227様作■「姫君の憂鬱と王様の杞憂」環ハル // 6

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 しばらく余韻におとなしく身を任せていたハルヒは、突如襲ってきた痛みに眉根を寄せた。
 「…い、痛っ…!や…何ですか、これ…っ?!」
 「何って…、入れる指を増やしてみたのだが。そ、そんなに痛いのか?!」
 我慢できないほどではないが、なまじそれまで快感しかなかっただけに、
 狭い秘裂が押し広げられる感覚に戸惑う。
 「た、耐えられないわけじゃ…ないですけど……」
 「では、もう少しだけ我慢してくれるか?これは、ハルヒの為でもあるし……」
 …ああ、そうかと思った。。これから指を二本どころか、環自身を受け入れる必要がある。
 彼は、その為の大事な準備をしてくれているのだ。
 ハルヒは下半身の力を抜き、環の施す前儀に耐えることにした。
 そうすることで、二本の指をより奥まで受け入れられるようになり、痛みも少しずつ軽くなっていく。
 やがて、それに身体が慣れてきたのか、殆ど痛みがなくなる代わりに、
 一本だけでされていたときと同じ疼きが増していった。
 そうなると、どうしても先程までのようなはしたない声を上げずにいられなくなる。
 「あ…っ、ぁあぁぁんっ!」
 それに気付いた彼は、指を抽送するスピードを次第に速めていく。
 「どうやら、慣れてきたらしいな、ハルヒッ?」
 「んぅっ!…は、はい。何とか…!」
 一度達した身体は登りつめていくのも速く、ハルヒが二度目の絶頂を迎えるまで、
 それほど時間を要としなかった。


 「…そろそろ、いいか?ハルヒがイクところがあんまりに可愛かったから、
  俺ももう我慢出来そうにないし…」
 そう言って、環は徐に自分の身に着けていたバスローブを脱ぎ去る。
 それを目にしつつ、ハルヒは達したばかりのあまり働かない頭で、漠然と思った。
 ―――ああ、以前プールや海に行った時は意識してなかったけど、こうして見ると、
 男の人の身体ってのも、結構きれいかも…。環先輩って、こう見えて案外、
 引き締まった適度な胸筋とか、腹筋の辺りとか……。
 …などと考えつつ、何となく視線を下ろしていき……、ある一点でギョッとして留まる。
 「…んー。どうした、ハルヒ?ひょっとして、俺の身体に見惚れてる?
  …なんてな、ハハハハ……」
 などと暢気に笑いながら近付いてくる環から、慌てて身を引く。
 「…や……っ…!」
 「―――?」
 何故かわされるのか分かっていない彼は、ハルヒの動きに合わせて彼女を追う。
 それでもハルヒは何とかして逃げようとしたが、ベッドの上という限られたスペースではあまりに分が悪く、
 いとも簡単に引き寄せられてしまった。
 「こらハルヒ、どうして逃げるのだ?!これからという時に……」
 「そ、それなんですけど、やっぱり止めませんか?」
 「ここまできて、流石にそれはないだろう?今までの準備を無駄にする気か?!
  せめて理由を聞かないと、納得いかん」


 環が少し悲しげにそう言って背後から抱き締めてきたので、“それ”が直に背中に当たった。
 その硬さと体温に、心臓が跳ね上がる。
 「そ、それは…その、先輩のがすごく…」
 「すごく…何だ?」
 こうして直接触れられていると、それの大きさがだいたい分かる。
 少し前に彼の指を二本挿入された時も、それなりの痛みを感じたというのに、
 今背中に触れているものは、指三本分?四本分?…いや、確実にもっとすごい。
 勿論、ハルヒといえど、環と結ばれたくないわけではない。
 …だが、それ以上に怖いのだ。
 しかし、何時までもこうしているわけにもいかない。
 「い、いえ。…何でもないです!やっぱりどうぞ、先輩の好きなように……」
 そう答えてみたが、やはり恐れを消し去ることは出来なかった。


 そんな思いを知ってか知らずか、環はハルヒを横たえさせてその上に覆い被さり、
 いつの間にか避妊具を装着した己のモノを、秘裂にあてがう。
 「…さてと、それでは一つになろうか、ハルヒ。だから、ちょっと力を抜け!」
 薄いゴム越しに彼の体温を感じた瞬間、ハルヒの恐怖心が爆発した。
 「…い、嫌です!自分は、初めてなんですよ!
  それなのに、そんな大きいの、入るわけがないじゃないですかっ!!」
 それに対して、環は気後れするどころか平然と言ってのける。
 「おまえは不安がっているが、こういうのはちゃんと入るように出来ているから大丈夫だ。
  それに、俺のは標準よりほんの何センチか大きめなだけだし……」
 ―――嘘だっ!
 即座に、そう思った。
 確かに自分はこんな状態の男性器を実際に見るのは初めてだが、
 以前テレビで何とはなしに知ったデータによれば、日本人の平均は13〜14センチ程度だという。
 もしも環の言葉に嘘がないとすれば、彼はハーフなのでフランス人の基準で考えているに違いない。
 …しかし、そんな彼はハルヒを宥めるように優しく囁く。
 「小柄なハルヒには、最初のうちキツいだろうが…。
 それでも俺は、大好きなおまえと一つになりたいのだ。出来る限りは優しくするから…それでも、ダメか?」
 「…た、環先輩……」
 ハルヒの胸の奥が、キュンと疼く。
 …環は、自分のことを大事に想ってくれている。
 優しくされたところで破瓜の痛みからは逃れようがないだろうが、なにも永遠に続くわけでもない。
 だから、彼の想いに応えるためにも、我慢してみようと思った……。




 「…分かりました。どうぞ自分を、環先輩のものにしてください……」
 小さな声で告げた後、ハルヒは気恥ずかしさに目を伏せた。
 「よ、よし!任せるが良い!…それでは、ハルヒの○○○○に…」
 「ちょ…!ちょっと、今…何て?!」
 環が唐突に言った単語に、それまでの気恥ずかしさやせつなさが吹き飛ぶ。
 「何って…、ハルヒの○○○○に俺の●●●●を……」
 ショーツをパンティーとか胸をおっぱいなどと言っていただけあって、
 彼は当たり前のように直接的すぎる淫語を言ってのけた。
 異常に丁寧な物言いも出来るくせに、どうやら、そこら辺の根本的な感覚が間違っているらしい。
 …それにしても、14歳までフランス育ちだったというのに、
 いったいどこでこういう言葉を覚えているのだろう。
 今更ながらハルヒは、環の人格形成に影響を与えた誰かも分からない人物を少し恨んだ。
 「イヤラシイ言葉を使うの、止めてください!…せめてもう少し、暈すとか……」
 「…で、では、これでどうだ?…おまえの秘密の花園を閉ざす扉を、
  俺の禁断の鍵で開こうではないかっ!!」
 それも極端すぎる…と思ったが、その直後に彼が侵入を試みてきたために、
 ハルヒの思考は掻き消された。


 「…いっ……!」
 環のモノが無垢な秘裂を押し広げ、徐々に分け入ってくる。
 想像していたよりもずっと激しい痛みに、ハルヒは身を捩った。
 自分の意識に関係なく、身体が苦痛から逃れようとするが、
 がっちりと両足を掴まれているために、それも叶わない。
 「いっ、痛いっ!痛いです、先輩ぃっ…!!」
 「ハルヒ。悪いが、少しの間だけ耐えてほしい……」
 彼は少しの間と言ったが、苦痛に耐えている時間というものは、実際の何倍にも感じられる。
 狭い秘裂に許容を超える大きなモノが挿入されていく圧迫感に苛まれ、
 ハルヒは環の背中に廻した腕に力を込めた。
 しばらくそうしていると、やがて、秘裂の奥にある場所を硬いものにノックされるような感覚があり、
 ようやく最奥まで到達したのだと悟る。
 「…ハルヒ、ほら、奥まで入ったぞ」
 その言葉を聞いて少しだけ安堵したが、勿論これで行為が終わったわけではない。
 「…つぅっ…、あぁああぁっ…!」
 直ぐに抽送が開始され、ハルヒは再び苦痛の声を上げた。
 破瓜によって傷付けられた粘膜を擦られる痛みが、環の動作に合わせて、断続的に襲ってくる。
 それこそ、挿入された時の痛みのほうがまだましかと思うほどに。
 ―――痛い!痛いっ!痛いっ……!!
 ハルヒは、涙で顔をくしゃくしゃにしながらも、必死に耐えた。


 よくドラマや小説などで、初めて好きな相手と結ばれた時に、
 ずっとこうしていたいと思うシーンが出てくるが、あれは嘘ではないかと思った。
 環とこういう関係になれたことが嬉しくないわけではないが、苦痛のほうが勝っている。
 彼には悪いが、少しでも早く終わってくれないものかと思ってしまう。


 程なく、緩やかだった抽送が次第に激しくなってきた。
 それに合わせて、結合部分からの淫猥な音とハルヒの痛みが増していく。
 「…先輩の…嘘つきっ!…やっ、優しくしてくれるって…言ったじゃ…ないですかっ!」
 「す、すまない!…だが、もう自分でも歯止めが……」
 と、環はハルヒの身体を抱え起こし、果敢にストロークを続けた。
 体勢が変わったことで、より深くまで彼のモノが侵入する。
 下から突き上げられる度、秘裂の入り口だけでなく、その奥にある場所にも鈍痛が走った。
 「…ハ、ハルヒ!そろそろ……」
 どうやら環は絶頂が近いらしく、表情に余裕がなくなっていく。
 「んぅっ…、あっ!ぁああ…っ!」
 「…ハルヒッ……!!」
 刹那、いっそうハルヒの中で環の存在が強く感じられたかと思うと、
 次いで熱い何かが溢れ出したような感覚があった。


 それから少しして……。
 ようやく解放されたハルヒは、力なくベッドに横たわった。
 疲労感と秘所に未だ残る少しの疼痛で、しばらくは動けそうにない。
 「…大丈夫か、ハルヒ……?」
 環が、心配そうに覗き込んでくる。彼は自分と対照的に、ダメージどころかむしろ清々しい顔だ。
 「…まだ、あんまり大丈夫じゃないです……」
 「ま、まだどこか痛いのかっ?そういえば、抜いた後で気付いたが、
  血がいっぱい出ていたではないか!…も、もしダメなら早いところ医者をっ…!!」
 取り乱した彼は、サイドテーブルの上の電話に手をかける。
 「…あ、お構いなく。少しじっとしていれば、何とかなりますから……」
 ハルヒは、今まさに受話器のボタンを押そうとしていた彼を制した。
 こんなことで医者を呼ばれたら、恥ずかしいし迷惑だ。
 「そ、そうか。それなら、いいんだが……」
 受話器を置くと、環は隣に寝そべって優しげに頭を撫でてくる。
 「ハルヒは、よく頑張ったな、偉いぞ。…しかし、おまえが痛がっていたというのに、
  途中で止めてやれなくて、悪かったな……」
 「はっきり言って、すごく痛かったです。…でも、環先輩が謝る必要はないですよ。
  先輩とこうなったのは、自分も望んだことですから」
 と、微笑むと、不意に抱きすくめられた。次第に、彼の腕に力が込められていく。


 「ちょ、ちょっと環先輩っ!?離してください、痛いです!」
 「ダメだ、ハルヒが可愛いから、絶対離さない!」
 そのまま環は、可愛い可愛いと連呼しながら、密着してきた。
 こんなに何度も言われると、いつもならば次第にうざいと思えてくるころだが、
 今は何故か突き放す気になれず、ただそのままにしていた。
 素直に、自分のことを大切にしてくれるこの人を好きになって、正解だったと思う。


 ……が、そこでふと「それ」に気が付いた。
 「こんなに可愛いハルヒと、これからずっと一緒にいられる俺は、
  世界一の幸せ者に違いあるまい!だから、ハルヒ……」
 「……だから、もう一回したいというわけですか?」
 ハルヒは、密着した腰の辺りで先程から自己主張をしている環自身を指摘した。
 「ご、誤解だ!確かに、したくないと言ったら嘘になるが、今日はもうしない!!
  ハルヒにつけた傷が癒えるまでは、止めておくぞ!本当だっ!!」
 必死に弁解する環だが、その意に反して、ハルヒに押し付けられたままの下半身は、
 なかなか治まろうとしない。
 「無理しなくていいですよ。あと一回くらいなら、自分も我慢出来ますし……」
 「い、いや、大丈夫だ!そのうちハルヒが慣れてくれば、何度もするが、今日のところは本当に……」
 ……結局、その不毛なやりとりは、しばらく続いた。




 その、翌日。
 あの後、環はハルヒと付き合い始めたことを、直ぐにでも部のみんなに報告したがったが、
 ごたごたするのは嫌だし、少しの間黙っておいて何かの機会に言えばいいのでは…と、
 ハルヒが提案したので、とりあえずはそれで徹すことになった。
 ただ、心配させたままでは良くないので、仲直りしたことだけは告げておいた。


 「…そういえば殿とハルヒは、そもそも何で喧嘩してたわけ?」
 双子に聞かれて、そういえば喧嘩の原因を誰にも話していなかったなと気が付く。
 それに対してうまくはぐらかすと、今度は環が質問攻めにあっていた。
 「そ、それは…なあ、ハルヒ?」
 環は、ハルヒに助けを求めようと、視線をおくる。
 「べつに、さっきも言ったとおり、たいした事じゃないけど」
 そう答えて笑い合っていると、更に馨が聞いてきた。
 「何?お父さんと娘だけの、秘密ってやつ?」
 「いや、違うぞ!お父さんと娘ではなく、俺とハルヒの秘密だ!」
 光と馨が、訳が分からないという顔をして、顔を見合わせる。
 「…まったく、殿の言うことは意味が分かんないよ…。やっぱりハルヒから聞かないと」
 「でも、本当に環先輩と自分の秘密だし……」
 お父さんと娘ではなく、環とハルヒ。
 もう、お互い無自覚だった頃の二人ではないのだ。
 ハルヒにとっては、それがとても嬉しかった………。


 END


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