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第十一回 永楽館歌舞伎

2018年10月18日(木)~10月24日(水)
※24日(水)は昼の部のみ
【貸切】19日(金)昼の部

配役

昼の部(11:30開演)/夜の部(16:00開演)

一、御所桜堀川夜討(ごしょざくらほりかわようち) 弁慶上使(べんけいじょうし)

武蔵坊弁慶:六代目 片岡愛之助
おわさ:初代 中村壱太郎
卿の君/腰元しのぶ:初代 上村吉太朗
花の井:六代目 上村吉弥
侍従太郎:初代 大谷桂三

二、お目見得 口上(こうじょう)

幹部俳優出演

三、人気投票によりアンコール上演決定! 神の鳥(こうのとり)

狂言師右近 実はこうのとり(男):六代目 片岡愛之助
山中鹿之介幸盛:六代目 片岡愛之助
狂言師左近 実はこうのとり(女):初代 中村壱太郎
こうのとり(子):初代 片岡愛三朗
傾城柏木:六代目 上村吉弥
赤松満祐:初代 大谷桂三

データ

筋書

愛之助丈関連
20ページ:「コウノトリ育むお米」のチラシ(カラー)
20ページと21ページの間の折込(すべてカラー)  舞台写真「角力場」山崎屋与五郎、「国性爺合戦」和藤内
 裏はポスター:舞台写真「川連法眼館」源九郎狐(カラー)
21ページ:舞台写真「NARUTO」うちはマダラ、「GOEMONロマネスク」石川五右衛門(全てカラー)
36ページ:舞台写真「神の鳥」こうのとり(カラー)

料金

全席指定:12,000円
筋書:1,000円

雑誌

『演劇界』2019年1月号

愛之助丈関連
32~33ページ:舞台写真「寿曽我対面」集合写真(愛之助丈は曽我五郎時致)(カラーグラビア)
37ページ:舞台写真「御存 鈴ヶ森」白井権八(カラーグラビア)
48ページ:舞台写真「連獅子」僧蓮念(モノクロ 1枚)
49ページ:舞台写真「御存 鈴ヶ森」白井権八(モノクロ 5枚)
43~45ページ:「南座新開場記念 吉例顔見世興行」の劇評
61ページ:舞台写真「弁慶上使」武蔵坊弁慶(カラーグラビア)
62~63ページ:「第十一回 永楽館歌舞伎 永楽館」の劇評
・舞台写真「弁慶上使」武蔵坊弁慶(カラー 2枚)
・舞台写真「口上」(カラー 1枚)
・舞台写真「神の鳥」狂言師右近(カラー 2枚)
・舞台写真「神の鳥」こうのとり(カラー 1枚)
・舞台写真「神の鳥」山中鹿之介幸盛(カラー 1枚)
114ページ:舞台写真「釣女」太郎冠者(モノクロ 1枚)←紀伊田辺ライオンズクラブ
114ページ:舞台写真「吉野山」源九郎狐(モノクロ 1枚)←紀伊田辺ライオンズクラブ
132ページ:壽初春大歌舞伎(松竹座)の紹介(1/2ページ)
演劇界 2019年 01 月号 [雑誌]

感想

感想


10日に第2部を前方花道寄りで観劇。

弁慶上使

古風な芝居小屋にぴったりの演目だと思う。
鎌倉から武蔵坊弁慶(愛之助丈)が上使としてやってくる。この演目の弁慶は、もっさーっとした頭に、赤い隈に青い髭?で正直色男とはいいがたい。

義経の正室で平氏の娘である卿の君(吉太朗丈)の首を鎌倉に差し出さねばならないということで、侍従太郎(桂三丈)は腰元のしのぶ(吉太朗丈・二役)に身代わりに首をくれと言いだす。
健気なしのぶは了承するが、母のおわさ(壱太郎丈)は「この子の父親=昔契ったお稚児さんに会わせるまでは死なせない」と、稚児の形見の赤い襦袢の片袖(お稚児さんの襦袢なので、振袖)を見せる。
歌舞伎では「主人の身代わりに首を差し出せ」というのはよくあるが、それに抵抗するのは珍しいかも。

侍従太郎と妻の花の井(吉弥丈)はどうしても身代わり首が必要だと、強引におわさとしのぶを引き離す。
そこへ、襖の向こうから弁慶がしのぶを一刺し、なじるおわさに襦袢の片袖を見せて、自分が父親だと名乗る。
おわさは身づくろいして「そんならお前があの時のお稚児さんかえ?」なんて言っているが、あんた、娘刺されて倒れとるがな。浮かれてる場合じゃないぞ。(目の前のもっさーとした弁慶がお稚児さんということに驚かないのだろうか?)
我に返ったおわさが「なぜ娘を殺したのか」と弁慶を責めると、弁慶は「お主のためだ!」と言う。
瀕死のしのぶは弁慶を父と認識できないまま、最期まで母を心配して息絶える。
じっと座っていた弁慶は、産声以外に泣いたことがないと言うが、男泣きに泣く。

その後、弁慶は侍従太郎に「卿の君の首を渡されよ」と命じ、侍従太郎はしのぶの首を切り落とす。(布に包まれた首が出てくるのが早いからか、客席から笑いが起きるのだが、笑うところじゃないぞ。)
侍従太郎は身代わり首を弁慶に差し出した後、自分の腹に刀を突き立て「自分の首を添えて差し出せば、よもや、鎌倉殿も身代わり首とは思うまい」と果てる。ここが現代のパワハラ上司とは違うところ。

弁慶は2つの首を抱え、すがりつくおわさと花の井を振り切り、しのぶの首に切なそうに頬を寄せた後、花道を退場。

口上

上手側から、桂三丈、愛之助丈、壱太郎丈、吉弥丈の並び。
一言一句覚えているわけではないので、「こんなことを話していた」くらいの覚書です。

まずは愛之助丈がご挨拶。
毎度おなじみの、初回は8月だったという話から始まる。(出石に近づくにつれ人がいなくなったこと、お練りになるとたくさん集まってくれたことなど。)
この日は中貝市長がご観劇。
「市長が替わったら、僕たちは切られるだろうと思っていましたが、強すぎて対抗馬がいない」とのこと。
市長から、来年の永楽館歌舞伎開催に○印をいただいて、見ている私たちも一安心。中貝市長、応援してますよ。(投票権ないけどね。)

続いて桂三丈。
ご当地お初お目見え。
若々しいと言われるが、実はウィッグを被っている。博多座の船乗り込みで、上から映された映像を見てからかぶるようになった。このことは秘密にしてください。
(とっても長い口上だったが、↑が衝撃(笑撃?)で他の内容は吹っ飛んだ。)

吉弥丈。
2年振りのお目見え。
近隣の方に声をかけていただいて、ビニール袋を渡されて、中を見たらバナナが4本入っていた。
次は壱太郎さんから恒例のお土産の紹介があるはず。

壱太郎丈。
中貝市長から来年も永楽館歌舞伎に○印をもらってほっとしたということ、自分より若い吉太朗君が出てきたので、娘の役はとられて母の役になったということを話した後、毎年恒例、コーちゃんのぬいぐるみを取り出し、「今年から永楽館でも買えるようになりました。皆さん、ぜひコーちゃんを保護して帰ってください」
そして、懐から次々とチラシを取り出し、「コウノトリ育むお米」と新しくできた米焼酎「幸鸛舞」、鞄のご紹介。

最後は「隅から隅までずいーっと…」で幕。

神の鳥

人気投票によるアンコール上演。
この演目は新作だが、古典っぽい雰囲気なのがよかったのではないだろうか。

初演と内容はほぼ変わらず。赤松満祐役の桂三丈、子供のこうのとりが愛三朗丈に代わったほかは愛之助丈の狂言師・こうのとり・山中鹿之介幸盛、壱太郎丈の狂言師、こうのとり、吉弥丈の傾城柏木、仁木入道(千次郎丈)の配役は初演通り。
愛三朗丈(愛之助丈の部屋子さん)って、3月に芝翫丈から「愛坊のところの…」って紹介してもらった丁稚さんよね? こんなに背が高かったっけ? 舞台が小さいから大きく見えるのか?

物語は単純明快、こうのとりのピンチにヒーロー・山中鹿之介幸盛が颯爽と現れて、悪役・赤松満祐を懲らしめて帰っていくだけ。しかし、舞台が華やかで、いろいろな役を一度に見ることができて、勧善懲悪で見終わったあとの気分がよい。
今回は山中鹿之介幸盛の登場前に、仁木入道が「まんぷく」をネタにしていた。

最後、花道で山中鹿之介幸盛が「御見物の皆様と中貝市長のおかげで…」とご挨拶して、退場。
花道上の2階席(役者の顔が目の前ってくらい、近い位置にある)のおばさま方が「こっち向いてー!」「こっちー!」と楽しそうにしていたのが微笑ましかった。

今年も永楽館は楽しかった。
来年も楽しみ。

おまけ


↑「コウノトリ育むお米」と「湖月堂」の栗蒸しようかん。
お米は小さいサイズやパックのものも売っているし、2kgサイズもある。
「湖月堂」さんでは、お菓子をバラで買えるので、「仙石焼」と「沢庵饅頭」を1つずつ買って、幕間に食べた。ここのお菓子はどれも美味しい。


↑「あられのカタチのチョコ」、栗きんとんきんつば、丹波の黒豆煮、丹波黒豆グラッセ。


↑山下さんの皿そばと蕎麦プリン。(永楽館の観劇チケットを見せると、10%割引のサービスが受けられる。)