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歌舞伎座百三十年 三月大歌舞伎

2018年3月3日(土)~3月27日(火)
【貸切】18日(日)昼の部 ※幕見席は営業

配役

昼の部(11:00開演)

一、国性爺合戦(こくせんやかっせん)

獅子ヶ城楼門
獅子ヶ城内甘輝館
同 紅流し
同 元の甘輝館

和藤内:六代目 片岡愛之助
錦祥女:三代目 中村扇雀
甘輝:八代目 中村芝翫
老一官:六代目 中村東蔵
渚:二代目 片岡秀太郎

二、四世中村雀右衛門七回忌追善狂言 男女道成寺(めおとどうじょうじ)

白拍子花子:五代目 中村雀右衛門
白拍子桜子 実は狂言師左近:四代目 尾上松緑
所化:四代目 中村歌昇
同:初代 中村壱太郎
同:六代目 市村竹松
同:三代目 大谷廣太郎
同:五代目 中村米吉
同:四代目 中村橋之助
同:七代目 市川男寅
同:三代目 中村福之助
明石坊:八代目 大谷友右衛門

三、芝浜革財布(しばはまのかわざいふ)

魚屋政五郎:八代目 中村芝翫
政五郎女房おたつ:初代 片岡孝太郎
錺屋金太:四代目 中村橋之助
お君:七代目 市川男寅
桶屋吉五郎:三代目 中村福之助
金貸おかね:四代目 中村梅花
納豆売り:四代目 片岡松之助
大家長兵衛:六代目 嵐橘三郎
左官梅吉:六代目 中村松江
大工勘太郎:初代 坂東彌十郎

夜の部(16:30開演)

一、於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)

小梅莨屋の場
瓦町油屋の場

土手のお六:五代目 坂東玉三郎
山家屋清兵衛:二代目 中村 錦之助
髪結亀吉:三代目 坂東亀蔵
庵崎久作:六代目 嵐橘三郎
油屋太郎七:九代目 坂東彦三郎
鬼門の喜兵衛:十五代目 片岡仁左衛門

二、お祭り(おまつり)

鳶頭:十五代目 片岡仁左衛門
芸者:五代目 坂東玉三郎

三、滝の白糸(たきのしらいと)

泉 鏡花 作
坂東玉三郎 演出

滝の白糸:初代 中村壱太郎
村越欣弥:二代目 尾上松也
南京寅吉:九代目 坂東彦三郎
松三郎:三代目 坂東亀蔵
桔梗:五代目 中村米吉
裁判長:三代目 中村吉之丞
郵便配達夫:初代 中村寿治郎
お辰::三代目 中村歌女之丞
おえつ:六代目 上村吉弥
青柳太吉:五代目 坂東秀調
春平:五代目 中村歌六


データ

舞台写真

愛之助丈は、
「国性爺合戦」和藤内(隈取少ない)が6種類(秀太郎丈の渚との2ショット1種類を含む)
「国性爺合戦」和藤内(隈取多い)が10種類
「国性爺合戦」和藤内(国性爺鄭成功)が4種類(芝翫丈の甘輝との2ショット1種類を含む)

料金

1等席:18,000円
2等席:14,000円
3階A席:6,000円
3階B席:4,000円
1階桟敷席:20,000円

感想

昼の部

17日に昼の部を前方花道寄りで観劇。

国性爺合戦

幕が開くと、獅子ヶ城の楼門。いかにも中華風で派手なセットだ。
花道から和藤内(愛之助丈)、父で唐人の老一官(東蔵丈)、母で日本人の渚(秀太郎丈)が登場する。
和藤内は、近松作品のイメージとは全く違う、荒事の拵え。(飛び六方を2回も見せる。)
3人は、老一官の前妻との娘であり、甘輝の妻である錦祥女(扇雀丈)をつてに、甘輝将軍(芝翫丈)に面会にきた。

甘輝は韃靼王に呼び出されて不在のため、錦祥女が応対する。セットも豪華だが、衣装も豪華だ。
老一官は甘輝と直接話したいと言うが、異国の人間は城内に入れられないということで、老女の渚だけが縄に縛られて城内に入っていく。
錦祥女は「望みが叶えば、白粉を溶いて川に流す。叶わなかったら、紅を溶いて川に流す」と言う。

甘輝が部下を従えて花道から登場。関羽みたいな髭を生やしていて、とても立派。
渚から「韃靼を倒して明国を再興するため、力を貸してほしい」を聞いた甘輝はすぐに返事をしない。即答するよう迫る渚に対して、甘輝は「和藤内に味方する」と宣言し、錦祥女に刃を向ける。
驚いて止める渚に向かって、「女によせて味方をすると思われたら恥だから妻を殺す」と説明する。うーん、この無茶苦茶っぷりがThat's KABUKI。

渚は「継母が継子を見殺しにしては日本の恥になる!」と必死で甘輝を止め、交渉は決裂。錦祥女は川に紅を流す。 ここで舞台がぐるっと回り、和藤内が橋の上で川の水を見ている。
傘で顔を隠しているが、赤い水が流れてくるのを見た和藤内は「南無三! 紅が流れた!」と、傘を上げて顔を見せる。この時、怒りのためか、頬のあたりに隈取が増えている。

和藤内は母を奪いに城へ押し掛ける。
和藤内と甘輝がにらみ合うところに、腹を切った錦祥女が現れ、和藤内に味方してほしいと夫に頼む。甘輝は和藤内に国性爺鄭成功の名を与え、唐風の衣装に着替えさえる。
2人が衣装を着替える間、甘輝の部下が和藤内の刀(長くて重いらしい)を運ぼうと大騒ぎ。(中国語っぽい言葉を話している。)
「モグモグ」「重いねー」「そだねー」とカーリングネタで笑いをとっていた。その間、黒子さんが腹を切った錦祥女と寄り添う渚を赤い幕で隠していた。

再び現れた和藤内は唐風の立派な衣装を着ており、甘輝もお色直ししている。
それを見た渚は感激し、自分も腹を切って「韃靼を私の敵と思え」と言って息絶える。
和藤内と甘輝が並んで幕。

物語の舞台は中国だが、内容はいつもの歌舞伎だった。
あまり上演されない演目のようだが、それなりに面白いと思った。

男女道成寺

幕が開くと、舞台に鐘が釣り下がっている。聞いたか坊主たちが花道から登場し、明石坊(友右衛門丈)が四世雀右衛門丈の七回忌追善狂言であることを説明する。
その後、白拍子花子(雀右衛門丈と白拍子桜子(松緑丈)が現れて踊る。松緑丈の女形って珍しい気がする。
桜子は途中で男であることを見破られ、男の姿に戻って踊る。
途中、手拭い巻きもあり、華やかな一幕だった。

芝浜革財布

以前、中車丈の政五郎、扇雀丈のおたつで見たことがある。
真っ暗闇の中、政五郎(芝翫丈)の「はーっくしょい!」というくしゃみで始まる。さっき甘輝だった人とは思えないくらいのさえないおっさんっぷり。
政五郎は砂浜で大金の入った財布を拾い、家に帰って仲間を呼んで酒を飲みながらどんちゃん騒ぎ。
政五郎が財布を拾ったことに気付いたおたつ(孝太郎丈)は、酔っぱらって寝ていた政五郎に向かって「財布なんか拾ってない。お前さん、夢を見ていたんだよ」と嘘をつき、政五郎を改心させる。孝太郎丈は世話女房が似合うなぁ。

3年後、政五郎はすっきり男前になり、おたつは白塗りの奥さんに変貌を遂げている。
芝翫丈が丁稚(愛之助丈の部屋子になった愛三朗丈)の肩を抱き、「松嶋屋の愛坊のところの…」とご紹介。
お君ちゃんは男寅丈だったが、女形もするのね。
おたつが3年前に嘘をついたことを政五郎に打ち明け、落とし主不明で戻ってきた財布をまるごと寄付して、3年ぶりに酒を飲んで、めでたしめでたしで幕。

観劇の最後が悪人のいない気持ちのいい話で、見終わった後に気分よく帰れるのはいいね。


おまけ


↑幕間に食べたお弁当。(1階の売店で購入)。


↑幕間に食べためでたい焼き。


↑お土産は山田まんじゅうの「こきび」。
山田まんじゅうは何度か買っているが、「こきび」は初めて見た。
これは木挽町広場で購入。


↑歌舞伎座タワー5階の歌舞伎座ギャラリーで買った愛(らぶ)羊かん。
歌舞伎座ギャラリーに入場しなくても、チケット売り場で購入できる。