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南座新開場記念 吉例顔見世興行

南座発祥四百年 南座新開場記念
京の年中行事 當る亥歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎
松本幸四郎改め 二代目 松本白鸚
市川染五郎改め 十代目 松本幸四郎
松本金太郎改め 八代目 市川染五郎
襲名披露

2018年11月1日(木)~11月25日(日)

配役

昼の部(10:30開演)

第一、歌舞伎十八番の内 毛抜(けぬき)

粂寺弾正:四代目 市川左團次
腰元巻絹:初代 片岡孝太郎
八剣玄蕃:二代目 中村亀鶴
秦秀太郎:初代 中村壱太郎
八剣数馬:三代目 大谷廣太郎
錦の前:七代目 市川男寅
小野春風:三代目 澤村宗之助
腰元若菜:六代目 上村吉弥
小原万兵衛:六代目 片岡市蔵
秦民部:十一代目 市川高麗蔵
小野春道:八代目 大谷友右衛門

第二、連獅子(れんじし)

狂言師右近 後に親獅子の精:市川染五郎改め 十代目 松本幸四郎
狂言師左近 後に仔獅子の精:松本金太郎改め 八代目 市川染五郎
僧蓮念:六代目 片岡愛之助
僧遍念:四代目 中村鴈治郎

第三、恋飛脚大和往来 封印切(ふういんきり)

亀屋忠兵衛:十五代目 片岡仁左衛門
傾城梅川:初代 片岡孝太郎
丹波屋八右衛門:四代目 中村鴈治郎
井筒屋おえん:二代目 片岡秀太郎
槌屋治右衛門:四代目 市川左團次

第四、御存 鈴ヶ森(ごぞんじすずがもり)

幡随院長兵衛:松本幸四郎改め 二代目 松本白鸚
白井権八:六代目 片岡愛之助
雲助北海の熊六:三代目 松本錦吾
同 東海の勘蔵:六代目 片岡市蔵
飛脚早助:八代目 大谷友右衛門

夜の部(16:30開演)

第一、寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)

工藤左衛門祐経:十五代目 片岡仁左衛門
曽我十郎祐成:初代 片岡孝太郎
曽我五郎時致:六代目 片岡愛之助
大磯の虎:六代目 上村吉弥
化粧坂少将:初代 中村壱太郎
梶原平三景時:四代目 片岡松之助
八幡三郎:三代目 澤村宗之助
近江小藤太:二代目 中村亀鶴
鬼王新左衛門:初代 片岡進之介
小林妹舞鶴:二代目 片岡秀太郎

第二、二代目松本白鸚、十代目松本幸四郎、八代目市川染五郎 襲名披露 口上(こうじょう)

九代目 松本幸四郎 改め 二代目 松本白鸚
七代目 市川染五郎 改め 十代目 松本幸四郎
四代目 市川金太郎改め 八代目 市川染五郎
四代目 坂田藤十郎
十五代目 片岡仁左衛門

第三、歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)

武蔵坊弁慶:市川染五郎改め 十代目 松本幸四郎
源義経:松本金太郎改め 八代目 市川染五郎
亀井六郎:八代目 大谷友右衛門
片岡八郎:十一代目 市川高麗蔵
駿河次郎:三代目 澤村宗之助
常陸坊海尊:三代目 松本錦吾
富樫左衛門:松本幸四郎改め 二代目 松本白鸚

第四、雁のたより(かりのたより)

髪結三二五郎七:四代目 中村鴈治郎
万屋金之助:市川染五郎改め 十代目 松本幸四郎
前野左司馬:二代目 中村亀鶴
愛妾司:初代 中村壱太郎
医者玄伯:二代目 市川寿猿
高木治郎太夫:六代目 片岡市蔵
乳母お光:五代目 坂東竹三郎
花車お玉:二代目 片岡秀太郎


データ

筋書

愛之助丈関連
舞台写真:「連獅子」僧蓮念:3枚
舞台写真:「御存 鈴ヶ森」白井権八:5枚
舞台写真:「寿曽我対面」曽我五郎時致:5枚

舞台写真

愛之助丈は、
「連獅子」僧蓮念が3種類(秀太郎丈の渚との2ショット1種類を含む)
「御存 鈴ヶ森」白井権八が6種類
「寿曽我対面」曽我五郎時致が9種類(孝太郎丈の曽我十郎祐成との2ショット5種類を含む)

料金

一等席:25,000円
二等席A:12,000円
二等席B:10,000円
三等席:8,000円
四等席:6,000円
特別席:27,000円
筋書:2,000円

雑誌

『演劇界』2019年1月号

愛之助丈関連
32~33ページ:舞台写真「寿曽我対面」集合写真(愛之助丈は曽我五郎時致)(カラーグラビア)
37ページ:舞台写真「御存 鈴ヶ森」白井権八(カラーグラビア)
48ページ:舞台写真「連獅子」僧蓮念(モノクロ 1枚)
49ページ:舞台写真「御存 鈴ヶ森」白井権八(モノクロ 5枚)
43~45ページ:「南座新開場記念 吉例顔見世興行」の劇評
61ページ:舞台写真「弁慶上使」武蔵坊弁慶(カラーグラビア)
62~63ページ:「第十一回 永楽館歌舞伎 永楽館」の劇評
・舞台写真「弁慶上使」武蔵坊弁慶(カラー 2枚)
・舞台写真「口上」(カラー 1枚)
・舞台写真「神の鳥」狂言師右近(カラー 2枚)
・舞台写真「神の鳥」こうのとり(カラー 1枚)
・舞台写真「神の鳥」山中鹿之介幸盛(カラー 1枚)
114ページ:舞台写真「釣女」太郎冠者(モノクロ 1枚)←紀伊田辺ライオンズクラブ
114ページ:舞台写真「吉野山」源九郎狐(モノクロ 1枚)←紀伊田辺ライオンズクラブ
132ページ:壽初春大歌舞伎(松竹座)の紹介(1/2ページ)
演劇界 2019年 01 月号 [雑誌]

感想

昼の部

18日に3階から観劇。

↑席からの眺め。

毛抜

粂寺弾正(左團次丈)はおおらかで飄々としていて、若衆や腰元に迫っても、あまりいやらしくない。
左團次丈は結構なお年のはずだか、あの衣装であちこち動いて、すごい体力だと思う。(最後、花道で刀が中々腰に挿せ無かったようで、後見さんがフォローしようと出てきてた。)

巻絹(孝太郎丈)の「ビビビビビ」が可愛かった。今月は吉弥丈がお婆さんではなく、綺麗な役で出ているので嬉しい。
この演目は久しぶりに見たけど、話の筋はわかりやすいし、衣装は綺麗だし、ラストはめでたしめでたしだし、楽しかった。

連獅子

親獅子(幸四郎丈)と仔獅子(染五郎丈)が実の親子の連獅子。アイ狂言で僧蓮念(愛之助丈)と僧遍念(鴈治郎丈)が登場する。
染五郎丈は13歳だそうだが、そんな若い子が長い毛を振り回しているかと思うと健気だ。
幸四郎丈が隣で勢いよくぶん回していて、本当に我が子を谷底へ落とす親獅子のようだった。(大人気ないが、そこがいい。)
近くで見た方が迫力はあるだろうけど、上から全体を見るのもいいなぁと思った。
それにしても、染五郎丈、大きくない?(筋書の「襲名への奇跡」を見ると、すごい勢いで背が伸びているのがよくわかる。)

封印切

松嶋屋型の忠さんを見たのは初めて(だと、途中で気付いた)。舞台装置やら台詞やら、成駒屋の型とは結構違うんだなぁ。
仁左衛門丈の忠さんはすらっとして男前。こんな色男だったら、金も力もなくてもいいわ。
小判がさらさら~っと落ちるところが決まっていた。どこがどういいとかではなく、全部よかった。
八っつあん(鴈治郎丈)は憎々しい感じで、あまり愛嬌はない。(でも、憎まれ役だから、これでいいように思う。)
梅川(孝太郎丈)はどこか倖薄そう。治右衛門(左團次丈)さんとおえんさん(秀太郎丈)はお似合いの夫婦だった。

御存 鈴ヶ森

初めて見る演目だが、これと言って筋のある話ではないし、好きな役者さんが出てないと退屈なのではないだろうか。
お尋ね者の白井権八(愛之助丈)が雲助に囲まれ、次々と切り捨てていくのだが、殺陣が様式美というか、ブラックユーモアっぽかった。愛之助丈の前髪姿が見れたのは嬉しい。
幡随院長兵衛(白鸚丈)は流石の貫禄でいかにも大親分という感じだった。
最後、舞台がパッと明るくなって終わるのがいい。

この日から筋書に舞台写真が入ってラッキーだった。
肝心の劇場は、新開場という割には、あまり変わっていないような…?
奥にエレベーターはできたけど、エスカレーターはないし、ロビーも狭いままだったし、売店も小さい。
もうちょっとお弁当の種類を増やしてほしい。


夜の部

20日に夜の部を前方上手寄りで観劇。

寿曽我対面

新開場記念にふさわしい一幕。
好きな役者さんがずらりと並んでいて、それだけで幸せな気分になる。
愛之助丈が松嶋屋一門の中で歌舞伎をしているのを見るのは久しぶり。もうね、それだけで嬉しい。

ここからしばらくは私の独り言(というか、戯言)です。興味のない方はすっ飛ばしてください。
愛之助丈のファンになった頃は「同年代の(生粋の)御曹司に比べたら、やっぱり出番が少ないよね」と思っていて、「もう少し長く舞台に出てほしい」というのが、応援する原動力だったように思う。(昔はたまに大きな役がつくと嬉しかったなぁ。それを思うと、最近は贅沢に慣れてしまったのかもしれない。)
細々と応援していたら、テレビドラマや週刊誌沙汰で、歌舞伎と関係ないところで有名になってしまい、大きな役がつくようになったのは嬉しいけど、「遠くに行ってしまって寂しい」とかそんな段階を飛び越えて、「どこに飛んでくつもりなのか、見失いそうなんですけど…?」という気分である。
「とにかく着地点だけは忘れないでいただきたい」と、久しぶりの曽我五郎を見ながら思った(ので書いてみたが、ご本人には伝わるまい)。

口上

上手側から、藤十郎丈、白鸚丈、幸四郎丈、染五郎丈、仁左衛門丈の5人だけの口上だった。

注:役者さんが話した通りに書いているわけではなく、だいたいこんな感じのことを話していた程度に思ってください。

藤十郎丈が書き付けを読みながらまずは襲名の披露。
続いて、仁左衛門丈は「白鸚丈のことを話すのはおこがましいので」と前置きした上で、「幸四郎丈が6年前に奈落に落ちた事故から復活して嬉しい」「染五郎丈は13歳ながら芝居の筋がいい」

白鸚丈は南座とのご縁について話した後、「60年ほど前にも南座で祖父、父と芝居をしたが、ご覧になっているかたはいないと思う」
幸四郎丈は「前回の襲名で、南座では三代揃わなかったが、今回は倅が学校を一月休んで、三代揃って襲名披露できた」
染五郎丈は「連獅子では親獅子に負けないように演じる」

勧進帳

幸四郎丈の弁慶と染五郎丈の義経を見るのは二回目。
今回も幸四郎丈は大熱演だった。
白鸚丈の富樫は立派というか、強そう。(戦ったら倒せなさそうだ。)

雁のたより

五郎七さん(雁治郎丈)の役を照れずに演じられるのって、何気にすごいと思う。
司(壱太郎丈)も可愛いが、お玉どん(秀太郎丈)も可愛い。あの可愛さを真似できたら、男受けがよくなるだろうなぁ…(私には無理だけどな。)
亀鶴丈のバカ殿は、すっごいバカなんだけど、愛嬌があって憎めない。ちょっとした仕草が上手いなぁと思う。

床屋で若旦那(幸四郎丈)が顔を見せたときは、「あれ? さっきまで弁慶だったのに、ここで出ちゃう!?」と配役を知っているのに驚いた。
五郎七さんとのやり取りでは、南座の襲名について盛り上がり、さらに贔屓の役者について話す場面で…
若旦那「雁治郎さんは(幸四郎丈を)高い店に連れてってくれるらしいが、今月はまだと聞いている」
五郎七さん「(幸四郎丈は)今月は子供と一緒だから、出かけられないと聞いた」
若旦那「そんなことはない。(指を折りながら)南座も残り少なくなってきたのでお願いしますよ」
みたいなことを言っていて、客席は受けていた。

最後に無理矢理なハッピーエンド展開になるので、客席から笑いが起きていたが、無理もない。
でも、笑って劇場から帰れるのって、いいよね。

おまけ


↑夜の部の幕間に食べたお弁当。(劇場内で購入)
なだ万のお弁当だけあって、いいお値段だったが、美味しかった。幕間に急いで食べないといけないのが勿体なかった…


↑昼の部の幕間に食べたお弁当。(高島屋の地下の「米八」で購入)


↑お土産は辻利の「ぎおんの里」と「つじりの里」。


↑竹馬。