アラン・ホワイト、2005年インタビュー

掲載誌  不明
掲載日  2005年11月頃
 アラン・ホワイト(モリシー・バンドの作曲者兼ギタリスト)のインタビューです。以前にアランのファン・コミュニティに投稿されていたトランスクリプトから翻訳しました。インタビュアーはアリゾナの記者らしいので、おそらくアメリカのローカル誌か何かだと思いますが、元記事の正確な出所が分からず申し訳ありません。もし、ご存知の方がいらしたらご一報ください。
 本文の記載内容から、インタビューが行われたのは2005年11月頃と思われます。

 ウェスト・エクスプレスの記者であり、長年熱狂的なThe Smithsファンでもあるロバート・バートン記者が、モリシーの右腕を務めるアラン・ホワイトのインタビューに成功した。
 アランは、イタリアで行われたモリシーの新アルバム制作を終えて帰宅したばかり。ソロ・プロジェクト”Red Lightning”のことや、アメリカの政治、モリシーその人について語ってくれた。

 モリシー・マニアのバートン記者は、まるで13歳の少年のようにこの英国ロックスターに夢中になっているが、当のアランはロサンジェルスの自宅 前で侵入してくる蟻の一団と戦っている真っ最中であった。(南カリフォルニアに住んだことのある人間なら、かの地の蟻害の酷さはご存知だろう)。

アラン: この蟻め! こいつら、チクショウ、信じらんねぇ!

記者: 悪いときに電話しちゃった?

アラン: いや、そんなことはないよ。始めよう。

記者: イタリアはどうでした?

アラン: 良かったよ。ショッピング三昧だ。実際のところは、それほどイタリア見物はしなかったけどね。俺達、スタジオに篭りっきりでさ*

*「Ringleader Of The Tormenters」のレコーディング。

記者: 今はアメリカに住んでいるんですか? それとも英国?

アラン: 以前は英国に家を持っていたけれど、飛行機での行き来があまりにも大変になっちゃって、今は殆どの時間をアメリカで過ごしているよ。

記者: 長年に渡ってモリシーと仕事をされてますが、どんな感じですか?

アラン: 夢が叶っているって感じだな。自分のアイデンティティを発見する助けになった。モリシーと仕事をすることで君に俺を印象付けたわけだし ね。

記者: どうやってモリシーと仕事をすることに?

アラン: あの頃の俺は酷い状況だった。ロクでもない仕事ばかりやっていて、将来性はゼロだったよ。当時は、The Memphis Sinnersというバンドにいたんだ。このバンド名は後にThe Memphis Flashと改名したけれど。それで、もうギターを諦めようかと思い始めていた頃に、とあるクラブにモリシーがいると聞きつけた。それならと、そこに出向 いて言ったんだ「俺こそ、あんたの仕事にぴったりな男だぜ("I'm your man to get it done")」。モリシーはこう言ったよ「じゃあ、やってみようか("Let's give it a shot")」。

記者: では、近況はどうです?

アラン: そうだなぁ、喉の感染症をもらっちゃってさ。加えて忙しいよ。イタリアでモリシーのアルバムを作り終えて戻って来たばかりだけど、すぐに Red Lightningのツアーとアルバム発売の準備に取りかかるところだから。

記者: Red Lightningのアルバム*はディビット・ニュートンがプロデュースしましたね。他のプロデューサーと比べて彼と働くのはどうでした?

アラン: ディビットは俺達を理解し歌を愛してくれた。「最高のノリだぜ!」って彼は言ったよ。素晴らしいアイデアを出してくれたんだ。

*残念ながら、このRed Lightningの1stアルバムは、バンドの解散に伴い未発売に終わった。

記者: 昨今のアメリカの政治で本当に気が滅入るものといえば?

アラン: カトリーナ台風だ。被害対策についてだよ。ブッシュの女房がテレビに出て読んだ声明ときたら、とんでもないな。人種差別主義まる出しだっ た。それにブッシュがジョン・ケリーの軍歴を攻撃したこと。恥ずべき行為だ。

記者: 現時点で素晴らしいと思うバンドは?

アラン: ここ最近のベストはColdplayだよ。彼らはコンスタントに良いレコードを出している。それとThe Killersは実力がある。Block PartyとThe Tearsも。

記者: 最終的に自分がジョニー・マーの亡霊を克服したと思いますか? 完全に吹っ切って、あなたとマーが比べられることもなくなったと?

アラン: いいかい、俺はそんな風には考えない。俺達は二人の全く異なった人間で、全然違うものなのだから。

記者: いつも、その素敵なクイッフ(リーゼント・スタイルの前髪)をキープしていますよね?

アラン: 本当のことを言うとね、一度モリシーに「バッサリ切りな。剃れ!」って言われて坊主頭にしたことがある。そしたら怖ろしく似合わなくて ね。だから、このお馴染みのスタイルに戻したのさ。

記者: 現在はあなたを目当てにやって来る多数の観客の前で演奏し、そして数え切れないほどのモリシーファンがRed Lightningの詞を聴くわけですよね。以前より更に緊張しませんか?

アラン: 更にってことはないよ。どうせステージに上がる前は、いつだって緊張しているんだから。誰でもそういうもんだろ。けれど一旦ステージに出 てしまえば、後は自分の仕事をするだけだ。