に止めを刺されそうになった時、客席から「あぁ~!」と悲鳴が上がっていた。作十郎が勘右衛門を刺し、客席が安堵したのも束の間、編笠を被った侍に殺されてしまう。
編笠を取ったら、左京だった。とことん早替わりで入れ替わる。
あれだけびっしょびっしょに塗れたのに、白塗りって落ちないものなんだなぁ。

さて、逃げた転を捕まえるべく、町方の同心が虚無僧を探している。
「神谷転は愛之助に似ている」「(客席に向かって)愛之助を見た者はいるか?」「(客席)はーい!(^O^)/」「こんなにいるのか!」みたいなやり取りをしていると、花道から怪しい虚無僧が現れる。
編笠を取ったら、顔に永楽館のマークを描いた愛一朗丈だった。
その後本物の転が現れ、客席(2階にも現れた)を逃げ回るが、あえなく捕まってしまう。

何度目かの場面転換後、お屋敷に現れたのは秋坂中務大輔(鴈治郎丈)。待ってました!
鴈治郎丈がちっとも出てこない…と思っていたら、ようやくのご登場。
秋坂中務は左京を呼び出し、「わしが見た夢の話だが…」と左京を問い詰める。
長台詞をすらすらと聞かせる名捌き役っぷり。
耳の悪い中間・実は川路弥太郎(國矢丈)が証人として現れ、左京は絶体絶命。ひっとらえられて連れていかれる。

最後は仙石三木守が現れ、己の行いを悔い、そこに転が登場し、秋坂中務大輔の「良い家来をもったなぁ」で幕。
勧善懲悪のわかりやすい物語を早替わり、本水、客席を駆けまわる等の趣向で、観客が楽しめるように仕上げた感じ。
小さな芝居小屋では受けるけど、大劇場では上演するにはもう少し山場がないと難しいんじゃないかな。

弥栄出石賑

永楽館芝居前

古式にのっとり、白塗りに赤い頭巾?をかぶった役者さんが拍子木を打ちながら、花道から登場。
役者が舞台に揃うと、永楽館の座本・山城屋永楽(鴈治郎丈)が現れ、役者衆のご挨拶。
去年までの口上に代わって、こういう形になったようだ。

注意:役者さんは一言一句この通りに話しているわけではありません。だいたいこんなことを言っていたという感じです。

壱太郎丈はいつものように豊岡のグッズ(玄さんのぬいぐるみとTシャツ、こーちゃんのぬいぐるみ、コウノトリ育むお米、豊岡市のふるさと納税)の紹介。

種之助丈は「5年振りです」とご挨拶し、「5年前は『大石妻子別れ』で、愛之助のお兄さんがお父さん、壱太郎君がお母さんでした。5年経ったら愛之助のお兄さんには殺され、壱太郎君とは一緒の出番がなく、寿治郎さんは小さくなって(と言ってた気がするけどうろ覚え)… (寿治郎丈に)いつもオチに使ってごめんなさい」

寿治郎丈が「役所からアレ(両手の人差し指で四角を描く)が来ました」というと、後ろから鴈治郎丈が「後期高齢者」とフォロー。種之助丈を振り返って「笑いなさんな」と言っていた。

愛之助丈は「8月の暑い中鬘が溶けたのも良い思い出です」「これから先も10年20年30年40年と続けたい」とご挨拶。

役者衆がいったん引っ込んだ後、山城屋永楽が踊りを披露。(踊りが先だったか、ご挨拶が先だったか、ちょっと記憶にない。)
鴈治郎丈が「山城屋永楽ではなく、中村鴈治郎としてご挨拶…」ということで、「地方で10年間歌舞伎公演を続けているのは、こんぴらの金丸座と永楽館だけ」「10年前、壱太郎は10代でした。それがあんなんになっちゃって…」「この10年でいろいろありました。愛之助さんが結婚するとは思わなかった」「お練りで『おかえりなさい』と言っていただくのですが、ここでは壱太郎の方が顔が売れていまして、『壱太郎さんのお父さん』と言われます。わたくし、中村鴈治郎です。壱太郎は出石の観光大使みたいになってますが、将来議員を狙っているのではないか」など、いろいろお話してくれた。

所作事「元禄花見踊」

元禄の男(愛之助丈)、 奴(種之助丈)、 元禄の女(壱太郎丈)が登場し、華やかに踊って幕。

10年目の永楽館。思えば遠くにきたものだ。
永楽館のスタッフさんは10年前から変わらずに親切で、毎年「来てよかったなぁ」と思う。
柿落としの頃、愛之助丈は全然有名ではなくて、座頭に抜擢してもらったことを喜んでいたのが遠い昔のようだ。
初役の縛りはそろそろ外して、古典や通常の公演ではなかなかできないお役をまたやってほしい。
弁天小僧、引窓、堀川の猿回しなど、もう一度見たい。

おまけ


↑お土産に、黒豆グラッセ、「湖月堂」の栗蒸しようかん、黒豆おかき、黒豆(煮豆)、かりんとう饅頭を購入。
「コウノトリ育むお米」もちゃんと買ってきた。(重たいので小さいサイズだけど。)


↑皿そばも食べた。