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第九回 システィーナ歌舞伎 大塚国際美術館システィーナ・ホール

2019年2月22日(金)・23日(土)・24日(日)

配役

午前の部(11:00開演)/午後の部(15:30開演)

新説諸国譚(しんしょこくものがたり)TAMETOMO

源八郎為朝、陶松壽:六代目 片岡愛之助
白縫姫、寧王女:初代 中村壱太郎
真鶴:舞羽 美海
国相利勇:初代 澤村國矢
廉夫人:二代目 上村折乃助
武官徳明:仲嶺良盛
八丁礫の喜平次:二代目 片岡千次郎
尚寧王、按司宋健起:関口義郎
蒙雲国師:二代目 市川猿弥
中婦君、仙女魔琳:六代目 上村吉弥


データ

料金

全席指定:12,000円
※美術館入館料込み

筋書:入場時に1枚の紙を3つに折ったものが配られた。

感想

感想


23日の午前の部をAブロックより観劇。

「新説諸国譚 TAMETOMO」

源為朝といえば、「椿説弓張月」(以前、歌舞伎座で三島由紀夫の脚本で見た)での主人公で、今回の物語と少し重なる部分があった。歌舞伎で上演されていない部分が今回の物語だったっぽい。
以下、場面転換が多かったので、記憶違いがあるかも。

水色のドレスをまとった女性陣のダンスから始まる。真ん中で青いドレスで踊ってるのが舞羽美海さんかと思ったが、筋書を見たら違った。
女性陣が退場すると、そこは船の上。
為朝(愛之助丈)、赤子を抱いた妻の白縫姫(壱太郎丈)、家来の喜平次(千次郎丈)らが乗っている。
打倒平家の志を持っている為朝だが、それを隠して物見遊山の体で船旅をしている。
旅の途中で嵐に遭い、白縫姫が自ら生け贄となって海に身を投げるも、船は難破。皆散り散りになってしまう。

ところ変わって琉球国。
国王の尚寧王(関口義郎さん)は優柔不断で、第一夫人の中婦君(吉弥丈)と国相の利勇(國矢丈)のいいなり。
中婦君は清々しいほどの悪女&美魔女っぷり。利勇はインテリの悪者という雰囲気だった。
尚寧王は、第二夫人の廉夫人(折乃助丈)の娘・寧王女(壱太郎丈)を跡取りにしようとするが、中婦君と利勇の反対にあう。
忠臣の陶松壽(愛之助丈)は「寧王女を跡継ぎにして、子供が生まれたらその子を王にすればよい」と進言する。
客席の拍手でどちらの意見にするかを決める場面があったが、逆になったらどうするんだろうね。(ないと思うけど。)

中婦君と利勇は妖術師の蒙雲(猿弥丈)の力を借りて、国を乗っ取ろうとする。(まさか、猿弥丈をシスティーナで拝見できるとは!)
蒙雲はいかにも敵役という拵えだった。
蒙雲は、廉夫人が浮気しているという幻覚を尚寧王に見せ、廉夫人を処刑するよう、家来に命令させる。
さらに尚寧王を殺し、寧王女を我が物にしようとする。正しく悪役である。

陶松壽が廉夫人の危機を救うが、そこに現れた中婦君が廉夫人をなぶり殺しにする。今回、中婦君の高笑い率が高かったなぁ。
陶松壽は寧王女を逃がそうとするが、「十字路を右」をどっちから見て右なのかを正確に伝えておかなかったばっかりに、寧王女は追っ手に囲まれ、利勇に斬られてしまう。すると、寧王女の体に白縫姫の魂が乗り移る。流石は武士の奥方、なかなか強い。
寧王女(中身は白縫姫)が戦っていると、「女性1人に大勢とは卑怯なり」と為朝が助太刀に現れる。
確か、蒙雲と対峙して見得をしたところで休憩に入ったように記憶しているが、どうだったかな…

休憩後、按司(関口義郎さん)の娘真鶴(舞羽美海さん)が歌いながら登場。
そこへ足を引きずりながら陶松壽が現れ、真鶴は傷の手当てをするために陶松壽を連れて帰る。
その後、愛一朗丈と翫政丈のコント(?)で観客に「陶松壽が誰に似ているか」と聞き、答えた人にオロナミンCをプレゼントしていた。

真鶴は先妻の娘で、「弟に家督を継がせるために邪魔者扱いされ、武道大会の優勝者の嫁にされる」と言う。
「連れて逃げて」と頼む真鶴に、陶松壽は「大会で勝って、正々堂々と真鶴を自由にする」と誓う。
武道大会では愛治郎丈がバック転など軽やかな身のこなしを見せていた。
決勝はなぜかプロレス風。陶松壽の相手の覆面レスラーは多分愛一朗丈。シャツを脱がされ、「『七つの会議』の愛之助並みにパワハラだ!」と叫んでいた。
陶松壽は優勝し、晴れて真鶴と一緒になれるが、思えば、ここが陶松壽の人生の絶頂だったかも。
今回は歌の担当は舞羽美海さんで、愛之助丈とデュエットするかと思ったが、しなかった。

陶松壽は真鶴に琉球国の危機を打ち明け、蒙雲暗殺を企てる。
が、千里眼の蒙雲はお見通し。蒙雲はやってきた2人に酒を勧める。どう考えても毒が入っとるやろ!っなもんだが、陶松壽も真鶴も素直に飲んで、毒にやられ、なぶり殺しにされる。陶松壽はもっと世間というものを知らないとダメだね。
っていうか、陶松壽のキャラ(というか扱い)はもうちょっと何とかならなかったのか?

舞台は変わり、為朝は寧王女から「実は白縫姫の魂が乗り移っている」と打ち明けられる。
そこへ仙女の魔琳(吉弥丈)が現れて、2人に「北にある島に向かい、神剣を手にいれて琉球国を救うように」と告げる。 仙女の言うとおりに北の島へ向かい、2人は息子の舜天丸と、すっかり白髪の老人となった喜平次と再会する。
待って、喜平次っていくつなの!?
赤子だった舜天丸が10歳くらいになったとして… いくらなんでも老けすぎだろう。(髪の毛が一夜で白髪になることはあるかもしれないが。) 為朝は若いままなのに。

更に北へ向かうと、神剣(琉球国の王となるべき者がもつ剣)が岩に刺さっている。めっちゃキラキラしてて、ライブに使うペンライトのような剣だった。
剣は誰にも抜けなかったのだが、為朝がそれを抜く。てっきり舜天丸が抜くかと思ったが、違った。

為朝と白縫姫in寧王女は、躍りの役者に化けて宮殿に乗り込み、隙を見て蒙雲に斬りかかる。今度は毒酒を勧めなかったんかい。
喜平次の危機に、2階のバルコニーから為朝が矢を放って敵を倒す。今回はバルコニーを使わないのかと思ったが、やっぱり使うよね。絵になるもんね。

蒙雲、中婦君、利勇を倒し、寧王女に乗り移っていた白縫姫は成仏する。(49日どころではないが、成仏できるのか?)
為朝は舜天丸に剣を渡し、琉球国の王になるよう諭す。
あれ? 琉球国、源氏に乗っ取られてない? 神剣が選んだ人だからいいのか?

そんなこんなでカーテンコール。(ただし、カーテンはない。)
全員がステップを踏んで舞台を通り過ぎ、それから愛之助丈、吉弥丈、壱太郎丈、猿弥丈、舞羽美海さんが出てきて四方に礼。さらに全員で四方に礼。最後に愛之助丈がもう一度出てきて礼、で幕。(しつこいようだが、幕はない。)
そろそろ和洋折衷のキテレツ歌舞伎もネタ切れを感じなくもないが、これからも頑張って上演を続けていただきたい。

おまけ


↑幕間に食べた「歌舞伎弁当」。これで800円という良心的なお値段。


↑お土産はいつものスイートポテト。


↑「コウノトリ育むお米」も買ってきた。


↑愛之助丈に届いていたお花。


↑愛之助丈に届いていたお花。


↑ひまわりがあふれる休憩所。