Affinity 4
〜最高の場所で最高の思い出を〜Mai Tai





マルチェロがククールに連れてこられたのは、世界の南側のほうにあるリゾート地だった。
いまだ開発は始まったばかりのようで、本当に何もないところで・・・エリアのど真ん中に建てられたばかりの『ホテル・サヴェッラ』だけが異様な存在感を放っている。

「うわーすげえ!本当にサヴェッラ大聖堂みたいな造りだ。」
ククールは夜中だというのに騒いで、ほらほらとマルチェロの注意を引く。
きっと彼はマルチェロの機嫌が悪くなるのを分かっていてやっている。

「・・・本当にあんな悪趣味なところに泊まるつもりか?」
マルチェロがそう尋ねると、ククールは言う。
「勿論さ、このホテル・サヴェッラって今世界で一番注目されている場所なんだぜ?
まだ本格的にオープンしてないから相当なコネがないと入れない、っていう所さ。
しかも一晩何ゴールドだったかな、普通の部屋でもめちゃくちゃ高いんだぜ、ここ。
だからこんな機会がなければ泊まれないじゃないか。」
「お前と私でか・・・?」

心底嫌そうにマルチェロが言うにもかかわらず、ククールは相変わらず嬉しそうだ。

「当たり前だろ。兄貴も念願がかなって『ホテル・サヴェッラ』の『法王』の部屋で素敵な夢を今夜は見られそうだぜ?」
「・・・」
もうこれ以上は何も言うまいと諦めたマルチェロを置いてきぼりにするようにククールはズカズカとその『ホテル・サヴェッラ』へと入っていったのだった・・・



「やっぱり最高だな、噂はダテじゃないってことだ。」
二人が案内された部屋は『法王』の名前を冠するだけあって、何もかもが一級品で整えられた部屋だった。
カジノで獲得した宿泊券を見せると、係はすぐに二人を直接部屋に通してくれた。
部屋でくつろぎながら、二人が偽名を宿泊名簿に書く間に運ばれてきたウェルカムドリンクに付いてきたカードを見てククールは笑う。

「なあ、兄貴、知ってるか?このカクテル、マイタイっていうんだけど・・・このあたりの言葉で『最高』って意味なんだってさ。俺も意味は初めて知った。
せっかくだから思う存分この部屋を楽しんで、今夜は最高の夜になりそうだ。」
「・・・私にとっては最悪だ。」
マルチェロは浮かれていうククールにそう素っ気無く答える。
そんなマルチェロにククールはやはりいつものように笑ったのだった・・・



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Mai-Tai (マイタイ)
ラム(ホワイト)45ml
オレンジ・キュラソー1tsp
パイナップルジュース2tsp
オレンジジュース2tsp
レモンジュース1tsp
ラム(ダーク)2tsp
カットパイン、スライスオレンジ、マラスキーノチェリー、ミントチェリー