From Morrissey, 21 July 2006
掲載サイト http://true-to-you.net/
掲載ページ http://true-to-you.net/morrissey_news_060721_02 ※ジュリアさんのサイトを通して”ファン”に宛てた手紙です。 (完全な翻訳ではありません。原文から多少ハショったり要約したりしています)。
ツアーに来てくれた皆も(来なかった皆も)ありがとう。僕らは心の底から感謝してるよ。とても多くの人達が沢山の会場に足を運んでくれたその気持ちに応えて、僕らは出来る限りのことをした……嘘だと思うかもしれないけど、本当にベストを尽くしたんだよ。そう、皆に感謝している。
うっとりと思い出すと、僕のお気に入りのショーは、Zagreb Grimsby Stirling Cheltenham Whitehaven Turku Helsinki Budapest Istanbul……全部さ!(Gateshead!@! と IMOLA!@を除いてだけど……) ロンドン最終日はちょっと夢見心地になった。とはいえ、ロンドン初日とダブリン初日では音がふらついてしまってごめんなさい。I am only a spout. 僕のツアーが、互いに心の合う人達の触れ合いの場になっていることを願っている。夜毎にお馴染みの顔を目にして、正直びっくり仰天している。8月の最後にルクセンブルクでショーが出来るといいな。僕らに賭けてみる価値があることをプロモーターに証明しようとしているところさ。 「Ringleader of the Tormentors」を買ってくれた皆、ありがとう。 昔ながらラジオに無視されていること、賞に縁が無かったことは残念だ……けれど、もしマーキュリー・アワードやブリッド・ポップ・アワードに音楽的な意義があると思うなら、きっと君の脳味噌には75%の割りでコンクリートが詰まっているんだろうね。うん、ロクなもんじゃないよ。 僕は「Ringleader of the Tormentors」には、とても満足している。卓越した姿勢を持つ作品で、自分自身、今までしてきた何よりも喜ばしい。そうスコテッシュ・テリアと同じくらいに僕を喜ばせてくれる存在だよ……僕はスコテッシュ・テリアを飼ったりはしないけどね。 残念に思うのは、このところのプレスの沈黙と、全く使い物にならない間抜けさだ。これは永遠の謎だね。こんな現状が続くなんて断じて許されない! 僕の場合、「僕のファン」という但し書きが無ければ「オーディエンス」という言葉を使っちゃいけないのか! 僕自身は「僕のファン」だなんて言葉、たとえ麻酔をかけられた状態だって言わないけどね。 苛立つことは、インタビューの一つひとつが活字になると、どれだけのことがThe Smithsのあれこれと結びつけられてしまうものか。 The Smithsの再結成を望んじゃいないのに、いつもそのことばかり書かれるんだ。だいたい、もし再結成したとして、一番酷評するのは他ならぬプレスだろうから余計に腹立たしい。 同様にThe Smithsとソロアルバムの比較のされようにもがっかりする。1980年代といえば8回分の一生をまたぐ遠い昔で、当時と今じゃ世界は全く変わっているんだ。こういった比較に意味があるのは、The Smithsとソロが同時期にリリースされていた場合だけだろうに。 The Smithsといえば、「Queen Is Dead」20周年記念に、ワーナーが何もしないとは怠慢だったな……スペシャルEDとかボックスCDとか記念ティータオルとか……なんかそういうものをさ! きっとワーナーにいる素晴らしく才能溢れた高給取りの皆さんは、自分達のタンポンを転がすことに忙しすぎて(出血を止めるのに必死で)、彼らの仕事から芸術性や創造性を取り出すのが難しいのだろうとしか思えないよね。今までどおりThe Smithsについては、せっかくの機会を無駄にしちゃったというわけだ。 「Viva Hate」「Kill Uncle」「Your Arsenal」「Vauxhall & I」が、リマスターやら何やらして再発されるそうだ。僕はこの企画に全く関わっていないけれど、素晴らしきゴシップ経由で知った。「Bona Drag」が含まれていないとは残念だよ。だって凄く完璧な作品だし、僕が誇りとするものの一つだから。 けどね、The Smithsの「The Very Best of the Smiths」の経緯からして、僕らが最悪を予想するのも無理ないだろう。僕はあれの再リリース元がEMIなのかWarners-Repriseなのかさえ確かじゃないし、どちらの会社もこういったことは特別得意ではない……彼らが一貫してそれを証明している。例えば、ロンドンのWarnersが「The Very Best of the Smiths」の最終校正を送ってきた時、僕はぐったりしながらもアートワークの誤植を18点と、何よりもこんな酷いスリーブのCDを発売するべきではないと指摘した。にもかかわらず、彼らは完全に無視した。勿論、誤植は訂正されていたけどね。いつもこうなんだ! ツアーの話に戻って、いつもどおりのバンドの軍隊並みの厳格さ(military rigor of the band)には感謝する。それでいて最高で、楽しみに満ちた彼らが、僕を素晴らしくしてくれる。光栄に思っているよ。以前のライン・ナップの方が良かったと言う人達は、きっと落ち着けないホルモンの持ち主なのだろう※。 (※Anyone who tells you that previous line-up's were better probably has hormones that can't settle down.ちょっとモズの言いたいことが汲み取れませんでしたが、アメリカ人に質問してみたところ、アランやディノ含む以前のメンバーの方が男前度が高かったという意味じゃないかと教えてくれました。ただし、彼女も「結局、モズの発言の真意はモズにしか分からない」とも言っていましたが)。 (サポート・バンドへの謝辞が入ります。特にクリスティー・ヤングの才能を称えています)。 現在、僕はこれをバルセロナで書いている。バルセロナといえば、ずっと昔、街で一番古いホテルの灯りの落ちたロビーでアメリカ人作家のジェイムス・ボールドウィンが独りでぽつんと座っているのを見かけた場所だ。そんな偉人を間のあたりにして驚いた僕は、まごついてカチンコチンになったまま、彼の周りをぐるぐると11回も行ったり来たりした。それから、それまでの人生25年間を屋根裏に閉じこもって過ごしてきたような人間に彼が興味を持つなんて有り得ないと悟った。だって、そんな奴を見るのは不愉快だろうから。それで僕は何もせずに通り過ぎたが、彼が亡くなったのはそのすぐ後だった。また一つ学んだろ。 (ジュリアさんへの謝辞) 最近、アレック・ボールドウィン主演のアメリカ映画にイカれた(potty)音楽教師役で20分ほど出演しないかというオファーがあった。理想的なキャスティングだったが、当然ながら、演技ができないという取るに足らない理由で棚上げされてしまった。僕ときたら実際に死にでもしなきゃ、死人役でさえ納得のいく演技はできないだろう。悲しいかな、そういうわけなのさ。まあ、世の為にはこれで良かったんだけどね。 最後になるけど、一番どうでもいいことを。イギリスのテレビ人(正確には何をやってる人なのか知らないんだけど)Richard Madeleyにどうもありがとうと言いたい。少なくとも、彼は僕のことを「insufferable puffed-up prat(我慢できない程の自惚屋の間抜け)」と言って笑わせてくれたからね。このコメントが的を射ているかどうかはともかくとして、自分の母親と結婚してしまった男に由来したコメントだってのは、あんまりじゃないかなぁ。……まあ、人生なんて……。 Here's to the future when all's ..... well? Morrissey Barcelonely,July 2006. |