その少年は本名を、倉本耀太郎と言った。
動物学者として権威ある、倉本晋博士の一人息子。
さらさら黒髪の都会的な中性顔に細い体格。小さい頃は病弱でよく学校を休んだ。
そのときベッドの中で読んでいたのが、動物図鑑や父の著書だった。

学業成績は良く、私立中学の男子校に進学。
だが人づきあいが下手なのか、いじめを受けるようになった。
中1秋の昼休み、不良グループに体育倉庫の裏に呼び出された。
すさんだ連中というのは公立私立問わず、何人かはいるものである。

「オマエさぁ、エラソーで何か見ててムカツクんだよ」
「やっ・・・やめてくれないか・・・」

裕福な家に生まれ育った美少年に対するやっかみもあったに違いないが、
クールな挙動と人あたりのそっけなさは、無意識的であれナルシストと受け取られても仕方なくもあった。

「おーっ、7000円も持ってやがった。お金持ちー」

壁に押さえつけられた耀太郎はブレザーを脱がされ、白いカッターシャツから華奢な肩がはだけ、
左の前に校章の刺繍された黒色のズボンは砂で汚れていた。

「けっこー顔は女みてぇだな」
「こいつ、ほんとに男なのかな!?」
「試してみるか?」

リーダー格の不良に、むんずと股間を掴まれた。

「あっ・・・ああっ・・・」

喉仏がピクッと動いて、変声しかけのかすれた声でうめく。

「キショい声出してんじゃねぇぞ!」
「ぐっ・・・うっ・・・」

腹にパンチが一発めり込む。

「やーらしー、チ○ポ浮き出てんぞ」
「感じて、立ってきちゃったんじゃねえのか!?」

不良どもは耀太郎の細い腰に巻きついたベルトに手を伸ばし、カチャカチャと外す。
ズボンのホックを開けてチャックを下ろすと、ブリーフ・パンツに柔らかな丘ができていた。
いわば半勃起状態で、生地に収まった男の子が膨らみかけていたのだ。

「もっとよく見せてみろよ」

ブリーフをずり下げると、まだ縮れていない毛を根元に生やした包茎ペニスがぷるんっと顔を出した。

「い、やだあっ・・・」
「おい倉本、おまえ、姉ちゃんとか妹とかいねぇのかよ?紹介してくれないか」
「僕には兄弟、いないから・・・」

リーダー格の不良は煙草をくわえながら少し耀太郎の顔を眺めた。
が、押さえつけている手下の股間もまたサディスティックなテントを張り始めているのを見て、呆れたように言い放った。

「なんだ、こいつ結構かわいいじゃんかよねー。少し、犯してやろうかー」

あとは、女のいない男子校のうっぷんを処理するのに利用された。

「おら、舐めないか」

耀太郎はフェ○チオさせられた。

「はうっ・・・ほ、ほらっ倉本、全部飲み干すんだ」
「やっ・・・タクト、口ん中に精液出しすぎだって!」
「ごぼっ・・・げほっ・・・!」
「やーー!倉本、タクトの精液鼻から出してる〜!」

さらに細い腰から生えたペニスを搾られ、射精させられた。
それは耀太郎にとって初めての体験だった。
以降連日のように性的いじめを受け、一週間後の日、ついに肛門に挿入された。

「いいぞ、よく締まるケツ穴だぜ」
「はううっ・・・なんで・・・汚いよ・・・っ・・・」

アナルとはウンチを搾り出すところで、何か物を入れる部分ではないはずなのに。
黒色のズボンを白い精液で汚した耀太郎が発見されたのは、放課後の部活が始まろうとしていた時間だった。
翌日から耀太郎は学校に来なくなった。

耀太郎は自宅の部屋から一歩も外に出ない日が続いた。
ただ学校に行かなくてはならないという義務感と、思い出される恐怖の板挟みになりながら、どうすることもできずに布団をかぶって泣いていた。

父は傷心の息子を元気づけようと、アフリカでの野生動物の生態調査に耀太郎を誘った。
すると耀太郎も「行きたい」と言った。きっと自分をリセットするきっかけを求めていたに違いない。
親子で3週間ほど現地に滞在する予定で日本を発った。


***


調査は順調に進んだ。
耀太郎の半袖シャツから伸びる華奢な腕、短い半ズボンから伸びる太股が徐々に日焼けしていくのに合わせて、
大自然と触れ合うことを通し、表情も明るくなっていた。
一方で密猟により、象やサイなどの数が減っている現実も目にし、心を傷めるのだった。

そんな刺激的な毎日であったが、帰国三日前の日、突然の大嵐に遭い、親子は離れ離れになってしまった。
北も南も分からず果てしなく続く大地の中を、何度も動物に襲われながら独りぼっちで彷徨う。
シャツはぼろぼろに穴があき、ホックが壊れた半ズボンも捨てた。
ほとんど役割をなさないシャツと、土と泥で茶色く染まったブリーフという格好で森を一週間歩き、
ついに倒れた耀太郎を救ったのは、立派な鬣(たてがみ)のライオンだった。
一帯に生きる野生動物の元締めであるライオンは名をライアンと言った。
ライアンは耀太郎の意識に語りかけた。
『私たちを助けてほしい。君こそ大地を救う救世主、スーパーターザンだ』と。

ライアンは耀太郎を、森の奥深くに立つピラミッドのような遺跡に案内した。
地下深く伸びた回廊を進むと、突き当たりの台座の上に宝石箱が置かれていた。
中に入っていたのは古くからこの地に伝わる、悪と戦う戦士の力を得るための冠と、白銀のプロテクターだった。
ライアンは耀太郎に、耀太郎の父が密猟組織に捕まったことを伝えた。

冠をかぶると、野生動物たちと意思疎通ができた。耀太郎は森の王者となった。
普段は槍を構え、上半身裸で、辛うじて股間を布で隠す・・・シャツの布きれを紐で縛ったものである・・・少年ターザンとして、大自然の中を生きた。
髪は長く伸び、色白だった肌は健康的な小麦色に日焼けし、細い骨格に筋肉が鍛えられていた。
引き締まった尻の下に生えた、すらっとスレンダーな腿。
銃を持った密猟団が現れたときはその肉体の主要部に薄い甲殻を装着し、冠から肉体に流れ込む理力を駆使して戦うのだ。
動物王国の平和を守るために。そして父に出会うために。

お父さん、待ってて。僕と一緒に日本へ帰ろう!

もう耀太郎は、内気なお坊っちゃんではなかった。確固たる意思を宿した男だった。

こうして一年の歳月が過ぎた。





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