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九月花形歌舞伎 南座

2019年9月2日(月)~9月26日(木)

配役

昼の部(11:00開演)/夜の部(16:30開演)

通し狂言 東海道四谷怪談(とうかいどうよつやかいだん)

四世鶴屋南北 作
坂東玉三郎 監修

民谷伊右衛門:六代目 片岡愛之助
お岩、佐藤与茂七、小仏小平:二代目 中村七之助
直助権兵衛:九代目 市川中車

お岩妹お袖、小平女房お花:初代 中村壱太郎
乳母おまき:三代目 中村歌女之丞
お梅:二代目 中村鶴松
按摩宅悦:二代目 片岡千次郎
舞台番、伊藤喜兵衛:四代目 片岡亀蔵
後家お弓:二代目 市村萬次郎


データ

筋書

愛之助丈関連
6ページ:扮装写真「東海道四谷怪談」民谷伊右衛門
28~30ページ:境界を行き来する役者たち~愛之助、七之助、中車の魅力」( 舞台写真「夏祭浪花鑑」団七九郎兵衛、「義賢最期」木曽義賢、「鳴神」鳴神上人)
36ページ:インタビュー
44~47ページ:鼎談 片岡愛之助×中村七之助×市川中車(素顔写真あり)

舞台写真

愛之助丈は、「東海道四谷怪談」民谷伊右衛門が…
1人で写っている写真が8種類
七之助丈の小仏小平との2ショットが1種類
七之助丈のお岩との2ショットが2種類
中車丈の直助権兵衛との2ショットが1種類
勘之丞の四谷左門との2ショットが1種類
鶴松丈のお梅との2ショットが1種類
だんまりの場面が2種類

料金

一等席:16,500円
二等席:8,500円
三等席:5,500円
特別席:17,500円
筋書:1,400円

感想

昼の部

21日昼の部を中央上手側で観劇。

通し狂言 東海道四谷怪談

まず舞台番の助三(片岡亀蔵丈)が登場してご挨拶。
塩冶のお家がお取り潰しとなり、落ちぶれたお袖(壱太郎丈)が楊枝屋に勤めに出ている。
直助(中車丈)が言い寄るが、お袖は相手にしない。
茶屋の女将から「お袖が地獄宿に出る」と聞いて、直助はうきうきと去っていく。

四谷左門(勘之丞丈)が乞食に追い回されながら登場。
民谷伊右衛門(愛之助丈)が乞食を追い払う。伊右衛門は左門の娘・お岩(七之助丈)の婿だったが、盗賊の一味とのことで離縁され、お岩さんは実家に帰っている。伊右衛門は舅に復縁を迫るも断られる。

舞台は変わって地獄宿。
お袖を買いにきた直助は、偶然やってきたお袖の夫・佐藤与茂七(七之助丈)にやっつけられる。
直助はそれを恨み、与茂七を殺害すべく追っかける。
ところが、与茂七は奥田庄三郎(いてう丈)と着物を取り替えており、直助は間違えて庄三郎を殺してしまう。その上、それに気付かず顔の皮まで剥いでしまう。
続いてやってきた伊右衛門が左門を殺害し、さらにやってきたお岩&お袖の姉妹を丸め込み、伊右衛門とお岩は再婚、直助とお袖は仮の夫婦となる。

時は流れて、伊右衛門の家。
あんなに寄りを戻したがっていたのに、伊右衛門はすっかりお岩さんに冷たくなっている。(冷たいどころか、モラハラDV野郎である。)
これって、お岩さんへの愛情ではなく、メンツのためによりを戻したかったってことか? それとも、お岩さんに「ととさんの敵を討ってください」と言われ続けてこうなったのか?
ゲスの極みとはいえ色男なので、隣家の娘・お梅(鶴松丈)は伊右衛門に恋煩いをしているという。何事も、顔はよく生まれたいものである。

お梅をたしなめるべき祖父(片岡亀蔵丈)、母(萬次郎丈)、乳母(歌女之丞丈)は、お岩さんに毒を飲ませて、伊右衛門を婿にしようと画策する。とんでもない一家である。控えめに言って、頭おかしい。
いや、その前に、家が近いんだから、伊右衛門がどんな男か覗きに行けよ。
伊右衛門は若くてお金持ちのお梅ちゃんをウェルカムかと思いきや、世間体を気にしてあまり乗り気ではない様子。(世間体を気にするだの、甘い母親がいるだの、モラハラ男の特徴は江戸時代から変わってないってこと?)

お岩さんの顔が崩れる場面は圧巻。真実を知ったときの恐ろしいことったら!
伊右衛門家の下男みたいになってる按摩の宅悦(千次郎丈)がいい味を出している。
お岩さんは無念の死を遂げた後、幽霊になってやりたい放題。
早替わりって、割とどこで替わってるかわかるものだが、今回は戸板のところも最後も早過ぎてビックリ!

大詰め前に、舞台番が再び現れて、上演されなかった三角屋敷の場の説明をしてくれる。
説明を聞いただけでも面白そう。腹かっさばく直助の最期を見たかった。
っていうか、直助がナレ死するとは思わなかったよ。
舞台番が引っ込んだ後くらいに、2階から悲鳴が…
どうやらお岩さんが現れたらしい。私の席からはよく見えなくて残念だ。

お岩さんの幽霊に悩まされ、SAN値がピンチの伊右衛門は、お岩さんのために回向をしたりしている。
いや、アンタ、「首が飛んでも動いてみせるわ」とか豪語してたじゃん。何弱気になって祈ってんの?
こういうとこ、実悪ではなく色悪よね。
まあ、直助や長兵衛(山左衛門丈)に強請られるあたり、「絵本合法衢」の左枝大学之助と違って小者なんだけど、色気で小者感をねじ伏せてほしいところではあるかな。(←エラソウ。)

祈ったところでお岩さんの恨みは晴れず、関係者がばたばたと殺されていく。
なのに伊右衛門を殺さずに生かしておくのは、妹婿に敵討ちさせるためか、ショートケーキの苺を最後に食べるタイプなのか、どっちだ?
最後は敵討ちにきた与茂七と小仏小平(七之助丈)の妻のお花(壱太郎丈)に伊右衛門が斬られ、「本日はこれぎり」で幕。
面白かった。満足。

そうそう、いいところで携帯音が鳴った。
係りの方があれだけ「マナーモードではなく、電源をお切りください」って言ってるのに、なんで電源を切らないのかね。

おまけ


↑場内で買ったお弁当。美味しかった。


↑お土産には、これまた場内の売店で買った「夕霧」。