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壽初春大歌舞伎 歌舞伎座

歌舞伎座百三十年
松本幸四郎改め 二代目 松本白鸚
市川染五郎改め 十代目 松本幸四郎
松本金太郎改め 八代目 市川染五郎
襲名披露

2018年1月2日(火)~2018年1月26日(金)
【貸切】5日(金)昼の部 ※幕見席は営業

配役

昼の部(11:00開演)

一、箱根霊験誓仇討(はこねれいげんちかいのあだうち)

飯沼勝五郎:六代目 中村勘九郎
滝口上野、奴筆助:六代目 片岡愛之助
女房初花:二代目 中村七之助
刎川久馬:三代目 中村吉之丞
母早蕨:二代目 片岡秀太郎

二、七福神(しちふくじん)

恵比寿:三代目 中村又五郎
弁財天:三代目 中村扇雀
寿老人:初代 坂東彌十郎
福禄寿:八代目 市川門之助
布袋:十一代目 市川高麗蔵
毘沙門:八代目 中村芝翫
大黒天:四代目 中村鴈治郎

三、菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)

〈車引〉

松王丸:七代目 市川染五郎 改め 十代目 松本幸四郎
梅王丸:六代目 中村勘九郎
桜丸:二代目 中村七之助
杉王丸:三代目 大谷廣太郎
金棒引藤内:二代目 中村亀鶴
藤原時平:初代 坂東彌十郎

〈寺子屋〉

松王丸:九代目 松本幸四郎 改め 二代目 松本白鸚
武部源蔵:四代目 中村梅玉
千代:二代目 中村魁春
戸浪:五代目 中村雀右衛門
涎くり与太郎:四代目 市川猿之助
百姓 良作:五代目 澤村由次郎
同 田右衛門:初代 大谷桂三
同 鍬助:二代目 市川寿猿
同 米八:六代目 嵐橘三郎
同 麦六:四代目 片岡松之助
同 仙兵衛:初代 中村寿治郎
同 八百吉:三代目 中村吉之丞
百姓吾作:六代目 中村東蔵
春藤玄蕃:四代目 市川左團次
園生の前:四代目 坂田藤十郎

夜の部(16:30開演)

一、双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき) 角力場

濡髪長五郎:八代目 中村芝翫
藤屋吾妻:二代目 中村七之助
仲居おたけ:三代目 澤村宗之助
茶亭金平:三代目 松本錦吾
山崎屋与五郎、放駒長吉:六代目 片岡愛之助

二、二代目松本白鸚、十代目松本幸四郎、八代目市川染五郎襲名披露 口上(こうじょう)

九代目 松本幸四郎 改め 二代目 松本白鸚
七代目 市川染五郎 改め 十代目 松本幸四郎
四代目 市川金太郎改め 八代目 市川染五郎
幹部俳優出演

三、歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)

武蔵坊弁慶:七代目 市川染五郎 改め 十代目 松本幸四郎
源義経:四代目 市川金太郎改め 八代目 市川染五郎
亀井六郎:四代目 中村鴈治郎
片岡八郎:八代目 中村芝翫
駿河次郎:六代目 片岡愛之助
常陸坊海尊:五代目 中村歌六
富樫左衛門:二代目 中村吉右衛門

四、上 相生獅子(あいおいじし)

姫:三代目 中村扇雀
姫:初代 片岡孝太郎

四、下 三人形(みつにんぎょう)

傾城:五代目 中村雀右衛門
若衆:四代目 中村鴈治郎
奴:三代目 中村又五郎


データ

筋書

愛之助丈関連
舞台写真:「箱根霊験誓仇討」滝口上野:3枚
舞台写真:「箱根霊験誓仇討」奴筆助:4枚
舞台写真:「角力場」山崎屋与五郎:4枚
舞台写真:「角力場」放駒長吉:5枚
舞台写真:「口上」1枚
舞台写真:「勧進帳」駿河次郎:5枚
68~69ページ:「花競木挽賑」内インタビュー

舞台写真

愛之助丈は、
「箱根霊験誓仇討」滝口上野が2種類
「箱根霊験誓仇討」奴筆助が5種類(勘九郎丈の勝五郎との2ショット1種類、いてう丈のあんこの次郎と吉兵衛丈のなまこの八との3ショット1種類を含む)
「角力場」山崎屋与五郎が5種類(芝翫丈の濡髪長五郎との2ショット1種類、七之助丈の藤屋吾妻との2ショット1種類を含む)
「角力場」放駒長吉が2種類
「口上」が1種類
「勧進帳」駿河次郎が2種類

料金

1等席:20,000円
2等席:15,000円
3階A席:6,000円
3階B席:4,000円
1階桟敷席:22,000円
筋書:1,800円

雑誌

『演劇界』2018年3月号

愛之助丈関連
8~9ページ:舞台写真「勧進帳」弁慶と四天王(愛之助丈は駿河次郎)(カラーグラビア)
25ページ:舞台写真「角力場」放駒長吉(カラーグラビア)
32~33ページ:舞台写真「箱根霊験誓仇討」滝口上野(モノクロ 2枚)
32~33ページ:舞台写真「箱根霊験誓仇討」奴筆助(モノクロ 2枚)
38ページ:舞台写真「角力場」山崎屋与五郎(モノクロ 2枚)
38ページ:舞台写真「角力場」放駒長吉(モノクロ 3枚)
40ページ:舞台写真「口上」(モノクロ 3枚)
40~41ページ:舞台写真「勧進帳」駿河次郎(モノクロ 4枚)
43~45ページ:壽初春大歌舞伎(歌舞伎座)の劇評
139ページ:「酒と涙とジキルとハイド」の紹介(1/2ページ)
演劇界 2018年 03 月号 [雑誌]

歌舞伎DVDコレクション 第1号

この公演の「勧進帳」の映像を見ることができる。
歌舞伎特選DVDコレクション 全国版(1) 2019年 9/11 号 [雑誌]

感想

昼の部

21日に昼の部を前方花道よりで観劇。

箱根霊験誓仇討

花道からいざり車に乗った勝五郎(勘九郎丈)と車を引く妻の初花(七之助丈)が登場する。勝五郎が妻をいたわると、初花は「女房に礼を言うことがあるものか」と答える。現代の男性陣はこんな奥さんがほしいんじゃなかろうか。
非人に身をやつしていが奴の筆助(愛之助丈)がやってきて、仇の滝口上野(愛之助丈2役)の様子を探りに行く。
話はそれるのだが、私は観劇前に舞台写真を買っておく。
非人役のいてう丈と吉兵衛丈との3ショットの舞台写真があったのだが、いてう丈が勘九郎丈によく似ていて驚いた。私の後ろで舞台写真を見ていた女性客も「あれ? これって…?」と話していた。(舞台で動いている姿は似てると思わなかった。声が勘三郎丈に似ていると思った。やはり、お弟子さんは師匠に似るのだろうか?)

さて、勝五郎が身の不運を嘆いているところへ上野が登場。筆助は肌色、上野は白塗りなので、2役替わるのは大変そう。
上野は勝五郎を踏みつけ、初花の母・早蕨(秀太郎丈)を人質にとり、初花に「自分のものになれ」と迫る。歌舞伎の悪役って、どうしてこうワンパターンなんだろうね。前にもこんな感じの場面を見た覚えがたくさんあるぞ。
演じている愛之助丈は多分気分がいいだろう。

初花は泣く泣く上野についていく。
勝五郎は初花に「自分の代わりに上野を討ってくれ」と言ったものの、「女の細腕では返り討ちにあうだろう」と嘆く。まさに辛抱立役。
そこに初花が戻ってくるのだが、スッポンからおどろおどろしい音楽とともに登場するし、顔から紅の色がなくなって いるので、観客には幽霊だとわかる。

勝五郎は上野を討とうとせずに帰ってきたことをなじり、夫婦の縁を切るという。(現代だったら、さっさと奥さんに逃げられてるぞ。)
初花は、勝五郎の脚が治るようにと願をかけており。今日で満願だからと滝に打たれに行く。
初花の一念が通じたのか、勝五郎の脚は治り、まるで“クララが立った”状態になる。この時の早蕨とのやり取りが微笑ましい。

2人が喜んでいるところへ筆助がやってきて、初花が上野に討たれたと告げる。初花の首を愛おしそうに抱く勝五郎の仕草にうるっときた。
勝五郎が筆助と敵討ちに向かおうとするところを、滝壺から初花の幽霊が見まもって、幕。

七福神

船に乗った七福神が登場し、酒を飲んだり、舞いを舞ったりして、最後に船に乗って、幕。(身も蓋もない書き方だな、おい。)
とにかくおめでたい感じの一幕だった。

車引

金棒引が亀鶴丈で、これも襲名ならではの配役だと思ったが、亀鶴丈の出番って昼夜合わせてこれだけ!?
松王丸が新幸四郎丈、梅王丸が勘九郎丈、桜丸が七之助丈で、オーソドックスなお江戸版の車引だった。要所要所で見得がピタッと決まって、綺麗だった。

寺子屋

源蔵(梅玉丈)が戸浪(雀右衛門丈)に菅秀才の身代わりをどうするかと話しているところは、現代の感覚ではあり得ないのだが、貴公子・梅玉丈の憂いの表情を見ていると、何だかよくわからないが説得力を感じてしまう。

花道から玄蕃(左團次丈)、駕籠から松王丸(新白鸚丈)が現れ、首実検となる。
この演目は、観劇2回目以降の方が、松王丸や千代(魁春丈)の態度からその心理を想像できて、いろいろ考えさせられる。
涎くりは猿之助丈。花道を去るときに父親(東蔵丈)と手を繋ぎ、「手は大丈夫か?」と聞かれ、「めでたい襲名披露に出るために頑張ってリハビリしたんだ」と答えていた。お元気そうで何より。

ただでさえ重い話なのに、役者さんが上手くて見入ってしまうので、さらにずーんと重い気持ちになる。見終わった後はすごく疲れたが、やっぱり襲名披露は出演者が豪華でいいなぁ。


夜の部

20日に夜の部を前方上手寄りで観劇。

角力場

吾妻(七之助丈)と与五郎(愛之助丈)がじゃらじゃらじゃらじゃらしているところが可愛い。
堂々として立派な濡髪(芝翫丈)とちょこまかした放駒(愛之助丈)のバランスがいい感じだった。
この演目は好きな役者をウキウキしながら見るものだと思っている。

口上

上手から順に、梅玉丈、東蔵丈、翫治郎丈、彌十郎丈、高麗蔵丈、勘九郎丈、芝翫丈、雀右衛門丈、秀太郎丈、新染五郎丈、新幸四郎丈、新白鸚丈、藤十郎丈、魁春丈、歌六丈、扇雀丈、愛之助丈、七之助丈、孝太郎丈、又五郎丈、左團次丈、吉右衛門丈。
藤十郎丈が紹介の途中で言葉に詰まり、見ていてハラハラした。(その後のご挨拶は紙を読みあげていた。)

人数が多くておぼえきらなかったので、覚えている部分のみ。(※こんな感じで話していたというだけで、一言一句この通りに話したわけではありません。)

愛之助丈「新白鸚のお兄さんには本名で舞台に出ている頃から可愛がっていただいた。新幸四郎さんとは同年代でここで話せることや話せないことや沢山思い出がある。今後もお見捨てなきよう。新染五郎さんと一緒にお芝居をするのが楽しみ」

孝太郎丈「新幸四郎さんとはたくさんの舞台で共演し、夫婦役もした。妹の松たか子さんとも夫婦役をしたことがある。」

左團次丈(名乗っただけで笑いが起きる存在感w)「新白鸚さんとは学校が同じだった。級長、副級長をなさっていて、ばあやが迎えにきて踊りなどのお稽古にも熱心だった。私はそのようなお稽古は脇に置いておいて、キャバクラやクラブのお稽古をしていた。」

吉右衛門丈「次の幕の富樫は実父・初代白鸚に習ったやり方で勤める。」

梅玉丈(一番長く話していたかも)「新白鸚さんが弁慶を演じた1000回のうち、富樫や義経で480回くらい出させていただいた。これからもお見捨てなきよう。」

秀太郎丈「父・十三世仁左衛門は七代目幸四郎さんに非常にお世話になった。」

新白鸚丈が安倍内閣総理大臣(筋書に寄稿している)が観劇に来ていると言うと、客席が一斉に後ろを振り返った。私も振り返ってしまった。というか、そっちに気を取られて、新幸四郎丈と新染五郎丈の口上の内容が吹っ飛んだ。(←ダメすぎる…)

勧進帳

吉右衛門丈の富樫が素晴らしかった。(私みたいな素人にもわかるくらい。) 私は普段好きな役者しか目に入っていないことが多いのだが、富樫にくぎ付けだった。愛之助丈には、ぜひこの芸を盗んでいただきたいものである。

新幸四郎丈の弁慶を見るのは初めて。客席まで気迫が伝わってきた。(私は海老蔵丈の弁慶しか見たことがないので、この弁慶がどのくらいのものかはちょっと計りかねるのだが…)
新染五郎丈を舞台で見るのも初めてだった。若くて線が細くて、守りたくなるような義経だと思った。
四天王が歌六丈、翫治郎丈、芝翫丈、愛之助丈で、襲名ならではの贅沢な配役だと思った。

相生獅子

タイトルに「獅子」とあるので、毛振りをするのかと思ったら、手獅子(綱豊卿が最後の場面で頭に着けている飾りみたいなものに長い布がついている)を使っての踊りだった。
姫2人(扇雀丈、孝太郎丈)が綺麗だった。

三人形

傾城(雀右衛門丈)、奴(又五郎丈)、若衆(翫治郎丈)の舞踊。
吉原の遊郭を舞台にした華やかな踊りだった。


おまけ

舞台写真を買いに3階まで上がったら、売り場が1階になっていた。
開演前に歌舞伎座タワー5Fの「楽座」で先月の舞台写真を購入した。)


↑夜の部の幕間に食べためでたい焼き。


↑夜の部の幕間に食べたお弁当。(1階の売店で購入)


↑昼の部の幕間に食べた「新世界グリル 梵」のカツサンド。(木挽町広場で購入)


↑お土産は「菓匠 花見」の「白鷺宝」。