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壽初春大歌舞伎 松竹座
2020年1月3日(金)~1月27日(月)
配役
昼の部(11:00開演)
一、お秀清七 九十九折(つづらおり)
木谷屋手代清七:十代目 松本幸四郎
八坂の力蔵:六代目 片岡愛之助
木谷屋娘お秀、山猫芸者雛勇:初代 中村壱太郎
吉井作左衛門:六代目 嵐橘三郎
木谷屋手代久七:二代目 市川猿弥
養子新造:六代目 中村松江
木谷屋主人仙右衛門:初代 坂東彌十郎
二、大津絵道成寺(おおつえどうじょうじ) 愛之助五変化
藤娘、鷹匠、座頭、船頭、鬼:六代目 片岡愛之助
犬:初代 中村虎之介
弁慶:二代目 市川猿弥
矢の根の五郎:十代目 松本幸四郎
三、艶容女舞衣(はですがたおんなまいぎぬ) 酒屋(さかや)
半七女房お園:三代目 中村扇雀
茜屋半七、舅宗岸:四代目 中村鴈治郎
半兵衛女房おさよ::初代 中村寿治郎
茜屋半兵衛:六代目 嵐橘三郎
美濃屋三勝:四代目 坂田藤十郎 → (代役)三代目 中村扇雀
夜の部(16:15開演)
一、義経千本桜(よしつねせんぼんざくら) 川連法眼館の場
佐藤忠信、佐藤忠信実は源九郎狐:六代目 片岡愛之助
静御前:初代 中村壱太郎
駿河次郎:初代 中村虎之介
亀井六郎:三代目 大谷廣太郎
源義経:二代目 片岡秀太郎
二、夕霧名残の正月(ゆうぎりなごりのしょうがつ) 由縁の月
藤屋伊左衛門:四代目 中村鴈治郎
扇屋三郎兵衛:五代目 坂東竹三郎
太鼓持:初代 中村虎之介
扇屋女房おふさ:六代目 上村吉弥
扇屋夕霧:三代目 中村扇雀
三、大當り伏見の富くじ(おおあたりふしみのとみくじ)
紙屑屋幸次郎:十代目 松本幸四郎
信濃屋傳七:六代目 片岡愛之助
幸次郎妹お絹:初代 中村壱太郎
喜助:三代目 大谷廣太郎
島原の太夫千鳥:初代 中村虎之介
信傳寺住職呑海:六代目 嵐橘三郎
芳吉:三代目 澤村宗之助
熊鷹のお爪:六代目 上村吉弥
黒住平馬:二代目 市川猿弥
絵師雪舟斎:初代 坂東彌十郎
鳰照太夫:四代目 中村鴈治郎
データ
筋書
愛之助丈関連
舞台写真:「九十九折」八坂の力蔵:4枚
舞台写真:「大津絵道成寺」藤娘:3枚
舞台写真:「大津絵道成寺」鷹匠:1枚
舞台写真:「大津絵道成寺」座頭:2枚
舞台写真:「大津絵道成寺」船頭:1枚
舞台写真:「大津絵道成寺」鬼:3枚
舞台写真:「義経千本桜」佐藤忠信:2枚
舞台写真:「義経千本桜」源九郎狐:5枚
舞台写真:「大當り伏見の富くじ」信濃屋傳七:3枚
47ページ:「浪速の春 楽屋探訪」(1/2ページ)
舞台写真
愛之助丈は、
「九十九折」八坂の力蔵が4種類
「大津絵道成寺」藤娘が4種類、鷹匠が4種類、座頭が1種類、船頭が1種類、鬼が3種類
「義経千本桜」佐藤忠信が2種類、源九郎狐が4種類
「大當り伏見の富くじ」信濃屋傳七が3種類
料金
一等席 17,000円
二等席 9,000円
三等席 6,000円
筋書:1,800円
感想
昼の部
19日に前方上手側にて観劇。
お秀清七 九十九折
手代の清七(幸四郎丈)はお店の危機を救うために無実の罪を被ったのに、5年経って戻ってきたら店には居場所がなく、外聞が悪いと追い出される。
恋仲だったお秀(壱太郎丈)にそっくりの芸者雛勇(壱太郎丈)といい仲になるも、雛勇には間夫の力蔵(愛之助丈)がいる。雛勇は清七と一緒になりたそうだが、力蔵はそれを許さない。また、清七は金目当ての芸者だと思い、刃物沙汰になった挙句、雛勇と力蔵は死に、清七は逃げていく。
…という、何とも救いのない話。
清七は上品で人がよさそうだが、うじうじと頼りない。幸四郎丈はこういうお役がよく似合う。
雛勇は蓮っ葉で気の強い感じがよく出ていた。
力蔵はチンピラ。関西弁のチンピラは、流石ネイティブだけあってはまっていた。
45年振りの復活上演とのことだが、何もめでたいお正月にこれをやらなくても…と思わなくもない。
タイトルになっているのが雛勇でなくてお秀というのが、さらに悲しい。
大津絵道成寺
愛之助丈の五役早替わりの舞踊。
愛之助丈の台詞は鬼になってからの一言のみ(だったはず)。
珍しく女形(藤娘)の愛之助丈がみられるのが嬉しい。
鬼はちゃんと3本指になっていたな。
最後は弁慶(猿弥丈)と矢の根の五郎(幸四郎丈)が出てきて豪華。
この演目の弁慶はなぜか道化っぽいけど。
艶容女舞衣 酒屋
宗岸(鴈治郎丈)とお園(扇雀丈)親子、半兵衛(橘三郎丈)とおさよ(寿治郎丈)夫婦が互いを思いやる場面に泣かされる。
しかし、クライマックスの半七(鴈治郎丈)からの手紙を読む場面は、泣けるよりも腹が立って仕方なかった。
要約すると、「お前(=お園)とは一度も寝てないけど、来世では夫婦だよ。現世では惚れた女(=三勝)と心中するから、その女に産ませた娘と年老いた両親の世話と俺の供養をよろしくね」ってことでしょ?
そんなふざけた手紙をもらって「来世は夫婦だと書いてある」と喜ぶお園が不憫で不憫で…
外で様子を伺う三勝(扇雀丈)は娘のことばかりを気にしていた。これ、江戸時代だから半七と心中せざるを得なかったけど、現代なら「あんた一人で死になさいよ。私はシングルマザーとして生きていくわ!」ってなるんじゃないかと思ったわ。
いかにも上方歌舞伎っぽい物語なんだけど、これじゃ今の女性には受けないよなぁ…
夜の部
18日に前方花道寄りで観劇。
義経千本桜
巡業と同じ源九郎狐(愛之助丈)と静御前(壱太郎丈)のコンビ。
佐藤忠信(愛之助丈)は忠義の侍に見えたし、源九郎狐は子狐に見えた。
そして、いつも思うが、すごい運動量だ。
義経(秀太郎丈)は上品で素敵だった。
やはり古典はいいなぁとしみじみ思った。奇をてらった演目ばかりでなく、古典歌舞伎も見たい。
夕霧名残の正月
「吉田屋」と同じく藤屋伊左衛門(鴈治郎丈)と夕霧(扇雀丈)の物語だが、こちらは悲劇。
勘当された伊左衛門を案じた夕霧が病んで亡くなり、四十九日に伊左衛門が偶然郭に訪ねてくる。
夢の中で2人が舞い、伊左衛門が目覚めて夕霧の打ち掛けを抱きしめて泣くところで幕。
幻想的で綺麗なんだが、気を抜くとこっちも夢うつつになりそうだった。
竹三郎丈がお元気そうで何よりだった。
大當り伏見の富くじ
初演も見たが、細かいところは忘れていた。見てるうちになんとなく思い出してきた。
昔の観劇レポを読み返したら、時事ネタ以外ほとんど変わっていなかったことに驚く。最後はグランドフィナーレもある(が、カーテンコールはなかった)。
紙屑屋幸次郎(幸四郎丈)は人は好いのだが、本当にどうしようもない男だなぁと思った。それを幸四郎丈がうまく演じるんだ、これが。
鳰照太夫(鴈治郎丈)はギャグとシリアスのさじ加減がうまくて、この役は鴈治郎丈しかいないという感じだった。
黒住平馬(猿弥丈)は明るい変態だったが、初演の獅童丈の平馬はもっとキモい変態だった記憶がある。(どっちも誉めてます。) 言ってる台詞はほぼ同じなのに、演じ方の差だろうか。
しかし、平馬、お絹(壱太郎丈)のお尻を揉みすぎ。セクハラや。
その代わり(?)、奥方(千蔵丈)に熱い口づけをされていた。(ほんとにキスしてた。)
信濃屋傳七(愛之助丈)は最初から最後までかっこいい。平馬がノリノリなのに噴き出さずに渋い佇まいを崩さない。笑い上戸らしいけど。
犬の小春ちゃん(千壽丈)は相変わらず可愛かった。
雪舟斎(彌十郎丈)が登場すると、舞台が締まるなぁ。
グランドフィナーレでは、愛之助丈と猿弥丈がラインダンスをしていた。吉弥丈は役通りに老婆の躍り方になってて流石だと思った。
しょーもないギャグも多かったが、まあ楽しかった。見終わった後にハッピーな気持ちで帰れるのがいい。
おまけ
↑夜の部の幕間に食べたお弁当。
いつもは地下のお店に食べに行くのだが、なぜか劇場前で注文をとってなかった。(終演時間が早いから?)
↑アルションのケーキ。ホテルで夜と朝に食べた
↑塩カラメルカステラとリーフティーも買った。
↑昼の部の幕間は「たちばな」のお弁当。この日は店内での食事は受け付けてなくて残念。