【スーパーターザン】
鬱蒼としたアフリカの密林の中を、砂煙を舞い上げながら、三台の車両が猛スピードで走っていた。
白人の男が3人ずつ乗ったジープ2台の後ろを、幌のついた軍用トラックが追う。
ジープに分乗しているのは一帯で捕獲が禁止されている、チーターの毛皮を獲りに入った密猟者たちである。
統治能力を失った失敗国家の下、腐敗しきった軍の一部が彼らに手を貸していた。
軍用トラックの荷台に座っていた黒人兵が小さな「追っ手」に気付いたのは昼過ぎのことだった。
「ちっ、奴がまた現れた!」
「撃ち殺せ!」
トラックの幌の中から、後を追いかけてくる小さな影に向けてパンパンと銃声が響く。
だが追っ手はひるむことなくむしろ速度を増すと、ジャンプして大空に舞った。
「くそっ、どこへ消えた!?」
トラックの荷台で銃を構えた黒人兵の一人が幌から顔を出し、大自然を見回した瞬間。
ぶしゃっと赤い噴水が上がり、その首が地面に転がり落ちた。
「うわあああああっ!」
パニックに陥る黒人兵たち。
首のない死体をまたいで幌の中に入ってきたのは、身長170センチほどの細い身体だった。
背中まで伸びた長い黒髪の少年の肌は小麦色に日焼けし、白いビキニパンツをはいた裸体は、
胸部、肩、腕、脛など主要部を、白銀色に輝くプロテクターが覆っている。
また深く澄んだ二重瞼の下に、顎から口元、鼻までを覆うマスクを装着し、頭上で金色に輝く、
宝石をちりばめたヘアバンド型の冠は、彼が森の王者であることを示していた。
両手に構えた光の槍、レーザー・ランスが、まばゆい青白い光を放っている。
「密猟を取り締まるべきあなたたちが密猟者に手を貸すなんて・・・許さない!」
兵士たちが最後に聞いたのはまだ変声を終えていない男の子の声だった。
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