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五月花形歌舞伎 明治座

2017年5月3日(水・祝)~5月27日(土)

配役

昼の部(11:00開演)

一、月形半平太(つきがたはんぺいた)

月形半平太:六代目 片岡愛之助
坂本龍馬:初代 中村萬太郎
芸妓梅松:初代 中村壱太郎
芸妓染八:初代 坂東新悟
中岡慎太郎:初代 中村種之助
舞妓歌菊:五代目 中村米吉
早瀬辰馬:初代 中村隼人
古賀兵蔵:四代目 中村橋之助
久保吉太郎:三代目 中村福之助
茶屋女房およし:三代目 中村歌女之丞
奥平文之進:四代目 片岡松之助
藤岡九十郎:六代目 嵐橘三郎
女将お源:六代目 上村吉弥
岡崎幸蔵:六代目 中村松江
桂小五郎:四代目 片岡亀蔵

二、楳茂都 三人連獅子(さんにんれんじし)

親獅子:六代目 片岡愛之助
母獅子:初代 中村壱太郎
子獅子:初代 中村種之助

夜の部(16:00開演)

通し狂言 南総里見八犬伝(なんそうさとみはっけんでん)
安房国滝田城内曲輪より
上野国対牛楼まで

犬山道節:六代目 片岡愛之助
犬飼現八:初代 中村萬太郎
伏姫、犬坂毛野:初代 中村壱太郎
浜路:初代 坂東新悟
犬江親兵衛:三代目 中村福之助
犬塚信乃:五代目 中村米吉
網干左母二郎、犬田小文吾:初代 中村隼人
下男額蔵 実は犬川荘助:四代目 中村橋之助
犬村大角:初代 中村種之助
代官軍木五倍二:初代 中村寿治郎
馬加大記:四代目 片岡松之助
里見義実:六代目 嵐橘三郎
一角妻伏屋:六代目 上村吉弥
金碗大輔、足利成氏:六代目 中村松江
庄屋蟇六、扇谷定正:四代目 中村鴈治郎

データ

筋書

愛之助丈関連
22~24ページ:インタビュー(素顔写真×2、扮装写真×3役、カラー)
25~26ページ:「片岡愛之助 明治座での活躍」(明治座に出演した時の舞台写真が紹介されている)
43ページ:出演者プロフィール(舞台写真「毛谷村」毛谷村六助、「実盛物語」斉藤別当実盛、カラー)

舞台写真

愛之助丈は、
「月形半平太」月形半平太が9種類(壱太郎丈の梅松との2ショット1種類、隼人丈の早瀬辰馬との2ショット1種類を含む)
「棒しばり」親獅子が5種類(壱太郎丈の母獅子と種之助丈の子獅子との3ショット1種類を含む)
「南総里見八犬伝」犬山道節が8種類(新悟丈の浜路との2ショット1種類を含む)

料金

一等席(1階席、2階席正面):13,000円
二等席(2階席左右) :6,500円
三等A席(3階席正面):5,000円
三等B席(3階席左右):3,000円
〔学割〕各席種2割引
筋書:1,500円

雑誌

『演劇界』2017年6月号

愛之助丈関連
42~43ページ:「話題の舞台 五月花形歌舞伎 明治座インタビュー 片岡愛之助」(素顔写真×1、五月花形歌舞伎のポスター3種類、カラー)
69ページ:舞台写真「模擬店(俳優祭)」(モノクロ 1枚)
73ページ:舞台写真「月光姫恋暫」謎の男(モノクロ 1枚)
117ページ中段:「五月花形歌舞伎」(明治座)の紹介(1/3ページ)
演劇界 2017年 06 月号 [雑誌]

『演劇界』2017年7月号

愛之助丈関連
68ページ:舞台写真「月形半平太」月形半平太(カラーグラビア)
81~83ページ:舞台写真「月形半平太」月形半平太(モノクロ 9枚)
83ページ:舞台写真「三人連獅子」父獅子(モノクロ 3枚)
85~86ページ:舞台写真「南総里見八犬伝」犬山道節(モノクロ 3枚)
98~99ページ:「五月花形歌舞伎」(明治座)の劇評
124ページ中段:「DEATH TRAP」の紹介(1/3ページ)
鴈治郎丈のインタビューで少し話題にしてもらっている。
演劇界 2017年 07 月号 [雑誌]

感想

昼の部

21日に前方中央で観劇。

月形半平太

明治座は商業演劇の方が受けがよいのか、音楽は洋風。
幕が開くと、坂本龍馬(萬太郎丈)と中岡慎太郎(種之助丈)が茶屋で飲んでいる。
わっか! めちゃくちゃ若っ! 遅れて現れた桂小五郎(亀蔵丈)が保護者にしか見えない…
さらに遅れて月形半平太(愛之助丈)が登場。なかなかの二枚目で、客席が少しザワッとした。
桂は半平太に向かって「たとえ犬と罵られても、同志たちを押さえろ」と言い残し、薩長同盟を結ぶため国許へ戻る。

場面は変わって、長州藩士たちが半平太の遊興に不満を漏らしながら、茶屋から出てくる。
染八(新悟丈)は旦那である見廻組の奥平(松之助丈)が半平太に袴を切り刻まれたと聞いて、半平太を憎む。
奥から半平太と梅松(壱太郎丈)が出てきて、有名な「春雨じゃ、濡れていこう」の場面となる。
去っていく半平太をうっとりと見送る梅松と憎しみを込めて睨み付けている染八が対照的。

梅松は座敷にも出ず、半平太の浪宅に住み込んでいる。
そこへ女将のお源(吉弥丈)がやってきて、「舞妓の頃からお世話になっている山城屋さんが見えているから、座敷に出てほしい」と頼みに来るが、梅松はそれを断る。こらこら、山城屋さんのお座敷を断ったらあかんやろ。
お源は「女は男のために死ぬが、男は女のためには死なない」と言い残して帰っていく。
見廻組を脱退した早瀬辰馬(隼人丈)が半平太を訪ねてくるが、そこを見廻組に踏み込まれる。
半平太は奥平をつい斬ってしまう。それによって、見廻組と新選組の恨みを買う。

「長州藩の意見は佐幕に統一された」との桂からの知らせを受けて、半平太は「おのれ、裏切ったな!」と憤る。
長州藩士の集会の中、半平太は悪態をついて出ていく。
身をやつした桂が現れ、「真意を確かめるために、わざと偽の情報を流した。薩摩と手を組む」を告げ、半平太は喜ぶ。
そこへ見廻組が現れる。半平太は見廻組をばったばったと斬り倒し、「喉が渇いた」と水を飲み… と思いきや、ブーーーッと霧状に噴き出した。(最前列のお客さんにかかってない?)

浪宅で半平太が眠っていると、染八が忍び込んで半平太を刺そうとする。
しかし、結局刺すことができない。
半平太にそれを問われると、「ダンナはんの敵と思って着け狙ううちに、月形はんに惹かれてしまった」とまさかの告白。奥平、報われない…
そこへ梅松が帰ってきて、半平太を巡って火花が散る。
ぽやーんとしている舞妓の歌菊(米吉丈)が可愛い。きっと山城屋さんの好みだろう。(←おい)

歌菊が何者かに預かった書状を半平太に渡す。それは桂からの書状で、半平太は梅松に「もう会えないかもしれない」と形見代わりに印籠を渡して出ていく。
しかし、それは新選組の罠だった。後からやってきた桂と辰馬は、半平太を探して駆けていく。
新選組好きとしては、ちょっとこの扱いは悲しいが、長州目線じゃ仕方ないか。
半平太は激しい立ち回りを見せるが、多勢に無勢。最後の1人と刺し違え、自らの腹を掻っ捌いて、寺の柱に「死して護国の鬼となる」と書き残す。(桂さんが読むまで、「死」しか読めなかった…)
最後、桂に介錯を頼んだところで幕。

予備知識が全くない状態で見たが、意外と面白かった。(どうでもいいことだが、この演目が決まるまで、ずっと「月影半平太」だと思っていた…)
半平太ってことは、武市半平太がモデルなのかな? 武市とずいぶんイメージ違うんだけど。

楳茂都 三人連獅子

親獅子(愛之助丈)、母獅子(壱太郎丈)、子獅子(種之助丈)による石橋もの。
毎回思うが、自分で我が子を谷底へ突き落しておきながら、少し肩を落として心配そうにしているパパ獅子が可愛い。
最後の毛振りはぶんぶんと勢い良くてすごかった。

夜の部

21日に前方花道寄りで観劇。

通し狂言 南総里見八犬伝

「通し狂言」と言っても、原作が長過ぎるので有名な場面のダイジェストのようになっている。
ところどころ原作と違うので、「あれ、原作どうだったっけ?」と混乱する。(それにしても、里見家滅亡はやりすぎ。)
発端では千壽丈の玉梓が色っぽくて憎々しげで悪女っぽくてよい。里見義実(橘三郎丈)が一瞬色香に迷うのも無理はない。
八房(着ぐるみ)の中身は誰なんだろう?

場面は山中に移り、伏姫(壱太郎丈)の口から八房と暮らすことになった経緯が語られる。玉梓の怨霊によって、八房が伏姫に襲い掛かる。
金碗大輔(松江丈)の鉄砲により、八房は息絶えるが、同時に伏姫も倒れてしまう。
義実が姫にかけた数珠から仁義八行の玉が飛び散る。

次は蟇六(鴈治郎丈)の家に場面が移る。
犬塚信乃(米吉丈)と浜路(新悟丈)が花道からやってくるのだが、新悟丈が膝をくの字に曲げた状態で歩いていて、いくら背を低く見せるためとはいえ、脚がおかしくなるんじゃないかと心配になった。
米吉丈の信乃はお小姓みたいな可愛さ。
犬川荘助は橋之助丈。たまーに、「声がお父さんに似てる」と思うときがある。
網干左母二郎は隼人丈。ものすごく頑張っているのが伝わってきて、思わず心の中で応援してしまった。(本来なら、さらっと悪いヤツに見えないといけないのだろうが。)
蟇六とお代官(寿治郎丈)のやり取りは流石に面白い。若手ばかりの中、よくぞ出演してくださったという感じ。

円山塚で、浜路は左母二郎に騙されていたと知って斬りかかるが、返り討ちに合ってしまう。
そこへ火柱の中から犬山道節(愛之助丈)が現れ、左母二郎を倒して村雨丸を手に入れる。
道節と浜路は実は兄弟で、浜路は「村雨丸を信乃様に届けてほしい」と頼んでこと切れる。
犬坂毛野(壱太郎丈)、犬村大角(種之助丈)、犬田小文吾(隼人丈)、犬川荘助(橋之助丈)、犬江親兵衛(福之助丈)のだんまりの後、すっぽんから道節が現れ、修験者の衣装から八犬士のおなじみの衣装に替わり、花道を六方で去っていく。

場面は足利成氏(松江丈)の館→芳流閣へ移る。
犬飼現八(萬太郎丈)信乃の立ち回りの場面だが、ちょっと迫力が足りないかな。
さらに場面は移り、犬村大角の家。
目に矢傷を負った母・伏屋(吉弥丈)は実は大角の両親を食い殺した化け猫で、大角の留守中に雛衣(折乃助丈)を惨殺する。化け猫が本性を現すとき、猫の耳がぴょこんと飛び出る。
化け猫はさらにパワーアップ。綺麗な吉弥丈とは思えない鬼婆っぷりで迫力満点。もっと見ていたかったが、大角と現八に倒されてしまった。

大詰は足利のお屋敷かと思ったら(セット同じだよね?)、扇谷定正(鴈治郎丈)の城だった。
足利の館にいた家臣もそのまま並んでるし、台詞聞き逃したのか、混乱した。
八犬士そろい踏みで定正に討ちかかるが、最後は「後日会おう」「さらば」「さらば」で幕。(鴈治郎丈を倒すわけにはいかないもんね。)
それにしても、鴈治郎丈の立ち回りって珍しいんじゃなかろうか?
若手花形が頑張っていたが、「10年後に見たかった」というのが本音かな。

おまけ


↑昼の部の幕間に食べたお弁当(劇場で購入)。


↑夜の部の幕間に食べたもなかアイス。


↑終演後、友人と居酒屋で夕食。その時飲んだ八海山