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南座新開場記念 吉例顔見世興行

南座発祥四百年 南座新開場記念
當る亥歳 吉例顔見世興行
京の年中行事 東西合同大歌舞伎

2018年12月1日(土)~12月26日(水)

配役

昼の部(10:30開演)

第一、菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)  寺子屋

松王丸:八代目 中村芝翫
武部源蔵:六代目 片岡愛之助
戸浪:三代目 中村扇雀
涎くり与太郎:三代目 中村福之助
春藤玄蕃:二代目 中村亀鶴
千代:二代目 中村魁春
御台園生の前:二代目 片岡秀太郎

第二、鳥辺山心中(とりべやましんじゅう)

菊地半九郎:四代目 中村梅玉
若松屋遊女お染:初代 片岡孝太郎
坂田源三郎:三代目 市川右團次
若党八介:初代 中村寿治郎
お染父与兵衛:六代目 片岡市蔵
若松屋遊女お花:二代目 中村魁春
坂田市之助:四代目 市川左團次

第三、ぢいさんばあさん

美濃部伊織:十五代目 片岡仁左衛門
下嶋甚右衛門:八代目 中村芝翫
宮重久弥:六代目 片岡愛之助
同輩の侍:六代目 片岡市蔵
同:二代目 中村亀鶴
同:四代目 片岡松之助
宮重久右衛門:十一代目 市川高麗蔵
久弥妻きく:初代 片岡孝太郎
伊織妻るん:五代目 中村時蔵

第四、恋飛脚大和往来(こいびきゃくやまとおうらい)  新口村

亀屋忠兵衛:四代目 坂田藤十郎
傾城梅川:三代目 中村扇雀
忠三郎女房:六代目 上村吉弥
父孫右衛門:四代目 中村鴈治郎

夜の部(16:50開演)

第一、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら)
木の実
小金吾討死
すし屋

いがみの権太:十五代目 片岡仁左衛門
弥助 実は三位中将維盛:五代目 中村時蔵
お里:三代目 中村扇雀
若葉の内侍:初代 片岡孝太郎
主馬小金吾:初代 片岡千之助
猪熊大之進:四代目 片岡松之助
弥左衛門女房お米:五代目 坂東竹三郎
権太女房小せん:二代目 片岡秀太郎
鮓屋弥左衛門:四代目 市川左團次
梶原平三景時:四代目 中村梅玉

第二、面かぶり(めんかぶり)

童子:四代目 中村鴈治郎

第三、弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)
浜松屋見世先より
稲瀬川勢揃いまで

弁天小僧菊之助:六代目 片岡愛之助
日本駄右衛門:八代目 中村芝翫
南郷力丸:三代目 市川右團次
鳶頭清次:二代目 中村亀鶴
浜松屋伜宗之助:三代目 中村福之助
浜松屋幸兵衛:六代目 片岡市蔵
赤星十三郎:初代 片岡孝太郎
忠信利平:四代目 中村鴈治郎

第四、三社祭(さんじゃまつり)

悪玉:初代 中村鷹之資
善玉:初代 片岡千之助


データ

筋書

愛之助丈関連
舞台写真:「寺子屋」武部源蔵:6枚
舞台写真:「ぢいさんばあさん」宮重久弥:3枚
舞台写真:「弁天娘女男白浪」「浜松屋見世先」弁天小僧菊之助:6枚
舞台写真:「弁天娘女男白浪」「稲瀬川勢揃い」弁天小僧菊之助:2枚
93ページ:永楽館の舞台写真「弁天娘女男白浪」弁天小僧菊之助

舞台写真

愛之助丈は、
「寺子屋」武部源蔵が7種類(芝翫丈の松王丸との2ショット1種類、扇雀丈の戸浪との2ショット3種類を含む)
「ぢいさんばあさん」宮重久弥が2種類(孝太郎丈のきくとの2ショット1種類を含む)
「弁天娘女男白浪」弁天小僧菊之助の「浜松屋見世先」が3種類、「稲瀬川勢揃い」が2種類

料金

一等席:25,000円
二等席A:12,000円
二等席B:10,000円
三等席:8,000円
四等席:6,000円
特別席:27,000円
筋書:2,000円

感想

昼の部

24日に前方上手側にて観劇。

寺子屋

愛之助丈初役の源蔵。もともと緊張感みなぎる演目ではあるが、好きな役者さんの初役なので見てる方も緊張した。
「忠義のためによその子を身代わり首にするなんてとんでもない!」と思いつつ、松王丸(芝翫丈)の再登場からは泣きっぱなし。(よくよく考えたら、今月は身代わり首の演目が2つ、酒で間違いをしでかす演目が2つと、偏っているような…)

「せまじきものは宮仕え…」は浄瑠璃が語っていたが、源蔵の台詞じゃなかったっけ? 思い違いか、型の違いかどちらだろう。
松王丸の衣装は薄いグレーに雪持ち松。以前見た松王丸は黒地や藍色の地だったので、役者さんによって衣装の色が違うのかな。
違いを細かく見比べるつもりはないが、「あそこが違った、ここはこうだっけ?」とぼんやり考えながら見るのは楽しい。

鳥辺山心中

何度か見ているが、これは半様(梅玉丈)の「濁りに沈めど濁りに染まぬ…」を聞くためだけの演目ではないかと思っている。
それにしても、旗本って色里に何カ月も居続けられるほど、お金を持ってたんだろうか?

ぢいさんばあさん

伊織(仁左衛門丈)は、権太とは全くベクトルが逆の可愛さがある。ぢいさんの方が仁左衛門丈の実年齢に近いのだが、若き日の伊織の方が似合うというか、しっくりくる。
そして、下嶋甚右衛門(芝翫丈)のムカつくことったらない。(俳優祭で2ショットを撮ってくれたのと同じ人とは思えなかったぞ。)

伊織が名刀を手に入れていたが、半様みたいな人が売っちゃった刀なんだろうなぁ。(いや、半様は売ってないけど。)
下嶋が斬られたとき、客席から「斬っちゃた!」という驚きの声が上がっていた。
久弥(愛之助丈)ときく(孝太郎丈)の若夫婦は微笑ましかった。

新口村

忠兵衛(藤十郎丈)と孫右衛門(鴈治郎丈)は親子そっくりではあるが、親子が親と子を逆に演じて違和感がないのが凄い。梅川は扇雀丈で、親子共演。
最後、雪の中を逃げていく場面はきれいだが、黒の着物じゃに絶対見つかるよな。(←野暮)
今月は吉弥丈が老け役ばかりで少し寂しい。

昼の部は10:30~16:05だった。
夜の部も長いが、昼の部も長い。そして、泣ける演目ばかりを集めすぎ。

夜の部

23日に前方中央にて観劇。

義経千本桜 木の実/小金吾討死/すし屋

仁左衛門丈の権太、孝太郎丈の若葉の内侍、千之助丈の主馬小金吾と3代そろってのすし屋。
仁左衛門丈の権太は、やはりいい。悪いやつなんだけど可愛げがあって、こんな息子だったら、お米(吉弥丈)でなくても甘やかしてしまうだろう。(竹三郎丈が休演とのことで、心配だ。)
顔見世で千之助丈の小金吾は大抜擢だろうが、お芝居を壊すこともなく、頑張っていたと思う。(←エラソウ。)
立ち回りでは、愛治郎丈を見つけるのがひそかな楽しみ。

梶原平三景時(梅玉丈)が白塗りだったけど、もっとワイルドな拵えだった記憶がある。まあ梅玉丈なら梶原ですら貴公子だから白塗りもありかな。お付きの侍の梅丸丈は、立役でもきれいで目を引いた。
首実検では、梶原の表情とそれを凝視する権太の表情を見ようと、舞台の端から端に視線を移すので忙しい。
以前、たいまつには本物の火がついていて煙が出ていたように思うが、今回の炎は作り物だった。

小せん(秀太郎丈)が目に涙を浮かべて権太を見つめ、引き立てられていくあたりから涙腺崩壊。年を取ると涙もろくなって困る。
そして、何度も書いているが、誰が演じても何度見ても、私は維盛が嫌いだ。(私にとって歌舞伎の中の嫌いな男のツートップは維盛と紙治。)

面かぶり

童子(鴈治郎丈)の踊り。座敷わらしみたいなかつらは微妙だと思ったが、なかなか華やかな舞台だった。
馬に乗る真似をしてパカパカ音を立てていたので、幕間でお腹が膨れて夢心地の人も目が覚めただろう。

弁天娘女男白波

顔見世で愛之助丈の弁天小僧が見られるとは感無量。
お嬢様の拵えで花道から出てきたときは綺麗だった。前をばっさばっさはだけたら、男性の体だったけどな(←当り前)。前も思ったが、やっぱり首は細くない(笑)。
日本駄右衛門(芝翫丈)、南郷力丸(右團次丈)、忠信利平(鴈治郎丈)、赤星十三郎(孝太郎丈)と、どことなく上方の香りが漂う弁天小僧だが、お江戸の方はどう思っただろうか? まあ、私は大満足だったけど。(←ただのファン。)

弁天小僧が店先で彫り物を見せている舞台写真が売り切れで悲しかった。
翌日昼の部の幕間に何度も見に行ったが、追加はされておらず… 南座さん、商売っ気がなさすぎでは?

三社祭

善玉(千之助丈)と悪玉(鷹之資丈)の踊り。
私は踊りはさっぱりわからないが、「鷹之資丈って、もしかしてすごく上手いのでは?」と思った。

21:55に終演。
相変わらず、顔見世は長い。

おまけ


↑夜の部の幕間に高島屋の地下の「わらびの里」で購入したお弁当を食べた。


↑昼の部の幕間に「松葉」でにしんそばを食べた。
にしんそばを食べるのは初めてだけど、想像していたよりもにしんが固かった。


↑お土産は売店で買ったどら焼き。


↑竹馬。