613様作■「もしもハルヒが○○の嫁だったら…」 // 環


  << モリ先輩


 「ハルヒ、この薔薇の花言葉を知ってるか?」
 「なんですか、突然やってきて唐突に」


 突然なのも唐突なのもいつものことだが、ハルヒは冷たくあしらった。
 環はポーズを作って笑い、髪をかきあげる。


 「まあ、庶民のお前が知らないのも仕方がないが…」
 「知ってますよ。確か…」


 環が親指と人差し指でつまんでいるのは白い薔薇だった。
 そう、いつかお客さんに教えられた記憶がある。


 「『純潔』です。それがどうかしたんですか?」
 「ハルヒ、花言葉とは奥の深いもの。特に薔薇は意味が多く、
  その花束だけでメッセージを伝えられるのだ。フランスでは…」
 「ああ、わかりました。他にもあるんですね」
 「そう、それをいま、教えてやろう」


 別にいいですよ、と答えかけてハルヒはやめた。
 今日の環はどこか違う。
 冷たくあしらわれても落ち込まない。
 晴れやかな表情で、じっとハルヒを見つめている。
 瞳の色が、彼の頭上にある空の色のようだと思った。


 「まず、『私はあなたを尊敬します』、だ」


 そういうと、環はハルヒの目の前に純白の薔薇を差し出した。
 思ったよりも清々しい、爽やかな香りが漂う。


 「ハルヒ、よく誰の力も借りずに夢を叶えたな。偉いぞ」
 「あ、ありがとうございます」
 「そして…」


 環はにっこり笑うと、その薔薇をハルヒのスーツに飾る。
 そのままハルヒの耳元に口を寄せ、囁いた。


 「『私はあなたにふさわしい』」
 「え…?」
 「さて、ではこの薔薇の花言葉を知っているかにゃ?」


 環が次に取り出したのは、赤い薔薇の花だった。
 お客様に教えてもらった花言葉は…


 「ええと、『真実の愛』です」
 「そのとおり。正解した褒美だ。受け取りたまえ」
 「は?」


 否応もなく、赤い薔薇を白薔薇の隣に飾る。
 満足げにその二つの花を眺め、環は穏やかに微笑んだ。


 「白い薔薇と赤い薔薇を組み合わせると、どんな花言葉になる?」
 「組み合わせ…ですか?ちょっとそこまでは…」
 「異なるものの調和、結合…それからもうひとつ」


 そう言ってから、後ろ手に隠していたものを優雅な動作で差し出す。
 それは、赤い薔薇と白い薔薇をふんだんに使った大きな花束だった。


 「『結婚』しよう、ハルヒ」






 【もしもハルヒが環の嫁だったら…】


 寝室に続くドアの前で、ハルヒは深呼吸をした。
 この向こうには大きな寝台があって、そこで夫が待っている。
 色々あったけれど、とうとう夫婦になるんだ…


 「環先輩と、か…。実感わかないな…」


 バージンロードはバージンが歩くものだと力説し、
 環は婚約期間中でさえも、決して一線を越えようとしなかった。
 偶然指が触れるたびに(環が)ときめくような、清い交際であった。


 「ま、いつまでもここに立ってても仕方ないか。寒いし」


 ハルヒは顔を上げた。


 「環せんp…環さん、入りますよ!」


 ドアノブを回し、勢いよくドアを開ける。
 そこにハルヒが見たものは、白い薔薇を血で染めて
 スローモーションで倒れていく環の姿だった。


 「なっ、なんっ、なんっ、環先輩っ!」


 ティッシュをつかんで走りより、顔にあてがう。
 金糸銀糸で刺繍を施された白いタキシードは無事だった。


 「大丈夫ですか?ああ、こんなに…」
 「すまないハルヒ、ちょっとした鼻血だ」


 環は弱々しく微笑んだ。


 「それよりハルヒ、そんな薄いドレスでは寒いだろう。
  早くそこのベッドへ…ベッド…ハル……ハルヒとベッドゲフゥ!」
 「先輩!」


 床一面に敷き詰められた白い薔薇。
 その上に、初夜の妄想で鼻血を吹く花婿。


 もはや、どこから突っ込んでいいのかわからなかった。




 「あ、気がつきましたか?」


 心地よい冷たさを感じて、環は目を覚ました。
 顔に乗せられた濡れタオルをつかむと、ハルヒが覗き込む。
 シャンデリアの後光を背負って、まるで天使のようだ。


 「もう血は止まりましたよ」
 「…うん」


 環は赤くなった顔を再びタオルで隠した。


 「どうしました?大丈夫ですか?」
 「ああ、もう出すだけ出したから…」


 耳まで赤くして恥ずかしがっている環に、ハルヒは微笑んだ。
 ぬるくなったタオルを取り上げて、洗面器で冷やす。
 それを再び顔に乗せてやりながら言った。


 「なんか、ほっとしました」
 「え?」


 「これでも緊張していたので。でも、環先輩がいつも通りで安心しました」
 「緊張…、ハルヒもか?」
 「も、って。先輩は緊張してないでしょう?これだけボケ倒して…」
 「ボケ?あ、これのことか?俺、結婚や夫婦ってよくわからないから」


 タオルで顔を拭きながら、環は上半身を起こした。


 「だから、父や皆から色々アドバイスをもらって準備したのだが…」
 「なるほど、だから枕の両脇に市松人形が置いてあったり
  部屋中に白い薔薇が敷き詰めてあったりするんですね」


 皆がおもしろがって間違った知識を植え付けているところが目に浮かぶ。


 「いや、薔薇は俺の希望だ。ハルヒを毎晩百万本の薔薇の中で眠らせるのだ」
 「それはごかんべんください」
 「しかし、薔薇を百万本贈るのが最大級の愛情表現だと父が…」
 「間違った情報です」


 環は怒る気も失せてため息をついた。
 自分の足下を見つめたまま、手探りでハルヒの手をつかむ。


 「ハルヒ、お前は幸せか?」
 「はあ、まあ。新婚ですし」
 「俺は不安だ。どうすればお前が喜ぶのか、いまだにわからない。
  お前だけが俺を不安にさせる。なのにお前と結婚した俺はきっとマゾだ」


 俺は変態なのだ、と環はわなないた。
 その発言の失礼さ加減には目をつぶり、ハルヒは優しく言った。


 「環先輩は、自分と結婚して幸せじゃないですか?」
 「なっ、そんなわけないっ!今日など幸せすぎて気が遠くなったほどだ」
 「それを聞いて安心しました。自分も幸せです。十分幸せです」


 両手で環の手を握ると、顔を近づけてにっこり笑う。
 環は頬を染めてその顔を見上げた。


 「…ハルヒ、いい匂いがする」
 「あ、はい…、メイドさん達がお風呂で色々と…」
 「ああ、彼らを許してやってくれたまえ。
  美しく愛らしい花嫁に有頂天になっているのだ」


 環はハルヒの手を取って、指にそっとキスをした。
 どうやら復活したのを見てとり、面倒な人だと苦笑する。
 次の瞬間、早くも立ち上がった環に抱き上げられた。


 「さあハルヒ、夫婦になろう」


 環は天蓋のかかったキングサイズのベッドに近づくと、
 片手でカバーをめくりあげ、シーツの上に花嫁をそっと下ろした。
 それから細い腰を引き寄せて、あごを人差し指で持ち上げる。
 ハルヒはあわてて目を閉じ、二人分の体重でベッドが沈み込むのを感じた。




 「ハァッ…んっ、ぁあっ…」


 シーツに押しつけられたハルヒが身をよじる。
 小さな指は長い指に絡め取られ、膝は片脚で割られていた。
 環の唇は、もう長い時間、ハルヒのうなじを攻めている。
 体の芯が熱く潤い、刺激を求めてジンジンと疼いた。


 「きゃっ!」


 ふいに耳たぶをくわえられ、ハルヒは首をすくめる。


 「かわいいよ、ハルヒ」


 耳元でささやき、環はハルヒに何度目かのキスをした。
 深く大胆に口中を犯しながら、細い肩からシルクの肩ひもを外す。


 「もっと楽に。こわくないから」


 環は両手でハルヒの顔をはさみ、微笑んだ。
 それから鎖骨にキスを落とす。
 ハルヒは目をつぶり、シーツをつかんだ。


 「ん…」


 肩ひもを外されたドレスが少しずつ下ろされ、
 シャンデリアの灯のもと、白く滑らかな肌が晒されていく。
 美しい造型の先端が桜色に染まっているのを見て環は震えた。


 「ああ、きれいだ」
 「ひゃうっ!」


 環が舌先を少しだけ触れさせると、ハルヒはビクンと震えた。
 内股の辺りがジンジンと痺れる。
 少し膝を立てて身をよじると、間にある環の脚に触れた。


 「ん?こっちをお留守にした抗議かな?」
 「ち、ちがいます…」
 「いい子だから、少しだけ待っててくれ」
 「んぁっ!」


 環はハルヒの目を見たまま、舌を出して先端を舐めた。
 それから、巧みに舌で転がす。
 指は使わずに、両胸を丹念に愛撫した。


 「おお、固くなったぞハルヒ」
 「は、はぁ…、あぅっ」
 「すてきだ。いつまでもこうしていたいよ」


 そう言って口に含む。
 熱い体温を感じて、ハルヒは腰を浮かせた。
 環のこういった技術はおそらく天性のものなのだろう。
 (くぅ、ナチュラルボーンホストめ…)


 「腰のくびれもすてきだ」
 「あうぅ…」


 脇の下から脇腹までをすぅっと撫でられて、四肢に力が入る。
 環はドレスをへそのあたりまで引き下げ、キスの雨を降らせた。
 薄く目を開けると、環は頬を染めて忘我の表情になっている。


 「ああ、ハルヒ、お前はなんてかわい…うっ」
 「きゃっ、ちょ、環先輩…っ」


 急にひっくり返されてハルヒは抗議の声を上げた。


 「どうしたんですか?」
 「い、いや、これ以上直視しているとちょっとな」
 「鼻血ですか?」


 妄想だけで洗面器に2杯は出した男だ。


 「いや、違うが…」
 「大丈夫ですか?環さん。気分が悪いのかな」


 ハルヒは手をついて上半身を起こした。
 反らした背中の、緩やかな曲線が環の眼を射る。
 (この天然コマシ娘が…っ!)


 環のジュニアは正装を押し上げ、ギチギチと自己主張を始めている。
 決して早漏ではないつもりだったが、他ならぬハルヒの前だ。
 記念すべき初夜に、挿入前に果てるなどあってはならないことだった。
 (我慢してくれジュニア。お父さんの面目のためにも…!)


 「これから寝るのに、こんな窮屈な格好してるからですよ」


 ハルヒは微塵の躊躇もなく起きあがり、環に近づいた。
 膝立ちした拍子にシルクが滑り落ち、白い下着も太股も露わになる。
 しかし、なにくわぬ顔で手を伸ばし、環の首元を緩めにかかった。


 「ハ、ハルヒ、ちょっとは隠しなさい…っ」
 「どうしてですか?」
 「お前には慎みとか恥じらいとかないんですかっ、あっ」
 「ドレスを脱がせたのはせんぱ…環さんじゃないですか」


 ハルヒは環の首元のボタンを3つほど外し、ネクタイを取り去った後、
 「これも邪魔ですね」と言いながら上着を脱がせ、ベルトまで外した。


 「はい、これでよし。でも、全部脱いだ方がよくないですか?」
 「男に脱げなんて、いつからこんな娘に!お父さんは悲しいぞ!」


 乙女のように胸元をかき合わせて叫ぶ環に、ハルヒはため息をつく。


 「いつも大衆の面前で豪快に脱いでるくせに…
  それに環さんはただの『男』でも『お父さん』でもありません」


 すねたような顔をして、コツンと環の胸に額を寄せた。


 「今日からは、私の『夫』じゃないですか…」
 「ハルヒ…」
 「今夜、環さんが何をしても、嫌いになったりしませんから」
 「…そうだよな。ごめんな、ハルヒ」
 (ああ、面倒くさい人だ…)


 環はハルヒの細い腰をひきよせると、何度目かの長いキスを交わした。
 片方の手でハルヒの手首をつかみ、張り切った環ジュニアに触れさせる。
 ハルヒは少し動揺したが、大人しくその形を確かめた。


 「ハルヒを見ていたら、こうなってしまった。
  お前を気持ちよくさせる前に、こっちが果ててしまいそうなのだ」


 キスを終えて、環は率直に言った。
 耳まで赤くなり、目線は泳いでいる。
 ハルヒも赤くなり、「そうでしたか」と小声で言った。


 「あ、あの、やはり脱ぎませんか?キツそうですし」
 「うん…、っていや、よせ、自分で脱ぐ」
 「どうです?」
 「ああ、すこし楽になったようだ」
 「ちょっと見せてもらってもよろしいですか?」
 「え…、あ…、うん、いいよ」


 俺は夫でお前は妻だしな、と言いながら環はトランクスを下ろした。
 金褐色の茂みの中から、うっすら赤みがかった白い陰茎が勃ち上がっている。
 想像していたよりきれいなものなのだとハルヒは感心した。


 「あの、これをどこに入れるのでしょうか?本当に入るのかな?」
 「わからないのか、ハルヒ」
 「いえ、入れる場所があるというのは知っているのですが、
  該当する穴らしきものに心あたりがないので…、すみません」
 「いやいい。それでこそバージンロードを歩いた甲斐があるというもの」
 「意味がわかりませんが…」
 「夫であるこの俺にすべて委ねるのだ。さあ」
 「きゃっ」


 ばふん、と音を立ててハルヒはみたび押し倒された。
 口を利く間もなく、キスで塞がれる。
 環の手はハルヒの閉じた膝の辺りをさすり、手探りで割った。
 口内に侵入した環の舌を受けとめるのに精一杯で脚に気が回らない。
 気づいた時には、環の右手は内股を撫であげて茂みに届いていた。


 「膝を立てて力を抜くのだ、ハルヒ」
 「は、はい…」


 少し恐ろしくて、ハルヒは環の瞳を見上げた。
 天然石のような深い蒼が、いたわるように見つめ返す。
 中指がそっと割れ目をなぞり、ハルヒはビクンと体を震わせた。


 「あっ…」
 「少しだけだけど、濡れているよ、ハルヒ」


 耳元で囁き、そのまま耳に舌をさしこむ。
 熱い吐息を感じてハルヒの体は再び熱くなった。
 首筋をきつく吸われ、また口づけされる。
 やがて、体の中心が潤んで熱いものが溢れるのを感じた。


 「ハァ、あ、あぁ…」
 「ハルヒ、うれしいよ」


 中指が襞を分け入り、ゆっくりと動き始める。


 「あぅっ、ん、んん…」
 「さて、探し物をしよう」


 環は微笑んで上体を起こすと、襞を開き、中指を奥に差し込んだ。
 ゆっくり下から上に撫であげるうちに、先端が吸い込まれる。


 「あ、あ…」


 ここだね、と言いながら第一関節まで潜り込ませると、
 ハルヒの膣内はそれ自体意志を持った生き物のようにうごめき、
 突然のちん入者を締め出そうと懸命の抵抗を始めた。
 環は無理をせずに中指を抜き、当然のようにそれを口に含む。
 驚くハルヒに微笑んで、細い脚の間に身を滑り込ませた。


 「な、なにを…、あっ、駄目です、そこは汚いです!」
 「とてもきれいだよ、ハルヒ」
 「あ、あ、ああっ!」


 躊躇なく口を付け、舌を差し込む。
 指で陰核を剥き、唇で吸い上げる。
 ハルヒの目尻に涙が溜まり、腰は鋭い快感で浮いた。
 舐めとっても溢れる愛液を見て、環は体を起こした。


 「もう、ハルヒの準備はできたな」


 環はハルヒの顔の脇に手を付き、額に軽くキスをした。
 それから黒い瞳を覗き込み、真剣な顔で言った。


 「ハルヒ、俺の背中に手を回すんだ」
 「こ、こうですか?」
 「俺は極力気をつけるが、しかし、お前はこれから痛い思いをするだろう。
  もし痛かったら、そのときは俺の背中に爪を立ててくれ。頼む」
 「なにを…」
 「俺もお前の痛みを味わいたいのだ」
 「そんな…」
 「俺の美しさを損なうことは気にするな。そんなことより俺は…」
 「あー…、わかりました」


 環は一人で納得したようにうなずき、環ジュニアに右手を添えた。
 腹に付くほどに反り返ったそれを入り口にあてがう。
 双方ぬるぬるとして定まらず、ハルヒは本当に入るのか不安になった。


 が、環が体重をかけると、先端に吸い込まれる感覚があり
 グッとめりこむようにして亀頭までがハルヒの中に挿入された。
 腰は奥へ奥へと進みたがるが、抵抗を感じて躊躇する。


 「うっ!」
 「ハルヒ、痛いか?」
 「いえ、大丈夫、です。思い…切って、やっちゃって、ください」
 「女の子が、やっちゃって、とは、なんだ!」
 「っていうか、早く…お願い…」


 ハルヒは唇を噛んで眉根を寄せた。
 その表情を見て環は意を決し、ハルヒの肩を掴んで両脚に力を込めた。


 「ハルヒ、すまん!」
 「あぅっ!」


 ハルヒは腰に重い衝撃を感じ、異物が体の奥深くに侵入したのを感じた。
 指先に力が入り、環の背中に赤い筋を作る。


 「あ、ああ…っ」
 「く…」


 ハルヒの内部は熱く、ぎゅうぎゅうと絞りあげてくる。
 初めての感覚に、環はしばらくハルヒの両脇に肘をついて耐えた。
 ややあって環は上体を持ち上げ、根元まで入ったことを目で確認した。
 ハルヒの膝に手をかけて、よりよく見えるようM字型に開かせる。


 「動かすよ」


 環はややかすれた声で言うと、返答を待たずに動き出した。
 ゆっくり抜き出した陰茎にはハルヒから溢れた液がまとわりついている。
 それをまたギチギチと締め上げる奥にねじ込み、叩きつける。
 環は憑かれたような表情でその動作を繰り返し始めた。


 「ハァ、ハァ、ハァ…」


 環の呼吸音がハルヒの耳に入る。
 淫靡な水音、それから遠くで自分の喘ぎ声もしていた。
 膝を押さえられて下肢の自由は利かない。
 つかんでいた背中は逃げていってしまったので、腕を掴む。
 胎内では血管の形までわかるほどに環を感じていた。
 体の中心にわだかまっていた痺れが、全身に広がっていく。


 「ハルヒ、ハルヒ」


 環はハルヒの膝から手を離すと、妻の細い腰をかき抱いた。
 動き出した腰はもう止まらない。より深く妻を求めている。
 小柄な彼女の顔は自分の真下にあり、自分を見上げていた。
 小さく開いたその口に自分の口を重ね、深く舌を差し込む。
 細い腕が再び自分を絡め取り、背中に心地よい痛みが走った。


 「ん、んんっ!」


 突然、ハルヒの膣内がギュッと収縮した。
 その刺激に不意を突かれ、環の快感は一気に高まる。


 「あっ、ああっ」
 「うっ!」


 夢中で腰を打ち付けるうちに射精が始まった。
 射精しながらも、快感のために環は腰を止められない。
 最期の一滴まで搾り取られて、環はハルヒの上に倒れた。


 「ッハァ、ハァッ、ハァッ」
 「ハァ、ハァ、重いです…」
 「あ、すまん…」


 のろのろと起きあがり、まだ半勃ちの陰茎をずるりと抜いた。
 一瞬遅れて、破瓜の血が混じった精液が溢れるのを見る。
 これは二人が無事に愛し合った証だ。
 (夢じゃないのか…)


 「環先輩?」


 ハルヒが体を起こした。
 それに手を添えて、環はハルヒを気遣う。


 「大丈夫か、ハルヒ。痛くなかったか?」
 「いえ、それほどでも。思ったよりは」


 ハルヒが腰を押さえて笑った。
 よかった、と言って環も笑った。


 「ハルヒ、俺、いま、幸せだ」


 ハルヒはその笑顔をしばし見つめ、環の頭を抱きしめた。
 そして、耳まで赤く染めた夫にささやいた。


 「ありがとう。自分も、とても幸せです」








ED


 目尻に溜まった涙をぐしっとぬぐってニッと笑う光。と、
 おしとやかに指でぬぐいながら、穏やかに微笑む馨。


 よかったね、と顔を見合わせて笑うハニー先輩とモリ先輩。


 少し離れた壁によりかかり、眼鏡を光らせてフッと笑う鏡夜。




ラストカット
 記念写真を撮るために新郎新婦を前に並ぼうとするホスト部。
 わざとか偶然か、米びつごと環の上にぶちまける三年ズ。
 涙を流して笑いながら古靴の嵐で追い打ちをかける双子。
 ぺしゃんこになって助けを求める新郎、他人の振りをする鏡夜、
 動じないでいかにも幸せそうに笑う新婦。




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