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第八回システィーナ歌舞伎(大塚国際美術館システィーナ・ホール)

2018年2月15日(木)~2018年2月18日(日)

配役

午前の部(11:00開演)/午後の部(15:30開演)

「GOEMONロマネスク」

石川五右衛門、カルデロン神父:六代目 片岡愛之助
奈桜姫、金毛九尾の狐:初代 中村壱太郎
滝野嘉平:初代 中村種之助
踊る男:佐藤浩希
踊る女ビアンカ、ホセ・フェルナンデス:彩輝なお
魔女メフィスト、乳母宮城野:六代目 上村吉弥


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料金

全席指定:12,000円
※美術館入館料込み

筋書:入場時に1枚の紙を3つに折ったものが配られた。

感想

感想


17日の午前の部をAブロック似て観劇。

「GOEMONロマネスク」

この劇場は全方向から観劇ができる舞台なので、幕がない。
芝居が始まると、伊達政宗(蝶十郎丈)と娘の奈桜姫(壱太郎丈)がやってくる。どうやら狩りの途中らしい。
落雷のためか2人が気絶すると、金色の九尾の狐が現れて姫にとりつく。壱太郎丈はとりつかれたことを声の違いで表現していた。

狐は「スペインの無敵艦隊に応援を頼んで、家康を倒せ」と政宗をそそのかす。
狐さんは長生きし過ぎて時間の感覚が狂ってるかもしれないが、現代みたいに12時間でスペインまで行けないんだぞ。無敵艦隊がくるのを待ってたら、時勢が変わっちゃうからね。
滝野嘉平(種之助丈)が政宗と姫を迎えにくる。ちなみに、奈桜姫(奈桜=なおと読む)の母はスペイン人という設定。似た境遇の五右衛門と恋が芽生えるかと思ったが、そんなことはなかった。

突如、舞台にドレス姿の女性が現れてフラメンコタイムが始まる。多分これが踊る女ビアンカ(彩輝なおさん)なのだろうけど、彩輝さんを初めて見たので、わからなかった。フラメンコが始まると佐藤浩希先生の掛け声が響く。ここは佐藤先生に踊ってもらって、彩輝さんは男役に徹した方がよかったのではないかと、個人的には思う。
なお、フラメンコによって場面がスペインに移ったということを観客は察しないといけない。

酒場では、すっかりじいさんになってるカルデロン(愛之助丈)が飲んだくれていた。髪は真っ白、髭も真っ白で伸びっぱなしだ。
いや、あんた、いくつよ? 30年前に日本にいたっていうけど、そんなじいさんじゃないよね?
カルデロンは年甲斐もなく、奈桜姫に一目惚れ。
姫はスペインにきてすっかりすれっからしになっているが、これは姫にとりついた九尾の狐のせいらしい。

カルデロンが家に帰り、亡き妻の石田局そっくりの人形(吉弥丈)相手にダンスをしていると、急に人形が動き出す。最初はぎこちなかったが、石田局の形見のロザリオを人形の懐に入れたらスムーズに動くようになった。
カルデロンが「若さが取り戻せるなら悪魔に魂を売ってもいい」とかなんとか言ったばかりに、悪魔メフィスト(吉弥丈)が石田局の人形に乗り移って登場。
悪魔はカルデロンを望み通りに若返らせ、「神に祈るな、神に頼るな。その時はお前の命はない」などと言って、高笑いで去っていく。

フェルナンデス王子(彩輝なおさん)が宝塚の男役ような衣装(宝塚見たことないけど)で登場して歌を歌う。
顔小さっ! 脚長っ! そこへ若返ったカルデロンもやってきて2人で歌うが、会話を交わすわけではない。
ガバ子(愛一朗丈)とラビオス(翫政丈)のコントみたいなシーンをはさみ、場面は酒場へ移る。
カルデロンが奈桜姫を見つけて自分のテーブルに呼ぼうとする。酒場の女が「日本人のくせに人の客をとるな」とか言って、奈桜姫とキャットファイト(狐だからフオックスファイトか?)が始まる。
結局、カルデロンが酒場の女に金を渡して収まるのだが、もっと早く止めろよ。

カルデロンと奈桜姫は恋仲になるが、その後、姫はフェルナンデス王子と速攻で恋に落ちる。
王子は白い衣装でオスカル様みたい。ちなみに、無敵艦隊の副将らしい。メディナ公爵(蝶十郎丈)のつけ鼻に笑ってしまった。
姫を巡って、カルデロンとフェルナンデスが決闘する。
カルデロンは姫に「お前のために悪魔に魂を売ったんだぞ!」なんて言ってるが、姫はそんなことしらんがな。

カルデロンがフェルナンデスの剣を弾き、神に勝利を感謝すると、姫がふらりと剣を持って近付き、カルデロンを刺す。
倒れたカルデロンの元に悪魔が現れ、「神を信じるなと言ったのに愚かな… 魂はもらった」と言い残し、高笑いで去っていく。顔が全部真っ白のあしゅら男爵(←私の年代ではないので、絵でしか見たことないけどな)のようだった。

ここで幕間。

休憩後、2階のバルコニーに石川五右衛門(愛之助丈)が登場。白地に墨絵の着流しの上に黒と金のコートらしきものを着ている。スペインの街を見下ろして「絶景かな、絶景かな」とご満悦。舞台のスペインなので、通常の五右衛門とは台詞が違う。
そこへカルデロンの声が聞こえてきて、「自分はすでにこの世にいない」と五右衛門に告げる。
フラメンコダンサーズが舞台を通過した後、五右衛門が舞台の真ん中で目覚め、「夢であったか」と呟く。

ソテロ神父(折乃助丈)がやってきて、カルデロンがフェルナンデス王子との決闘で命を落としたことを告げる。
五右衛門は嘉平に連れられて、日本人村(ハポン村)に行く。
ハポン村では、姫の乳母で嘉平の母である宮城野(吉弥丈)が、村娘(吉太朗丈、光丈)に仙台の踊りの稽古をつけている。五右衛門は稽古の様子を見物する。吉弥丈が登場すると「ああ、今、歌舞伎を見てるわー」とほっとする。
その晩、盗賊がハポン村を襲うが、五右衛門に撃退される。
五右衛門は嘉平に腕を見込まれ、「王宮から姫を盗んでほしい」と頼まれる。

闘牛で暴れ牛に勝った者が王宮に招待されるというので、五右衛門は闘牛に挑戦する。
赤いマタドールっぽい衣装になった五右衛門は暴れ牛と対峙する。
着ぐるみの牛が出てくるかと思いきや、佐藤浩希先生が牛だった。(←「ハァ?」と思う方もいらっしゃるだろうが、佐 藤 先 生 が 牛 だったんです。)
背中を丸めて脚を曲げての動きは見てるよりずっと大変なのではなかろうか。五右衛門は牛を倒し、王子と謁見の機会を得る。

フェルナンデス王子はすっかり酒と女に溺れていた。元男役スターさんだけあって様になっているのだが、男性にしては声が可愛いかな。
五右衛門が父の敵を討とうとすると、嘉平が突然腹を切る。
嘉平は身分違いながらも姫を愛していることを打ち明け、「実はカルデロンを殺したのは姫だが、自分の命に免じて許してほしい」と告げる。そういえば、嘉平は若返ったカルデロンの息子が五右衛門と知って、年齢が合わないとは思わなかったのだろうか?

五右衛門は頷き、嘉平に「はやまりましたな」と言う。
五右衛門は姫の爪が3本に割れていることに気付き、姫を妖怪変化と見破っていた。王子は愛した女性が人間でないと知ってショックを受けていたが、その前に、なぜ気づかなかった?
というか、狐は無敵艦隊を日本に送り込みたいんじゃなかったの? なんのために王子をたぶらかしたの?
政宗にスペインへの船を出させるのが目的で、スペインで楽しく暮らしたかっただけなのか? この辺のことをなんか言ってた気がするが、忘れてしまった。

五右衛門は父の敵を射ちに、妖怪退治に出かける。
佐藤先生が狐のぬいぐるみを抱えて舞台に登場。フラメンコっぽい動きをするのだが、音に合わせて狐が左右に首を振るところで笑いがおきていた。先生、牛とか狐とかじゃなくて、フツーにフラメンコ踊ってください。(牛の動きとか表現力が素晴らしかったけど、佐藤先生のフラメンコが見られなかったのは残念。)

さて、九尾の狐と五右衛門の対決。最後は派手な立ち回り。
この時の壱太郎丈の衣装が金色に御所の絵できれいだった。五右衛門は押し戻しのような恰好(鎧はつけていない)だった。
五右衛門は母の形見のおりゅう丸で九尾の狐を倒す。
ダブルカーテンコールで幕。(幕ないけどね。)

いつもの(突っ込みどころがありすぎてどこから突っ込めばいいかわからない)システィーナ歌舞伎だった。


おまけ


↑「コウノトリ育むお米」が販売されていた。


↑買って帰った。(重いから小さい袋だけど。)


↑幕間に食べた歌舞伎弁当。(これで800円は安いと思う。)


↑お土産は「ムンク和三盆」と「お百姓さんが作ったスイートポテト」。


↑ロビーに飾られていたお花。