ほしいものひとつ



「何が欲しい」と聞かれ、「おまえ」と答えたらあっさり「いいよ」と塔矢は言った。

「いいよって、おまえそんな大事なこと軽々しく言うな」

それとも何にも解って無いのかと怒鳴りつけたら鬼のような顔で睨まれた。

「真面目に答えたことでこんな仕打ちを受けるのは納得がいかない」

キミにならあげても良いと思ったから「いい」と言ったのにその言いぐさは何だと、
その声音は真剣で瞳にも嘘は無かった。


「ずっと思ってた。もしキミが…そう思ってくれたらいいなって」
「おれだって思ってたよ、ずっと。おれのがずっと長くそう思ってたって!」


何が欲しい?

塔矢が欲しい。

叶えられない願いだと思っていたから、受け入れられたことが受け入れられな
い。


「でもおまえ、時々天然だからなあ」
「失礼な。キミに言われる程ボケてはいない」
「あ、天然の意味ちゃんと解ってるんだ」
「だからそこまでじゃ無いって言っている」


とにかくいるのかいらないのかはっきりしろ、いらない人間にくれてやる義理は無
いからと、これ以上無く男前に詰め寄られ、告白したはずのおれはなんだか気
圧されて、「貰いますゴメンナサイ」と何故か謝ってしまったのだった。




※ヒカアキ大好きー。続くよ