僕は密猟者どもの乗ったジープを追っていた。
いま僕を乗せて走っているチーターのチロも半年前、両親をこいつらに殺された。
何度も追い出したが、入れ替わり立ち替わり現れる密猟者。

森の平和を乱す奴は許さない!

僕は槍に理力を注入すると、ジープめがけて放り投げた。
手から離れた槍は右前方を走るジープに吸い込まれるように飛んでいく。

「やりいっ!」

ギャグを意識したつもりはないけど口にしてしまい、チロが苦笑する。

槍の命中したジープは爆発、横転し炎に包まれた。
だが僕が左前方のジープに目をやった次の瞬間、チロの足に急ブレーキがかかった。

おいチロ、どうして止まるんだ!?

空を見上げると太いワイヤーで編まれた網が、僕たち目がけ降ってきていた。

(ヨータ、飛び降りろ!)

僕はチロに振り落とされるように前のめりになって、地面に投げ出されてしまった。

「チロ!怪我はないかい!?」

数十メートル背後に、網の中でもがくチロが横たわっていた。
僕はチロに駆け寄り、網を外してやろうと手をかけた。が、手もとがぬるつく。

「なんだ、これは・・・?」

よく見ると、網には青くベトベトした液体が塗られている。

(ヨータ!その網に触るな!)
「でもチロ、きみを置いて逃げられないよ」

手でワイヤーを引きちぎろうとしたが、なかなか破れなかった。
僕は重い網を持ち上げると、引きずってチロの身体から外していった。
それに合わせて全身が液体で青く汚れていく。

「さあチロ、動けるか?」
(ヨータ危ない、後ろ!)

チロに腕を貸そうとしたとき、いきなりバシュッと音がし、ガアンと足に熱さを感じた。

「うっ!」

見ると僕の左腿にロープのついた銛が突き刺さり、真っ赤な鮮血がぼたぼた流れていた。

痛いっ!でも、僕の身体を傷つけることはできないはずなのに・・・なぜ!?

戸惑っているうちに左肩、右胸に近い背中にも・・・次々に銛がうちこまれていく。

ドスっ!

「あああっ・・・」

ザシュッ!

「うおおおっ!」

衝撃がはしるたび真紅の花吹雪がぱっぱっと上がる。
流れる血が青くて一瞬、どきっとする。銛にも、網と同じ青い液体が塗られているからなのか・・・!?
くそっ・・・急に身体から力が抜けていく・・・!

足元がふらつき、地面にがくっと膝をついた。
後ろから男の声がした。

「背中を流してやろう」

頭の上から、ドラム缶に入った青い液体をザッパーンとかけられた。
髪はまるでシャワーを浴びたように張りつき、ビキニパンツも青い液体をたっぷり吸い込み、ぐしょぐしょなのが感触で分かった。

「終わりだ」

パチッとスイッチを押す音が聞こえて、全身に高圧の電気ショックが走った。

「うわあああああぁぁあぁあっ!!」

僕は地面に伏せ、気を失った。




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