流血が止まらないままに、舗装されていない土道の上をジープで引きずられるターザンの身体。
ロープのついた銛はしっかりと肉に噛み込んで離すことはなかった。
岩や砂利や木にぶつかるたび、青く汚れた甲殻装甲が砕け、肌が露出していく。

「すげえ、一発だったな」

助手席に座っている、頭の禿げ上がった白人男が言った。

「ふんっ。かつてこのアフリカの地で、多くの人命を救ったドクターの名を冠した薬品・・・
こいつがスーパーターザンのパワーを無効化するのに効くなんざぁ皮肉な偶然だな」

後部座席に座った口髭の男は『シュバイツァー試薬』と書かれた小瓶を眺めながら、葉巻をくわえた。

ジープは原住民の村をゆっくり、走っていく。
ライオンに跨って現れた少年を「天から降臨した伝説の勇者」だとか「神の遣わした子」などと崇めた部族たちに、見せしめるためである。
傷ついた少年ターザンは広場の真ん中にある石の台座の上に、仰向けに横たえられた。




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