Boxers (Morrissey/Alain Whyte)
 ボクサーズ
故郷の観衆の前で敗れて
君はいっそ地面が割れ
自分を飲み込んでくれないかと願う
時が止まったようじゃないか?
僕らのために時間は過ぎ去ってはくれないのか?

憔悴した君の妻が立ち去る
君の甥っ子は心から、そう今でも
君の心の内を思っている
そして僕は目を閉じねばならない

故郷の町で敗れて
観衆は君の名を呼ぶ
みんな君を愛しているんだ 今までと変わらずに
あの歓声、匂い、スプレー
君はそれら全部を持って行くだろう
死ぬまで離さないだろう

憔悴した君の妻が立ち去る
君の甥っ子は本当に、そう今でも
君の心の内を思っている
そして僕は目を閉じねばならない

故郷の町で敗れて
クソったれなベルはもう鳴らない
いつの日にか君は戻ってくるだろう
何故なら君が目を閉じた時に見える
全てのもののために

憔悴した君の妻が立ち去る
君の甥っ子は本当に、そう今でも
君の心の内を思っている
そして僕は涙を拭かねばならない


 95年初旬のツアーは通称“Boxersツアー”と呼ばれているが、モリシーがボクシングという「殴りあう格闘技」に題材を求めたことに驚いたファンも多いのではないだろうか。

 92年〜94年当時、モリシーは元ボクサーだった(と噂の)ジェイクという名の男性をプライベート・アシスタントとして雇っており、ロサンジェルスの自宅に同居を許した程親しかった。ジェイクと知り合ったのが先か、ボクシングに興味を持ったのが先かは分からないが、ジェイクからボクシング界の話を聞きインスピレーションを受けたのかもしれない。

 「驚いたファンも多いのではないだろうか」と前述したが、実際には驚くようなことではないのかもしれない。何故なら、モリシーは猛々しく閃く拳や眩いスポットライトよりも、明らかに「敗れる」というその一点においてのみロマンティックな気持ちを抱いているとしか思えないのだから。

 “Boxers”のPVを観てみよう。若いボクサーに敗れ、倒れるボクサーの名は“Sunny”なのだ。モリシーの世界では、彼が再び立ち上がることは決してない。

収録アルバム
基本的にオリジナル・アルバムのみの記載です。
アルバム未収録曲に限りベスト盤等を記載します。

Suedehead-The Best of Morrissey
My Early Burglary Years