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歌舞伎座新開場十周年 三月大歌舞伎

2023年3月3日(金)~2023年3月26日(日)
【休演】13日(月)、20日(月)

配役

第一部(11:00開演)

花の御所始末(はなのごしょしまつ)

足利義教:十代目 松本幸四郎
畠山満家:八代目 中村芝翫
安積行秀:六代目 片岡愛之助
足利義嗣:三代目 坂東亀蔵
陰陽師土御門有世:二代目 中村亀鶴
茶道珍才:三代目 澤村宗之助
同 重才:三代目 大谷廣太郎
畠山左馬之助:八代目 市川染五郎
執事一色蔵人:初代 市村橘太郎
執事日野忠雅:三代目 松本錦吾
明の使節雷春:五代目 澤村由次郎
廉子:十一代目 市川高麗蔵
足利義満:四代目 河原崎権十郎
入江:五代目 中村雀右衛門

第二部(14:40開演)

一、仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
十段目 天川屋義平内の場

天川屋義平:八代目 中村芝翫
大星由良之助:十代目 松本幸四郎
竹森喜多八:三代目 坂東亀蔵
千崎弥五郎:三代目 中村福之助
矢間重太郎:四代目 中村歌之助
医者太田了竹:初代 市村橘太郎
丁稚伊吾:七代目 市川男寅
大鷲文吾:六代目 中村松江
義平女房おその:初代 片岡孝太郎

二、新古演劇十種の内 身替座禅(みがわりざぜん)

山蔭右京:四代目 尾上松緑(尾上菊五郎休演につき、配役変更)
太郎冠者:四代目 河原崎権十郎
侍女千枝:初代 坂東新悟
同 小枝:五代目 中村玉太郎
奥方玉の井:四代目 中村鴈治郎

第三部(17:45開演)

一、髑髏尼(どくろに)

髑髏尼:五代目 坂東玉三郎
平重衡の亡霊:六代目 片岡愛之助
鐘楼守七兵衛:三代目 中村福之助
善信尼:初代 河合雪之丞
町の女小環:三代目 中村歌女之丞
女房長門:初代 坂東新悟
蒲原太郎正重:二代目 中村亀鶴
烏男:六代目 市川男女蔵
阿証坊印西:四代目 中村鴈治郎

二、夕霧 伊左衛門 廓文章(くるわぶんしょう)吉田屋

藤屋伊左衛門:六代目 片岡愛之助
吉田屋喜左衛門:四代目 中村鴈治郎
太鼓持豊作:四代目 中村歌之助
阿波の大尽:四代目 片岡松之助
喜左衛門女房おきさ:六代目 上村吉弥
扇屋夕霧:五代目 坂東玉三郎


データ

筋書

愛之助丈関連
舞台写真:「花の御所始末」安積行秀:6枚
舞台写真:「髑髏尼」平重衡の亡霊:3枚
舞台写真:「吉田屋」藤屋伊左衛門:9枚
49ページ:「花競木挽賑」(1/2ページ)

料金

1等席:16,000円
2等席:12,000円
3階A席:5,500円
3階B席:3,500円
1階桟敷席:17,000円
筋書:1,300円

感想

第一部


19日に前方上手側にて観劇。

花の御所始末

足利義教(幸四郎丈)の悪の半生を描いた作品で、人がバタバタと殺されていくのだが、『霊験亀山鉾』ほどの残忍さは感じない。
人が死ぬたびに茶坊主二人が呼ばれて、ルーティンワークみたいに亡骸を片付けているせいだろうか?
幸四郎丈の悪役っぷりに『朧の森に棲む鬼』を思い出した。

安積行秀(愛之助丈)は最初と最後に5~10分ほど出てくるだけだが、印象に残る役だった。
畠山満家(芝翫丈)は最初は黒幕のようだったが、最後は義教に見捨てられて哀れに死んでいった。
北野の方(千壽丈)は満家、義満(権十郎丈)、義教を渡り歩いたしたたかな女性だけど、悪女というほどでもない。

面白くないわけではないが、主役の義教ほどパンチの効いた役が他にいないのが物足りないかな。
室町ものは山田風太郎の小説が面白かった記憶があるが、物語の内容は忘れてしまった。(洋風の作品を歌舞伎化するくらいなら、山風の小説を歌舞伎化すればいいのに…と思うが、難しいか。)
第二部には十段目がかかっているし、第三部は髑髏尼だし、今月はあまり上演されない演目特集なんだろうか?


↑幕間に食べたいつものビーフヒレカツサンド。

第三部


18日に中央花道寄りにて観劇。

髑髏尼

黒塚みたいに鬼婆が出てくるのかと思ったら、全然違った。
都で源氏が平家の子供を探し出して殺す場面から始まる。亀鶴丈が非情な武士、男女蔵丈がカラスと会話できるという変な人の役で登場。
十二単姿の新中納言局(玉三郎丈)が平重衡(愛之助丈)の忘れ形見の子供を奪われて、源氏の後を追って行ったところで場面が変わる。

局は奈良の尼寺に入り、息子の髑髏を側においているため、髑髏尼と呼ばれている。
その寺の鐘楼守の七兵衛(中村福之助丈)という醜い男は髑髏尼に想いを寄せている。
福之助丈は恋するキモ男を熱演していた。

髑髏尼が祈祷をしていると平重衡の亡霊が現れて消える。
重衡は碇知盛みたいな衣装で低い声。
かっこよかったけど、正直なんで出てきたかがいまいちわからなかった…

そこへ七兵衛がやってきて、髑髏尼に「一緒に都で暮らそう」と言うが、髑髏尼は承知しない。
もみ合ううちに髑髏尼の息が絶えており、七兵衛は「俺も死ぬ!」と手ぬぐいを首に巻きつけて倒れたところで幕。
歌舞伎の演目で鬱エンドナンバーワン(私調べ)だった。
なんでこれを上演しようと思ったのか…

廓文章 吉田屋

髑髏尼の鬱エンドを払拭する華やかな一幕。
まさか歌舞伎座で、愛之助丈の伊左衛門を、玉三郎丈の夕霧と見られる日がくるとは… 感無量。

さらに衝撃だったのが、吉弥丈が休演で代役が千壽丈だった。大抜擢じゃないか?
少し若いけど素敵なおきさだった。
そして、おきさやおえんさんは、誰が演じても秀太郎丈の幻が見えるんだよね。
喜左衛門は安定の鴈治郎丈。

愛之助丈の伊左衛門は浅草以来。可愛らしい若旦那だった。ちなみに、後見は愛治郎丈だった。
夕霧が登場したときは、「本当に玉三郎丈の相手役なんだ…!」と心が震えた。
夕霧はとにかく美しかった。眼福。
いや~、幸せなひとときだった。


↑開演前に食べためでたい焼き。


お土産は木挽町広場で買った安納芋トリュフ。