第13話 「冬の風鈴」

主要ゲストキャスト
松原忠司:若林豪、おぬい:神崎愛。

ストーリー
慶応1年10月、松原の壬生心中。(実際は9月)

松原は斬った安西の妻女・おぬいをいろいろ気遣っていたが、その行為によりおぬいとの妙な噂が隊内に飛び交っていた。
その真相を質され、松原は疑われたことに腹を立て、腹を切ったところを原田らに止められる。
その後、一命を取り留めた松原は自分を卑下し席次を守らず下座に座り、近藤の怒りを買って降格された。
原田の提案により松原は、おぬいの家で養生をすることになったが、事実を知ったおぬいとの仲は、一進一退していた。
だが、そうこうするうちにおぬいの子が死に、それによってようやく二人は一線を超えたが、それは死出の道行前のひと時であった。

感想
冒頭は、柔術の稽古シーンから。これで、松原を取り上げた回だということ分かる感じですね。

松原の使いでおぬいの元へ綱太郎が行った帰り、お里の所へ行くと暇を取った後で、追いかけていったら伊之助がお里と仲良く歩いていて、抜け駆けしたと思った綱太郎が酔って門限破り。
助け舟を出したのは伊東で、その行為に土方さんは噛み付いて、二人の関係を象徴するようなシーンですね。
この辺、主人公たちの恋模様と土方さんと伊東の確執を、二つ上手く表現してますよね。
しかし、伊東は近藤さんと土方さんの二人が話しているところに現れたわけだけど、綱太郎の件でわざわざ呼び出されでもしたのかな? それとも、定例の会議の一端なのかな?

おぬいの元へ行く松原を見送る、土方さんと山崎の冷え冷えとした遣り取りに、肝が冷えますわ〜。そこがいいと言えばいいんですけど。
こう冷たい感じが、なんとも言えません。
松原の妙な噂が体内に飛び交っていて、山崎は探りを入れていたんだ。なるほど〜。
考えてみりゃ、そりゃそうだよね。

そんなこととは露知らぬ松原が、近藤に呼ばれて部屋に行くと、そこには土方もいてびっくり! ってな表情。
まぁ、二人揃っていて、「何事!?」と単純に思っただけかもしれないけど。
その上土方さんが高飛車に、安西との経緯を詰問しだしたけど、最終的に「恋慕したが為、騙まし討ちにしたのでは?」と言ったのは、近藤さんなのね。
でも、松原は土方さんが言わせてると思ってか、土方さんのほうをちらりと見るんだよね。
まぁ、近藤さんにこういうことを告げるのは、土方さんだけだろうけど。

松原は疑われた、辱めを受けたと怒って出て行って腹を切ったところを、原田や多喜人に止められ一命を取り留めるわけだけど、この語の流れを知ってると、これが良かったのか悪かったのか、って考えさせられちゃうよねぇ。
でも、松原の行為が疑われるかもしれない行為であることは確かだし、罪滅ぼしとはいえ親切にしてくれた男が夫を殺したという真実を知ったときにおぬいは衝撃を受けることも考えれば、容易に近づきすぎたと思うんだが……。
結局、罪滅ぼしと言いながら、松原はおぬいに惚れ、その気持ちを見透かされたかに思ったから、激怒したんだと思うのよね。

松原の降格の舞台になった幹部会議の場に、沖田がいないってどういうことさ!
原田・藤堂・山崎をはじめ大勢の人間が居るって言うのに、後姿の中にもいないなんて。
沖田の体の具合が悪くて出て来れないっていう、設定?

くさくさしてる松原に、「思い切った手を打たんとな」って言って、「脱走するしか手はないだろ」って言葉が原田から出たときはびっくりしました。冗談だったみたいで、ほっとしたけどさぁ。
それにしても、まだ本調子でない人間に、酒を飲ますなんて駄目じゃないの。お医者さんも駄目だって言ってたでしょ! 原田さん。

二人の仲を取り持つように原田は、「おぬいのところで体を休めろ。後は何とかする」と請け負い、おぬいの元へ行かすけど、結局何をどうしたんだろう?
単に二人を二人だけにして追い詰めただけのような?
そして、なによりもそんな同居を、近藤さんや土方さんが許すとは到底思えないんだが?

そして、真相も知らず不埒な噂が流れたので松原が腹を斬った、とだけ知らされ、夫の敵に着物のを仕立てるのが、悲しいというか哀れというか、などと思っていたら、松原の告白を押しとどめて「知っていた」と。
それにもかかわらず、松原は敵を討ってくれと他力本願なところがやだなぁ。
名を呼んでくれと言われ、一線を越えようと思えども、その罪ゆえに超えられずに、武士であることに固執し、おぬいを傷つけて……。
最初に事実を知っていれば違っただろうに、そうと知ってなお松原に惹かれる女心は、なんとも複雑だよなぁ。

で、子供の前では仲睦まじそうな様子を見せてはいても男女の仲にならなかった二人なのに、おぬいの子が亡くなって枷がなくなってしまったのか、現世に未練がなくなってしまったのか。
とうとう二人は結ばれるけど、それは悲しい結末にしか結びつかずに……。
画面には映らないけど、誰もはずす人が居なくなって、鳴り続ける風鈴の音が物悲しいな。

ところで、多喜人たちがおぬいの家に駆けつけてくるけど、芯張り棒もしている家の中で、二人が死んでるって誰が知らせたんだろうか?
というか、誰もわからないんだと思うんだけど……。
それと、最後の最後にお里がおはぎを持って登場って、意味あるのかな? なくてもよさそうな気がするけど、こっちの平隊士たちが主役だから、仕方がないのかな。
第14話 「寺田屋おりょう」

主要ゲストキャスト
三吉慎蔵:高岡秀夫、坂本龍馬:坂本九、おりょう:秋吉久美子。

ストーリー
慶応2年1月、坂本捕縛の寺田屋襲撃と、2月も屯所移転。

西本願寺からさらに移転する為の資金調達に大坂に来ていた蛾次郎たちの仕事が一段落したところで、おりょうの大立ち回りに出くわす。
そのおりょうを助け、妹を取り戻してやった蛾次郎は、おりょうに一目惚れしていて、邪険にされた後も探し回る。
お里に渡した土産を伊之助を通して返された綱太郎は、二人の仲を知ってショックを受ける。
おりょうが居るはずの寺田屋に潜伏している坂本龍馬を捕らえに行った新撰組だが、出張ってきた見廻組のお手並み拝見と傍観していたが、そんな中蛾次郎は裸馬に乗って逃げていくおりょうを見た。

感想
おりょう登場から始まったわけだけど、どう見てもおりょうの雰囲気は、新撰組に好意的ではないよな。
蛾次郎はおりょうが新撰組を知っていることを、単純に喜んでいるけどねぇ。
で、おりょうは妹を取り返してもらっておきながら、新撰組だと知ってたら関わりたくなかった、だって?
おりょうも言うなぁ。その権力を借りて妹を取り戻したのだろうに。
蛾次郎が不貞腐れるのも道理だよね。

それはそうと、資金集めから帰ってきた隊士たちに、原田が労いの言葉をかけてるけども、これって平隊士だけで集めにいったのかな?
平隊士だけで行くってありえないと思うんだけど、原田も行ったのかな?

翌日非番になった伊之助は、お里に会いに行って、簪をプレゼントするわけだけど、このシーン音楽のみをバックにした無言劇で、恋愛ドラマっぽくってなんだか背中がむずむずしちゃう。
そんなシーンがあった後、ごたごたと思いの丈をぶつけあって、二人の仲はさらに一歩前進といったところかな。
それに対して、綱太郎はあそこまで自分に都合よく、思い込めるよね。
先越されるとか、出し抜いたとか、綱太郎馬鹿じゃん。事実は全く逆なわけで、自分の首絞めてるし。

坂本が潜伏してると寺田屋に踏み込むこところで、出張ってきたのは見廻組かな? 普通は伏見奉行所だと思うけど、ドラマの展開的には見廻組っぽい感じがする。
原田の「お手並み拝見」って、ちょっと嫌味っぽいよね。結局坂本を捕まえられないしさ。
坂本と同席してるのは、三吉慎蔵かな? キャストに名前があったから、たぶんそうなんだろうな。この辺の設定は細かいな。
おりょうが裸馬に乗って逃げていくのは、坂本の身代わりというか、勘違いさせる為なのかな?
それはともかく、乗ってる人、ありゃどう見ても別人だろ(笑) 吹き替えにしか見えないよん。

そんでもってお里を間にして、伊之助と綱太郎は仲違いに発展かと思ったけど、どうやらそうはならなかった模様。
でも、綱太郎は想いを吹っ切るのに、新撰組で手柄を立てて出世することを望むように、今後はなっていくのかな?
第15話 「花と短筒」

主要ゲストキャスト
原田まさ子:田中綾、坂本龍馬:坂本九、おりょう:秋吉久美子。

ストーリー
慶応2年3月。新撰組としての出来事は特になし。

屯所が新しくなった喜びの中、原田の祝言が執り行われ、お里が原田の家に奉公にあがることになった。
蛾二郎はおりょうを見つけ出し、その姿見たさにこそこそと通うが、そこは坂本の隠れ家でもあり、二人に見つかってしまう。
いったん逃げ出したが、おりょうの元に舞い戻り居座った蛾次郎に、おりょうは短筒を突きつけ覚悟を試し、二人の仲は急速に近づいていった。
しかし、翌日坂本とおりょうの祝言話を聞き、おりょうへの想いを吹っ切って蛾次郎は屯所へ帰った。
蛾次郎と伊之助の話を立ち聞きしていた綱太郎は、手柄を立てたくて坂本の居る隠れ家を探しにいったが、蛾次郎に向けた短筒に実弾が入っていたことを聞いたおりょうが、本当かどうか庭に向けて撃つと、隠れ家を突き止めた綱太郎の腕に当たり、心が揺れていたおりょうはびっくりして蛾次郎を吹っ切り、坂本とともに逃亡する。
綱太郎は怪我を負いながら屯所に戻り報告したが、なぜその隠れ家に坂本が居たことを知ってるのかと問われ、蛾次郎の名を出そうとするのを、伊之助は綱太郎を貶めてまで必死で阻止した。

感想
原田の祝言!! いやー、目出度いね!! 本当に珍しいよねぇ。原田の祝言のシーンなんて!
まぁ、このドラマの原田の出番の多さからいったら、当たり前かもしれんけど。
なんせ、幹部の中で一番で番多いもんねぇ。土方さんですら出ない回もあるというのに。
しかし、そんなお目出度い席に、平隊士ばっかりで、幹部の誰も登場しないってのが、許せ〜〜〜〜ん、てな心持でございます。

おりょうを見つけて通っていた蛾次郎は、坂本にばれちゃった〜。
そりゃ、新撰組の羽織着てたら坂本の言うとおり、目立つしバレバレだよね(笑)
そんで二人の男は、おりょうの元に新撰組の羽織と、短筒を置いて行っちゃうわけだけど、これってなんか重要な意味合いがあるのかなぁ?
短筒はタイトルにもあるとおり、重要なアイテムだってわかるけど。

蛾次郎が居ないのを誤魔化すために、伊之助が身代わりに布団をかぶって誤魔化すんだけど、これで誤魔化される山崎さんって駄目だよう。
顔も見ないで寝込んでいる男を、本人だと思うなんて監察失格じゃない?
でも、山崎さんが医術を教えてもらってると言う件なんか、なんかエピソードとしていいな。腹痛では腕の見せ所もない、って言うのもね。
それと、千石が伊之助の髪を梳いてやってるシーンがあるけど、これって男所帯の新撰組ならありえる光景だよね。
で、これを見て、だったら土方さんや沖田がそういうことをしててもありだよね〜〜〜、なんて妄想を膨らませてしまいました(笑)

今回は、祝言繋がりな話でしたね。原田と、坂本の。その辺の構成が良かったかもしれないな。ちょっと強引さは感じたけども。
第16話 「甦った女」

主要ゲストキャスト
谷三十郎:睦五郎、清乃:秋吉久美子、谷周平:筒井功。

ストーリー
慶応2年4月、谷三十郎の死。

斬首役を務めたが失敗して立場を悪くした谷は酒を煽り、その谷と行き合わせた蛾次郎はおりょうに瓜二つの女・清乃をみつける。
伊之助に止め立てされるも、おりょうを忘れられない蛾次郎は、谷が贔屓にし身請けまで考える女で、おりょうに瓜二つの女・清乃の元に通いつめるうちに、おりょうではなく清乃と情が通じるようになる。
首切りの失敗から汚名挽回を図ろうとした谷は、功を焦って浪士を取り逃がしてしまった。
立場をさらに無くした谷がまた酒を煽り、蛾次郎がすでに上がっている清乃を探している途中で、先日逃がした浪士と斬りあいになった。
しかし、清乃の制止を振り切って助勢に駆けつけた蛾次郎が斬られると、谷は蛾次郎を置いて逃げ出してしまう。
介錯失敗から続く、討入不手際・敵前逃亡で、汚名は挽回できないどころか地に落ち、自棄になって酒を喰らいふらふらしているところを斬られて死亡した。



感想
斬首シーンから始まりです。
検分は土方さんで、その斜め前に原田・山崎。後は平隊士がずら〜〜り。
隊士の肝を練る鍛錬も兼ねていたと言うし、見せしめもあるから交代ででも見させられていたのかもしれないですね。
そんな中、首切り役の谷三十郎は、薩摩の間者だった隊士の首切りに失敗し、逃げ暴れる隊士を見かねて、原田が代わりに斬ることに。大体普通だと、ここで谷の失敗を尻拭いするのは斎藤なんですが、このドラマでは全く出番なしの斎藤はここでも出てきません。ちと残念ですな。
しかし、首を斬るはずが、失敗して肩を斬るだけなんて、どんなに下手糞なんだ?
どこをどう間違ったら、そんな具合に刀が振り下ろさせるんでしょうね。
しかも、手首を後ろで戒めていた縄まで切っちゃうし。

先の失敗の鬱憤晴らしのように、平隊士相手に槍の稽古をつけると、それをそっと盗み見る土方さんと原田。
介錯失敗の処罰を考えねばと言いつつ、口を濁す土方さんの視線の先には、周平に剣の稽古をつける近藤さんが居て……。
近藤さんの一つだけ弱いところが、「下らん氏素性に拘りすぎる」って、土方さんの言い分は確かになぁ。
氏素性とか、論に弱いところが、人間味らしいけども、弱点でもあるよね。ないものねだりとでも言おうか。
まぁ、それとは別に、土方さんの苦々しげな表情が、沖田が跡を継がないからって理由だったら嬉しいなぁ、と勝手に妄想しておりました(笑)
そんなことを見ながらつらつら思ってないと、沖田の出番がないのが寂しすぎますです。

薩長浪士のアジトを谷と原田とで襲う手筈が、汚名挽回のつもりが功を焦って合図も送らず先に乗り込んだ谷は、浪士を取り逃がし、汚名を重ねちゃう。
しかし、なんで原田と谷を組ませるかなぁ〜? 揉める元じゃんねぇ。
汚名挽回でもあるけど、余計な手出しをした原田を出し抜こうとした意図もあったんじゃないかなぁ?
あ、そういや原田の「おめでた」。おめでとうございま〜〜す! 本当に末永く幸せにって、言いたくなるなぁ。

んで、またまた谷が失態を犯す場面到来で、助勢に駆けつけた蛾次郎を見捨てて逃げ出しちゃう。
逃げてどうなるもんでもないだろうにねぇ。目撃者はいっぱい居るわけだし。
事実、土方さんたちにその辺ばれているし、本当に逃げ出すなんて駄目駄目だよね。
しかし、谷は打たれ弱いよね。失敗しては、酒に逃避して酔っ払って。そしてまた失敗を繰り返して。
それはそうと、蛾次郎が斬られたといって、駆けつける伊之助たちだけど、あんな墨染まで新撰組の見廻り地域か?

原田・山崎・土方さんの三者会談はいいなぁ。ちょっと密談ぽくって、さ。
土方さんが、「近藤さんは谷のことで苦しんでる」って言うけど、周平を養子にした点で自業自得だよん。沖田を蔑ろにした罰だ、同情はしないぞ!

隊内では谷の処罰に窮した近藤の意を酌んで、沖田らに斬らせたというのがもっぱらの噂とナレーションが入るけども、あの谷の斬られたシーンは、薩摩浪士に切られたかのよう。薩摩浪士が斬る価値が谷には無かっただろうとは思うけどね。
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